ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2008年11月27日(木) 山茶花梅雨の頃に

いまにも泣き出してしまいそうな空を仰ぎつつ。今日も山道を行く。
ひとりふたりとお遍路さんに出会うたびに。清々しい気持ちになり。
洗い流されていく自分の灰汁を。その雫のことをすっかり忘れていく。


午後になり霧のように細やかな雨が降り始めた。山茶花梅雨という季語を。
つい最近まで知らずにいたけれど。冬を告げる雨だけあってとても冷たい。
けれども純白の山茶花や。桃色の山茶花に降り注ぐ雨は優しくてあたたかい。

やがてその花びらも銀杏の葉のように地に敷かれて積もっていくのだろう。
あれは何の物語だったろうか。その花びらの道の向こうに愛しきひとがいて。
歩み寄って来てくれるのだけれど。その時けっして花びらを踏まずにいてくれた。

いにしえのひとは。そうしてこころをふるわせながらひとを想い貫くことが出来た。




雨はささやかなままに日暮れていく。今日のお散歩は無理かもしれないと思った。
けれども無性に歩きたくてならないのは私で。犬小屋を覗き込み声をかけてみた。

うたた寝をしていたらしくあんずの身体がいつもより温かく感じられた。
そのぬくもりを冷たい雨にさらすのがひどく可哀相にも思えたのだけれど。
行ってもいいよの顔をして。よっこらしょと屈伸運動をして見せてくれた。

よかった。大き目の傘をさし相合傘でふたり歩く。ぴったりと寄り添って歩く。
行きも帰りも歌をうたう。「雨あめふれふれ母さんが」で始まるあの歌だった。

お大師堂の和菓子は。思った通りすっかりなくなっていて今日は栗饅頭を供えた。
お大師さんでも野ねずみさんでもなく。その包み紙はちゃんとゴミ箱に入っている。
誰かが食べてくれている。それは嬉しくもありありがたいことだなと思うのだった。


家に帰り着くと。あんずが犬小屋ではなく玄関のほうへ先になって行くのは。
タオルで拭きなさいの仕草だった。あんず用のバスタオルでふきふきすると。
目を細めて赤ちゃんみたいに気持ち良さそうな顔をする。その顔がとても好きだ。


おだやかな一日と。いまこうしてまったりと更けていく夜のことが愛しい。

あいかわらず酒びたりだけれど。静かな雨音にさえ酔うようにこれを記しておく。












2008年11月26日(水) もう我を忘れよう

穏やかな小春日和。ぽかぽかとした陽射しを浴びられるだけあびて。
日がないちにち猫のようにうたた寝をしてみたいものだとふと思う。

コマネズミさんは気が多いのか欲張りなのか。いろんなものになりたがる。
それはきっと人間だからなのだろう。気まぐれ者だから先が思いやられるけれど。


くるくることことささっと仕事をこなす。そのせいばかりではないと思うけれど。
まわりのひとを焦らしてしまったり。時には不愉快な目にあわせてしまうらしい。
言わなくてもいいことを言ってしまったり。よけいなことを先走ってしてしまったり。
あっ・・またやっちゃったんだなって後で気づく。まわりの微笑が消えている時。

どうすればもっとのんびり頑張れるのだろう。真面目に悩むコマネズミさんであった。


家にいる時はお茶目な猫。こんなに猫でいられることに安らぐほどの猫を感じる。
ほっとしている。くつろいでいる。ぬくもりの綿帽子をかぶった道化師のように。
それはまんざらではなく。もしかしたらいちばん自分らしい姿なのかもしれない。


猫が犬と散歩する。毎日私の帰りを待っていてくれるあんずの健気さに救われる。

今日の川辺はとても不思議だった。夕陽が映る川の水が逆流しているように見えた。
風は上流の方から吹いているというのに。水が自我を失ってしまったように。
ひたひたとその流れに逆らっているらしかった。けれどもそれが心地良さそうに。
身をまかせているのを感じる。なにかが押し寄せてきている。もう我を忘れよう。

