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時刻は9時半。
椅子に跨がって、こちらを楽し気に見上げる武蔵を。
うちに来ていらっしゃってる親愛なる皆様に。嬉しい!ハッピー!と
とりたてて綺麗でもなく。とりたてて旨い訳でもない。
昼でも薄暗い店内。武蔵と2人で会う時にはいつもこの暗い中だけで。その顔がいつも笑っているのか、怒っているのか、判断がつかないと思っていた。
目の前で数回手のひらをひらひらと動かすと、ようやくヒル魔は顔をあげた。
店を出て武蔵は惰性で歩いた。自宅までの短い距離。
くたりと腕の中で幸せそうに体を預けてくるヒル魔の首筋に、武蔵もまた額を落とした。
このところ、武蔵は苛ついていた。
ベットの上に身体を横たえると、さすがに今まで以上の音がした。
ヤンカチュ工務店のヤンヤンさまから頂きました。
●経験バトン
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| 2000年01月11日(火) | いちゃつきベット |
荒い息を落ち着かせるために大きく呼吸をくり返し、
コトが終わった武蔵はいつもの様に眠気に身をまかせた。
心地よいけだるさが体を包む。とろとろとしたその心地よさに浸りながら、
武蔵はヒル魔の体を抱き寄せた。
「暑苦しぃんだ、てめぇ……。」
情事の後独特の掠れた声が不満を漏らす。
暖房を切って時間がたった室内の空気が顔にひやりと冷たい。
文句を言いつつもヒル魔は布団の中から逃げ出さないのはそのせいだろう。
良い季節になったと思う。
布団の中に潜り込むヒル魔が外に出ている部分はかろうじて頬から上のみ。
さっきまであれ程汗をかいていたその顔は少し疲れを残しただけで、
目尻の赤さ以外はいつもと特に変わらない。
ついさっきまで顔を赤らめ、組み伏せた下で声を上げていたとは思えない程に。
武蔵の両手はヒル魔の下肢を散々いじり、お互いの体液に汚れている。
軽くぬぐった程度の状態で、ヒル魔の顔に手を伸ばせば何を言われるか分かった物では無い。
こちらに向けられた頬の温度がどれだけ下がったのかを知りたくて、
武蔵は無造作にヒル魔の頬へと顔を寄せた。
そろそろ鬚も目立ち始めただろうな顎を、自分とは全く違う質感の頬に押し付ける。
「重い……」
逃げる体を両腕で抱えて、尚も頬をすり寄せた。
逃がさないようにヒル魔の薄い肩に体重をのせ、触れた肌の冷たさを楽しむ。
「なんでてめぇはそう、暑苦しいんだ……」
形の良いヒル魔の鼻梁に武蔵は唇を寄せた。
すっかり冷えてしまっているそこは口の中で冷たさを主張する。
「口ん中、熱くて気持ち悪いんだよ」
コトが終わればすぐに熱を失うヒル魔の体は、暑苦しいからという理由でいつも接触を拒む。
けれど、ヒル魔の体内の方が。武蔵を受け止める、双丘の奥が。
絡める舌が、歯列の奥が。どれほど熱いのかをきっと知らない。
言えば蹴られるだろうコトを察知して、武蔵は黙って冷えてしまったヒル魔の肌をあたためた。
汗ばんでどこもかしこもがべたつくために、気持ち悪いのは事実だろう。
何とか距離を置こうともがくヒル魔の抵抗で肌と布団の間を冷えた空気が入り込む。
お互いの体温で暖められた空気が逃げて、身震いするような温度差に武蔵は余計にヒル魔へ近付く。
「離れ、ろっ……」
聞こえなかったふりをして尚も体重をかけた。
元々武蔵は何かを腕に抱くのが好きだ。
そばにいる誰かを抱き締める質感、その重さと温度に気持ち良さを感じる質だ。
