舌の色はピンク
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2007年10月31日(水) 続・大阪レポ

おおよそ興味ある場所もまわりきった頃
大阪でダイニングバーを営んでいる昔の知人のもとを訪ね
地元住民が薦める名所を訊いた。

「娼婦街があんねん。おもろいで」

結論から言うとすこぶる面白かった。
あれは文化遺産。
ありふれた商店街の裏に位置する区域に
大正を思わせる長屋が立ち並び
100件以上の店がひしめいている街。
一般的にイメージする風俗街とはかけ離れていて
客の呼び込みは全くなく、
そもそも男性店員の姿がどの店にも見えない。
一番面白かったのは、100件以上ある店が
おしなべて同じ店構えをしていることだった。
開け放たれた玄関に、大げさなライトで照らされた美女が座り込んでいる姿、
そして美女の横には老婆。
老婆は店の外まで出て呼び込みすることは絶対ないのだが
座布団の上から必死に
「にいちゃ、にいちゃ寄っててやー いいコやで にいちゃー」
と懇願する。
このセリフも微差はあれど、ほぼどの店でも変わらない。
また、料金すら統一されているようだった。
つまり100件が100件を、さして競合店として見なさず、
整然と秩序を守っているのだ。

僕はあんまり面白くて2時間近く歩いてしまい
傍から見ると完全に「性欲を持て余している若い男(しかも優柔不断)」だった。
最終的には精神的に疲れて街を去った。
歩いていると、なんというか笑ってしまうくらい悲しくなってくるのだ。
若い女を引き立てる老婆のそのコントラストや、
同じ女でありながら女を売る老婆の境涯、
また過去やはり娼婦として働いていたかもしれない老婆の生い立ちへの邪推、
つまるところ老婆……が哀愁の象徴で。


あ、と、風俗にお世話になってはいない。
べつになってたところで何の問題もないけれど。


2007年10月30日(火) 大阪レポ

大阪一人旅から帰ってきた。
うまいこと有休とれて
丸四日自由に動けてなかなか濃かった。

僕はまったくスケジュールを立てぬままに
大阪の地を踏んでしまったため
まずどこに行くかが問題だった。
いわゆる観光名所は
観光客が求める名所像を提供するために
街がいわば化粧をしているけれど、
僕は大阪のすっぴんが見たかった。
どこに行けば全く気取ってない大阪人が見れるのか。
僕は大阪市役所に向かった。
大阪市役所こそ大阪市民以外にはまず用のない場所だ。
市民相談室を意味ありげに通り過ぎたり
市長と接近したりした。

市役所を出てからは
宮本輝の「泥の河」のモデルになった土佐堀川に沿って歩いた。
すると、バラの小径なる、なんとも心惹かれるスポットがあった。
何十種類のバラがいろどる小径。道行くカップルも満足そうだ。
しかしバラの数が多いだけに、咲き誇るものに反して枯れ萎んでいるものもある。
中でも最も無残に枯れ萎え散り色あせていたバラのインパクトは強烈で、
「シンパシー」というネーミングが哀れさに拍車をかけていた。
まったく共感したくない。


2007年10月21日(日) お買い物

いつも買い物には一人でいく。
のに、ちょっと気まぐれて人を誘ってみたら
案の定しっぱいした。
服を買いに行ったというに、連れの反感まで買ってしまったわけですね!
……。

僕は自由気ままに動くため
「たぶんつまんないけど。」
と相手にも伝えてて
それは乗り越えたものの
解散際に悪魔が潜んでいた。
つまり、買い物さえすれば目的は果たしたのだから
今日のタスク終了、解散!
みたいに考えていた僕と、
いやせっかく代官山来てるんだから…
といった考えで解散を渋る連れとの温度差が
僕に一人の魅力を再認識させた。
次回はどうするかな。


2007年10月19日(金) シャイニング

ちょっと大阪に行きたくなったので
手はずを整えた。
一人で自由に。あんまり情報調べたくはない。
とはいえ地図くらいは欲しいし、
いわゆる観光名所を避けるために
逆に情報誌が必要じゃないかと策を講じて
本屋でまっぷるを買ったとき
大阪行くのが店員にバレバレなのが恥ずかしかった。
(なに大阪行こうたくらんでまんねん…)
(ウソやんまっぷるまで買うとるでしかし)
だとかゆう心の声が聞こえてもうホント恥ずかしい。


あとオムライス作ろう!
といきりたって
スーパーでデミグラスソースやマッシュルームなど
「1ランク上の家庭のオムライスの定番」的な材料を
一揃いカゴに詰めてレジに向かったときも
(うわ。オムライス作ろう!といきりたって
スーパーでデミグラスソースやマッシュルーム買おうとしてるよコイツ
「1ランク上の家庭のオムライス」目指してるよコイツていうかバレバレですから
しかもそれ定番ですから)
程度には見下されてそうで顔が真っ赤になった。
まったく恥ずかしい。


