ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2008年01月17日(木) あのこも見つけるといいな。ちいさな春。

朝の山道。白い山茶花はもうほとんど散ってしまって。

わずかにひとつふたつ。冷たい空気をものともせずに。

凜とある。ひとつふたつ。花びらは儚い命の生きた証。


颯爽と歩くひとは。赤いリュックを背負ったお遍路さん。

まだとても若い女性。ただひとり歩く。まえへまえへと。

もうすぐ民家が見える頃。きっとほっと息をするだろう。


追い越していく。私はいつだって追い越して行くばかり。

そのことがふっと後ろめたくもある。だけど行くしかない。


民家を過ぎるとまた木々の山道。雀色の田んぼが見えると。

ひとが恋しい。ひとに会いたいと思う。でも誰も見えない。

もう少しもうすこしといつも思う。さっき追い越したこと。

もう忘れている。じぶんだけ急いでいる。いつだってそう。


その枯野のような田んぼにそって。梅の木が植えられている。

はっとして思わずブレーキを踏んだ。ちいさな白いのがある。

もう梅の花が咲いたのだ。昨日も通った道なのに気付かなくて。

だけど今日だからと思う。きのうより一歩進んだのに違いない。


あのこも見つけるといいなって。追い越した若いひとを想った。


それぞれの道に。きっと来る春だから。冬は厳しくあるのだろう。

寒さなければ花は咲かず。ちいさな春はひとに逢いたがって咲く。











2008年01月14日(月) 猫になりたい。猫ならばとおもう。にんげんのこころ。

きょうは猫。とろりんとろりんと炬燵でまあるくなって過ごす。

どんよりな曇り日。どこかで雪が降っている。そんな匂いの空。

ずっと一緒にいる猫の彼氏は。戦争の洋画を飽かずに見ていた。

英語とドイツ語らしい声のなか。猫も時々顔をあげてにゃあと。

興味なさそうな声を出す。痩せ細った捕虜。無残な亡骸。ああ。

見てしまったあとはとても苦しい。いやだにゃあって呟くねこ。

これは実話だからなと彼が言う。目を反らせてはいけないのだ。




ゆうがた。彼は犬と散歩。ほんの5分で帰ってくる。どうして。

数日前から飼い犬の様子がおかしいらしい。いつもの散歩道を。

どうしても行きたがらないと言う。尻込みをして進もうとせず。

おしっこさえしたら家に帰ろうとする。体調が悪いのかなあと。

心配していても。晩御飯はいつも通りにがつがつとよく食べる。

いちど話しをしてみたいとつくづく思う。その訳を知りたいと。

猫になら打ち明けてくれるかもしれない。猫ならばと猫は思う。



さあ。もう猫ごっこはお終い。にんげんって忙しいものだなあ。

お昼の食器はそのままだし。お風呂だって洗ってないんだもん。

すきやきを作る。やたら白菜の多いおうどん入りのすきやきを。

熱燗ちびちびしながら。おうどんばかり競い合うように食べる。

ふたり大相撲を観ながら。朝青龍はどうしても好きになれない。

負けた。というよりやっつけてくれたので嬉しい。手をたたく。

にんげんはどうして驕るのだろう。にんげんは時にみぐるしい。

けれど憎めない。にんげんどうし理解しあうのは難しいけれど。



夜になりいちだんと冷える。わたしはまたふっと猫になりたい。



2008年01月12日(土) ささやかなの。ちいさいの。まんまるいの。やわらかいの。

朝のうち。昨日の忘れものみたいな雨がぽちぽちと濡らす。

仕事をしながら空ばかり見ていた。晴れたらいいなって空。

そしたら少しずつ明るくなる。よしよしその調子だよって。

空。お陽さまのにおいが好き。なにかが生まれてきそうで。

待ってる。そのなにかのことを見つけてあげたくなる。空。


そうしてぽかぽか。春みたいな陽気になる。きっとこれだ。

ちいさいの見つけた。まんまるいの。やわらかいの。空に。






息子君からメールきて。晩飯を食べさせてくれって言う。
ええっ!ってちょっと嬉しい。たまにはそういうの好き。

ハンバーグ作るよって返信する。あいつ好きだもんなって。
そわそわしながら家路を急ぐ。ちょっと有頂天な母だった。

でも思い出す。昨夜サチコと約束したこと。鶏の空揚げを。
食べたいと言って。明日作るよって言ったこと。楽しみに。
仕事がんばっているだろうなって思う。そうじゃなかったら。
がっかりするだろうな。お兄ちゃん優先なのかって怒るかも。