腕の中にいるのがヒル魔であれば尚更で。嫌がられる程に追いかけてやりたくなる気持ちは強まる。
布団がはがれるのも構わず、ふざけ半分に両腕を大きく動かして抵抗するヒル魔をシーツに押し付けた。
「このっっ……」
あがらう声に笑いが混じる。こういう遊びがヒル魔も嫌いでは無いという訳だ。
暖かな空気が流れてしまう事も構わず、狭い布団の中でもぞもぞと二人は位置を変えた。
追い掛けるぞ、というゼスチャーと、触るなという意思表示を見せつけながら、
けだるさと心地よさと温もりと眠気に浸る楽しいコミュニケーション。
その最中に、ふとヒル魔の目線が止まった。
ヒル魔の鎖骨に顔を押し付ける武蔵は、それに気がつかない。
はっきりしない視界の中で、すがめるように目が細くなり凝視した後に片手が布団から持ち上がった。
闇に光るような白い腕が、ばちりと派手な音を立てて武蔵の背中を叩く。
「な……ん、だ?」
月が差し込む薄闇の中、腕を振り上げたヒル魔のぽかんとした顔がこちらを見ている。
正確には、武蔵の肩。
首を伸ばして武蔵の肩裏を凝視している。
「……なんか、あったか」
「虫」
「……?」
武蔵自身がいくら後ろへ目線を伸ばしても叩かれた場所に目が届かない。
「虫、いたと思ったんだよ……。ほくろ、か」
なんだ、つまんねと言うようにヒル魔の頭ばがシーツに落ちた。
「お前のほくろ、なんでそんなぐしゃぐしゃした形してんだ」
言われてみれば、あったかもしれない。自分で見えない場所のほくろなど、気にした事も無かったけれど。
「なんで今さらそんな事言うんだ」
こんな関係になって何年にもなる。
お互いの裸なんてとうに見慣れたはずなのに、今さらヒル魔がホクロと虫を見間違える等らしくないと武蔵は思った。
「今さらって……」
そんな、何の意味もなく口に出した言葉にヒル魔の顔が赤く火照った。
薄闇の中でもはっきりと分かる顔色に武蔵は言葉の意味を考え、しばらくの間沈黙が流れた。
逃げようとする体を、逃がすまいと巻き付く武蔵の腕の中で、ヒル魔の片手が枕をつかんだ。
恥ずかしそうに赤らめる頬が目の前にある。
滅多に目にする事の出来ないそんなヒル魔を眺める武蔵の口端がぐにゃりとゆがんだ。
「そうか、お前……」
ああ、そうか。答えに気がつき武蔵が開いた大口に勢い良く枕が叩き付けられた。
「俺の背中、見っ…………」
「死ね!!」
武蔵の顔面めがけて何度も叩き付けられる枕に手加減は無い。
それでも、打ち込む強さがそのままヒル魔の照れなのだとわかって、武蔵は破顔した。
こんな関係になったからこそ。
ヒル魔は武蔵の背中を目にする事が少ないわけだ。
ホクロがどこにあるかなど、分からない程に。
布団の中で思いきり膝を立て、ずりずりと距離を置くヒル魔はどうやら本気で逃げる気らしい。
離れてしまった体に腕を伸ばす。壁に背があたったのか、後退を止めたヒル魔の足が武蔵の腹を強く押す。
顔に押し付けられた枕でその姿を目で追う事は出来ず、だから余計に手が宙をかいた。
窒息させるつもりか、と思う程の強さで押し付けられる枕。
武蔵の両手がヒル魔の腰をかすめるとその圧力がゆるんだ気がした。
腹に触れ、骨盤をなぞり、少し伸ばして腰へと指を届かせる。
ばふ、と枕の上から殴られるものの、その圧力がまた、ゆるむ。
「お前、自分のホクロ知ってるか」
わずかに空いた隙間からなんとか出した言葉は不明瞭なまま布に潜る。
ヒル魔には聞こえたのだろうか、なんのリアクションも返って来ない。
ただ、枕を叩く勢いも弱まった。
