| 2008年10月15日(水) |
満月の夜に。呟かせてください。 |
いつもよりすこし早目に帰宅したサチコが声を弾ませては。 お月さまがすごいよめっちゃ綺麗だよっておしえてくれる。
おもてに出て夜空を仰ぐが。お向かいの屋根に隠れて見えず。 堤防の方まで駆け足でいくと。やっとそれが見えたのだった。
おっきくてまんまるなお月さま。 こんな満月を久しぶりにみたような気がする。
しばし夜風に吹かれていると。今夜も和太鼓の音が聴こえてきた。 こっちだけではなくあっちからも。川向の地区も祭りが近いらしい。
満月と太鼓の響き。なんだかとても神秘的であるような感動がある。
今夜はバド仲間のひとりと約束をしていて。一緒に汗を流す予定だった。 けれどもひどく臆病になってしまったのか。夕方キャンセルしてしまう。 からだを動かせば気分も晴れるのだろうに。情けないなとつくづく思う。 大好きなバドが怖くなるなんて。今まで一度だってそんな事はなかった。
思うようにいかない。どうすれば勇気が湧いてきてくれるのだろう・・・。
午前中。仕事の合間に手紙を書いた。走り書きで乱れた文字だったけれど。 お昼までに投函すれば明日着くはずだから。とにかく急いでそれを出した。 メールアドレスも知らない。ながいお付き合いだというのに顔も知らない。
きのう手紙が届いていて。5年ぶりに個展をするという嬉しい報せだった。 詩を書きイラストを描く。彼の作品がわたしはたまらなく好きだったから。
夏の便りにつづく秋の便り。季節ごとにそうしてふれあえることが嬉しい。
12月の個展にはなんとしても行きたい。思い残すことがないくらいに会いたい。
たくさんの縁にめぐまれ。そのなかにはどうしようもなくかなしいことも。 必然のようにあったのだけれど。誰もが愛しく。誰をもかけがえなく思う。
ひととして生まれたのだからひとにあう。それはとても幸せなことだと思う。
| 2008年10月14日(火) |
そうしてなんとかなるらしい |
真夜中に目を覚ますと雨が降っていた。その雨はやまずに。 今日もいちにち雨となる。お隣の秋桜から落ちる雨の雫が。
なんだか涙みたいに見えたけれど。こだわることもせずに。 仕事に出掛けた。長いトンネルを抜けいつもの山道を行く。
するとすぐにふたりづれのお遍路さんに会った。赤と青の。 雨合羽を着ていて肩を寄せ合い歩く姿は。ご夫婦らしくて。 お互いを労わりつつ歩いているように見えた。ほのぼのと。 こころが温かくなるそんな光景。雨よどしゃぶりになるな。 と願いながらふたりを追い越す。峠道の厳しさに負けないで。
仕事は相変わらずで。気持ちばかりがぐるぐるとするばかり。 それが空回りだとわかっているけれど。苛立ちが渦になって。 なかなか納まってはくれない。これは精神力のモンダイだと。 何度だって戒めてきたけれど。ほとほと疲れてしまった本音。
あしたは明日の風が吹くらしい。そうしてなんとかなるらしい。
帰り道。信号待ちをしていたら。いきなりまた例の症状が出る。 いったいどうしたことだろう。じぶんの身体に訊きたいくらいだ。 これくらいのことでといつも思う。大丈夫なんだからそうなれと。
家へ帰り着くとほんとうにほっとする。ワンコは元気かメダカは元気か。 母さんも元気だよと明るい声でそう告げるのが。私の日課のようなもの。
晩御飯はまた野菜炒め。そろそろ焼肉が食いたいなお母さんと彼が言う。 実は私も食べたいよお父さん。今度の土曜日あたりにしようかねと約束。
いまは雨もやみ。かすかに太鼓の音を聴きながらこれを書いている。 地区の秋祭りが近づいているらしい。和太鼓の音がとても好きだった。
どんどこどんどこ打ちやまぬ
おまえの胸も打ってあげよう
やぶけるな響けつよく響けよ
どんどこどんどこ打ってやる
この響き忘れるなよこの音を
信じろよ。さあ胸を張っていけ!
