カゼノトオリミチ
もくじ過去未来


2012年02月24日(金) 春の洗濯




スイッチをおしたら
ぐるぐる 頭のうずがまわる

そとは 春の嵐
まって もう少しだけ
そうしたら
頭の中の洗濯も 終わるはず

ピーイ ピーイ

あれはヒヨドリ
それとも 洗濯機の
終わりを知らせる音

頭のなかの洗濯機
もう 入りません

時系列はぐちゃぐちゃ
予期せぬもの
予期していたもの
どれもみな 一緒くたにして

まわるまわる

春の予感が
ココロに悪さ仕掛けるのよと
勝手なことばかり

生暖かい風の吹く
不安な朝のせいにして



2012年02月17日(金) ちいさな闇が




気づけば部屋のすみっこに
ちいさな ゆうぐれ 
生まれている

窓の外にも 薄暮
空にじんわり
薄オレンジが染みわたる

明かりをつけたら
消えてしまうね

床に
だまって広がる薄暮に
のみこまれたら

ココロ 持って行かれそう

春浅い 冷たい風が
甘く 鼻の先で 
ふるえるけれど

いまは いらないの
明かり つけるね

カァカァ カラス

生まれたての ちいさな闇と
やすらぎの ゆうぐれから

少し 距離をおかないと
春は ココロに 容赦ナシだから





2012年02月15日(水) 春風




春風だ
これはたぶんきっと

頬がそう言うし
肌がそう言うし

ココロが 五感がそう言う

自転車をこぐ足が
急に軽くなり

少し目線も上向きに
うす灰色の 空のほうへと

ああ シアワセだなぁと思う

こんなことが
でも いまこの瞬間は
そう シアワセだ

この春はじめての 春風を
感じて その瞬間は

自分を縛り付けるすべての鎖が

いともやわらかに
ふり払われた

ヒトのココロは

なんていいかげんで
あいまいなんだろう




2012年02月09日(木) 戯言

この肩に乗っかった
大きな球を渡したい

誰かに
渡してしまいたい

夜ごとにたまった
ツボの中のつぶやきを

ぜーんぶ流して
スッキリしたい

でもでもね ダメ

その球 受け取ってくれたヒト
今度はそのヒト

重くてツライでしょう

ツボも タメイキも 
もちろん 球も入るだけの

穴を掘って埋めるしかない

この大きな荷物
背負えない

この寒さをつつむ
大きな毛布 持っていない

それは自分の秤を
使ったのでしょ
だからでしょ

よくよく考えてごらん

世の中の秤を使ったら
あなたの悩みなど
たいした荷物ではない

ひとり
ツラそうな顔しないで

頭を冷やしなさい




2012年02月07日(火) から




2月の甘い雨が降る
氷の解けた土の中で
まるく眠る虫のように
フトンの中で膝を抱える

幾重にも包まれた
肥えた土があたたまるまで
何の夢を見てるのだろう?

ビオラの花を植えようと
掘り返した土の中
眠りこけた幼虫を
そのままマンホールの穴へ
落としたのは

まるく眠る姿は
似ていても
ワタシの中身はからっぽだから

それでもいつか
マンホールの深い底から
やがて
蛾となり蝶となり
丸く切り取った空を目指し

虫は羽ばたき
飛び立つだろう

知らんふりして
ワタシは眠る

ごめんね
幾重にも 毛布をかぶる
空っぽのお腹で
後悔の音が
カランと鳴る







2012年02月03日(金) ハーモニー




どうして どうして
ぴいぴい ぴいぴい

なんで なんで
ぴーつつ ぴーつつ

ワタシの声と
アンテナの上のトリの声が

いっしょになって

節分の西の空へ 流れてゆく

ぼろぼろ ぼろぼろ タメイキと
ぽろろん
やさしいピアノの音が

いっしょになって

わずかなひだまりに
水仙の香り 呼び覚ます

春浅い頃のハーモニー

節分から 立春へと

空気の粒は きらめきながら
西へと 流れてゆく




natu