「ここ、とかよ……」
背中と腰が混じる場所。綺麗な曲線をつくるその箇所を指でなぞる。
枕が、強く押し返された。
自分よりもだいぶん薄い筋肉をなぞり、そこから片手を背の上へと回す。
骨の数を数えるようにゆっくりと指でヒル魔の肌を読んだ。
荒れてささくれた武蔵の指がヒル魔の滑らかな部分にうっすらと赤い線を残すのが目に浮ぶ。
「こっちにもあるんだぞ」
背から脇にかけて。
微妙な強弱をつけて刺激を加えれば枕が揺れた。
枕を押し付ける力が急に弱まって、楽になった武蔵の耳にヒル魔の小さなため息が届く。
「自分の背中、見た事ねえだろ」
あんなに熱かったヒル魔の体温は、どこを探しても見つからない。
自分ばかりが盛っている気がしてそうじゃないだろうと悪戯心が沸き上がった。
視界は枕に覆われている。分かるのはヒル魔の呼吸。触れる場所から伝わる温度。
なぞれば声が震えた。しつこくつつけば声が止まった。
丹念に刺激をくり返せば抱きかかえる体から力が抜ける。
顔に乗せられているだけの枕。
ヒル魔の片手は多分口に。
片手は、まだ枕を掴んでいるのだろうか。
「顔、見てえ」
声をかけても返事は無い。
「なあ、顔見せろよ」
反応を確かめながら撫で回し、その指が届く場所を徐々に広げる。
まだ湿り気を帯びている下肢をなぞると腕の中でヒル魔が背を反らした。
きゅ、と胸をいじれば腕に良い反応が返ってくる。
「……なあ」
しつこくくり返すとふいに顔が自由になった。
覆っていた布の塊が消え、その少し先にシーツに顔を押し当てるヒル魔の顎。
顔を押さえる指の間からこちらを睨む顔は見慣れたもの。
「ホクロの場所、教えてやろうか」
赤みを取り戻した表情を追い掛ける武蔵の視線からヒル魔は首をねじって顔を背ける。
シーツにすれただけではない耳の赤さがより際立つとも知らないままに。
「もう、いい……。黙れ、てめえは」
ため息に紛れた言葉が隠そうとしているのは照れ。
焦らすな、と意図する睨み付け。
武蔵をベットから蹴り落とす事は、壁際のヒル魔にとっては容易い事だ。
力をこめて、武蔵の腹を蹴りあげれば良い。
こんな時にでも逃げの手を緩める、拒絶をしないヒル魔の甘え。
キスしてえなと思った所でふと目があって。
すぐに反らされた視線がまたこちらに戻って、仕方ねぇと言うようなため息。
それは、肯定の合図。
のそのそと顔を寄せると、ヒル魔の指が武蔵の鼻をぎゅうとひねった。
ヒル魔の目元は隠れて見えない。けれど、唇が開いてゆっくりと近付いてくる。
再び腕の中に戻って来たヒル魔を抱き締めながらゆっくりと背中をなぞる。
しみも、傷も、ほくろさえも一つとして無い、真っ白な背中を。
それを知っているのは俺だけで良いと武蔵は思う。
腕の中の重さが少しずつ増して、おずおずともたれてくるヒル魔を強く抱き締めた。
空気さえもが冷える夜。
暖まった夜具に体を横たえて、心地よさに眠りにつこうとするごとに繰り返されるじゃれあいの数々。
二人の夜は、こうして更ける。
| 2000年01月10日(月) | 0000 |
武蔵の腕の中で。
ヒル魔はぼんやりと体を横たえていた。
動くなと言われた訳じゃ無い。どこかを押さえ付けられているわけでもない。
ただ、背中にぴったりとはりついた武蔵を感じているだけで。
麻痺してしまったように体が動かない。
背中が熱い。武蔵の声が、耳の中に直接語られているのにどこか遠い。
会話の中身が切れ切れに耳に入って、抜けて行く。
何度も顔に泡が塗られ、目を開けられないまま体を全部武蔵に預ける。