よっし!こうなったらどっちも作ろう。やれば出来るだろう。
大急ぎで買い物をして帰り着く。腕まくりをして頑張る母だ。

居酒屋のカウンターみたいに。おとこふたりが晩酌している。
なんだか懐かしい光景だった。ほのぼのと嬉しくてならない。

出来ました。ハンバーグを盛り付け。空揚げは熱々さあどうぞ。

久しぶりやなあって若い男のほうが言う。なんかしみじみ言う。
おお!うん!ってちょっと老けてる男も言う。照れくさそうに。

元旦に会ったばかりなのに。なんか違う。こういうのが特別だ。


サチコが車庫から駆けてくる足音。空揚げだカラアゲダって音。
テーブルを見るなり歓声をあげる。きゃーって叫ぶ。すごいって。

大げさだけど。我が家にとってはご馳走。いつも手抜きの母だもん。

食べ終わったサチコに訊く。「馬は勝ったろうかね?」

「そりゃあ牛は負けたよ〜」ってサチコがすぐに応えてくれた。


どんな日もあるけれど。こんな日が宝物だなって思う。

ささやかなの。ちいさいの。まんまるいの。やわらかいの。




2008年01月10日(木) 過ぎる。すぎる。どこまでだって。

朝の道。この冬いちばんではないかと思うほどの霜が。

山里をすっぽりと包みこんでいた。峠を越えて最初の。

民家のそばに。いまだ鈴なりの柿の木がある。小粒で。

ちょうど親指と人差し指でつくる輪くらいのおおきさ。

そんな柿色の向こう側。田畑は目を瞠るくらい白くて。

どきどきするくらい白くて。ふっとせつなさを感じた。

あちら側からこちら側に旅してきたようなそんな気持。

引き返せない恋路のような。ここなのだと思う哀しさ。


そうして菜花の道をいく。緑のうえに載せられた黄色。

そのかんむりも霜色になって。静寂に魅せられている。

そっとしておいてあげたい。誰も触れてはいけないと。

思う。語りかけてはいけない沈黙の白だ。息がとまる。


過ぎる。すぎる。どこまでだって私は過ぎて生きたい。






母が私の言うことを素直に聞いてくれない訳が。
今日。なんとなくわかったような気がした。

無理をしながら仕事をしようとする。今日でなくても。
いいことも今日しようとする。苛立ちが伝わってくる。

優しく声をかければかけるほど。逆らう。聞き流している。
頑固だ。とても強情だ。しんどいだろうに。しんどいって。
言って欲しい。帰って寝るからって素直にそうしてほしい。

もしや。彼女は独りでいるのが心細いのではあるまいか。

どんなに体調が優れなくても。ここにいたいのかもしれない。

「今週頑張ったら日、月と連休やね」そう言うと。

一瞬目を輝かせた。「月曜日休み?ありゃほんまや」って。

やっと笑った。「火曜日から本番やね」そう言うと。

ほっとしたように。またにっこりと微笑んでくれた。






2008年01月08日(火) おかあさん。おかあさん。おかあさん。

おぼろがかった朝の太陽が。枯野を照らすようにそこにある。

ひと形のような草は。背高泡立ち草の枯れ果てた姿だけれど。

人が野を彷徨うように。ひとりふたりと寄り添ってたたずむ。

静まった影絵が息をしている。水蒸気の涙がきらきらと光る。

決してみすぼらしくはない。こんな美しい朝にであえた事を。

誇りに思う。枯れていけもっと枯れていい。光の声が聞えた。







明けて八日。昨日から本格的に仕事に取り組む姿勢で。
出勤をしたものの。相棒が来ない。病気だということ。


相棒。実は私を生んでくれた母親でもある。今年70歳。
職場では『専務オババ』と呼んでいる。ハハデハナイヨ。
いまだ老眼鏡の世話にもならず。事務は何だって出来る。
おまけに整備士免許も持っているから驚き。すごい女性。

