2009年07月27日(月)...惰性

 腕が痛い。不自然に曲げられた肘と手首に体重が掛かって、フローリングの床に叩き付けられた背中がひりひりする。捩じ込まれた科学の所為でざらつく舌と喉元がひゅうひゅうと音をたてた。不快を味わうよりも面倒が先に立って、もう、如何でも良い。

2009年07月23日(木)...夏ばて

 鳩尾、五臓六腑に染み渡る痛みが、食欲を削いで、気力を奪ってゆく。痛い、痛い、痛い、そう繰り返しても、ただ宛ての無い悲鳴が地面に墜落するだけ。

2009年07月22日(水)...鈍痛

 酷くだるい。数日前からの腹部の痛みが全身を麻痺させ、重く疼く臓物が何かを訴えている。

2009年07月15日(水)...無限後退

 眠たい、という言葉さえ有耶無耶で、酷く苛々する。何処にゆけば安臥出来るのだろうか、其ればかりが思考をぐるぐると廻って、沸々と煮立つ腸が臨界を訴えていた。
 本当は全部、如何でも良い。ただ、安逸出来る場所で、微睡みながら丸くなって居たい。叶わぬならもう、要らない。

2009年07月09日(木)...着信拒否

 ずぶずぶと沈みゆく感覚さえ、最早、気持ち良く思えた。今直ぐ、そんな焦燥は酷く昔に消え果て、後は、如何にでも為れ、と、如何でも良い、が交錯したデスペレートがひんやりと鳩尾を冷やしている。
 鳴声を奪った機械は、床の上でちかちかと点滅するだけの鉄屑に変わった。呼び出し時間00秒、は自らの手で殺した証で、望む時には痕跡ひとつ残さなかった其れは今になって、一夜に履歴を埋め尽くす。皮肉、だと思った。
 安堵と悄愴に塗れた思考が決意を鈍らせる前に、科学を噛み砕く。揺ら揺らとした視界を引き剥がす様に枕に押し付けた頬に、エアコンの風が涼しい。
 もう、いい。何も、要らない。

2009年07月07日(火)...落胆

 嗚呼、未だ、生きて居る。

2009年07月05日(日)...自己顕示

 狭い其処に押込められた欲望が、誂うよりも強引なそそりを持って興奮を高めていた。奉仕を謳う其れの跪く様を眺め、薄っすらと覗く黒の、或いは、上目遣いに、否応無しに承諾を取り上げられる。
 テーブルの上に置かれたスカートの裾が、縁に擦り付く太股が、眼の前で揺ら揺らと媚びる様に漠然と思ひ頽る。
 言葉ひとつ、文字ひとつ、或る種の期待を孕んだ総ては、今日の落胆に等しく卑猥さを含んでいるのだろう。其れでも。
 池に生い茂る蓮の様に、ただ、現象から派生する美しさを、留めて置きたいと願う。呼吸を、溜息を零す様に認めたものが、結果的に美を孕むように。

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