My life as a cat
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2006年07月20日(木) 30歳の誕生日

30才になりました。この日に結婚もしてなくて、子供もいなくて、オーストラリアで、そして大したキャリアもなく、確固たる目標もなく、浮雲に自分の姿を重ね合わせて過ごしているなど想像もしていなかったけれど、この世界のどこかで餓死、戦死、病死してしまう人々を思っては、30年も五体満足で生きてこられたことに感謝してしまう。ケーキを買ってきてくれたシェア・メイトにも。そして、依然外国人としてここに生きる頼りない日々の中で"僕といれば君はセーフ so don't worry. I take care of you"なんて可愛らしいことを言ってくれるボーイ・フレンドがいることにも。ただただ感謝でいっぱい。


2006年07月15日(土) わんぱくオージー・ナイト

先日知り合ったばかりのドミニクに連れられて、シティにある彼の友達のフィリップの家へ。ここに何年も住んでいながら、オージーといえばパーティでちらほらと会話をする程度にしか知り合う機会のなかったわたしには初のオージー体験といってもいいかもしれない。ボトル・ショップで赤ワインとウイスキーにコークを買い込み、フット・ボール観戦。こんな「体だけで勝負」みたいなインテリジェンスからほど遠い雰囲気のスポーツの面白みが全く解らず。しっかりアルコールもまわって、彼らが応援していたシドニーも負けてしまったところで半袖シャツ一枚で外に飛び出し、タクシーをキャッチしてスビアコへ。そのまま勢いよくダンス・フロアに飛び込み踊りまくり。踊り疲れたところで通りの向かいのケバブ屋で腹ごしらえして、またタクシーを拾ってフィリップの家に戻り朝までぐっすり。イメージから一歩たりともはずれてないオージー・ライフを体験してしまったのでした。しかし付き合ってみるとそう悪くない。わんぱくな子供のようにいっぱい遊んでいっぱい眠る。小難しい理屈など要らない。ドミニクが「日本風俗についてのDVDで、いい年した男が女子高生好きなんてのをみたんだよ。なんで?僕は未成年よりも絶対年の近い大人の女のほうがいいもん。全く理解出来ない。」と言ってフィリップはその話題の意味すらなかなか理解出来なかったように、彼らはこんな生活ぶりからしっかり精神の健康を保てているのかもしれない。


2006年07月10日(月) Blind Willow, Sleeping Woman

シティに新しくオープンしたアメリカからきたというブック・ストアに行ってみた。日本でも数年前から点々とオープンしはじめたあのカフェと一体化していて腰をおろしてゆっくり本を物色できるやつ。でも、いまだかつてやったことはない。だって私有の本には絶対ポテトチップスの油とかコーヒーのシミとか何かしらかついてるから。

入り口を抜けて真っ先に目にしたのは"Haruki Murakami Blind Willow, Sleeping Woman"。三列にもわたる平積み。こんなに国際的人気を得ていたのね。ページを開いていつの間にか熱中してしまい、突然肩を叩かれて飛び上がった。振り返るとしっかりスーツを着込んだビリーが立っていた。"Wow! How have you been up to!!"と興奮気味なわたしに"Fine. Just simple life,,,"などと浮かない顔つきで淋しそうに答える。3年前の女の子とみれば誘わなきゃ失礼にあたるくらいの勢いはどこへ消えてしまったのか。本気で愛して結婚を約束した日本人のガール・フレンドに痛い痛い振られ方をして以来、何か狂ってしまったのだろうか。むくんだような太り方もあまりにもジェントルな喋り方もまるで別人のようだった。「僕は先生になったんだ。だから生徒はダメになっちゃうよ。」などと言って力なく笑いながらそっと手を振って消えていった。

少し落ち込んでしまった帰り道、家の前の会社で働いている男性が仕事を終えてコートの襟を立てて出てきた。2ヶ月前から曖昧に誘われ続けて、曖昧に断り続けていた人だった。「まだ、僕の入る余地はあるかな?」と聞かれてまた答えることが出来なかった。風が冷たくて寒いせいか、みんな悲しそうに見えてしまう。


