| 2008年03月03日(月) |
やっぱ私は宇宙人だったんだ |
黄砂。空は確かに晴れているようでぼんやりと霞む景色。
空ってふしぎ。どこまでもつながっているってほんとう。
だけど。時々ここだけかもって不安になる。ちっぽけな。
じぶんがぽつねんといる。その真上だけの空にも思える。
仙人になりたいと。いつだったかあのひとは言ったのだ。
雲にのってどこまでも流れて行きたいと。もしかしたら。
もう行ってしまったのかもしれない。ふっとそう思った。

金曜日からずっと風邪で寝込んでいた彼が。やっと元気になる。 食欲も出てきてほっとする。「水炊きのようなものが食べたい」 って言うので鶏とお魚のすり身で作る。白菜春菊椎茸豆腐うどん。 「うまい、うまい」と喜んでくれる。子供みたいな顔をしながら。
私は自慢だけどあまり風邪をひかない。家族がひいてもうつらない。 金曜の朝も彼が食べ残した卵かけご飯を食べたのに。大丈夫みたい。
「すごいよねあたし」って得意顔。そしたら「おまえはバ・・」って。 言いかけて「バケモノだ」って言い直して。おまけに「宇宙人だ」って。
そっか。やっぱ私は宇宙人だったんだ。可笑しくて大笑い。楽しい夕食。
宇宙人はふと真面目に考える。流れ星にのって地球に落ちてきた日を。 どうして忘れてしまったのだろうと。どこに落ちてどうやってここに。 辿り着くことが出来たのだろう。このひとが私を見つけてくれたのか。
どうしてこのひとなんだろう。このひとじゃないといけなかったのかな。
決まっていたのかな。そうかもしれない。これはとても正常なことで。
わたしは順調に人間になった。ひとっていいな。ひとになれて嬉しい。
| 2008年03月01日(土) |
さあ行かなくちゃ。始まるんだ。もう始まったんだ。 |
弥生。別れの季節でもあるらしい。けれどきっと生まれる。
木の芽や若草や花や蝶や。陽射しをあびてひとも息をする。
春を待つこころをなくしてはならない。来ないわけはない。
誰にだって。どんな冬にだって。光が届く日がきっとある。

きのう。やっと息子君の引越しを終える。大河のほとりに似た。 こじんまりとした住処に。彼の言う自由空間が出来た。嬉しい。 なんだかはしゃいでいる。さあ始めるんだって意気が伝わって。
あれこれ心配ばかりしていた母も。ずいぶん気が楽になったよう。
新居の女手はサチコに任せ。私は二年間住んでいたアパートの掃除。 暮らしていたあとがとてもせつない。小さな染みや床の傷。髪の毛。 ひとつひとつが『ふたり』だった。でもなるようになったのだから。 もう未練を残してはいけない。お風呂場を磨く。台所の流しを磨く。
カーテンを外す。若草色の。私と彼女は好みが本当によく似ていた。 四年前だったろうか。初めて出会った時も他人には思えないくらい。 彼女は私によく似ていた。姿かたちも。ちゃきちゃきしてる性格も。
似ていた。だからなんだって痛感する。だから離れていったのかも。 しれない。ほんとうの娘のように想っていたことが。もしかしたら。 重くて。心苦しいことがたくさんあったのかもしれない。大好きって。
ほんとうはとてもむつかしい。好きだけでは叶わないことだってある。
最後のさいごに玄関の掃除。がらんどうになってしまった部屋を見る。
もうドアを閉めなくてはいけない。ああどうしてこんなに寂しいのか。
「ありがとう」って言って。重いドアを閉めた。涙がつつつって出る。
さあ行かなくちゃ。新居へ行こう!これから新しい暮しが始まるんだ。
| 2008年02月28日(木) |
つくしの坊やの帽子がいいな |
春らしいいちにち。枯野にはつくしの坊やがこんにちは。
のんびりと歩いてみたいものだ。なあんにも思い煩わず。
たとえば嫌なこと。どうしてこんなに気に障るのかなあ。
些細な帽子を被っているのに。その帽子が重くてならず。
こんなもんこんなもんって思っているのに脱げないひと。
そんなひとになってしまう時が。あってしまう時がある。
つくしの坊やの帽子がいいな。あんな帽子が好きなんだ。