| 2008年10月13日(月) |
生きているっていいね。 |
穏やかに今日も晴れ。月曜日にのんびり出来るのが嬉しくもあり。 そのくせさあ何をしようかなと落ち着かなかったり。けっきょく。 軽く家事をしただけで。あとは自室にこもってばかりの一日だった。
じかんがとてつもなくゆっくりとながれていく。
そのなかにすっぽりと身をなげだしているような。
けれどもつかみどころがなくふたしかなものがあり。
もう知り尽くしたとおもうじぶんでさえ解らなくなる。
それでいいのかもしれない。それが変化なのだとしたら。
とてもいいほうに向かっている。そんな気がするのだった。
夕方近くなり。やっと庭に出てしばし老犬と語り合う。 ながいお昼寝から目覚めた彼女は。気だるい顔をして。 それでも嬉しかったのか。ペロペロと私の指を舐めた。 顔ではなくて指だったせいで。ふとせつなさを感じる。
指先というものはふしぎなものだ。温かさと優しさが。 まっすぐに伝わってくるところらしい。胸が熱くなり。 なんだか目頭まで熱くなってしまう。ありがとうねと。 あたまを撫でながら。互いの老いを慰めあうのだった。
しんどいけど行く?って訊くと。うんちょっとだけと応え。 ふたりとぼとぼと庭を出て。すぐ近くの堤防の道を歩いた。 ぐいぐいと引っ張らずにいて。私と同じ歩調で進んでくれる。
そうしてススキのあいだに咲いた野菊の花をふたりで愛でた。 これって母さんのいちばん好きな色だよ。と話しかけながら。
彼女はくんくんと匂いをかぐ。さわやかな菊のかおりだった。 そうして少しうっとりとした顔で目を細めている姿が可愛い。
川風に吹かれながらまたとぼとぼと帰る。生きているっていいね。
いっぱいいっぱい生きようね。
秋晴れの清々しい空に飛び立つかのように。
あてもなく西へ西へとちいさな旅に出た。
行き当たりばったりというのがたのしい。
道があるからどこかに辿り着くだろうと。
今まで一度も行ったことのない道を進む。
そこは宇和海。その海を渡れば九州だった。
きらきらとした眩しさ。うろこ雲と潮風に。
身も心もすくっとあたらしくなった気がする。
ちいさな旅またいきたいな。うんきっとまた。
| 2008年10月11日(土) |
ゆらゆらがいい。うんこれでいい。 |
昨夜の小雨があがり。その露を吸い込むような陽射しに恵まれた。 植えたばかりのパンジーが。ぷるぷるっとした顔で微笑んでくれる。
早朝ほんの一時間足らずだったけれど。例の川仕事に行ってきた。 川船で進むのがとても心地よい。水には朝陽が宝石のように輝く。 そうしてボラだろうか勢いよく魚が飛び跳ねるのも楽しい光景だった。
帰宅してすぐに近くの地場産市場へ行ってみる。 新鮮な野菜や朝獲れの魚などがありとても重宝している。 シシトウ目当てに行ったけれど今朝はなくて残念だった。 夏野菜はもう終わったのかもしれない。秋茄子は沢山あった。 結局イカを一杯だけ買い。観賞用の唐辛子の苗を一株買った。
しばし庭の花いじり。唐辛子は色とりどりでとても目に鮮やか。 ゼラニウムのそばに植え。しばしうっとりとしながらそれを眺める。 飼い犬が甘えてじゃれついてくるので。少しだけ相手をしてあげた。
とくになにも急くことがない。絵に描いたような平穏だった。 例の整理病も。もうとことんやり尽くしてしまい手持ち無沙汰。 それがかえって落ち着かず。じっとしているのが苦痛でもあった。
ありがたいことに息子くんがやって来る。なんとお布団を提げて。 干し場が狭くて困っていると言い。我が家の物干しにそれを干す。 ついでにシーツも洗ってくれと言うので。喜んで洗う母であった。
お昼は三人でお好み焼きをした。男達は昼間っからビールを飲む。 私は珍しく飲まなかった。飲むとすごくしんどくなりそうだった。
昨夜いつものバド練に行っていたのだけれど。ちょっとハード過ぎたのか。 帰り際に眩暈に襲われ。呼吸が上手く出来ない例の症状がまた出てしまう。 楽しい気持ちがそうして不安に繋がるのが。悔しいくらいに情けなく思う。
しんどくはないのにしんどくなる。そういうのがたまらない・・・。
病は気からっていうけれど。気と身体がちゃんとそぐわなくなった。 身体はとても正直なのだろう。無理なんかしていないのに無理になる。
ああいけない。これは弱音。私らしくないと認めながらこれを書いている。 ゆらゆらしながら不安や不確かなものや。どうしようもないことばかりで。
ここを書き残すわけにはいかない。けれどもこれがありのままだから許そう。
