カイワレ
誰かと誰かの会話です。

2008年11月19日(水) メガネ

「君、いい眼鏡をしているね」
「あ、そーっすか。ありがとうございま……あっ!なにすんですか!返してください!!」
「まぁまぁ。よく見えるようにしてあげるから……。えいっ!」
「わっ!あああ、レンズが……」
「これはまた見事に傷だらけだね。ほら、かけてごらんよ」
「ふざけないでくださいよ!どーすんすか、これ!」
「前よりよく見えるようになったろう。なったはずなんだよ」



2008年11月13日(木)

「すべての家の前には畑がある」
「本当かよ。マンションでも?」
「……お前ってつまらないよな。前からそう思ってた」
「ひどいなぁ、ちょっと尋ねただけなのに」
「まあな。でも本当のことだぜ、畑のこと」



2008年11月12日(水) ソマルちゃん

「日々たくさんのものに染まっていく」
「ほうっておくと色と色がまじりあってしまうから、毎日洗濯が大変だよ」
「それぞれの色がうまく散らばってくれるといいんだけれどな」
「なかなかそういうわけにもいかないよね」



2008年11月11日(火) 食べる

「こないだ喫茶店でスパゲティを食べてる女がいてさ。なんとはなしにジッと見てたの」
「気持ち悪いやつだな」
「そしたら気づいたのよ。『食べる』ってのはおもしろいよね。スパゲティをフォークに巻きつけては口に運ぶ、巻きつけては運ぶ、巻きつけては運ぶ、のくり返し。同じ動作を正確に何度も何度もくり返すの。だんだんそういう機械なんじゃないかと思えてきてね」
「ははぁ」
「おれは思わず食べてたドリアを噴き出しそうになったよ」
「つまりおれたちは機械みたいなものに恋をするってわけだ」
「いやぁ、それはどうかな。むしろ、やっぱり機械じゃなかったってことで恋をするんじゃないか?」



2008年11月10日(月) 怠慢

「他人を信じるなんて、ただの怠慢じゃないか!」
「ものは言いようだよ。他人を信じないのも、怠慢といえば怠慢だぜ」
「ふん、くだらない……。そんなの子供の言葉遊びみたいなもんだ」



2008年11月07日(金) こそあど

「そうなの?」
「うん、どうやらそうらしい」
「参ったなぁ。それじゃあこれ、もう使い物にならないよ」
「どうするよ?」
「わからん……。あいつならどうにかできるかもしれないけど」
「どうだろうね」
「でも、そう考えるしかないだろ」
「うーん。……そっちにあるの使っちゃダメなの?」
「あれはダメだよ。一度ばらしちゃったらもうどっちがどっちかわからなくなった」
「そうか。じゃ、やっぱりあいつに一度当たってみるか」
「それしかないね。あいつ今どこにいるんだろ」
「それがドイツなんだ」
「うへえ」



2008年11月06日(木) 恋人

「好きです。愛してます」
「言いなおした」
「言いなおすよ。正確にはそう思っているんだから」
「へぇ」
「へぇ、ってどういうことだよ」
「へぇ、ってこと」
「何言ってるのか全然わからない」
「私も好き。愛してます。ってこと」



2008年11月05日(水) 道具

「ねぇ、ほら。見てよ」
「なんだい、これ」
「さあ……。さっき例の雑貨屋で買ってみたんだけど」
「妙な形をしているね。丸いし四角い。初めて見たよ」
「僕もさ。何に使うんだろう……」


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