| 2008年03月17日(月) |
ああこれが順調でなくて何だろう |
うすぐもり。霞がかった空から柔らかな陽射しがこぼれる。
ぼんやりと想う。何かがすごくふくらんでいたようであり。
その何かが。何なのかわからないまま。しぼむ。しょぼん。
ひとの『気』というものは。天と地のあいだにあるのだと。
いつだったか聞いたことがある。だいじょうぶ。いまある。
ちゃんとある。でもそれをどうやって確かめたらいいのか。
わからない。わかるのは天と地がなければひとは立てない。
踏みしめる地。仰ぐ天。ああこれが順調でなくて何だろう。

気を取り直して。今日の覚書。そうそうその調子がいちばん。
今日は。彼のお誕生日。27歳だった彼が56歳になった。 眼鏡好きだったな。でも眼鏡外した時の顔がもっと良かった。 けど。そんなに大好きでもなかった。好きになろうって思ったっけ。
あと一年で「じょうとう」って言う。寿命を勝手に決めないでほしい。 彼の父親が生きた57年が目標なのだと言う。身勝手も程々にしなさい。
そんなことをふと真面目な顔して言っては。冗談だよって笑いとばす。
さあ。そんなことよりもお祝いをしましょう。焼肉がいいかなお寿司かな。 そしたら。子供等の食べたい物にしろやって言う。自分の誕生日なのにな。
サチコは焼肉が良いと言う。お兄ちゃんも来れたらいいねって。メール。 よかった。今夜は夜勤じゃなかった。仕事が終わり次第来てくれる返事。
やっぱ焼肉にしようって決めかけて。彼の胃の調子が悪いのが気になる。 息子くんに電話して相談したら。「おとうの食べたい物にしよう」って。
おとうは。うん・・俺は寿司のほうがええな。でも子供等が焼肉ならって。 だからお寿司に決定。手作りとかじゃなくてごめんよの『小僧寿し』だった。
頂き物の。京都伏見の純米大吟醸で酔う。なんとも口当たりの良いお酒で。 小さなグラスが空になると。すぐさま向かいから彼が注いでくれるので。 誰が主役やらわからないありさま。おかげでめでたくへろへろになったり。
後片付けをしていたら。流し台まで彼が来て。耳元でこっそりささやく。 「あいつ呼んでやってよかったな」って。一緒に飲めたのが嬉しそうだ。
27歳だった彼は。父親になり。息子と酒を酌み交わすのが楽しみとなった。
あといちねんだなんて。もうそんなこと言わせませんから。
あなたはわたしの仏壇に。毎晩焼酎を祀るくらい長生きをしなさい。
| 2008年03月15日(土) |
お陽さま。いちにちをありがとう。 |
うららかないちにち。たくさんの洗濯物を干す。いい気持ち。
素直なタオル。はにかみ顔の靴下。恥ずかしがり屋のパンツ。
わたしは?わたしはなんだろう。ぶらさがってゆらゆらっと。
仲間になれたらいいな。お陽さまの匂いのする緑のTシャツ。

桜桃っていう木なのかな。サクランボがなる桜が満開になった。 ソメイヨシノとは違って。枝が見えないくらい花が重なっている。
なんとなく近寄っては行けない。そっと少し離れた所から眺める。 そのほうがいい。そのほうが落ち着く。ほっと心が和む気がする。
お彼岸が近くなり。姑さんがお墓参りに行けない事を嘆き始めた。 おんぶしてあげたら行けるのだけど。息子である彼が相手にしない。 姑さんも。もう諦めていて。お前達に任せるから頼んだよって言う。
明日行くことになった。畑の隅に植えてあるシキビの枝を切り準備。 お寺の裏山の墓地。とても見晴らしの良いところでなんとなく好きだ。
いつだって思うのは。自分もここに。遅かれ早かれ必ずここで永眠。 俺が先だからなって。口癖のように彼は言うけど。それはわからない。
わからないことをついつい話す。笑いながら話す。そんな年頃になった。
大相撲を見ながら。早目の夕食。絹ごし豆腐がひんやりと美味しい。
春雨の酢の物とか。お素麺とかもいいねって話す。ちゅるちゅるって。
そうして平穏に一日が暮れる。明日もお陽さまをいっぱいあびたいな。
| 2008年03月13日(木) |
木の芽のきもちで生きたいものだ |
雨の朝。沁みるような雨がそぼ降る。ふと濡れてみるのもいい。
降り止みに風。沖からの風は潮のにおい。俯いてなどいられず。
向かう。なんだか新しい風のなか。芽になれそうでむくむくと。
向かう。その芽にまた雨が降る。恵まれていることに気づけば。
もう求めてなどいられない。木の芽のきもちで生きたいものだ。