優しい時はめったになくて。いつも厳しい。言葉も荒い。
だけど。メダカを飼っている。我が子のように可愛がる。


オババがいない。なんかほっとする事務所。気が抜ける。
昨日から仕事が手につかない。ついついおさぼりモード。
一人でも忙しさを感じない。むしろ手際よくこなせるよう。

だけど。母親なんだなって思う。病気って風邪なのかな・・。
ちょっと心配にもなる。お見舞いに行こうかと思ったけど。
家を知らない。数年前に引っ越してから行ったことがない。

ちょっと愕然とする。こんな母娘がいてもいいのだろうかと。

お昼休みに携帯に電話があった。病院で胃カメラをのんだって。
急性の胃潰瘍だということ。熱もあり食事も喉を通らないって。

ああ。お母さん・・って思う。

おかあさん。おかあさん。おかあさん。今日はずっと想った日。

だいじょうぶ。寝てたら治ると。お母さんは言った・・。



2008年01月06日(日) あっぷっぷのわたし独り

ひとりごと。朝からずっとひとりごとの日曜日。

あっまた言ってるって思う。じぶんが可笑しい。

お昼。ラーメン食べようかな。うん美味いなあ。

夕方。ビール飲もうかな。はあこれも美味いな。

よっこらしょって言って。ちょっとトイレって。

言って。笑点を見ながら。チキンナゲット齧る。

ああなんか陽がながくなったなって言いながら。

飼い犬に餌をあげに行く。たんとおたべよって。

ひとりのテーブルで手巻き寿司をふたつ食べる。

お茶代わりに焼酎を飲む。はあ幸せって言って。

明日の朝のお米をとぐ。タイマーよし!とかも。

言って。さあお風呂入ろうかなって入浴剤とか。

やっぱラベンダーはえいなあってお湯につかる。


ひとりぼっちもいいもんだなってつくづく思う。


なのに。サチコ今日は何時まで仕事なんだろう。

彼は9時には帰るかなって思う。し〜んとした。

部屋の鏡のまえで。栄養クリーム顔に塗りつつ。


にらめっこしてみる。あっぷっぷのわたし独り。



2008年01月05日(土) 陽だまりの彼女

明けて五日。ゆっくりがいいと思うだけおもっては。
とんとんととんと日々が。自分より先を歩いている。

うしろから見ていると。やはりついていくしかなくて。
立ち止まってみると。置いてきぼりにされそうになる。

どこに行くのだろう。せめて口笛の似合うような道なら。
スキップしながら行きたいなって思う。らんらんらんと。



昼間。春みたいに暖かくなって。飼い犬が壁にもたれて。
とろりんとした目でうたた寝をしていた。アンちゃんって。
その名を呼ぶと。起きてるよ寝てないよって顔をしながら。

遊んでくれるのかなって期待しているのがわかる。ふふふ。
寝惚けたようなその顔が可愛い。でも遊んではあげなかった。

なあんだつまらないなの顔で。また陽だまりさんと仲良し。
そこだけ時間が止まっているみたいに。彼女はなあんにも。
思い煩うこともなさそうだ。鎖のことなんか気にもしない。

その白くなったまつげを見ながら。老いることを少し思う。

走れるだけ走らせてあげたい。鎖をはずして野を駆けさせて。
あげたい。全速力で海まで行けるかもしれないな。いまなら。


けれど。彼女は何も言えない。文句ひとつ言えない。願いが。
きっとあるのだろうにと思う。だけど頭を撫でてもやらなくて。


そこにいるねって確かめるように。陽だまりの彼女を見ていた。



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