2005年11月24日(木)...綺麗だった

 ビルの隙間から差す暁光に、ただ立ち尽くす。電光掲示板に泳ぐテロップとスターバックスのお決まりの挨拶、クリスマスソングと薄らと点灯を続けるツリー。
 眼の前の喫煙所にはスーツ姿が群がり、煙を吐き出しては離れてゆく。久々の空気は優しくマルボロの香りがして、1%の義務感をずるずると溶かした。

 生命力、エネルギィ、そんな淡く白く立ち上る美しさの様なものが通時的、共時的世界の其処此処に散りばめられていて、イルミネーションを思う。

2005年11月23日(水)...登校拒否

 必死に手繰り寄せるのが急に馬鹿らしく思えて、世界との糸を手放してみた。登るのを止めてただ見上げるだけになった生活は優雅で安穏で、其れでいて酷い罪悪感が常に張り付いている。
 ベッドに寝転がったままDSを弄って、もう3日が過ぎた。此の侭、と明日こそ、が鬩ぎ合ってずるずると身体を沈めてゆく。

2005年11月18日(金)...追い詰められる

 世界から逃げ落ちて仕舞いたい。循環の中で自由がどんどん閉塞されてゆく。

2005年11月17日(木)...初冬

 息が白くて、通りで寒い筈だと思った。眼に見えて口を出たり入ったりする靄が、総ての生命現象に直結している気がして、少しだけ気が滅入る。

2005年11月14日(月)...同化する

 内臓から感情が引き摺り出される気がした。

2005年11月12日(土)...ステージ

 眩しさと響く低音に心臓が揺れる。見上げる世界はエネルギィに溢れていて、凛とした横顔が遠く見えた。

2005年11月10日(木)...通夜

 鳴り響くクラクションが、叫びの様な気がした。幼さを拾い上げてくれる宛てがじわじわと歪んで、パンドラの最後の煌きが消える。植え込みの向こう側の黒い柵が、その発車と共に少し揺らいだのが解った。
 しゃがみ込んだまま息を詰めて凝視していて、立ち上がった時に太腿を伝う水滴で初めて、制服の裾が煙草の吸殻に淀んだ水溜りに浸されていたことに気付く。生温い気持ち悪さが脳を直撃して、口に溜まった吐瀉物を飲み込むことも出来ずに排水溝に吐き出した。
 ぼんやり発光する青色の看板に吸い込まれるように立ち寄ったローソンは酷く眩しくて、聳え立つペットボトルに戸惑う。レジで差し出したポカリスエットの甘さが喉を伝って、当たり前のことが当たり前にある倖せを思った。

2005年11月08日(火)...たゆたう

 疲れた。ただただ、それだけ。

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