今朝。川仕事までの時間に。茶の間でテレビを見ていたら。誰かが。 庭にクルマを乗り入れた気配。よく吠える飼い犬が静かだったから。
もしやって思ったらやはりそうだった。「おはようさん」って言って。 ずっと待っていた息子くんが。やっと来てくれた。母は満面の笑顔だ。
夜勤明けで疲れているふうなのに。なんか足がこっち向いてしもうた。 そう言って。腹減ったけん朝飯食べさせてやって。がってんだあの母。
いそいそと目玉焼き作る。お味噌汁を温めて。納豆やらしそ昆布やら。 ちょうどサチコも起きて来て。兄と妹が仲良く向かい合って朝ごはん。
食べながら仕事の話。春の人事異動で職種が変わるらしい。その事を。 真っ先に報告したかったのだろう。とても嬉しい報告だった。サチコが。 「お兄ちゃん、悪いことばっかじゃないね。いいこともあったね」って。
うん。ほんとうにそうだと母も思う。最悪を過ぎればきっと光にあえる。 転機がきっとおとずれる。こんなにありがたいことはない。がんばって。 与えられた仕事を。これからも精一杯やり遂げて欲しいと願うばかりだ。
四月からは。もう夜勤もなくなる。日曜日もちゃんとお休み出来るらしい。 介護職から事務職へと変わる。気苦労は同じでも随分と楽になる事だろう。
8年間。ほんとによく頑張ったねって。母はすごいほめてあげたいきもち。
「ごちそうさん」また来るわって言って。あっけなく帰って行ったけれど。
我が家に新しい風が吹いた日。この風のありがたさを母は決して忘れない。
きのうよりも。もっと春。信じられないのじゃない。
信じたい春だ。陽射しを浴びながら思った。ここに。
いる。きのうじゃないいまのことを。ぎゅっと想う。
水辺の枯れ葦のなかに鷺がいて。じっと身動きもせず。
水を見ている。さらさらと流れる水に陽の光が眩しい。
あしたのことなど知らない。だけど水は流れつづける。
飛ぼうか行こうかどこに向かって。気の向くままに空。
だって空しかない。鷺のこころに。わたしはなりたい。

寿司飯をひとくち大のおにぎりにして。卵焼きのにぎり寿司にする。 サチコは海苔が良いと言って。ふたり台所でおにぎりの奪い合いに。 早いもん勝ちだと母は寿司職人の勢い。サチコも負けずにがんばる。
おっきめの西洋皿に黄色と黒が寄り添う。つまみ食いする男も一名。 ビールも飲まなきゃいけないし母は忙しい。あおさの天ぷらも作る。
でも失敗。『たにぐち』のとも『いなか』のとも違う。居酒屋さん。 天ぷら上手だなあ。どうしたらあんなにカリっと揚がるんだろうか。
でも。それなりに美味しいとサチコのフォローで。今夜もしゃんと。 夕食を終える。母はほろ酔い。へろへろしながら食器を洗い片付ける。
飼い犬に餌を。ドックフードにお味噌汁のお豆腐を入れてあげたら。 思いのほか喜んで食べてくれる。随分と日が長くなったなって空を。
一番星を見つける。太陽があしたに向かいながら。星を浮かばせて。 その星は。ずっとそこに動かずにいるのだけど。きのうではない日。
アタシハホントウニアシタヲシラナイ。それがきっと順調なことだ。
気の向くままにふわりっと飛びたい。あっちとか向こうとかじゃなく。
ここにいるなって思える『いま』へ。
| 2008年03月10日(月) |
まあるいまあるい風が吹いている |
雨上がりの青空。ぐんぐんと気温があがり春本番の暖かさになる。
春風に会う。心地良くて胸をはる。すってみるはいてみるふうと。
紙風船みたいなこころ。こんな日はほんの少し誰かの手のひらが。
恋しい。ぽんぽんと跳ねてみたい。ほうらほうらと空のほうへと。
その手のひらのなかで夢を重ねてみたい。誰かいませんか?誰か。