時々、思い出したように恥ずかしいとか、結局丸め込まれる自分の甘さとか、そんな物が流れて消える。
全部どうでもいい。
ただ、もう大丈夫なんだと思えるような心地よさに全部をまかせていた。
武蔵の手が体をなめらかに撫でる。
優しくて、少し泣けそうなぐらいに柔らかい触れ方。
今まで色々な刺激を受けてきた。それはどれも気持ち良かった。
武蔵が触ってくれる時にはいつでも気持ち良かった。けれど。
こんな些細な事が、気持ちを高めてくれる事を知った。
肌と肌が密着するだけで、こんなに気持ちが良いなんて事は知らなかった。
ただそれだけで。
武蔵の体に抱き締められていと思うだけで、腹の奥が甘く痺れた。
耳に直接届けられる武蔵の言葉。
内容はどうでもいい事ばかり。ただ、心地よい音楽のようだと思った。
低く、囁くように小さな声。
それはヒル魔を優しく揺らしてくれる。
工務店をやっている家に住み込みで働いているたくさんの若者の話。
そんな若者達を教育しなければならない苦労。
なかなかうまくいかないから投げ出したいと言う話。
教育係として何度も責任を取らされていると言う苦労。
跡をつがせたいと思っている工務店の棟梁と古参の大工達との摩擦。
俺がいるだけで、みんなうまくいかねえんだよ。
武蔵の呟く言葉はだんだんと深い所に降りて行く。
だんだんと、撫でていた手の動きに明らかな意志が加わりはじめる。
そうじゃないだろうと武蔵に言いたいのに。
口からは小さな喘ぎだけが馬鹿みたいにこぼれる。
今まで柔らかな刺激だけだったのに、早くからとろりと靄がかかったような視界。
何かを武蔵に伝えたいのに、思考はぼんやりとしか動かない。
それでも、お前はそんなに酷い奴じゃないと言いたかった。
武蔵に顔を向けようとして。
後ろから強く抱き締められた。まるでしっかりと固定されてしまうように。
両親はいなくて、施設にいた所を引き取られて。
今の義理の親は良い人達なのだけど、なじめないとか。
話がそんな所に流れたところで、武蔵の指が動きを変えた。
撫でるだけだった、手が。泡の中で巧みに動く。
柔らかかった刺激の全部が、ヒル魔を追い立てはじめる。
待てと言いたいのに、言葉が出ない。
すっかり暖まっていた体は、武蔵の手で簡単に追い立てられる。
曇ってぼんやりとしか姿を映さない鏡の前に、両足を大きく広げた自分がいた。
恥ずかしいなどという意識はとうに途切れた。
白をまだらに纏った体。
そこに写る自分より。自分に視線を落とす武蔵の表情を見ていた。
話を聞きたい。
言葉を、交わしたい。
多分武蔵がこんな話を自分に振ってくれる事など滅多にない。
だから、こんな風に流されるのは嫌なのに。
結局養子だって事で、あまり良い思いは出来なかった。
だから、「たけくら」の名前は重たい。
老舗の工務店の、跡取りなんだという荷物を無意識に感じてしまう。
だから、「たけくら」の名字は好きじゃ無い。
簡単に快楽だけを追ってしまう意識。
武蔵が、この体に仕込んだ躾。
言葉を返す事も出来ないぐらい、霞む視界。
腰のすぐ後ろに押し当てられている武蔵の熱。
自分をここまで快楽に弱くした、武蔵の熱。
欲しいと思う体内の囁き。
自然に腰が揺れて、鏡の中で武蔵が笑った。
気持ち良いのかと問われて、素直にうなずいた。
どうされたいと問われて、思うままに口が動いた。
意地悪く聞き返される。
同じ言葉を繰り返した。武蔵が耳もとで小さく笑う。
本当にと再度問われて。早くしろと返した。
その言葉に。
体の中から指が抜かれた。
