| 2008年02月16日(土) |
そんな光にあいたくて |
北風が強く吹くいちにち。ひゅるひゅると冷たいけれど。
白波のたつ川面には光の粒がまぶしい。踊り子のように。
天使のように。それは空から降るように舞い降りてくる。
あたたかなものたち。優しいものたちの歌声がきこえる。

とうとう。昨日から独りぼっちになってしまった息子くんが。 遊びに来たふりをしながらずっと家にいた。晩御飯とお風呂。
「ありがとう」って言って帰る。母はなんだかフクザツな気持ち。
もうコドモじゃない。子供じゃないって思うけど。やはりこども。
明日は。おばあちゃんの喜寿のお祝いをする。 それが無事に終わってから。すべてを打ち明けることに決めた。 なんぼかショックを受けることだろう。でも。もう始まっている。 過ぎたことを思い煩うことなく。ただただ前へ進むだけだと思う。
あたりがすっかり暗くなった午後6時50分過ぎ。すぐ近所に住む。 甥っ子姪っ子達に声をかけ。堤防の石段を上がる。夜風が冷たい。 四人で空を見上げた。「見えるかなあ・・見えたらいいね」って。
あっあれだっ!って姪っ子が一番に見つけた。動いてるよあれだよ。 早いね。だんだん近くに見えてくる。おっきなお星様みたいだった。
スペースシャトルが見えました。すげぇ〜って甥っ子が喜んでいる。 地球ってやっぱ丸いんだねって。その光は宇宙に吸いこまれるように。 遠く遠くなっていく。あーあってわたしも子供みたいな声をあげた。
光るものって。ふしぎ。光るものってやはりどうしてもまぶしくて。
そんな光にあえただけで。こころがほこほこっとあたたかくなった。
※みんなに見えるといいな。。スペースシャトルを見よう
| 2008年02月14日(木) |
追憶というなの今日という日 |
北風が冷たい一日。立ち向かわず少し俯くのがいい。
そうすると思いがけない緑にあえる。枯れ草のなか。
よもぎ。犬のようにくんくんとしたくなる。草もち。
むくむくっと聞える。土の中から誰かが呼んでいる。
こえ。耳を澄ますとそれが息。その息に手のひらを。
そっとしよう。感じたままにもっと素直に微笑もう。