今日は。あおさ海苔の初出荷。それを『お嫁入り』と名付けている。 収穫の苦労も忘れる日。箱詰めにしたのをトラックに積み込んで支度。
その山を見上げると。なんともいえない達成感に満たされてしまう。 頑張ったんだなあって思う。しんどかったけど。この門出が嬉しい。
また弱音吐く日もあるだろう。疲れがたまってくたばる日もあるかも。 でも最後までやり遂げようと思う。あと二ヶ月。あと二回のお嫁入り。
そんな今日の川仕事はひと休みで。朝からまた久しぶりの山里の職場。 峠の遍路道や。もう田起こしを済ませた田圃には水が張ってあり驚く。
のどかな空気がいっぱいに満ちている。手押し車の老女が道端に座り。 会釈をするとにっこりと微笑みが返って来る。まあるいまあるい風が。 吹いている。ここほんとに好きだなって思う。まるで故郷のような里。
仕事は。来るたびに山積み。殆どに専務オババのメモがくっ付いている。 PCでする仕事ばかり。伝票処理済み入力のみとかちゃんと書いてある。 おかげではかどる。毎日来ることが出来なくても。本当になんとかなる。
気がつけば苛立つことも。もうない。言い争うこともぶつかることも。 もうなくなった。お給金も要らない。やっと自分なりの親孝行が出来る。
「ありがとう」って今日も言ってもらえて。すごい嬉しい帰り道だった。
「またね。また忘れた頃に来るから」ってカタチだけのタイムカード。
「今日もすっかり忘れてたよ」って。母が愉しそうに笑ってくれた。
そうして。夕陽。やけに目に沁みるなって。いちにちが暮れていった。
| 2008年03月08日(土) |
ほんたらほうけっきょう。きょきょんなほう。 |
春告鳥。うぐいすが盛んに鳴く。なんだか歓喜の声のよう。
がさごそと藪の中にいて。虫たちを追いかけているのかな。
お腹がいっぱいになったら。またのんびりと寛いで。ほう。
ほう。ほけきょ。ほんたらほうけっきょう。きょきょんな。
ほうって。鳴くのかもしれない。穏やかな風に吹かれては。

ここ数日ちょっと変だった体調が。今日はずいぶんと楽になる。 なんだか憑き物がとれたような感じで。一気に軽くなったようだ。
どんな時もあるけれど。気力と体力が一緒に歩めない時って辛い。 思うようにいかないと悔しくもなるし。情けなくてくよくよする。 病院へ行くのも怖い。風邪ではないなら何だろうって不安になる。
でも。しんどい時って誰にだってあるだろうって思って。だらだら。 ぐたぐたしながら過ごした。頑張らなくてもいいんだって思うと楽。
ふうふうって。出来ることだけ精一杯やる。それがいちばんだと思う。
気分良く。午後から買い物に行って。そうだ今夜はカレー作ろうって。 息子君も呼んであげようって思った。あれから一週間が過ぎた頃だし。 ちゃんと食べてるかなあって心配だった。そろそろ声かけてあげたい。
でも。メールするのなんか照れる。どうしてだか胸がドキドキする。 母さんは変だ。アホみたいだ。ほんとマジあほじゃん。なんでやあ。
送信しました。お返事待ってます。ああもうほんとドキドキするし。
返事来ました。即刻来ました。がっ・・「今日はTの結婚式ぜ☆」
忘れてた。仲良しのT君が今日結婚するって聞いていたのに忘れてた。
カレーは明日もありますって返信出来ず。なんか一気に哀愁の母だった。
夕方。カレー煮込みながら早目にビール。らっきょうをつまみ食いする。 カレーお腹いっぱい食べて。別腹でバームクーヘンとドーナツを食べる。
ほんたらほうけっきょう。きょきょんなほう。と母も鳴いてる夜でした。
| 2008年03月05日(水) |
なんだか彼は春みたいになった |
啓蟄。冬ごもりしていた虫たちが土の中から出てくる頃とか。
夕方のニュースで。てんとう虫を見た。菜の花畑と子供たち。
ほのぼのと心が和む。むかしサンバを踊るてんとう虫がいた。
そんな歌を思い出す。軽やかでいられなくても心弾まずとも。
てんとう虫がそっと飛んできて。手のひらに留まってくれたら。
いいな。はっと気づくときって。きっとそんなふうなおとづれ。

夜明け前。なんだか足の先がじんじんと痛いようで目が覚める。 お布団の中で。おいちにおいちにっと足を動かしほぐしてみたが。 どうにも治らず。だんだんと全身がしびれて来たようで不安になる。
「熱じゃないか?」って。とうとう彼も起こしてしまい。体温計を。
風邪の症状はまったくなく。宇宙人だからって自慢していたけれど。 ちょっと熱が出ていた。まさかって思う。どうしてなのよって思う。
でも元気。いつも通りに5時に起床。お味噌汁と卵焼きを作った。 食欲もある。納豆も食べてパワー全開。ほんとうに大丈夫なのに。
今日は寝ていなさいと言われる。「お願いだから・・」って言う。 おまけに。今日言う通りにしないと二度と休ませないぞって言う。
だから仕方なくごろごろ寝ていた。でも気分はそわそわ落ち着かない。 大丈夫なのになあってしつこく思う。病み上がりの彼のほうが心配だ。
ほんとに申し訳ないと思う。でも甘えさせてもらったありがたい一日。 じぶんも甘えても良いくらいになったのかな。すこし成長したのかな。
ずっとずっと厳しいひとだったのに。なんだか彼は春みたいになった。
もしかしたら。ずっと土から出ようとしなかったのが私かもしれない。
|