| 2009年06月18日(木) |
だから僕は―― 弁慶 |
この色素の薄い髪と、白い肌、琥珀色の瞳のせいで 幼い頃から鬼子と呼ばれ、忌み嫌われてきました。 母親にも捨てられ、預けられた寺でも、誰にも愛されることはなかった。
…寂しいという感情はとうの昔に消えてしまいました。
九郎はそんな僕に、最初に友情をくれました。 次に信頼を。 そしていつの間にか、愛情を僕に向けてくれました。 深い深い愛情。
僕の虚ろが満たされる。 ……九郎で全部みたされる。
だから僕は――。 九郎の為に命を散らすのも厭いません。
九郎を亡くすくらいなら、僕が命をなくしましょう。
初恋は叶わぬものだと聞いた。 …本当だろうか。
ならば、この想い、恋情などではない。 友情だ。
先日、あいつに言われた。 『大将が軍師に甘いようではいけません。他の部下に示しがつかないではありませんか』と。
ならば弁慶。 お前は俺の部下などではない。 俺の大事な友人だ。
友人ならば、皆の前でお前を心配してもいいだろう?
| 2009年06月02日(火) |
無言 9B外野 将臣と譲 |
「あー何だ。あれだな。九郎と弁慶ってデキてんのか?譲」
将臣は、まるで今日の夕飯は何だ?くらいの勢いで事も無げに譲に聞いた。
「なっ、俺に聞くなよ。俺だって最近気づいたばかりなんだ」
「そ、そうか…」
「「…………」」
俺、源九郎義経は、武蔵坊弁慶に弱い。 わかっている。自覚はある。
だが、あいつは常に俺のことを一番に考え、軍にとって最良の策を打ち出してくるのだ。 俺が弁慶の言葉に、すぐ納得してしまうのも無理はないだろう。
べ、別に恋仲だからといって、甘いわけではないぞ。 勘違いするな。
|