高まる鼓動。ずっと、後ろから腰に当てられていた熱が、どこかに消える。
腰が少し宙に浮かされて。
そして。
ゆっくりと、落とされて。
「ひッ………ぁああっ……」
気づかうように、ゆっくりと落とされて。
最後に武蔵の手のひらがすべって、ずる、と根元にまで飲み込むように体が沈んだ。
「んっ……っ…」
鏡を見ろと言われた。
武蔵がお湯をかけて、はっきりと像を映すようになったその中に。
惚けた自分の顔。嬉しそうに弛んだ自分の顔。
恥ずかしい事じゃ無い。これは今まで何度でも繰り返して来た行為。
武蔵が息を整えるまでのわずかな間。ぼんやりと鏡の中の2人を眺めていた。
何度でもしてきた事なのに。
大きく足を開いて武蔵を飲み込んでいる自分をはじめて見た。
場所は、いつも使っている浴室。
あちこちに飛んでいる泡の隙間から見えかくれする、赤い肌。
どこもかしこもが、とても赤い。
武蔵が指を絡めた場所は、とうに泡が落ちていた。
胸の先も、流れてしまっている。
揺すられれば、あちこちから肌が露出した。
突き上げられる程、裸にされる。
苦痛ではなく、愉悦に歪む表情。
ぼんやりと、そんな自分を見ていた。
自分が武蔵に抱かれている姿。
武蔵が、自分を抱いている姿。
そこから、目が離せなかった。
「そんなに、気になるか」
目を閉じても、身体の向きを変えても。
意識が鏡をおいかけている。
自分が優しく武蔵に抱かれている姿を、追い掛けていた。
あんな風なんだと思った。
はじめて知った。
あんな風に自分は抱かれているのだと。
これは本当に夢じゃないんだと。
確かめるように、見せつけるように、鏡に意識が飛んでしまう。
「随分、気にするな」
もう一度、大きく足を開かされて。
鏡の中の武蔵の表情を見て、ヒル魔はくらりと、目眩を感じた。
武蔵の目。自分に向けられている目。
鏡の中で武蔵と視線がからみ合って。ふわ、とその目が和んだ。
自分に向かって、笑みが零れた。
「んっ、むさ、しっ…………」
鏡の中に、手を伸ばす。声をかける。
一番見たかった、表情。
抱きつきたくて手を伸ばしても、そこにあるのはただのガラス。
後ろから貫かれて、ヒル魔は大きく喉を反らした。
目の前に、優しい武蔵。後ろから、抱き締めてくれるのも、武蔵。
「見られてるのが、好きか」
「あっ、……っ、あ……んっ」
言葉にならなくて、首を縦に振った。
揺すりあげられて、身体が仰け反る。薄れる視界を感じながら、ヒル魔は目で武蔵を追った。
今までの、あの、少し怖かった面影を残していない、武蔵を。
自分が好きだと思える人を。
優しく抱き締めてくれる、鏡の中を。
肩にあたる息が荒くて。ヒル魔は武蔵の動きに腰を合わせた。
ぎりぎりまで、鏡を見て。それから、目を閉じて。
全部の感覚で武蔵を意識して。擦りあげられる刺激に、声を上げて。
腰に残っていた熱を、2人は同時に放った。
湯舟に2人でつかって。
軽く頬をなめられて。洗ってやったのたにまだ甘いと言われる。
馬鹿みたいにつまらない会話を繋いだ。
のぼせているようなふわふわした意識。
「大丈夫か」
平気だ、と意味を込めて武蔵の肩口に顔を埋めた。
ヒル魔の着ていた服は浴室の端でぐっしょりと濡れていて。
仕方ねえだろという言葉に不満だというスタイルを取りながら。
武蔵のシャツを借りて羽織る。
年は同じだと言うのに。シャツは大きくて、伸びた襟回りから肩が出そうだ。
長い丈は、ちょうど膝の上まで。
「微妙にエロい」と感想を漏らす武蔵を軽く蹴飛ばして。
上半身が裸のままの武蔵に抱き着いた。
