昨夜サチコの夢をみる。 ふたりで洗濯をしていた。
それが洗っても洗っても終わらない夢。
朝の天気予報をみる。 今日は晴れているけれど明日から下り坂。 夢の続きのように洗濯をし始めた。
それは物足らないくらい少なくて。 何か他に洗う物はないかしらとさがすほど。
「俺の加齢臭も洗え」と彼がパジャマを脱ぐ。
ついつい匂いを嗅いでしまった。 ふむふむこれが加齢臭かと頷く。
全自動ではない洗濯機のなかで。 あれこれが絡まりあってまわる。 痛そうに辛そうにそして楽しそうに。
サチコは洗濯をしただろうか。 ちゃんと天気予報を見ただろうか。 いちにち気掛かりでならなかった。
夕方いつものスーパーがポイント5倍。 おまけに冷凍食品が半額だった。 もしかしたらと思う。サチコお休みかも。 もしそうならからあげチキン買ってあげよう。
確かめるために電話する。出て出てと願いつつ。 そうしたら三度目のコールで声が聴こえた。
あのねあのねとまくしたてるように興奮する母。 良かったお休みだった。もう買物も済ませたよと。 5倍だったね。からあげチキンもちゃんと買ったよ。
とてもとてもほっとしてふにゃふにゃっとなった。 洗濯物もよく乾いただろう。ほんとに良かったな。
二十四節気のひとつ大雪。 今朝はこの冬いちばんの冷え込みとなった。
山里では初霜が降りる。朝陽を浴びてきらきらと眩しい。 薄く氷も張る。それは指で軽く触れただけで割れてしまった。
寒さは身に堪えるけれどそんな冬をたのしんでみたいものだ。
そんないちにちも平穏に過ぎていく。 それはとてもありがたいことなのだけれど。 こうしてとりとめもなく綴り始めてみると。
ふっとなにかが足りないような気がしてくる。 満たされた水をわざと床に溢してしまいたいような。 そんな衝動に駆られる。空っぽの器を割ってしまいたい。
そのカケラをおそるおそる拾い上げてみたいと思う。 とても漠然としている。だから何なのだと自問する。
平穏ではいけない理由がいったいどこにあるのだろう。
イマワタシハツマヅイテイル。書くと言うことに。 よほどこだわっているのだろう。つまらない事だ。
しばらくは支離滅裂なことを書いてしまうのかもしれない。
ゆるそう。好きなように流れていけばいいと。ゆるそう。
散歩道で白い水仙の花を見つけた。冬の花を愛しく思う。 それは春まで咲き続けてくれることだろうと嬉しかった。
木枯らしの日も雪のちらつく日もあるだろうけれど。 ほんの少しうつむきながらもそれは精一杯咲いてくれる。
| 2009年12月05日(土) |
おいで。もうこっちだよ。 |
一年前の日記を読み返していると なんだかとても遠くに来てしまったような。 そんな気がする。いったいどれほど歩いたのか。 実感というものがない。それはあっという間で。 気がつけば月日が流れていたそれだけのことで。
何かが変わってしまったのだとしても見つけられず。 ぽつねんとそこに佇んでいる自分に声をかけてみた。
おいで。もうこっちだよ。さあ手を繋いであげるから。
そうしてまたひとつ歳をかさねた。 長生きをしたいなと願う歳になる。
記しておきたい事がたくさんあるというのに。 うまくことばに出来ない。何かを躊躇っている。
それはいったいどんなことでどんなかたちをしているのだろう。
おいで。もうこっちだよ。おいで。もうこっちだよ。
目覚めると雨が降っていた。昨夜の月夜が嘘のように。 灰色の空から冷たい雨がぽたぽたと雫のように落ちる。
川仕事に行く予定で山里の職場をお休みしていたものだから。 潮待ちをしながら雨が小止みになるのを今かいまかと待った。
10時頃やっと雨が止む。干潮はお昼過ぎなので急いで出掛ける。 けれども海が時化ているせいもありなかなか潮が引いてくれない。
なんとかかんとか作業を始めた。束ねてある海苔網を分けながら。 一枚ずつ漁場に張っていく。緑の種が希望のように網を覆っている。
どうか順調に伸びてくれますように。ただただそればかりを祈った。 早ければ年があけて二月。例年通りに収穫が出来れば幸いだと思う。
博打みたいなものだからと彼はよく言う。当たりもあれば外れもある。 自然相手の事だからついつい不安にもなる。とらぬタヌキの皮算用も。
彼が父親から受け継いだ家業。天からずっと見守っていてくれますように。
お昼過ぎに帰宅。お腹がペコペコでふたり掻きこむように昼食をとった。 後はのんびり過ごそうぜと彼は茶の間でゲームを始める。私は自室に篭り。 これもまたネットのアプリに没頭。それは農園だったり牧場だったりして。 最近いちばんはまっているのが水族館だ。お魚を育てるのがすごく楽しい。
晩御飯の時。彼が面白がって「ほうれん草は出来たか?」などとからかう。 いえいえ桃よイチゴよと応えたり。それよりもカワハギよタナゴよと笑う。
