| 2008年12月28日(日) |
わたぼうしいっぱいの一期一会 |
夕暮れ近くなり三日ぶりの散歩。あんずがやたらはしゃいでは。 老犬には思えないほどの元気な足取り。お願いゆっくりでねと。 声をかけつつ一緒に歩いてもらう。お互いどんな日もあるよね。
日課というものはなんだかその日の消化にも似ていて。出来ないでいると。 なんとなく消化不良を起こしてしまったようで。心がもやもやと重くなる。 ふしぎなものだ。まっいいかとすぐに諦めてしまえばもっと楽なのだろう。
続けたいこと。じぶんに課したいこと。出来なくても感謝する気持ちが大切かも。
しれない。たとえば待っていてくれる場所。消えないでいてくれるばしょ。 それは待っていてくれるひとでもあり。忘れないでいてくれるひとにも等しい。
いつものお大師堂が見え始めると。蝋燭の明かりが灯っていてほっとする。 今夜も泊まってくださるお遍路さんがいてくれるのだなあと嬉しくなった。
そっと近づいていって。そのまま表から手を合わせて帰ろうと思ったけれど。 思いがけないことにその扉が開け放されていて。後姿と読経の声が聴こえる。 なんてありがたいことだろう。その背中に手を合わすようにともにお経を唱える。
振り向いてくれた。私が後ろにいたものだからちょっとびっくりさせてしまった。 照れくさそうな顔をしたのは私も同じで。はじめましての挨拶を交し合う。
うちの息子と同じくらいの年頃の青年だったもので。ついつい母性なのか。 老婆心なのかあれこれと話し込んでしまい。つかの間のひと時をいただく。
新潟出身だけれど今は福島県に住んでいるのだそうだ。仕事で大阪に来ていて。 急に思い立ったのだろうか。初日の出を足摺岬で見たくなったのだと言う。 それが楽しみで歩き通して来たけれど。毎日ゆっくり少しずつが精一杯らしい。
寝袋も間に合わせで真冬用ではないらしく、毛布に包まってから寝袋に入る。 それでも寒くてたまらない夜があったらしく。ここは畳も扉もあるから良かった。
そう言って微笑んでくれると。なんだかほっと安堵せずにはいられない母心だった。
「明日・・雨降るでしょうかね」「だいじょうぶ 降っても時雨でしょう」
「おやすみなさい」「おやすみなさい。初日の出きっと綺麗だよ」そう言って別れる。
一期一会。その日その場所その時間でなければ巡り会えない縁がある。
ほんとうにささやかな縁なのだけれど。こんなに心が和むことはないのだった。
ありがたい一日がそうして暮れていく。ひとが好きだ。やはりどうしても。
わたしはひとが好きでならないのだとつくづく思った夕暮れ時のことだった。
名も知らぬひとも。夕焼け空をながめてくれただろうか。
今日の太陽は落ちる前にいっぱいのわたぼうしを空に放ってくれたよね。
| 2008年12月25日(木) |
ただ風が吹いている事だけを感じたい。 |
午後から季節風が強くなる。地元では冬の西風とよんでいる。 冷たいけれど北風ではないのだ。それは川の水を波立たせて。 その流れにぐんと勢いを促しては。白い波となり姿を見せる。
わたしはそんな冬の川面が好きでならない。力強くて心強く。 どのような神業であってもそれを鎮める事など出来ないだろう。
荒れているのでもなく苦しいのでもなく。逆らわずにいること。 そんな水になりたいものだ。ただ風が吹いている事だけを感じたい。
夕暮れていく川辺の道を歩きながら。ちっぽけな拘りを流しにいった。 もうほんとうにじゅうぶんだというのに。また求めていたことがある。 そのことに気づいた昨夜は。穏やかさのインクが切れた万年筆のよう。 書けないのだ。何も書けなくなる。ああ馬鹿みたいと何度もつぶやく。
求めすぎるから去るのだ。求めすぎるから離れていくのだそんなこと。 もう言われなくても理解している。それなのに心が反乱を起こしてしまう。
はぁ・・もうじゅうぶん。インクが切れたら自分色のインクを作ろう。 そうして記しておこう。読み返す日もあるだろうじぶんのために・・。
やっとラジオからクリスマスソングが流れなくなった。あとは進むだけ。 どこにすすむのだろうよくわからないけれど。あたらしい年がくるから。 いかなくちゃって思う。平穏無事に微笑みながら。前を向いて歩きたい。