でっ。ほんとに些細なことなんだけど。ちょっと愚痴ってたら。 おまえだってそうだろって彼が言う。そういえばそんなことが。 何度かあったなって思い出す。ぜんぜん悪気なんてなかったんだ。
でも。俺は嫌だったぞって言う。グサって来たぞ。むっとしたぞ。
だからそれとおんなじ。自分が誰かに言われてすごい刺さったのを。 自分だって刺したことあるのに。今まで気づかずにいたことだった。
痛みって。むつかしいな。痛みって。自分が痛くなるまでわからない。
言われてすごい落ち込んだこと。一気に自信なくなってくよくよ思った。 そしたら。ものすごい不安になった。いちばん自分が気にしていること。 突きつけられたんだって思った。でもしょうがないほんとのことだもん。
ほんとのことだけど忘れてた。忘れてちょっと有頂天になっていたかも。 だからおしえてくれたのかもしれない。思い出しなさいよって感じで。
それはけっして悪気ではないなあ。むしろありがたいことなんだなあ。
そうそう俺だって思い出したけど。それがどうしたって思ったぞって。
だからすぐにまた忘れたんだって言う。おまえも忘れたら楽だぞって。
言うから。私も忘れた。もう忘れた。ワスレタワスレタの呪文唱えて。
だからこのことはもう一件落着。でも刺したことは忘れてはいけない。
痛かったろう。ごめんね。我慢してくれてほんとにありがとう。
| 2008年02月25日(月) |
ほらほらおいで。こっちへおいで。 |
朝。すこしくつろぐ時間をありがたく。窓を少しあけて。
朝陽が降りそそぎ始めた眩しさを眺める。ちゅちゅんと。
雀がお隣の瓦屋根にいて。ちょんちょんと軽くジャンプ。
その足取りがなんともいえず可愛い。おとなの雀なのか。
小雀なのか知らない。けれどみんな子供みたいな雀たち。
一羽のそばにもう一羽がちょんちょんしてきて寄り添う。
すこし離れてもう一羽が。思案気な顔をして首を傾げる。
みんな仲間。でも遠慮しているよな雰囲気がいじらしい。
ほらほらおいで。こっちへおいで。私もふっと雀の気持。

川仕事を終えたのが午後一時。山里の職場に行こうかなって。 思ったけれど。なんだか気だるくなって。今日もやめておく。
そしたら電話があった。とても大変そうだけど何とかなってる。 大丈夫だからって言うけど。気がかりでならない。行こうかな。 でも無理しなくていいって言うから。じゃあ明日雨なら行くよ。
明日。雨だといいな。降水確率80%ってほんとだったらいいな。
晩御飯。サチコがお休みの日だったから。あれこれ作ってくれる。 と言っても。母が買い物さぼったから。冷凍シューマイ揚げてた。 シューマイの揚げたやつ好きだし。あとフライドポテトも好きだ。
それから。昨夜の残り物。牛すじと辛子こんにゃくを煮たやつと。 それから。昨夜焼き忘れていたブリ。塩焼きにして大根おろしで。
わいわい言いながら三人で食べる。「お兄ちゃんも来ればいいね」 うん来ればいい。呼んであげたらきっと来るだろう。でも呼ばない。
「呼びたいくせに」ってサチコが言うので。「呼ばない」って言う。
ほんの三日が。ひと月くらい長く感じる。これはどうしたことだろう。
突き放そうとしているのかな。それとも彼を応援しているのかな・・。
わからなくなって。なんだかほろほろとしてしまう。哀しいのじゃない。
淋しいのでもない。こたえなんてわからなくてもいいようにも思う。
ただただ。母はせつなくてならない。こどもってどこに向かうのだろう。
| 2008年02月23日(土) |
怯まないこと。揺らがないこと。 |
夜明け前からずっと。ずしんずしんと強い風が吹き荒れる。
ざわざわを通り過ぎる。なにもかも吹っ飛んじゃうような。
威勢のよさ。行っちゃえようって。ほえているような心が。
心地良い。怯まないこと。揺らがないことがすくっと立つ。