午後。家中にチーズの匂い。サチコがチーズケーキを焼いていた。 なんと炊飯器のなかにケーキがあるのでびっくり。でもふっくら。 炊きたてのケーキを味見する。熱々のケーキなんて初めてだった。
でも冷ましているうちにだんだんしぼむ。今年も失敗だったよう。 チョコクッキーも。オーブンの中で焦げくさい。あーあーと嘆く。
だけど。その失敗作も愛嬌だと言って。綺麗にラッピングしていた。 若いって可愛いもんだなって母は思う。てへへって笑ってにっこり。
母も。すんごい昔のことだけど。バレンタインの思い出っていうのが。 ちゃんとある。何十年経っても忘れられない。苦いような甘いような。
紙テープに手紙を書いた。何色のテープだったのかは忘れてしまった。 けれど。くるくるしてるのを少しずつほどきながら。せっせと書いた。 途中で破れたら元も子もないから。すごい慎重に心を込めて書いたんだ。
なんて書いたのかな。もう忘れてしまった。思い出せたらいいなあ・・。
やっと最後の芯のところまで書き終わって。やったぁって思ったっけ。 そしてそれを元通りに巻き戻す。綺麗に巻けない。何度もやり直した。
グリコのアーモンドチョコだったかな。自分が好きなのにしてしまう。 放課後に渡そうと思った。でもどうしても渡すことが出来なくって。 とうとう意を決してそのひとの家まで行った。一言も話せず仕舞いで。 玄関で押し付けるように差し出し。逃げるように路地を走って帰った。
三日後ぐらいだったろうか。すごい大変なことが起こってしまったのは。
緊急のPTA会が開かれたらしい。明くる日私は職員室へ呼ばれた。 「コドモが何やってるんだ!コドモのくせに・・コドモのくせに」って。 担任の先生にすごい叱られた。悲しかった。すごい悔しくてたまらない。
好きなのに好きって伝えるのが。どうしていけないことなんだろう。
一生懸命に書いた手紙が。たくさんの父兄の前で晒されたらしい・・。 「こんなもの、こんなもの!」ってそのひとの母親が激怒していたって。 自分の親がその席に欠席していたことが。何よりの救いだとも思った。
でも好きだった。どうしてもそのひとが好きだった。
放課後。体育館でバスケの練習しながら。野球部の練習が見たくて。 たまらない。春には大会があるからきっと応援に行こうって思った。
そして春。思いもかけない悲しくて遣り切れないことが起こる。
彼が転校するのだという。それがすごく遠い。岩手県だって知る。
はりつめたこころ。いまにも破れてしまいそうなこころだった・・。
最後の大会の応援に行く。そのひとが打つ。そのひとが走る。 きらきらとまぶしくてならない。好きなひとってまるで光のようだ。
お引越しの日。初めて言葉をかわした。「手紙ありがとう」って。 言ってくれた。隠していたのをお母さんに見つかったのらしい。
「また手紙書くね」って言って別れる。そうして泣きながら走って。
それが彼に会った最後になった。
それから5年間。岩手と高知を何度か手紙が行き交ったけれど。 私が19歳の時。結婚することになって。それを知らせたとき。
「僕にはもう言葉がなにもありません・・」って葉書が届いた。
「高知大学を受けたけど落ちました・・」って最後に書いてあった。
| 2008年02月12日(火) |
でも椿かもしれない。わたし。 |
くもりのち晴れ。そのくもりは花冷えの頃に似ていて。
満開の梅を見る。はらはらと潔く散れそうにもない花。
その傍らに落ちる椿。なんだか痛い。その音が聞える。
わたしは桜のように散りたいと願う。惜しまれつつも。
潔く散れたらどんなにいいだろう。儚いねって誰もが。
その花びらを受け止めようと。そばにいてそばで見て。
ああ散ったねって惜しんでほしい。花吹雪のさなかで。
でも椿かもしれない。そう思うと。なんだかかなしい。

午前中。姑さんのお供で。喜寿のご祈祷に『延光寺』さんへ行く。 年明けの怪我のせいもあって。歩くのがとても辛そう。でも杖を。 だいじょうぶ。だいじょうぶと。それは力強く踏みしめるように。 石段をあがる。厄払いの大勢の人ごみのなか。なんだか不安だった。
でも。無事にご祈祷をしてもらって。その笑顔にすごくほっとする。 待っているあいだ『奥の院』へ行って来た事を話すと目を輝かせて。 観音さまの話とか。もうこれですべて平穏におさまるのだからって。
清々しいきもち。お供をさせてもらった。きょうは『吉』の日だった。
帰り道。運転する私に助手席から。どうしてもってきかないキモチだと。 言って。お賃をくれた。三千円も。当たり前の事をしたのにいけないと。 つき返してもまた差し出してくる。とうとう根負けして遠慮なく頂いた。
とてもありがたい日だった。それ以上に尽くしていきたいと心から思う。
午後。一週間ぶりだろうか。山里の職場に駆けつける。「こんにちは」 そう言って。タイムカードを押した。専務オババが笑顔で立っている。
案の定。机の上がいっぱいになっていた。ああこういうのが快感だな。 てきぱきとこなす。さあ次は。どんとこいよって感じで仕事が楽しい。
郵便局へ行く。昨日書いた手紙。チョコレートと本と一緒に送る。 そしたら。窓口の女性が綺麗な花の記念記切手を貼ってくれている。 「このほうがいいよね?」って毎年だから。ちゃんと憶えてくれている。
すごい嬉しかった。憶えているのはわたしひとりなんかじゃない。 忘れないでいてくれるって。こんなに嬉しいことはないなあって思う。
「ほーらこれでさいこう」そう言っておっきな封筒を見せてくれた。
この嬉しいの。まっすぐに届け。瀬戸内の海をまっすぐに泳いでいけ。
椿。落ちるまで。あとどれくらいだろう。届かない年。私が落ちたのだ。
| 2008年02月11日(月) |
かたいつぼみのようでやわらかなこころ |
晴れのちくもり。冷たい北風も吹かずぬくぬくのいちにち。
午後。窓辺の机で手紙を書く。便箋三枚とどけ届けと願う。
一方通行だけれど進入禁止ではない。それがこの道の規則。
もう何年もそうしている。ことしもその季節になったのだ。
なにも求めず。なにも失わない。なにも変わらない人の縁。
そんな縁が愛しい。かたいつぼみのようでやわらかなこころ。

