| 2008年10月06日(月) |
わたしのしょうたいを。ゆるしてはくれまいか。 |
朝は肌寒かったけれど。日中は気温が高くなり汗ばむほどだった。 今日もツクツクボウシの声を聴く。不確かさを信じるように耳を澄ます。
こんなことをいってもだれにもわからないだろうけれど。
きょうやっと。じぶんのしょうたいがわかったきがする。
見つけたくてならなかったから。心地よくそれに打たれた。
もうけっして目をはなしはしない。しっかりと世話をする。
気がつけば彼岸花は枯れ。赤黒い布切れのように風に揺れている。 そのかたわらに生い茂った雑草が。ピンク色の花を咲かせていた。 コンペイトウのようなかたちをしたそれは小さく可愛い花だった。
ひとつぶくちにふくんでみたくなる。それは甘いのかもしれない。 こころを咎めつつもそれを無心になって千切ってみたくもあった。 そんな姿を誰にも見られないように。草むらにひそむ虫のように。
そうして叱ってあげたい。それがわたしの過ちのすべてであるように。
すすきの穂。ねこじゃらし。夕陽の落ちる川辺で揺れるものたち。
あなたたちのふところにもぐりこませてくれまいか。
そうしてわたしが素直でいられるよう祈ってくれまいか。
わたしのしょうたいを。撫でながら赦してはくれまいか。
| 2008年10月05日(日) |
そうしてきりりっとおもう。 |
いちにち雨が絶え間なく降り続き夜になった。
窓の外で誰かがずっとシャワーを浴びている。 そんな雨音を聴いていると。ほんの少しだけ。 取り乱してしまいそうになり。鎮めるために。
これを書いている。ゆっくりとまえへいこう。
息をすってはいて。心静かに時と戯れようか。
今日も変わらず。やはりうごきたくてならず。 そんな自分のことが解らなくなってしまった。 けれど。とにかく何かを整理したくてならない。
そうして先日見つけた手紙の入った箱を取出し。 今度は送ってくれた人別に仕分け作業を始めた。 20通もの束になるものもあれば。一枚の葉書も。 そのどれもが懐かしく愛おしい。心のこもった。 あたたかいひとたち。かけがえのないひとたち。
若き20代からこの歳に至るまで。自分ひとりで。 歩んできたのではないのだとつくづくと思った。 こんなふうに支えてくれたひとがいてくれたこと。 私の人生は。たくさんの縁に恵まれていたのだと。
感謝の気持ちでいっぱいになった。ありがたくて。 たとえ今は会うことが叶わずとも。ずっと繋がる。
縁には決して距離などない。胸をはって私は云える。
感極まり涙するかとおもえば。不思議と涙もろくもならず。
とても大切な儀式のように。またその箱をそっとしまった。
そうしてきりりっとおもう。だいじょうぶわたしは生きる。
| 2008年10月04日(土) |
思い出の部屋づくり。 |
くもり日。午後少しだけ青空がみえ始めると。せみが。 生きているよここにいるよと裏の柿の木で鳴いてくれる。
ひとつふたつと早熟な柿の実が。もう色づき始めたころ。 いきつもどりつしながら。わたしの心も少しだけ歩んだ。
ひとところにしがみつこうするからくるしい。
だからといってせなかをおされるとしんどい。
そのための意思であり意志なのではあるまいか。
開店したばかりのお店で食料品の買出しを済ませ。 さあ今日もやろうかなとまた整理整頓に精を出す。 部屋全体が物置化しているかつてのサチコの部屋。
もう弾くこともなくなった電子ピアノや古いCD。 リカちゃん人形もあれば。リカちゃんのタンスも。 鉛筆削りもあれば。色鉛筆もある。三角定規だって。
ここを思い出の部屋にしようと母は決めたのだった。 サチコの歴史部屋みたいにしようと思い心がときめく。
午後それがついに完成して。思わず涙が出そうになる。 部屋の真ん中にぽつんと座って。しばしうっとりとする。
さすがに少し疲れたのか。一気にチカラが抜けてだるくなった。 よろよろと茶の間に行き。彼と一緒にテレビを見ているうちに。 夕方まで眠ってしまう。もう明日は休めよって言ってくれたけど。
たぶんまたうごく。だって整理整頓に目覚めているのだから。 いましかないと思ったりしている。とめないでとめたら駄目。
晩御飯食べて。お風呂入って。ビール飲んで。焼酎飲みながら。 サチコの帰りを待っている。手を引っ張ってでも見せてあげたい。
ほうらここが思い出の部屋だよって。母は自慢したくてならない。
| 2008年10月03日(金) |
神さまは海なのかもしれない |
きょう縁結びの神さまにあった。
神さまはなぜか地下足袋をはいていて。
深い海のような濃紺の作無衣を着ていた。
そうして口ひげが似合う顔は少年だった。
本来なら出雲の国に行かねばならぬころ。
とくべつな任務を果たすかのようにして。
北の国から流氷の妖精を連れて来てくれる。
ちょっと泣き虫だけど笑うとほんのりと光る。
それはそれは目に入れても痛くない程可愛い。
さんにんで輪になってお昼を食べる。神さまは。
鰹のタタキ御膳。妖精はザルうどん。わたしは。