後で今日が大潮だったことを知る。あれは海の潮だったのか。満ちて陽が沈む。

沈め沈めもっと深く。そうして昇れ。あしたの私がなんになったってもういいのだから。





2008年11月25日(火) いちばん星みいつけたっ。

昨日の夕陽のおかげなのだろう。朝の青空をありがたくいただく。

少しも急がずにいてのんびりと洗濯物を干す。彼とメダカとあんずに。
「行ってきます」と声をかけ。クルマに乗りこみやっと時計を見たのだった。

休みのあいだ気になっていた銀杏の木は。いちだんと色濃く染まりつつ。
その半分以上がもう地に落ち。湿った絨毯のようにあたりを覆っていた。

わたしがどんなにゆっくりとすすんでいても。こくこくと季節は流れる。
民家の軒下に吊るされた干し柿が。そうよそうなのよと頷くのが見えた。

追い掛けはしない。おそらく三歩後ろくらいの場所に私がいるのだろう。
昔からひとの背中が好きだった。そうして背中を見られるのが嫌だった。

手紙のことが気にかかる。さくやのうちに海をわたっていったのだろうか。
向かい合いたいのではない。呼び止めるのでもない。その背中のことを想う。


ふっきってふっきって仕事。ありがたいことに今日もとても忙しかった。
コマネズミさん大喜びの一日となった。程よい疲れが心地よくてならない。

いつもより少し帰宅が遅くなり。今日はふたり駆け足で散歩に行くことになる。
言い聞かすまでもなくすっかり感じているのだろう。私が走るとあんずも走る。
息が切れてきて走れなくなると。あんずもぴたっと歩をゆるめてくれるのだった。

お大師堂に着くといつもの場所に繋がれては。草を食べながら待っていてくれる。
最初のうちは心細いのか「きゅいんきゅいん」とよく呼んでいたのだけれど。
やっと慣れてくれたらしく。ずいぶんとおとなしくおりこうさんになってくれた。

すると昨日お供えした和菓子が半分ほどに減っていて。お大師さんが食べたのかな。
そんなはずはないのだけれど。あんずに話しながらついつい愉快になってしまった。

帰り道は木の実のある道。オリーブ色だった例の木の実が少し黄色くなっている。

もう駆け足ではなくて歌をうたいながら帰る。赤い鳥ことりなぜなぜあかい。
赤い実を食べた。白い実。青い実と続けて歌い。最後には黒い実になった。

ちょうどカラスが山のお家に帰る頃。黒い実いっぱい食べたかなって思いながら。

暮れ始めた空を仰ぐ。一番星みいつけたっていう童歌もあったような気がするね。





2008年11月24日(月) 母ハマチガッテイルノデスカ?

雨が時々はその音を聴かせてくれながら。ささやかに降り続ける。
お洗濯を休ませてもらい。お掃除もろくにしないで怠け者の一日。

午前9時を待ちかねていたように。町の郵便局へとクルマを走らす。
どうしても明日中に届けたい手紙があった。毎年のことだったけれど。
いったいそれが何になるのだろうと。不確かな気持ちが年々強くなる。
近所のポストでは間に合いそうになく『ゆうゆう窓口』だけが頼りで。
休日であってもしっかりとそれを受けてくれる。とてもありがたいことだ。

窓口のおにいさんが「きっと明日届きますよ」と頷いてくれてほっとした。
あとはその手紙が『受取人不明』で戻ってこないことを願うばかりである。


帰り道に簡単に買物を済ませて帰宅したら。どっと脱力感をおぼえた。
安堵にも似ているけれど。何かを遣り遂げたあとのような気もするけれど。
どこかが違う。とてもゆらゆらとしていて定まれない風の中の想いのように。

まちがっているのならそう言ってほしい。私の信念とはこうも心細いものか。


午後。私のささやかな小部屋にも。ちいさなコタツを構えてあたたまる。
横になり本を読んでいるうちに。とうとうそのまま寝入りこんでしまう。
そうして気がつけば三時間も眠っていた。窓をそっと開けると雨が止んでいる。