※追記:昨夜のチーズケーキが残っていて今夜も食べた。よはまんぞくなり。 焼酎は。黒麹仕立の『桜島』好きだった篤姫を思い出しながら酔って候。
| 2008年12月23日(火) |
そんないつかのために |
真冬らしい朝。ねずみ色の空からまた雨でもなく。 雪でもない粒が。はらりはらりと零れ落ちていた。
けれども東に向かうにつれ空が明るく晴れわたる。 海沿いの道を行けば朝陽にその青がまぶしく光る。
昨夜の心細さはいずこへ。目覚めれば現実的に朝。 ありがたいことだと思う。雀の声さえ愛しく思う。
約100キロの道のりをまた彼のお世話になりながら。 ふとじぶん独りで行けたらどんなにいいだろうかと。 ばちあたりなことを思った。方向音痴のくせに何を。 そう咎めながらも。独りで行きたい場所があるのだ。
友人。わたしはずっとずっとそう思っているけれど。 ささやかな縁にしがみついているだけなのかもしれず。 けれども決して離れたくない。大切でならない縁だった。
ずいぶんとながく歳月が流れたけれど。顔も知らない。 声だって知らない。電話番号もメールアドレスさえも。
知らないことだらけだけれど。私は彼を確かに知っている。 息遣いを感じる時だってある。とても私に近いところから。
予定より少し遅くなりちょうどお昼時に目的地に着いた。 そこは硝子細工のお店らしく。でも扉に鍵が掛かっていた。 でも間違いないここなのだ。窓から彼の絵がちゃんと見える。
しばらく待っていると店主さんが帰って来てくれてほっとする。 開口一番にもしや?と訊かれた。待っていてくれたのだそうだ。 彼が。約束したんだと言って午前中ずっと待っていてくれたのだと。
明日が最終日の個展だったから。きっと今日だと信じてくれたのだろう。 私も速達で葉書を出そうと書いたのだけれど。それを躊躇ってしまった。 もし予定通りに行けなかったら。どんなにか悲しむだろうと思った・・。
自宅はその場所のすぐ近くだと言う。けれどもあえて連絡を頼まずに。 ひとめ会いたいけれど。会わずに帰ることを選んだ。それが希望だった。 いつかきっと。そうでなければいけないような気がしてならなかったから。
そういつか。そんないつかのためにともに生き続けたいと祈るように願う。
ありがとうひろたくん。優しくてあたたかくてほっとした一日でした。
私信:ひつようなのです。どうしてもどうしてもひつような縁なのです。 どうかわかってください。どうかしんじてください。お願いです。
| 2008年12月22日(月) |
それは雨ではなく。雪でもないけれど。 |
昨夜の強い風がそのまま寒波になり。 曇天は雪雲のように重く冷たい一日。
山里では時雨が風に舞う。雪になれずに。 駄々をこねているような拗ねているような。 そんな空のことをおおよしよしと宥めつつ。
じぶんもほんのすこしの時雨心地となった。
けれども大丈夫それは雨ではなく。雪でもない。
仕事はひたすら年賀状作りに励み時を忘れていた。 とにかく今日中にやっつけようとそれを済ますと。 なんだかほっとしたのと同時に。心細くもなった。 例年ならぎりぎりまでそれをしないのに急いでいる。
そうしないと落ち着かないのだ。明日があるのかと。 ついつい不安になる。また例の明日死ぬかも症候群。 ばかみたいって思いながら。やはりそれが不安になる。
嬉しいことがあり過ぎる。恵まれ過ぎていると思うたび。 いっぱいの感謝をしながら。冥土の土産が増えていくのだ。 もうほんとうにじゅうぶん。だからどうか生かせて下さい。
ぜんぶあげたい。もっと尽くしたい。私は身ひとつでいい。
夕暮れて晩御飯を済ませた頃に。仕事帰りの息子君が来てくれる。 職場が漁師町にあるので。上等のマグロの切り身やらクエやらを。 お正月用にと届けてくれた。おまけにイブの夜にとワインまでも。
そのうえテレビまで買ってくれるという。すごいサプライズだった。 こんなしけたテレビで紅白を観るのかよって言って。即刻電器店へ。 父親は大喜びではしゃいでいる。母だってもう天国に行った気分だ。
ありがたいことだ。お兄ちゃんほんとになんて言ったらいいのか。 子供の頃には欲しい物があっても。いつも我慢してくれていたのに。 専門学校のハワイ研修の費用だって。アルバイトして貯めていたのを。 直前になって行かないと言って。サチコの自動車学校の費用にくれた。