大好きな鶏の唐揚げとおむすびセット。紅葉が。
それぞれの器に添えられてある。今は秋だった。
縁というものは不思議でならず。神さまだって。
結ぼうと努力してそれを探したりはしないのかも。
けれどもそれは川の水がやがて海に繋がるように。
水と水が出逢ってしまうものなのかもしれなかった。
奇跡のような偶然。けれどもそれは必然でもあり得る。
魂をみくびってはいけない。果てしなくそれは旅する。
ひとりの存在がひとりを導く。待っているひとの元へ。
そうして懐かしさが込み上げてくる。それが縁だと思う。
わたしは川 妖精は魚のような貝 神さまは海なのかもしれない。
| 2008年10月02日(木) |
きもちよくわたしはいく。 |
朝の窓辺から見上げた空は雲ひとつなくて。
くうきが空の息のように流れているのだった。
このままどうしようもなくとけてしまいたいとおもう。
そうくうきのように。それを風だと感じられるように。
山里へと向かう道。その脇道を左に折れる道沿いに。 今年も紅い鶏頭の花がたくさん咲いた。炎のように。 空気がいちだんと澄んでいるせいだろう。勢いよく。
それはほんとうに燃えているように見える。はっと息をのむ。 そうしてとくとくと流れる我が身の血を。痛いほどに感じた。
ふあんがるな。おそれるな。呪文のようにそんな声が聴こえる。 今はただ空に向かい精一杯に咲けばよいと。それが訓えてくれる。
日々花にあう。そうして山道を行けば萩の花びらが散り敷かれて。 若き黄色は背高泡立ち草。嫌う人も多いけれど私は嫌いではない。 昨日は気づかなかったそんな花の姿に。むしろ心を弾ませている。
そうして桜紅葉は花と似て散り急ぎ。もう冬支度のようでもあった。 裸木はさびしいけれど。その骨のような姿に朝陽が降り注いでいる。
きもちよく。きもちよくわたしはいく。
わたしの灰汁などほんの些細なことなのにちがいない。
| 2008年10月01日(水) |
まるで夏の忘れ物のようだった。 |
朝のうちの雨はすぐにやみ。ゆっくりと青空がひろがる。 お日様がとてもまぶしくて。それはまるで夏の忘れ物のようだった。
ツクツクボウシが鳴き始める。その声に呼応するようにトンビが鳴く。 仕事の手を動かしながら耳を澄ましていると。空が音を奏でているよう。 つくつくぴぃ。ひょろろんつくぴぃ。それはとても楽しい歌に聴こえた。
もう最期なのかもしれない声だとしても。太陽に見守られているいのち。 同じ空を飛ぶ一羽の鳥にだって。そのつかの間をともに歌う喜びがある。
そうして神無月。暦をめくると一気に秋なのかと思わずにいられない。 なんだかとても急いでいる。もっとゆっくり歩きたくてならないけれど。 いつだって背中を押されているような気がする。その歩を確かめられず。 気がつけばそこにいる。そんなふうに季節が幾度も巡ってくるのだった。
いっぽ。一歩とひとにはよく言うけれど。
じぶんの一歩はとても不確かな歩みだった。
どこまで行けばいいのかまるでわからなくて。
そこがいったいどこなのかさえも知らなかった。
たどり着けばわかるだろうと希望のようにも思う。
暮れていく空をぼんやりと眺めていると。その紅く落ちるものが愛しい。 そうしてそれが輝きながら昇りくる朝が嬉しかった。息をする心いっぱい。
ひとに生まれてよかったとこころからおもう。
ツクヅクホシイとなく日もあるが。ひとだからゆるしてあげたいとおもう。
| 2008年09月30日(火) |
裸ん坊で旅に出てみたくなる。 |
日が暮れるなり雨の音がつよくなってきた。
傘を差して犬小屋に晩御飯を運んだけれど。 彼女はもう寝ていたらしくめんどくさそうに。 顔をあげ。降り込んでくる雨を恨めしそうに。
こんやはもういらないと言って目をつぶった。 そんなこと言わないでと器を犬小屋に押し込む。
いつもと変わらない時間だというのにすっかり夜。 一眠りしたら空腹に気づき平らげてくれるだろう。
台風がまた近づいているけれど。前回と似た進路。 ざわざわと心騒ぐでもなく。今夜も穏やかでいる。
お風呂にながく浸かっていると気が遠くなるほど。 いろんなことがほぐれていくのがわかる。それが。 何なのかじぶんでもよくわからない。消えやしない。 そうして湯船に浮かぶわけでもない。ただ軽くなり。 湯気の中にとろけていくように思う。はぁふぅほぅ。
だからなのか。湯上りはとても新鮮な自分にあえる。 こういうのが好きだった。まるで透明人間のようだ。 ちょっと勇気を出して裸ん坊で旅に出てみたくなる。
飾りたくもない。纏いたくもない。生まれたままで。
泣きたいだけ泣き。笑いたいだけ笑いたい。
そうして誰にも見つけられないでいるけれど。
私には見える。ひとも景色も雨も風だってわかる。
だいじょうぶ。裸ん坊でも風邪なんかひくもんか。
雪にだってあいたい。氷の浮かぶ海にだっていく。
そうして春を見つけ。また夏にだってきっとあえる。
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