手紙を書き終えて。また茶の間の炬燵で猫になる。
彼が。とても暴力的な洋画を見ていた。すごい嫌だなって思う。 男の人ってどうして殴ったり殺したりするのが好きなのだろうか。
ため息をつきながら。うたた寝も出来ずちらちらとテレビを見る。 なんだか大変なことになっているらしい。宇宙人が地球をのっとり。 人間が檻の中に入れられている。そして奴隷みたいに働かされている。
逃げたって同じだ。また狩られてしまうとか言う。闘うしかないって。 宇宙人たちの母星を爆破して粉々にしてしまうんだと作戦を練っている。
ほんとうにこれはたいへんだ。うたた寝している場合ではもうない。
気がつけば手に汗を握るほど夢中になって見ていた。やれ!いけっ! がんばれ。走れ。撃たれるなよ。生きろよ。地球の命を皆で救うんだ。
自ら犠牲になって地球を救ったひと。涙を流しながら自爆していった。
地球では残された命たちが抱き合う。未来がある。希望だってまだある。
はぁ・・よかったなってほっとする。
でも。晩御飯の支度がすごい遅れた。お休みだったサチコが台所で。 ばたばたしている。どうするの?なにするの?ってひとり騒いでいた。
サチコがトンカツを作ってくれる。後は昨夜のカレーでだいじょうぶ。 カラリッと揚がった美味しそうなトンカツ。さあ晩御飯の時間ですよ。
でも。なんということでしょう。炊飯ジャーの中身が空っぽだった。
母。またやってしまった。母。いっつもこんなんだけど。母です。
| 2008年02月09日(土) |
どれくらい海で。どれくらいの川なんだろう。 |
みぞれ降る朝。雪になれそうでなれない雨はとても冷たい。
休もうか休みたいねって言いながら。でも雪じゃないから。
雨合羽を羽織って川仕事に行く。川船の舳先にちょこんと。
ここまできたらもうやるしかない。うんやろうと思う仕事。
海は荒れていても。川の水はどんどん引いていく。春の潮。
ふしぎだ。この水はどこにいくのだろう。海水にまざって。
また帰ってくる。おなじ水なのかな。ちがうのだとしたら。
どれくらい海で。どれくらいの川なんだろうってふと思う。

からだを冷やしてしまったせいか。午後にわかに腹痛が起こる。 正露丸が良いのか胃薬が良いのかわからない。しぶしぶと痛む。
炬燵にすっぽりともぐりこみ。また猫みたいになって寝ていた。 彼がカンフーみたいな映画を見ていて。「アチョー!」ばかり。
とうとう今日も買出しに行けず。ジャージ姿で近くのコンビニ。 おうどんと日本酒を買う。それと大好きな豆大福もちゃんとね。
生卵をのっけて月見うどん。すごい温まる。熱燗もいい感じだ。
『土佐鶴』ってお酒を飲むたびに思い出す。土佐太郎君のこと。 彼は故郷で暮らしているのだろうか。今でも詩を書いているのかな。
酒蔵の息子さんだった記憶。とてもユニークな詩を書くひとだった。
あの頃って。あれこれ口に出して話すことより。言葉がたいせつで。 俺の詩とか私の詩とか。そいうのにとても満たされていたように思う。
なんだかとても遠くなった日々。だけどいつだって心は還っていける。
ひいてひいてまざってかえる。それが海なのか川なのか私は知らない。
| 2008年02月07日(木) |
その新鮮を見つけてあげたい |
メジロの鳴き声がする。その小鳥と語らうひとがいる。
目を細めてそれは嬉しそうに。その優しい声のぬしが。
彼だった。このひとってこんなひとだったんだなあって。
新鮮。ながいこと一緒に暮らしていて。気づかなかった。
もしかしたら知らないことがもっともっとあるのかもしれない。
いつだって遅すぎることはない。その新鮮を見つけてあげたい。
梅の花蜜が好きだというメジロが。人を恐れもせず里を飛び交う。
幾度目の春だろう。指折ることも忘れてしまった。あなたとわたし。