でも。今日の川仕事はちょっと怖かった。川が海のようで。 船に乗るのが怖ろしくてならない。しがみつくようにして。 身を屈めていた。ざぶんざぶんって水しぶきがすごくって。 行きはなんとか。帰りの向かい風は。もう恐怖のどん底だ。
私は泳げない。平泳ぎもクロールも出来ない。犬かきだって。 5メートルが精一杯だと思う。だからだから死ぬんだって思う。
ほんとうに生きた心地ではなかった。だけどちゃんと生きている。
よかった。晩御飯もお腹いっぱい食べた。熱燗もビールも飲めた。 お風呂も気持ち良かった。はあああっていっぱい満たされている。
おっし!明日もやってやろうってさっき思ったばかりなんだけど。 明日の仕事は中止になるかもって彼が言う。ナイトクリーム顔に。 べたべたしている時に言うので。鏡の私は。ちょっと腑抜けてて。
明日早朝から。消防団の召集が掛かったのだそうだ。サーファーが。 今日の荒れた海で行方不明になったらしい。一刻を争う事だけれど。 夜はどうしようもない。どこかに泳ぎ着いていてくれることを祈る。
毎年何度かは必ずあること。自分が捜されていることなど知らずに。 泳ぎついたまま。さっさと帰ってしまっていたひともいたくらいだ。
でも。さがす。安否がわかるまでさがし続ける。救ってあげたいって。 どうか生きていてくれって。みんな一生懸命になって捜し続けるんだ。
私は。ふっと口をすべらせてしまった・・・。
「今日みたいな大荒れの日にサーフィンなんて」って。
そしたら彼が言う。「してしまったことはしょうがないだろ」って。
だから。さがすんだと言う。見つけてあげたい一心で彼は行くのだ。
| 2008年02月21日(木) |
どこに旅して来たのだろうか・・。 |
春の陽射し。とろりんとしたくなる。まったりと平らに。
駆けもせず。ころがりもせずにいて。ひとやすみの心地。
けれどなにかが動いている。ちゃんと見ていてあげたい。
どこにいくのか。なぜにいくのか。わからないなにかを。

いつもの川仕事をお休みして。息子君のアパートを訪ねる。 サチコも一緒。そろそろ引越しの準備をしなくてはならない。
独り暮らしには不要な物。数々の食器やらを片付けたりする。 これも要らないあれも要らないと言うので。随分な荷物になる。
きれいさっぱりとしたものだ。なんだかふっと切なくもなった。
お昼。父親の彼がお弁当を買って来てくれた。四人で食べる。 「なんかこういうの久しぶりやね」ってサチコが喜んでいる。
ほんと久しぶり。子供の頃にお花見に行った時とか思い出す。
どんな事があっても。何があっても。家族なんだなあって思った。
夕方。持ち帰った荷物のなかに。古いアルバムを見つけた。 懐かしくなってそのページをひらく。生まれたばかりの頃。 はいはいしているところ。つかまり立ちをしているところ。 そして初めて歩いたとき。たくさんの思い出が胸に熱くて。
私は。こうしてこの子の母にしてもらえたんだなあって思う。
晩御飯も四人で食べる。ビール飲みたいから泊まろうかなって。 食べ終わると「ありがとう」って言う。なんだか照れくさい母。
今は。お風呂入ってサチコの部屋で寛いでいる。我が家にはもう。 彼の部屋というのがない。「日本間にお布団敷いといたよ」って。 さっき声をかけたら。また「ありがとう」って言ってくれたから。
やっぱり母はとても照れてしまった。
一緒に暮らしていた二年前には。ほんとうに当たり前だったことが。
いまは。そうではないという事なのだろうか。ふしぎだなって思う。
「ありがとう」はとても嬉しい。我が子はどこに旅して来たのだろう。
| 2008年02月18日(月) |
生きがいの種。そだてる嬉しさ。 |
きのう。夜明け前から雪。日中も風と一緒に雪が舞った。
きょう。朝の冷たさが嘘のように。ぽかぽかと暖かくなる。
冬と春が。かわりばんこしている。きりりっとひきしまり。
ふわりっとゆるんで。日常がすすも。おわってはじまって。
はじまればおわることが。もうじゅうぶんなくらい満ちた。

昨日は。地区の『厄抜け還暦祝い』の行事があり、お当番になって。 朝から集会所に行く。お昼から宴会があり地区中の人が大勢集まる。 百人以上は居たと思う。寒かったのでお酒を沸かすのに大忙しだった。
一緒にお手伝いをしていた人達と。もういいね。もう帰りたいねって。 ぼやきながら頑張る。毎年の行事。裏方さんの苦労が身に染みて解る。
やっとお開きになり大急ぎで帰宅。今度は我が家で姑さんの喜寿の宴。 もうすでに酔っ払っている親戚の皆が。祝い酒を持って集まってくれた。 床の間にずらりっと日本酒。ビールのケースもある。ちょっとにんまり。
姑さんは。ほんの内々のつもりでいたらしく。感激して涙ぐんでいた。
「おばちゃんの頑張りはすごい!」って従兄弟たちが口々に褒めてくれる。 手先が思うようにかなわない。足だって痛くてたまらない日もあるのに。 毎日まいにち畑仕事に精を出している。ほんとに野菜作りが大好きなのだ。
はたけをたがやしては。生きがいの種をまく。そのたねをそだてる嬉しさ。
いつか終わる。やがて終わる。けれど耕すことをあきらめてはならない。
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