カゼノトオリミチ
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2009年07月31日(金) 散歩みち




灰色の 重たい空気が街に満ちて

梅雨の終わらない7月も 今日で終わり

ワンは 今日がいつでも 明日がいつでも

気にもせず 軽々ステップ踏む

出かけの階段で 水色のルリマツリの花がらを

耳につけて 知らずにオシャレしてる



今朝のどうでもよいことを 繰り返し

ぼんやり歩く散歩みち

どうしたの? と見上げるワンがいとおしくて

ひとけのない一本道で 鼻をかむ



くらい生垣の向こうから ゆらりゆらり

手をふるノウゼンカズラ

まだ若みどりのツルを伸ばし 八重桜の大木へと

這いのぼろうと 湿った風を待っている



そうね あんなこと どうでもいい

私はいつだって

君たちからチカラをもらう

時が死んだような 静かな街を

フラフラ ワンに引かれて歩いていく




2009年07月25日(土) にしのそらには




夕暮れの ベランダに

ラベンダ色の 風が吹いて

ビール と チーズ

足もとに わんこ



いつのまにか にしのそらには 細い三日月

ドンドドン 風に乗って

商店街の わずかに木々の茂る 

チイサナ公園から 太鼓の音

そうか今日は 盆踊り大会で



きんぎょの浴衣を着て ボンボン結びした

女の子が お父さんと手をつなぎ

ぴょんぴょん

飛び跳ね 

オレンジ色の明かりの中へ 歩いてゆくのが

見えた気がする



ほろ酔いの 三日月と 夕焼けぞらに

飛び石みたいに ぽつん 

忘れられた 灰色の雲



でもワタシは 満ち足りているよ

このひと缶の おかげで






2009年07月24日(金) 寂しい水玉




夕暮れ ぽつり また降ってきた 雨

色あせたうすピンクの傘 広げれば

アスファルトに 水玉

傘の中は 雨の森の中



寂しいコトバが 私を見つけて落ちてきて

傘の上で跳ねる

そうだね、そうだよね、 

落ちる雨音に いちいち相槌うって歩けば 



いつか ざんざん降りになり

心も 傘の中も 大洪水

電信柱のむこうまでは 我慢して でも 

もう 森は水びたしで溢れそう



いっそ頭から濡れましょう

森を抜けたら うつむいていた

青むらさきのアジサイと 目が合った



雨は小降りになっている

ラベンダ色の 夕もやが 街を包む

泣かないで コトバ

雨が降ったら

またこの傘に落ちておいで






2009年07月15日(水) カップ麺




モウショのなかで お湯を沸かして

カップヌードルを作った



広すぎてぽかんとする 

お昼前の ベランダの空

アツアツの麺とスープを

小さなお椀に 分けてしまって 思い出す



今日は 母は デイホームの日



昼食は カップ麺

半分にわけて 母と食べる

ワタシは カップヌードルが 半分しか食べれない



いろんなことがある

いろんなことが あるけれど

いつか ほんとうに

カップ麺の 半分を

食べるヒトは 消えてしまっていて



そのとき



ワタシは

ぼうぜんとする のだろうか



不覚にも そんなことが淋しい と

思ってしまって 腹がたち

アツイ麺を がしがし クチに運ぶ



南風にのり 校庭から

子供たちの歓声が ひびいてくる

梅雨のあけた日

乾いた風は

投げやりな程 吹きつける

残った麺は 流しに捨てた





2009年07月11日(土) 柔らかなココロでいたい




雨上がりの空は

ラベンダ色になるところ

じんわり じんわり

針を持つ手を染めてゆく

今日はちょうど

夕焼け色の糸の順番で

川原のまるい石のような

散らばった雲達を 縫い取ってゆく

ひとつ ひとつ

針の先で つかまえる

ムネのなかは 雨降りでも

ベランダの空は

もうすぐ 梅雨が明ける

日の沈む方向へ並んだ 雲達を

けんけん ぱっ と

飛び石にして

ユウウツよ 逃げてゆけ

柔らかなココロでいたいと思う


2009年07月02日(木) 梅雨のうた




薄むらさきの 糸で

雨粒ひろう 朝



いいこと わるいこと 

あかるいこと かなしいこと

ピーツイ ピーツイ

小鳥は 梅雨のうたを 歌います



はっぱの上の しずくの中に

チイサナ 暮らしがある

それぞれに

細い糸をたぐる 日々がある



今年も 薄むらさきの

ムクゲが 雨にうたれて

咲きました



natu