息子君の新居も決まり。月末に引越しをすることになった。 あれこれ雑事もあるけれど。とにかくの一歩にほっとする。
家業の川仕事も順調。まだ始めて一週間なのに。取らぬ狸の皮算用。 今年こそは旅行に行こうとか。クルマ新車にしようとか夢ばかりだ。 でもそれも楽しい。生活のためだと現実ばかりでは疲れてしまいそう。
カラダきついなあって不安だったけど。大好きなバドもちゃんと出来る。 昨夜なんか、気合入れようとリポビタン飲むつもりが。手にウコンの力。 冷蔵庫の前で可笑しくて笑った。最近ボケボケ度が高まっているみたい。
バドミントンはほんとに楽しかった。やるたびに好きだなあっておもう。
今日は旧正月らしくて。晩御飯は『ひっつけ寿司』を作る。 鰹の切り身にお酢をかまして、握り寿司みたいにするのだけど。 握る片っ端つまむひとがいて。握る自分もついつい味見をしたり。
すごい久しぶりにワインも飲んだ。なんだか懐かしい味がするワイン。
そうして食後の別腹にマドレーヌ。ついつい二個も食べてしまった。
お腹がいっぱいになると。やはりそこには幸せが満ちているものだなあ。
満たされたいと求めるばかりでは。なにも満たされないのに似ている。
| 2008年02月05日(火) |
前って。ここからが一歩だから。 |
白い梅と紅い梅がならんで咲いているのが好きだ。
競い合うのでもなく。自慢しあうのでもなく。ただ。
そこで寄り添う。あなたとわたしみたいなそれぞれ。
たがいに散り急がず。凜とした寒さに耐え春を映す。
いま。ひととひとが別れる。男だなんて女だなんて。
何も責めたくはない。ひととしてふたりを尊いと思う。

川仕事から帰宅したら。庭に息子君のクルマが停まっていた。 ほっとする。先日からずっと待っていたけれど。仕事しごとで。 思うように休みが取れず。何の相談も出来ずに今日に至っていた。
ありあわせのおかずで三人で昼食。腹へりへりと言いながら食べる。 「でっ、どうするんだ?」とはもう聞かない。もうなるようになった。
明日は独りで。ワンルームのマンションを捜しに行くことに決まった。 自炊もするし、洗濯もする。お弁当はコンビニで買うから大丈夫だと。
なんだかとても不憫に思う。家に帰ってくれば良いと言ってあげたい。 でも。父も母もそれだけは言うまいと心に決めていた。だから言わない。
こどもだけど。もう子供ではない。もっともっと苦労をするべきだろう。
縁あってともに暮らしてくれたひとを想う。いつも笑顔で明るくて。 ほんとうの娘のように思っていた。「お母さん」って呼んでくれて。 嬉しかった。頼りにしていた。甘えていた。とても大好きだったひと。
ありがとうって言えない。さよならも言えない。それだけを悲しく思う。
「前向きにな」って父が言う。母も言う。前ってここからが一歩だから。
誰も恨まず。誰も憎まず。それ以上にひとを思い遣る気持ちを育てて。 これからの人生を。自分の人生を一歩いっぽ。歩み続けて行って欲しい。
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