雨上がりの湿った道をあんずとゆっくり歩く。川辺は一層と水が匂いたち。
雨雲の隙間から微かに沈む夕陽が見えた。きもちよくきもちよく息をする。

お大師堂には。一昨日も昨日も泊まりのお遍路さんが居て。今日もそうらしく。
お堂の片隅に荷物が置かれていたのだけれど。どこにも姿が見えなかった。
少し気後れしながらも上がらせてもらって。やっと和菓子をお供え出来た。

外から口笛が聴こえる。誰かがあんずに話し掛けている声が聴こえてくる。
お遍路さんは食料品を買いに行っていたらしい。雨で思うように歩けなくて。
今日はここで諦めたのだそうだ。夕陽を見ながら「明日は大丈夫ですね」
そう微笑みあいながら別れの挨拶を交わした。旅の無事を祈るばかりだ。


晩御飯は三日目のカレー。今朝のことサチコに散々文句を言われていたので。
ちゃんと他のおかずを作り。カレーは自分ひとりでやっつけることにする。

息子君が来てくれそうな気がしていたのだ。だからいっぱい作ってしまった。
「お兄ちゃんにメールしてあげらたいいじゃない!」とサチコは言うけれど。
母はそうじゃなくて。ずっと待っていたらアノヒトが来てくれるかもしれない。
そんな待ちかたがしたかっただけなんだ。母ハマチガッテイルノデスカ?


三日目のカレーもそれなりに美味しかった。彼は鮭の塩焼きで満足そうで。
そうしてすっかり食器洗いが済んだ台所に。開けないままの鍋の存在に気づく。

せっかく作った大根の煮つけを出し忘れてしまった。母はやはりどうしても。

ドジだし大ボケだし。まちがっているのかもしれないけれど。どうかゆるしてほしい。



2008年11月23日(日) 今日という日をありがとう

朝はどんよりと曇り空だったけれど。
午後からささやかな陽射しに恵まれる。
つかのまのこと。そうして急ぐように。
風が雨の匂いをはこんできてしまった。


今日はなんとしても会いたくてならないひとがいてくれて。
約束もなにもないというのに。そわそわと落ち着けずにいた。

やっとその時間が来て。胸をどきどきさせながら会いに行く。
そうしたら思いがけずにたくさんの人が来ていて少し途惑う。
諦めて帰ろうかなと迷いつつ。やっと会えたのにと思い直す。

2時間待ってやっと対面することが出来た。にっこりの笑顔。
ずっと緊張していたのがゆるゆるとなり。ほっと心が和んだ。

それは。路上詩人はまじ君だった。

ひととひととの出会いをとても大切にしている詩人さんで。
即その場で感じたままの言葉を書き綴って授けてくれるのだった。
その一瞬がなんともいえない。魂がすぅっと抜け出していくような。
不思議な感覚をおぼえた。あっ・・わたしがいってしまうそんな感じ。

そうしてそれを手渡された時の新鮮さ。しっかりと自分を受け止めては。
からだじゅうから芽が出てきたような。くすぐったいようなあたらしさ。

会えてほんとうによかったと思う。はまじ君。今日という日をありがとう。








2008年11月22日(土) その日のためにいまがある

朝はやはり寒さを感じたけれど。日中は穏やかな小春日和となる。
寒波が峠を越えたようだ。ゆっくりとまた冬らしくなるのだろう。

数日前から堤防の草刈作業が行われていて。今日で終わったらしく。
窓から見える風景が一変したように思うさびしさ。揺れるものがない。
もう枯れススキだったけれど。あのしなやかに揺れる姿が好きだった。

ねこじゃらしも野菊の花もみんな刈り取られてしまたことを嘆きたい。
けれども風のにおいは。稲刈りの後の田んぼのにおいによく似ていて。
なんとなく懐かしさを感じる。一面の雀色にふっと心が魅かれていく。