どんな日もあると。いつも口癖のように言っているわたしのことだもの。
明日はどこかに出掛けてみようか。行き当たりばったりでそうしようと思う。
| 2008年10月09日(木) |
さりげない風景のなかに |
朝の窓辺で雀達の声を聴いていた。今日も良い天気だなあと空を仰ぐ。 堤防のススキもずいぶんと立派になった。そうして風を感じられる朝。
ちゅんちゅくちゅんちゅくりん。
雀のように小躍りをしてみたい。
あっけらかんとひょうきんになって。
そうしてたくさんの笑顔にあいたい。
けれどもどうか無理にそうしないでいて。
泣いたカラスがいま笑ったように笑って。
いつもの山道。その峠のてっぺんのあたりに谷川が流れていて。 今朝はそこで自然の水をいただく。サチコがメダカを飼い始めた。 もうふた月くらい経ったけれど。いまでは母のメダカのようになる。
谷を仰ぐとそこは獣道みたいにずっと山の上に繋がっているのがわかる。 森のにおいがする。道路が近くにあっても森に迷い込んだような気になる。 どきどきと胸がふるえるのを抑えながら。冷たい清水をボトルに汲み込む。
怖いけれどその場所がとても好きだった。森深く行ってみたいとふと思った。
仕事は。午後久しぶりに緊迫感が漂う。乗り越えればどっと気疲れを感じた。 母は確実に老いている。頼りにされている身なら尽くせるだけ尽くしたい。 そう思いながらも逃げ出したい自分を感じて。その葛藤に押し潰されそう。
帰り道。遍路宿に向かう二人のお遍路さんにあった。宿への坂道には秋桜。 その花影に白装束が見え隠れしているのが。なんともいえず心が和む光景だった。
どんな日もある。けれどもいつだってそれは救われることができるのだと思う。
そんな光景を見逃してはいけない。それは偶然のようでありながらちゃんと。
そばにいてくれる。道端のさりげない風景のなかにだってそれはいてくれるものだ。
| 2008年10月08日(水) |
穏やかさが綿のように心をつつんでくれる。 |
秋晴れのいちにち。夜明け間近に椋鳥の大群がやって来る。 それは奇声のように叫ぶように鳴き朝の静寂を破るけれど。 電線に夥しく留まっているシルエットが。とても壮観であった。
子供のように彼を呼ぶ。おとうさんはやく来てほらみてごらんと。
もうそんな頃になったのか。感慨深げに呟く声が嬉しくもあった。
夜明けとともに川仕事に出掛ける。早朝の水辺はとても清々しくて。 身も心もすくっとさせてくれるのだった。深呼吸をいっぱいしてみる。
今日は漁場に海苔網を張る作業だった。どうか種が無事に育ちますように。 願いを込めてそれをする。大雨が降りませんように。水が濁りませんように。
帰宅してすぐに山里の職場へ。行こうと思えば間に合う時間だったけれど。 例のサボリ癖が出てしまいとうとうお休みをいただくことにしてしまった。 昨日も午後から休んでいたので。ほんの少し気を咎めつつも寛いでしまう。
ゆっくりと洗濯物を干していたら。お隣のご夫婦が秋桜の庭で戯れていた。 どうやらお互いの写真を撮っているふうで。ついついお邪魔してしまった。
ふたり一緒にと言うとそれは喜んでくれて。肩をよせて微笑あってくれる。 今年の秋桜は最高だねと声をかけながらシャッターを押した。にっこりと。 いつもは怒鳴ってばかりいるご主人も、今日ばかりは満面の笑顔で嬉しい。
和やかな朝のひととき。おかげで穏やかさが綿のように心を包んでくれた。
午後。のんびりと本でも読めば良いものを。また整理したい病のおかげで。 どこかないかとそわそわとしながら。ふっと和室の小引き出しを開けてみる。
古い通帳や領収証などをひっくりかえし。捨てるものがないかと確かめる。 するといちばん底にへばりつくように。なんと一万円札が折りたたんであった。 三枚も。なにこれ?とどうして?と最初はとても信じられなくて途惑ったが。 今年の春に自分がタンス貯金をしていたのをやっと思い出したのだった。
一枚おくれと彼に取られ。残りは今月の生活費の足しにすることになった。 実は正直困っていたところ。これは天からの恵みか。整理病万歳の気持ち。
あれやこれやのおかげで。今日もありがたく暮れ。今は鈴虫の声に心和み。 これを書いている。この穏やかさをそのままに抱いて眠りたいと思っている。
こころは打たれ苛まれていたけれど。その山をやっと越えたようなこの頃。
もうじゅうぶんにじぶんを責めた。あとはぎゅっと抱きしめるだけだと思う。
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