彼は武器を持って悪戦苦闘を繰り返しているらしい。ふたりすっかりゲーム中毒。
ふたりっきりになってもふたりはとても楽しい。 おじいちゃんとおばあちゃんになってもそれぞれの趣味を楽しんでいたいな。
| 2009年12月02日(水) |
忘れ物はなんですか? |
師走も二日。先週からの暖かさをそのままに時が過ぎる。 このまま押し流されるように一年が終わってしまうのだろうか。 ふと立ち止まってみたくなる。陽だまりで猫のようにまるくなりたい。
昼間。お休みだったサチコが忘れ物を取りに帰って来ていたらしい。 私も家に居て迎えてあげたかった。毎日だって会いたくてたまらない。 電話でちらっと声だけ聴く。頂き物のメロンと洋梨をお裾分けした。
何か他に忘れ物はないかしら。母はいつだって飛んで行きたい気持ち。
そんなことを思いながら。子離れってムツカシイものだなと思う。 息子君の時とはあきらかに違うのだ。なんだろうこれって不思議だな。
いつもより早目に帰宅したけれどもちろんもうサチコはいない。 いったい何を忘れていたのかしらとかつての部屋を覗いてみる。 部屋は私が片付けたままで何ひとつ変わった様子は見受けられない。
置き去りにされたもの。そのすべてが母の宝物のような部屋だった。
微笑み混じりのため息。忘れ物はなんですか見つけ難いものですかと歌う。
すっかり日暮れて満月を仰ぐ。あんずがきゅいんきゅいんと晩御飯をねだった。
| 2009年11月30日(月) |
ふたたび出会えるということ |
早いもので明日からはもう師走。 千両の紅い実がそれをおしえてくれるかのように実る。
空はまるで海のように青い。風もなく穏やかな一日となった。
月末で少し忙しかったがそれほど遅くなく帰宅することが出来た。 大橋を渡るとほっとする。土手の道を「ランちゃん」が散歩していた。 あんずのお気に入りのワンちゃんで会うと必ずじゃれ合うのが常だった。
すぐに行かなくちゃと追い掛けるように土手に向かう。 ああでも残念。ほんの一足違いで先に帰ってしまっていた。 土手の道のあちこちにランちゃんの匂いが残っているのだろう。 あんずはしきりに匂いを嗅ぐ。それはランちゃんの家のすぐ近くまで。
また明日ねと言い聞かせるようにしながらお大師堂に向かった。 人の気配がする。いつもなら踵を返してしまうことが多いのだけれど。 今日は違った。なんと言えば良いのか引きよされるような感じがした。
そのひとに出会ってからもう90日も経っているらしい。嬉しい再会だった。 「またきっと会いましょう」と言って別れた人にまためぐり会えるなんて。
修行僧だという。もう2年半も遍路旅を続けているひとだった。 今回がもう最後かもしれないと言う。会えてほんとうに良かった。
お大師堂にメジロが飛び込んでくる。窓を開け放しても逃げようとしない。 一緒に寝るしかないですねとそのひとは笑った。まるで良寛さんのようだ。
ほのぼのとした時間。それはつかの間でもっともっと話しがしたかった。 これが最後なら尚更。再会が叶うなどよほどの縁のあるひとだと思った。
縁は紡ぐもの。目には見えない不思議な糸のことを思わずにいられなかった。
| 2009年11月28日(土) |
おでんが美味しかった |
暖かさにほっとする穏やかないちにち。
午前中にサチコのアパートを訪ねた。 やっと洗濯物を干し終えたところで。 南向きのベランダは陽射しが満ちていた。
仕事と家事。これからも大変なことだろう。 まだ慣れてはいなくて少し疲れているようだった。 流しの食器洗いを手伝う。掃除機もかけてあげる。
母は相変わらずお節介だけれど甘えてくれるのが嬉しい。
この先もゆっくりでいい。無理をせずぼちぼちと頑張ってほしい。
一緒に買物に行きすぐにおいとま。また近いうちに会えるだろう。 女同士。主婦同士になってこれからの日々が流れていくのだろう。
けれども『こども』いつまでもこどものままでいてくれるのだと思う。
午後は暖かさもありすっかり寝入ってしまった。 怠けているなあと我ながら思う。とにかく眠い。
目覚めればもう四時。急いでおでんの支度をする。 玉子はんぺん餅巾着。好きなものばかりで夕食が楽しみ。
またまたお相撲を観ながら早目の晩酌になった。 彼がやたら大きな声でしゃべる。それも慣れた。 彼も娘に会いたいことだろう。寂しい事だろう。 ゆっくりと会える頃はもうお正月になりそうだ。
そろそろ師走。クリスマスソングも流れるようになった。
ことしも早い。あっという間に年の瀬が迫ってくるのを感じる。
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