そうして春を待つ。つくしん坊やよもぎの葉を見つけては心を和ます。
その日のためにいまがある。そう思うとなにも嘆くことなどなかった。


日中はとくに予定もなく。ただただのんびりと過ごさせてもらった。
ゆるやかに過ぎる時というものは。ほんとうにありがたいものだと思う。
たとえ前世がコマネズミさんでもあっても。スローなダンスを踊るのだ。


体調も嘘のように良くて。あれはいったい何だったのだろうと不思議でならない。
重かった背中が軽い。寝ても覚めても蠢いていた害虫が死に絶えてしまったのか。
とにかくずいぶんと気の流れが良くなった気がする。川が海に流れるように。

この先どんな日もあるのだろうけれど。自ずから濁らない水でいたいものだ。


晩御飯はサチコとふたりでカレーを作る。一緒にお炊事をするのが楽しい。
ふたりとも吉本の芸人さんみたいになる。声を掛け合って笑い転げる夕暮れ。


家族に恵まれ。自然界に恵まれ。もうほんとうに思い残すことはないけれど。

いまが冬なら春にあいたい。それを希望のように願って今日をここに記しておく。



2008年11月21日(金) ねんねんころりよおころりよ。

今朝もやはり冬らしく。山里はすっぽりと霜に覆われていた。
畑の里芋の葉っぱがしょんぼりとうなだれて悲しげに見えたり。
かと思えば枯れた田んぼがキラキラと朝陽に輝いていたりする。

山里には『農家食堂』があり。その一軒の店先にはいつも犬が繋がれていて。
今朝はその姿が見えなかったのが少し気がかりだった。

どんな日もあるのだろう犬にだってきっと。そう頷きながら道を進む。
すると今度は道端に観光バスが停まっていて。運転手さんだけがいて。
長い柄のモップでせっせと窓を拭いている光景に出会ってしまった。

どうしたのだろう?たったひとりでこんな山里に来るなんて変だなって。
首をかしげながら通り過ぎた瞬間。すぐ近くの集会所の庭にお遍路さんが。
それはたくさん居て。みんなでラジオ体操をしているのを見つけたのだった。

気持ち良さそうに背伸びをしている。大きく息を吸って空を仰いでいる。
なんだそうかそういうわけかと納得しながら。その光景が微笑ましくて。

その微笑のまま職場に着くことが出来た。さあ金曜日今日は忙しそうだ。
思った通り朝から来客が絶えなくて。閑古鳥もついに冬眠かと思うほど。

私はほんとうに忙しいのが好きでならない。前世はコマネズミだったかも。
だからきっとそれが懐かしいのだろう。忙しいほど嬉しくてならなくなる。


それなのに明日から三連休をいただく。ふと明日も来ようかなと思った。
けれど。母が「無理しないように」と言ってくれる。ありがたくうなずく。
尽くしきれないことを悔やみながら。これが精一杯なのだと自分を許した。



帰宅して。もはや日課の散歩。あんずが先に歩き出しいつもの道を行く。
お大師堂にお供えしようと和菓子を持って行ったけれど。今日は断念する。
泊まりのお遍路さんが寛いでいる様子が窓から見えた。ひとりの男性だった。
しっかりと閉められている扉を。外から開けるような勇気はなかった。
けれどもあんずは嬉しそう。もっともっととその向こうの道まで歩いた。


夜はいつものバドクラブの日だったけれど。メンバーが誰も来なくて中止。
責任者なんてもう辞めたいと思いながら。まあこんな日もあるだろうと思う。
ひとりで準備していたのをまた片付けて帰ろうとした時。一人だけ来てくれた。
手を合わせて謝る。仕事帰りに駆けつけてくれたのに本当に申し訳なかった。

来週はみんな来てくれたらいいな。私も一緒にはしゃぎたい。いい汗をかきたい。


帰宅してお風呂。ビール。焼酎のお湯割り。バウムクーヘン。また焼酎で夜が更ける。

 
 はやくねむくなれ。ねむれよいこよ。ねんねんころりよおころりよ。







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