2007年10月17日(水) 会話

「お昼なに食べよっか」
「お肉食べたいなー」
「いいね! 肉はなにが好き?」
「豚肉かなー? 脂身とか美味しい」
「えー 口の中気持ちわるくなるじゃん。鳥肉の方がいいよ」
「ウワッうちの彼氏と同じ! うちの彼氏も鳥肉好きなのね」
「うんうん」
「いっつも鳥肉ばっかり食べてんの…。なんていうんだろう、鳥…鳥…鳥フェチ?」

(20071017/OL風通行人×OL風通行人/神保町)


2007年10月14日(日) サボテンのトゲでつくったイヤリングあげる

江ノ島水族館に行ってきた。

江ノ島駅に着くやいなや
公道で暴走族がパオンパオンとバイクを轟かせ
騒音で迎えてくれる。
なに、今どき暴走族とかいって。
こっちは水族を見に来たっていうのに。


江ノ島水族館には
深海魚コーナーがあって
まぁまぁよろしかった。
深海魚は昔から好きだ。
彼らのデザインひとつとっても、
例えば自分が造物主だったとして
決してあぁいったデザインは発想できないだろうし、
彼らに対しては楽しい悔しさを感じる。

ほか、サメやクラゲやアザラシに見入ってみたり、
ペンギン数十匹がいる区画へ餌をやりにきた中年館員ながめて
「人間でけぇ!」と叫んだりした。

しかし何といってもイルカショーだ。
通りかかりに催されてたのでちょいと覗いてみるだけのつもりだったのが、
「わぁ!」「スゴーイ!」
など
バッチシのリアクションしてしま、った!
この僕が!

まさかそっちタイプの人間と思ってなかったため
この衝撃は思いのほか大きく、
ショーに拍手している自分が
果たして本当に現実世界の自分なのか疑……いつつも「スゴーイ!」
パチパチパチ!
なに俺!
正気!?


……いろいろ楽しめたと思う。
イルカの存在は厄介だな。自我同一性が揺れる。


2007年10月12日(金) 会話

「あ、痛たたたた…」
「なに、どしたの?」
「もー……。お母さん腰痛くて」
「あぁそう。なにかあったの?」
「うーん。昨日踊ったフリしただけなんだけどねー……」
「へー」
「あー痛いわーもう」
「……」
「……」
「……フリ?」

(20071012/れどれ×実母/実家)


2007年10月06日(土) 魂胆

引越しセンター数社から
一括相見積もりをお願いしたけっか
メールがやってくる。

やつらのやり口はあさましく
一日二日置いとくと
「昨日言い忘れていたのですが!」
「あなたに怒られることを承知で、正直に事実を伝えます!」
など一通目の見積もり連絡では触れなかったサービスを
新たに提示する物言いでお得感を煽るメールがやってくる。

さらに放っておくと
「弊社では、他社と比べても圧倒的なサービス力の差をみせつけられるのに、
○○様からご連絡いただけないのは非常に残念に思っております……」
という
傲慢なのか卑屈なのかよくわからないメールがやってくる。

そして5日が経った。
もうメールはやってこない。


2007年10月04日(木) 象徴的

「内弁慶」は
横柄、強者のシンボルとして
人物像が成立している弁慶を採用した点に
この語句の発信者へのセンスを感じる。

別の歴史上の人物ならどうか。
何かしら象徴的な性質を備えているならば
応用性が見出せるのではないか。

内孔明ならどうか。
家では策士。あまり役に立たない。
内西郷(隆盛)。
家では太ってる! いわゆる着やせだ。
内ザビエル。
なんてことはない、ただのかつら。
内ガンジー。
内弁慶の逆。DVから最も遠いが普段アウトロー。
内シャジャルッドゥッル。
もはやわけがわからない。

新語創出は難しい。


2007年10月01日(月) 境界線

僕のパソコンでは
「やろう」と打っても
ひとつの語句として認識されず
「野朗」と変換される。
しかし
「やろうふざけるな」だと
「野郎ふざけるな」にちゃんと一発変換される。
買ったときから。

あとパソコンの変換機能(うちならIME)って
お堅いから
携帯で文字入力するときのそれと違って
世間的に認知されていても
社会的に認められてない語の並びは
一つの語句として読んでくれない

と、思っていた。
さっきまでは。

「まぞく」が一発で「魔族」に変換されることにきづいたのだ。
驚倒した。
アリなんか。
魔族の存在を認めるんか。

僕の基準ではパソコンの一発変換基準は
「NHKでニュースキャスターが扱える語句」だったのに
ニュースキャスター「魔族」言うんか。
ショッキングなできごとだ。

「ドラえもん」の一発変換がギリギリのラインだと思う。


れどれ |MAIL