カゼノトオリミチ
もくじ|過去|未来

お昼過ぎの日差しは弱く 乾いた風はワンに優しく
夢見ていたよね 眼を開け辺りを ゆっくり見回し ワンは長いため息を…
茶と灰色の老犬は 風のニオイに ナニを思うのでしょう
もっとオヤスミ この午後は ずっとお前の横にいて
遠い国の灯台の物語
灰青の糸で ひと針ひと針 刺してゆく
アイボリーの糸は 柔らかな光を含み ちょっと セツナイけれど
お前も ワタシもこの午後は
たぶん シアワセ
キンモクセイの香りに包まれた 今日という 永遠のキオク
やがてきっと 忘れてしまうはずの キオク

アザミの花が揺れている
オニの心を持っている わたしの中のオニを追い出して
日陰で 黒ネコは のんびりおひるね
オニはゆっくり 昼間のお酒を楽しんでいる そのスキに わたしの中のオニを追い出して
そよそよと 秋の乾いた風が焼けた肌をなぜる
あなたがわたしをオニと思うなら きっとわたしはオニなのでしょう
どなり声は 心の奥でだけ響いている 今日も反省しています
それでも 丸くて茶色い眼のオマエは シッポを振ってくれる
とろんと流れる秋の午後 胸でアザミの花が揺れる

今日がいつだか 今がどこだか わからないような 季節の境目
曇り空は重く 肌に冷たく あの 秋の日の喜びや 遅い春の胸騒ぎ 梅雨の日のさみしさが
みんな 湿った空気の粒に溶け込んで
ひっそりと しずかな曇りの午後に よみがえる
信号で立ち止まり 鼻先かすめる とおめいの 風のニオイをかいでみる
記憶と現実が まつ毛の先で にじみだす
灰色のユウウツが みちみちた 街
ワンの足取りだけを頼りに どこまでも まっすぐ 家へ帰る

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肌をなぜる 朝の風に 眼をさますと 光が ほんの少し とおめいに
キンモクセイの ちいさな花に眠る妖精が 身を震わせて 羽根についた 花粉を掃う
おかげで 私は11回も くしゃみをする
あああ 秋の朝
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ちる 散る 今朝もまた ムクゲの花が きゅっと 硬く 花びらを巻いて きゅっと 身仕度 整えて
さぁ早く、 片づけてください 目覚めたアリたちが 来る前に
今朝はまた 11個のムクゲの花が ポストの周りに 散っている
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