母さん。子育てが苦手で親らしいことまともに出来なくてそれなのに。 ちゃんと育ってくれてほんとうにありがとう。優しい子に育ってくれた。
またまた感無量の夜になった。いいのかなほんとうにこれでいいのかな。 母さんに明日ちゃんと来るよね。ぐっすりと眠ったらきっと朝が来るよね。
明日は。詩友の個展にどうしても行きたくて。約束を果たしたくてならず。 もう二度とこんな機会がないようにも思える。会いたいのだなんとしても。 まだ一度も会ったことのない彼に会いたくてならない。きっとかなえよう。
いそいでいるのだろうか。やはりどうしてもいそがなければいけない気がする。
日暮れた頃からずいぶんと風が強くなる。 ひゅるひゅるとがたがたとざわざわのなか。 こうしてとりとめもなくこれを記し始めた。
穏やかさが手をひろげて待っていてくれる。 そんな気がしてならず。ゆっくりと向かう。
金曜日の夜からいろんなことがあった。 きっと年の瀬のせいだろう。その瀬が。 川の流れのように必然にも思えてならず。 なんだか自分が試されているような木の葉。
やはりそれは海に辿り着くことはできずに。 澱みに沈みこんでしまいそうになりながら。 また浮かぶ。そうして恵みにきづくありがたさ。
たったひとつの痛さにもうとらわれはしない。 そう決めたのだ。だから私は決して傷つかない。
たくさんの恵み。土曜日はとてもありがたく過ごす。 昼間は親戚の法事があり。親族一同がみなあつまる。 姑さんがとても嬉しそうだった。すっかり老いた兄姉。 久しぶりに会えたものだから。みなが満面の笑顔だった。 私も彼の従姉妹達と語らう。同世代ばかりで話しが弾む。
夜は。mixiを通じて仲良くなれた友人達と忘年会だった。 みなバド仲間でもあり。出会えた事にとても感謝している。 母親みたいな歳の私を誘ってくれてともに過ごしてくれること。 わきあいあいと語り合い。大いに盛り上がり楽しい時をいただく。 ほんとうに私は恵まれているのだと。つくづく思った夜になった。 長男34歳。末娘24歳。どうか時の許す限り母親でいさせて下さい。
みんなのおかげで私はバドが続けられている。ありがたき子供たち。
そんなひと時の最中に思いがけないメールが届く。 先月のことながいながい手紙を書いて送った大切なひとからだった。 音信不通に慣れてしまい一方通行に慣れてしまった5年目の夏が過ぎ。 そうして冬になりまた一年を終えようとしている。無事でいてくれた。 それだけでじゅうぶんだと思う。とてもとても救われた夜にもなった。
けれども返信出来ずに今もいる。私というひとはそんな存在でありたい。
あいかわらず風が強い。また寒波がやってくるのだろうか。
けいちゃん。『恵』という名をほこりに思って。
どうか日々の苦悩を乗り越えてください。
わたしはずっとずっとここにいます。
| 2008年12月18日(木) |
どんぐりころころ喜んで |
風がすこし冷たかったけれどそんな冬らしさが好きだった。
朝の国道から見る河口が白く輝く。朝陽が水を覆い尽くし。 いちめんの銀世界のように見えた。いまは流れずにいよう。 その静けさのなかで時を待とうと。水の精たちの声がする。
今日こそは一番のりのつもりだったけれど。母に先を越された。 あらまあと愉快でならない。おはようを交し合い一日が始まる。 そのぶん同僚がずいぶんと遅刻してくる。もちろん誰も咎めない。 常識外れといえばそれまでだけど。以前のような緊迫感が薄れて。 そのおかげで皆が精を尽くせるのかもしれない。家族のような職場。 今年もなんとか年を越せそうなのが。奇跡のように思えてならない。
職場の庭には南天の紅い実。千両も万両の実も紅く色づいてくれた。
帰り道の買物。いつもの店でまたすっかり馴染みの店員さんに声をかける。 最近自分でも不思議なくらい人懐っこくなってしまい。可笑しくてならない。
顔見知りの人を見かけただけで逃げるように売場の陰に隠れることもあった。 何かがとてつもなく億劫でならなかったり。憂鬱でならなかった頃があったけれど。
最近ではレジ選びもする。お気に入りの店員さんのところに直行するのが楽しみ。 「わぁ今日は鍋ですね〜」って言ってもらったりすると嬉しくてならないのだ。