「そのままじゃ、風邪ひくだろ」
言った言葉が、その通りに受け止められたのかどうか。
笑って、武蔵がヒル魔を膝の上に抱き寄せた。
そうして。少し、話をした。
だんだんとお互いに口数が減って。
最後には何もしゃべる事がなくなって。
ただ、黙ってお互いの額を肩に載せて。
静かで、落ち着いた時間を過ごした。
次にいつ会えるのか、わからないけれど。
ヒル魔はとろとろとした眠気に襲われながら考える。
次に会ったら。もっと話をしよう。
武蔵の話を、今度は最後まで聞きたい。
今までに知らなかった事。
何をしたいのか。
何をして欲しいのか。
自分はそんな武蔵に何をしたいのか。
全部を、話そう。ゆっくりでもいいから。
そうして、その時には。
お前はそんなに酷い奴じゃ無いと。
しっかり否定してあげてから。
だって、俺が惚れた男だからと。
教えよう。
だから、お前はそんなに酷くも無いんだぞと。
多分、武蔵が思っている以上に自分は笑ったり、
怒ったりする全部に振り回されている。
口に出すのはしゃくだけれど。
今すぐにはなかなか伝えられないけれど。
いつか、それを伝えたいと思った。
今は、ただ。
この心地よさに浸っていたい。
武蔵が乱暴な仕種でヒルマの髪をタオルで拭う。
その、布の下で。
そう遠く無いだろう未来を思ってヒル魔は小さく笑みが洩れた。
今はまだ秘密。
武蔵に秘密。
話したい事がたくさんある。
職場で事務の女性に不便だと言われて。そういえば家に使っていない物があると言うと、頼むから持ってきてくれと頼まれた。
同居人のヒル魔も高校に入ってから身長が随分と伸びた。もう使う事は無いだろう「それ」を翌日には会社に届ける事を快諾した武蔵は、そういえば問題の「それ」の姿をしばらく見ていなかった事に気がついた。
最後に使ったのは、いつだったっけ?
ヒル魔が、まだ背が小さかったころ。使った場所は玄関。
それだけをしっかりと覚えていて武蔵は照れる自分をごまかすようにがりがりと頭を掻いた。
一人で留守番をしている最中に見知らぬ男が部屋に入り込み。酷い暴力を受けたヒル魔は、それ以来一人で過ごす時間を何より嫌った。帰宅する時間が遅い武蔵にあわせて、いつのまにかヒル魔の帰宅する時間も遅くなった。それまでの時間を一体どうやって潰しているのかは分からなかったが、10に満たない年の子供が夜遅くまでを外で過ごす事はあまり誉められた物では無い。
当然、早く帰れと言ってみた。
それを、簡単にうんと言う相手では無いけれど。
子供の夜歩きはあまりに危険だ。何かが起きてからでは遅すぎる、と思っていたころに。
ごたごたが重なって、約束していた休みが仕事で潰れた時。
ふて腐れたヒル魔に謝り倒して出かけた武蔵が自宅に戻ったのは夜10時。
そこに、ヒル魔がいない事に愕然とした。
恐らくどこかで武蔵が家に戻るのを見ていたのだろう。
武蔵におくれる事数分で帰宅したヒル魔は、まだふて腐れたそぶりを見せている。
「今まで、どこに行っていたんだ」
いつものような「ふり」ではなく、本気で顔が険しくなる。
ソファに腰掛けて、じっくり話をするためにそばに座れと招き寄せれば
ヒル魔は当たり前のように膝の上によじ登る。
「てめえだって、遅かったじゃねえか」
叱られている事を軽くかわし、向かい合うように座る子供は顔を武蔵の胸に埋める。
「お前いくつだかわかってんのか」
「約束やぶった癖に、説教なんて聞きたくねえぞ」
家にいる時、いつも武蔵に付きまとう事はもう日常の光景。
こうして、叱るべき事を本気で口にしている時でさえ。
