My life as a cat
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2022年07月25日(月) 世界でいちばんの花

家事に没頭していると、背後からいつものごとくお呼びがかかる。

「マッマ!」

用事もないのに一日100回くらい呼ばれるから、適当に返事しながら振り返る。と、そこには庭から取ってきたのだろう一輪のラベンダーを手にしたロクちゃんが。そしてそれをわたしに差し出すのだ。突然のことに驚きながら、

「ありがとう」

と受け取ると、満面の笑みで嬉しそうに走り去っていった。
いつの間にかこんなことができるようになってたんだね。朝食時に一緒に観てる、"Masha et Michka"で、ミーシャがやってるの真似したに違いない。最近本当に色んなことができるようになってきた。でも、それと同時に自我も強くなってきて、扱いにくくもある。たまにカッとなって声を張り上げて怒って、その後"あのやり方じゃダメだ"と反省して、結局人の親になったって、人間なんて急に悟りを開いたようになれるわけじゃないと自分の未熟さを痛感して落ち込む。落ち込んでる間にも走れるようになったばかりの赤ちゃんは、全てに好奇心旺盛で、家の中はめちゃくちゃに散らかっていく・・・。
それなのに、そんなこともたった一輪の花で遠い過去の出来事のように忘却させてしまうベイビーパワーはなんて偉大なんだろう。


2022年07月20日(水) Marisolの贈り物

46歳の誕生日は代わり映えないいつもと同じ日。夜中にロクちゃんに寝床を占領されて、どかす気力もなく段々自分が足元のほうにずれていき、ロクちゃんとリュカの足元にわたしとクロちゃんが丸くなって寝てるという、いつもの朝。家族より一足先に起きて、家の窓を全部開け放つ。日中暑くなりそうな日も、朝は少し冷えてて気持ちがいい。キッチンの窓から見える景色が好き。カフェを淹れて、さて読み物でも、というタイミングで2階からお呼びがかかる。"マッマ〜!!!"

誕生日プレゼントは、イタリアのThunのひまわりの絵のついたペアのエスプレッソカップを買ってもらった。ロクちゃんとのカフェの時間が楽しみだ(リュカとクロちゃんは水しか飲まない)。

母と久々に長電話。胃癌で胃を全摘した父はずっと呑気に酒を飲み続けているけど、定期検診でまったく異常がなかったらしい。しかし、こんな気質だから逆によく治ったのかもしれない。人は病気が発覚すると、不安になって精神からもっと病んでいってしまう。我が父といえば、胃の全摘手術の前夜、

「明日胃とられてもう好きなもの食べられなくなっちゃうかもしれないからさぁ、今夜中に全部食べるよ!まずカツ丼食べに行こうよ!」

と母を呆れさせたくらいだ。それから一年毎晩酒を飲みながら抗癌剤治療を続けて・・・。まぁ、しかし家族としてはこれでよかった。酒をやめてがっくり肩でも落としてたらもっと心配してただろう。もう好きな酒飲んで早死にしたって、本人が好きなことして生きてたってことが何より大事だもの。

オムツを洗う回数が大分減ったと思ったら、最近はロクちゃんが何でも手伝いたがるから、家事がなかなか進まない。自分で小さな椅子を持ってきて、一緒にキッチンに立って、どこ触ったかわからない手でパスタを捏ねる。フードプロセッサーのボタンも押すのが大好きだからやらせてあげるけど、もういいやと取り上げると癇癪を起こして泣きわめく。イヤイヤ期の典型。ひとつだけ助かってるのは洗濯機が止まると洗濯槽から衣類を全部取り出して、バスケットに入れて、外まで運んでくれること。あとは紫蘇を摘んでこいといえば、ズッキーニの葉っぱ持ってきたり、箒とちりとりとかも持ってるけど、集めたゴミどこに捨ててるのかまったく謎。この家はあるべき所にあるべき物がなく、ある日変なところから変なものがでてきてビックリというおばけ屋敷と化してる。育児はひとつ楽になると、新たに違う仕事ができるものなんだな。


2022年07月12日(火) 憧れのアブリコのデニッシュ

またアブリコの季節がやってきた。頑張ってブーランジェリーでよく売られてるアブリコのデニッシュを作った。力作。アブリコのシロップ漬けを作り、そのうちの少しをコンフィチュールのようにどろどろに煮る。そしたら生地。クロワッサン生地はバターを織り込むので半日かかってしまう。生地を寝かせてる間に今度はクレーム・パティシエールを作る。そして夕方やっとこさ焼き上がり。アブリコのコンフィチュールを塗って完成。お味は、もちろん最高。自分好みにアブリコのシロップ煮も生地もクレームも砂糖をうんと控えたのだもの、アブリコ味が際立っててこりゃうまい。ロクちゃんにあげたら、真っ先に目玉をくり抜くような残虐な手付きでまずアブリコだけくり抜いてひと呑みで食べてしまって、後からゆっくり生地を食べてた。フランスに来て5年。色んなお菓子を買って食べて、新しい味を体験してきた。はじめて食べる郷土菓子など沢山あってそれはとても良い経験だった。しかし、やっぱり外で食べる物はわたしの口には砂糖が多すぎると感じる。だから最近はもっぱら自分で作るようになった。

ここ数日は朝マルベリー(桑の実)を摘みに出かけてる。ロクちゃんを木の前のベンチに座らせといて、小瓶に彼のおやつ分だけひと握り摘む。家に帰って洗って出してあげる。彼は口の周りとシャツを真っ黒にして、夢中で食べてる。来月はミュール(ブラックベリー)が旬を迎える。ミュールのコンフィチュールはわたしの大好物でこれはこんななまやさしい小瓶にひと握りというわけにいかない。バスケット一杯に摘んでも、殆ど種で、瓶一本くらいのコンフィチュール作るのがせいぜい。しかも、今年はこういうもの沢山食べそうなベイビーがいる。これはいがいがとげとげで毎年何かしら怪我しながら摘んでる。今年は今から簡単に摘めそうな場所をリサーチ中。


Michelina |MAIL