2006年07月08日(土) 島国の酔っ払い

またまたリサのナイト・クラブ通いの付き合い。街の中心に住んでいるとついつい誰にでも付き合ってしまうけど、やっぱり騒々しい場所には体が馴染まない。一杯飲んで帰るつもりが、思いがけず後から後から友が友を連れて合流してきてかつてないインターナショナルな夜となった。韓国、スペイン、スイス、フランス、イタリア、日本、、、。それでも、昨日も夜遅かったし今日はこの辺で、と切り上げる準備態勢に入っているところに友達のデュークがぐてぐてに酔ったイングリッシュ・ガイを連れて現れた。日本とイギリスは小さな土地に人間がひしめきあって忙しく暮らしている島国という風土柄、人格が似ているなんていうのを聞いたことがあるけど、彼の酩酊ぶりといったら、日本のオヤジを思い出させるようなだらしなくひどいもの。確かに生真面目な性格が故にストレスを貯めこんでしまうようなところは似てるのかも。「俺の注いだ酒が飲めないというのか」くらいの勢いで引き止められ、これが可愛げの無い人ならそれでもさっさと置いて行ったが、ちょっとお茶目で憎めないところもあって、すっかり帰るタイミングを失ってしまった。

週末のノースブリッジでタクシーを拾うのは至難の技。空車でも止まってくれない。穏やかなデュークも"I hate Northbridge!!"と少しだけ声を荒げはじめて、焦ったわたしが"Ok,ok.I can catch!!"と彼を宥めつつ思いっきり手を上げるとOh!止まった。純白のワンピースに身を包んだ可憐な(?)ジャパニーズ・ガールだったのが良かったのか。「ガラの悪いの乗せるとこっちの身が危険だからね。」とドライバー。確かに。最近のノースブリッジは危険さが増してるようだ。


2006年07月06日(木) これもただの日常

一度はトライしたビザのこともうまくまわらず、ダレンはここを去ることになった。最初から心得ていたはずなのに、本人の口からはっきりと聞いてしまうと急に心細くなってしまう。彼にとっては旅の中の一期一会に過ぎなくて、得体の知れない極東の女と恐る恐る文化の違いの壁をよじ登ってみたいい思い出として、すぐに風化してしまうようなものなのかもしれない。わたしにとってはどこへ歩いていいのかわからないような日常の中で、ただただ休む場所を与えてくれた人のようだった。あと何度もらえるかわからない大好きだった"Good night"のキスを大切に記憶に刻み込みました。


2006年07月05日(水) Jの論理

夕方に突然ふらりと家にやってきたジェイミーと庭でコーヒーを飲んでいた。普段は"Talkative"なわたしも彼といるともっぱら聞き役。しかし、彼の論理は極論にして正論なのでそれも一興。

「ブラジル人に食料を盗まれるんなら最初から分けてあげちゃえばいいんだ。そうすれば盗まなくなるよ。」
「お金がいっぱい落ちていてもね、僕らオージーはガツガツ拾わないんだ。必要な分だけ拾ってあとは無視。欲をだしていっぱいホールドしちゃう人のところには、もうそれ以上お金は沸いてこないんだ。それが僕らがそんなに働かないのにこの国がリッチな理由。中国人を見てごらんよ。朝から晩までMoney,Moneyって言ってても結果的にそうリッチじゃないだろ?」

確かに、確かに、と頷いちゃうことばかりでした。


2006年07月01日(土) もうすぐ新期

昨夜は決算を終え、ビールを手にした会社員達が路上まで溢れていた。ダレンも友達の旦那さんも働き者達はみんなみんなご機嫌な酔っ払い。ナエちゃんと地道に空いてるパブを探し歩いて、隅で小さくなってチビチビやっていたわたしの小さな気がかりは、この夜の食事をわたしと摂りたがったジェイミーのこと。いい年してリレーションシップに対してひたすら率直で、計算も駆け引きのひとつも出来なくて、誘われても、通りがかりについつい触ってしまった野良犬になつかれてしまったような小さな罪悪感が沸いてしまう。繊細で気の優しい人だから、早くいい人を見つけて欲しい。

リサからのメールに目を覚まして、疲れきったようにだれた空気の流れる午後のシティで落ちあった。インディペンデントな思想に満ち溢れるキャリア・ウーマン・タイプの彼女が力を入れて繰り出す活力に満ちた意見を黙々と聞きながら、自分の軟弱さを思い知る。

フランス語の発音がなんとか大丈夫だと言ってもらったのが嬉しくて、家に帰って久々にテキストを広げた。


Michelina |MAIL