ヒル魔は悪びれた様子も見せずに甘えてくる。
結局は、ほだされる。
自分を無防備に頼ってくる小さなこの子供は、とうに武蔵の手に負えない存在だ。
どうすればこいつに「はい」と素直に言う事を聞かせてやれるだろう。
どれだけ自分がヒル魔に甘くても。これだけは、しっかりと言い聞かせてやらなければならない。
ふと、伸びっぱなしだった顎に小さな手が当てられて、とっさに武蔵は顔を反らした。
「なんだよ、嫌なのかよ」
最近。
どこで覚えてきたのかヒル魔はやたらと武蔵に手を伸ばす。
何を考えているのか、キスをねだる。頬を寄せる。
あの事件以来、やたらと抱き着く癖や一人が嫌だと軽い退行を見せていたから、今回もまたそんな一過性の物だと思っていたのに。黙ってヒル魔がしたいようにさせていると、行動はエスカレートするばかりだ。
立ち上がって歩き回れば、ヒル魔の身長ではとうてい武蔵の顔に近寄る事は出来ない。
だから、こうしてソファに座る時、体をかがめた時。ヒル魔は武蔵に寄り掛かって、頬を寄せてくる。
したいようにさせてやれば、唇が押し付けられる。ちゅ、と音を立てて。軽く押し当てるだけのキス。
親愛の情にしては、しつこいぐらいにくり返される回数。
眠る前に。朝起きた時に。出勤時に。帰宅の時にも。
身長差がある事を本気で悔しがり、ぴょんぴょんと飛びかかるヒル魔の、全部に言う事を聞いていればキリが無い。
仕事の忙しさ、家にいる時間の短さに比例するようにヒル魔は密接につきまとい、邪険に扱えば拗ねたように帰宅する時間が遅くなる。夜遅い行動は、家で待つ武蔵の焦燥感を煽る。
どうにかしなけりゃならないと思うけれど、簡単に言う事を聞くような相手では、ないのだ。
小さな頭が伸び上がってくる動きを難無くかわしながら、どうすりゃいいかと考える。
「なんでよけるんだよ……」
不機嫌そうな言葉に動きをとめると、小さな細い腕が首筋にからまって。すがりつく。
子供の腕の力など、強引にほどく事はできるのに。それをしない武蔵の甘さをヒル魔は知っている。
柔らかな頬に、鬚のあとがじりじりと痛いだけだろうに。
たばこ臭え、と小さく呟くこの子供にどうやって言い聞かせればいいのか。
ヒル魔がしたいように、させておきながら。武蔵はため息をついた。これだけ密着されればたばこも吸えない。
どうしたもんだか。
眉間にしわを寄せた武蔵を、至近距離からヒル魔が見上げてくる。不満そうなその表情に、これ以上どんな不満があるのか、いっそ聞いてみたい気がしてならない。
「俺に、早く帰っていて欲しいならな」
しぶしぶ、という口調で。ヒル魔が顎鬚を指の腹でなぞりながら口を開く。
「条件、あるぞ」
「なんだ条件って」
ヒル魔が条件、と言い出して。何をぬかす、わがまま放題なくせにとつっぱねかけたが。
こうやって口にハッキリと出す要求は少なかった事に気がついて興味が湧いた。
何かが欲しい、と子供らしい駄々をこねることは案外少ない。
「お前、俺を避けるな」
「……なんだって?」
「俺がしたいって言ったら、ちゃんとちゅー、させろ」
「……………そりゃ、無理だろ」
「なんで!」
妙な事を言い出されて、とっさに子供の教育上によくないと否定してみたものの。
良く考えてみる間でも無く嫌がる理由なんて、これっぽっちもみあたらない。
けれど。
いくら家族同然の同居人とはいえ、そりゃあちょっと変わった習慣なのではなかろうか。
懐かれる事は嬉しくても、どこか危険な一線を超えはじめている気がするのは気のせいだろうか?
