今日のブルー
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2016年08月30日(火) ある巣立ち雛のこと








先日、だんながスズメの巣立ち雛を道路で見つけました。とても小さい個体で真夏の道路、しかも車の下にいました。
朝だったので、おそらく巣立ち雛、巣から飛び降りて間もないものと思われます。
基本的に巣立ち雛は親鳥が近くで世話をしているので手を出しません。
しかし、車に轢かれるのは助けるべきと近くの安全そうな植え込みへ連れて行きました。
体の小ささに加え、暑さのせいか目を閉じぐったりしていて、これは助からないと正直思いました。
8月末はスズメたちの繁殖にはかなり遅い時期です。
※2017年追記(この翌年9月中旬、ずっと子連れでベランダが賑わっていました。通常春と秋に親子スズメを見かけるようですが、うだるような猛暑の真っ最中の巣立ち雛は見た事がありませんでした。むしろ秋に向けた繁殖?)
暑さで卵にも栄養が行かなかったのかわかりませんが小さい。
よく見かける子スズメと比べてかなり小さく見えました。

ちょうど、近くに木や茂みのある日陰があったのが良かったのか数時間後見た時、雛は元気に立って鳴いてうろうろしていました。親鳥が来たようです。人やネコに見つからないようそっと近くの植え込みに戻し、あとは一切手を出さず見守りました。
と言っても気になって気になって気になって心配で仕方がありません。ネコやカラスに見つかりはしないか、ヘビやその他いろんな危険を想像し、夢にまで出てきて飛び起きた夜も(笑)



親鳥を脅かしてはいけないのでかなり離れて不審者のように餌が運ばれているか見守りました。
よく、体の小さな雛は見捨てられる、と聞きますがこの親鳥たちはそうしませんでした。
何度も通りかかる度、親鳥が大きなアオムシやバッタをブラ下げては雛に与えていて、雛は元気に育っていました。
少なくとも自分の知るインコのリラックス行動と同じ仕草が見られたので、雛は大変心地よく過ごしていたと思います。
親鳥もそこから雛を誘導することもなく、せっせと通っては給餌していました。
猛暑は翌日和らぎ、雛は元気に走り回り隠れたり、生きて行く術を身につけようとしていました。
私もだんなもこれは無事に育つかもしれない、と期待しながら見守りました。
この調子であと7日も経てば飛んで親に付いて行けるだろうなと思っていました。そんな時に台風の予報が。

私たちは悩みました。非常に強い台風との予報でした。巣立ち雛どころか若鳥でも台風の時大量死する事があります。
直撃なら夜間だけでも小箱にでも入れて早朝戻そうかとも検討し始めました。
手を出すべきでない事は知っていますが近くで観察するうちになんとか大人になってほしいと迷わずにいられません。
しかし、直撃の場合ヘタをすれば親鳥が死ぬかもしれません。そうなった場合も考えいろいろ調べました。食べ物、保温、その他野鳥を保護した場合の手続きいろいろ(野鳥飼育は禁じられています)
そうならないよう祈りながら迷い続け、念のためささみやポカリなど買い置きして台風の動向を睨んでいました。
そんな中、雨が降りました。激しい雨。雨よけを立てかけ雨に打たれない隙間を作っておきました。
翌日、雨も止み雛は親鳥に餌をもらって元気にしていました。安心した私たちは台風の心配だけをしていました。
どうすべきかやっぱり迷います。その夜雨が再び降りました。今度は強くはないけれど長く。気温は涼しく肌寒いほど。

悩みましたがそのままにしておきました。雨に濡れない場所に潜り込めるし、雨の夜を乗り越えるのも生き抜くための訓練。
心配でしたが昼間の元気さにがんばれとそのままにしました。
翌朝、雛は元気がありませんでした。鳴く元気もろくになく息が荒かった。
まずい、と思いましたが朝からは親鳥が通ってきます。雛にとってベストな栄養は親が与える餌。何より雛は親を待ちわびています。
親鳥が近づけるようすぐにその場を離れました。そして心配ながらも昼間は親に任せるべき、と出かけるついでに覗いた時、雛は空を向き羽を広げぺたんと座って餌をもらう時の姿で亡くなっていました。
私たちが呆然としているところへ親鳥がアオムシをぶら下げて飛んできました…




思えばはなから小さすぎる個体でした。これは育たない、とわかってはいました。
しかし親鳥は決して小さな雛を見捨てる事はありませんでした。亡骸を埋めたあとも同じ場所に何度も餌を運んでいました。鳥は死をどう理解するのでしょう。
あまりにも親鳥が必死に世話をするので期待してしまいましたが、他にも兄弟なりいたかもしれません。
そうであれば早く弱い雛がいなくなった方が他の雛の生存率は上がります。
何が正解なのか今もわかりませんが、親鳥と雛を人の手で引き離さなかった事は間違いでないと思います。
見捨てるかどうかは彼らの決める事。車やネコで死ぬのは自然ではないのでそこだけ助けました。


もし、雨の夜に雛を保温して保護していたら。
おそらく天気次第では数日面倒を見る事になり、栄養状態を悪化させたかもしれない。
がんばって栄養面をクリアしたとしても、もし親鳥に返せなければ人が生き抜く術を教えねばなりません。
危険な敵から逃げる方法、食べ物や水の探し方、暑い時、寒い時の対処。
すべては親鳥が教えていく事です。何度も育てて助けていればそれも出来たかもしれませんが初めてでは無理。


結局、道路から安全な場所に移した後数日、雛は親鳥と暮らせていました。
巣立ち雛は巣立ってしばらく飛べず、親の世話を受けながら生きていく方法を学んでいきます。多くの雛はその過程で亡くなる。それが自然の生き物です。
例え数日でも、過酷な自然で比較的穏やかで親鳥に甘えてリラックスしていた雛は幸せなのかもしれません。
親鳥は自分の食事もそこそこにあちこちの巣立ち雛に餌を運びます。そして生きる術を教えて行きます。
その時間を邪魔しなかったのが一番の選択だったかもしれません。

私たちもわずか数日、通りかかる度そっと覗いた程度の付き合いでしたが心に残る雛でありました。


















                               
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