そうしてインフォメーションにいる彼女にも声をかける。息子君の同級生で。 忙しそうにしていてもついついその名を呼んでしまったりするのだった。 「お疲れ〜また明日ね」って言ってくれる。「は〜いまた明日ね」笑顔で手を振る。
ひとが好きだ。ひとが恋しくてならない。みんながあったかいぬくもりを持っている。
肩を落としてしょんぼりしているひとも。苛立って声を荒げているひとだって。 みんなあたたかな血が流れているはずなのだ。だから生きて日々を乗り越えていける。
もしもどうしてもその血が冷たいというのなら。あたためてあげたいものだ。
自分に出来る精一杯の温度で。ぎゅっと抱きしめてあげられたらどんなにいいだろう。
追記:日暮れ間近いつもの散歩に行く。どんぐりを見つけたものだから。 それを歌う。「どんぐりころころどんぶりこ」お池にはまってしまい さあ大変になるのだけれど。どじょうが出てきて「こんにちは」する。
| 2008年12月17日(水) |
夢であなたにあいました。 |
明け方まで雨が降っていたのかもしれない。 雨雲を素直に風にのせることができるのか。 朝陽がそれは優しくそっとその背中を押した。
清々しくきりりとした空をトンビ達が飛び交う。 くるりと旋回しながらふうっと息をするように。 心地よさが伝わっきて思わず両腕を広げてみる。
羽根はない。いつまでたっても羽根などないけれど。
昨夜も酔いつぶれてしまってぐっすりとよく眠った。 そのくせ夢をみる。青春ドラマ的な夢ではなくって。 久しく会わない弟が登場してくる。「ねーちゃん」 困ったよほんとに困ったよ。なんとかしてくれよと。 それは深刻な顔で言うものだから。貯金通帳を渡す。
ああでも。ねーちゃんも困っちゃうよ。どうしよう。 そう思った瞬間。弟は忽然とどこかに消えてしまう。 そうして今度は母の声が聴こえてきた。「ねーちゃん」 黙って休んだりするから心配したじゃないのって大声。
ちゃんと言ったよ。休ませてねってちゃんと言ったよ。 どうして忘れるの。無理しないでねって言ってくれたよ。
あーもうほんとに。ねーちゃんどうすればいいかわかんない。
その瞬間がばっと目覚める。やけにリアルな夢をみたものだ。
今日こそは早目に出勤しようと思っていたけれど少し遅くなる。 母にメールをしてからいつもの山道を行く。なんだかそわそわ。 道中の風景を眺める余裕もなく。冬けやきも仰げないままだった。
また同僚のお世話になる。母の姿は見えず少し気掛かりになった。 同僚が母のタイムカードを見てくれ。昨日も相当遅かったらしい。 まあ鬼の居ぬまに一服しようやと。ふたりで珈琲を飲みくつろいだ。
母がやっと出勤してくる。あらふたりとも早いのねとケロっとした顔。 アパートで孤独死じゃなくて良かったわとそれも笑い話になりさあ仕事。
川仕事が一段落したことを告げ。収穫期までは精一杯尽くすことを誓う。 やっぱねーちゃんが居てくれると助かるわなどと言ってくれる母だった。
からだがふたつあればと無理なことを思う。せめて若くてもっとタフで。 どちらにも尽くせるような存在でありたい。出来ていたことが出来ない。 ながく生きていればそんな限界が必ずくる。母は私以上にもっと老いる。
帰り道で買物をしながら。ずっと弟のことを考えていた。元気だった。 つい先日電話した時は元気そうで。仕事も頑張っている様子だったし。 夢のことが気になったけれど。あえて今日は電話もせずにやり過ごす。
そうだお歳暮を贈ってあげよう。子供の頃から食い意地がはっていたな。 とにかく食べるものが良い。そうだハムをこんがり焼いて食べるのが好きで。 お弁当にいつも入れてあげていたのを思い出す。当時は魚肉ハムだった。 けれどもねーちゃんもまともなハムくらい買ってあげられるようになったさ。 丸大ハムだよ。これをこんがり焼くとめっちゃ美味しいよ。ほうらたんとお食べ。
喜ぶ顔が目に浮かぶ。ねーちゃんさんくすってきっとメールが届くだろう。
おとうとよ。世間の荒波に押し流されたっていい。でも決してくじけるなよ。
負けるなよ。頑張れよ。そうしてねーちゃんよりずっと長生きするんだよ。
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