カゼノトオリミチ
もくじ過去未来


2010年08月30日(月) 遠くから届いた便り




夏の終わりの

町並みは 寂しげで

夕暮れには

ラベンダ色の

ため息をつく



夾竹桃の咲く庭先に

届いた便り

「おいでよ」



「あったでしょ

そうその背中の 羽根を

久しぶりに 広げてみてよ」



あぁ、

ふるるん 背中をゆすれば

誘われるままうす紫の

風に飛び立つ



便りをありがとう

片手ににぎりしめてる



秋のニオイをするほうへ

あの雲のもっと向こうへ










2010年08月22日(日) 夏の終わりに




目覚めて風を感じる

相変わらずの四角い窓には

青い空に強い日差し



地虫がチチチと鳴いている

秋の知らせを奏でている

風の色も

どこだか透明度を増して

気づけば

繭の糸が やさしく

ワタシを包みはじめる

気づかぬように そっと



身動きとれずに

また空を見る

どこまでも青い空に

ふわりと浮かぶ夢を見る



地虫はチチチとささやくように

ふたたびの眠りを誘う

ひっそりと

季節を感じて 目を閉じる

空を飛ぶ 夢を見る







2010年08月15日(日) さくら色見つけたら




目が覚めたら
四角いハコのなかは

ぎざぎざの
ガラス玉でいっぱいに
なってた

どうりで昨夜は
キモチわるくて
イヤな夢を見た

太陽はすでに高く
出遅れておいてきぼり

目を閉じても
頭に刺さる
イライラ玉 ばかり

ささくれる朝に

ひとつ
きらり 光る
まぶたのはじっこに
見つけた

淡いさくら色の玉

こんぺいとうの中から
つまみだした
色つきのヤツね

ガラス玉も
見る方向で
光のあたる方向で

かがやきかたも 変わる

うん 
目を凝らせば
いいこともある かな

たくさんの
玉の中から
今日を選び出すのは

いつだって自分

だから
ココロのどこかに
さくら色の玉
持っておこう

おまもりとして
おまもりにして







2010年08月07日(土) まだまだまわる




あれから 川の流れは
うす緑色の
よどみにさしかかり

うずのかたちを
なぞって
ぐるりぐるり

そうしていても
フクロの隅っこの
ちいさい穴から

さらさらさらさら
時間の粉はこぼれ落ちる

その一秒 一秒を
ワタシがそこに
いたことを

なんとか記憶しなくては

目の奥が
痛くなるほど
頭のネジをきつく巻く

ロールケーキに
そっと
力をこめてみたりする

もろもろになっても
まだ
甘いニオイの
やさしいケーキ

太陽は高くなり
秒針の音が
チクチク チクチク
ワタシをせかす

結局

ひと針 ひと針と
フクロの隅っこ
縫うことにする

縫っても縫っても
砂はさらさら
こぼれてゆくけど

ひと針 ひと針
うす緑色の糸で
時をつなぐ

よどみのうずの
流れるままに
まだまだまわる

背泳ぎしながら
くもとそらを見ながら

風の気まぐれを
待ちながら

何度もまわるよ








natu