「いちいちお前の前にしゃがめってのか?」
とりあえずの、軽い拒絶。
けれど、一番もっともらしい理由を突き付けてやる。
「そういうことは、俺に背が伸びてからにしろ」
素直に言う事を聞くとは思わなかったが、これでいくらかの時間稼ぎにはなるだろう。
と、思ったところで。ヒル魔がいかにも嬉しそうに目の前でにい、と笑ってみせた。
「お前は、そう言うと思ったんだ」
そう言って。ぴょん、と膝の上から飛び下り、あっというまに玄関へと駆けて行く。
「おい!こら!」
外に出るためでは無いらしい。
すぐにリビングに戻ってきたヒル魔が手にしていた物は。
子供と同じぐらいもあるような、アルミで出来た簡易の脚立。
ちなみに。言い出す前に態度にあらわれただけで察したムサシがヒルに買い与えているからで
子供らしい欲求が少ないわけでは無いと思いますよ。
| 2000年01月09日(日) | 亭主関白宣言再び |
先日再起動最中にぶち消してしまった内容を記憶手探りに書き直し。
全国亭主関白協会
武蔵を亭主関白の何段に設定するかでその人のムサヒル度合いが変化するのではないかと思う。
(当然逆もまた然り。股叱り。自分の股に向かってこら!と叱りつける武蔵もまた可愛いらしい)
(ヒル魔に酷いことしたのは俺じゃなくて股間です、という責任転換するのもよし)
(折角その気になってるヒル魔に対して勃ちあがらくなった股間を叱りとばすもよし)
(なんか一回消してしまった事をなかったように格好良くまとめようとしている1行目に対して)
(所詮やまだなのでかなり話が乱れてちぎれて非常に収集が付かない模様。)
亭主関白段位リストを見ていて
8級 武蔵が「お茶」と言ったら、ヒル魔がお茶をほんとうに持ってくる人 という場合と
8級 ヒル魔が「お茶」と言ったら、武蔵がお茶をほんとうに持ってくる人 という場合とでは
あまりにシチュエーションが違ってしまう。
どっちがいいのか。
どっちもいい
声を大にして言おう。
どっちもいい
7級 服や下着を平気で脱ぎ散らかせる人
これだってもうどうして良いのかわからないぐらいいい
シチュエーションで言うところのラピュタでシータが海賊船に乗り込んで
家事手伝いをしている最中に「いい」を連発する船員の気持ちで。
この亭主関白段位認定の1行1行にホモが広がる。
帰宅した武蔵がアッという間に裸体になって「飯か風呂か、それとも俺か?」なんて
スゥイーツワードを待つことも出来ず玄関に迎えに来た奥さんをはあはあがばあ!の
「 服や下着を(玄関で)平気で脱ぎ散らかせる人」
帰宅した武蔵がお風呂の前にベットインの前にヒル魔をどんどこ脱がしてしまう。
「 (ヒル魔の)服や下着を(罵倒も抵抗も物ともせずに)平気で脱ぎ散らかせる人」
宅配兄ちゃんやセールス相手。あげく野外の公園や部室の中などの場所で
「 服や下着を(人前で)平気で脱ぎ散らかせる人」
これで7級だなんて凄すぎる‥‥。やまだの脳が焼き切れそうです!
まあどこで脱いだって平気だろ!とばかりにばんばん脱いでヒル魔にけっ飛ばされて
脱いだ下着とか靴下とかを顔に投げつけられていそうな武蔵ですがだけど逆に
ヒル魔がそんなやんちゃな面を持っていらしてても素敵です。
武蔵が怒ったようにそれを拾い集めて叱っても言う事聞かないから
脅し文句としてパンツ片手に「臭い嗅ぐぞ!」て言って逆に首の骨折られるとかね。
悪癖がぴたりと収まるとかね。
これ書きながら隣りに表を置いてちらちら見ているのですが
とにかくどの文章も酷すぎる。やまだに一体どうしろと言うのか。(どうもしねえよ)
3級 女房がつくった料理に「もうちょっとだな」とダメ出しができる人
ちょっとしょっぱい時
武蔵の帰りが遅くなって、寂しさのあまり料理に涙が入ったからです。
ちょっと甘い時
お鍋の蓋を開けて「愛情!」って叫び過ぎたからです。(ネタが古い。)
ちょっと辛い時
料理が俺にヤキモチ妬いてるぜ。(もう意味わかんねえ)
ちょっと冷えてる時
食事の前にエロエロしすぎ。
ちょっと味が足りない時
調理中に後ろから奥さんにちょっかいかけてしまったため塩こしょうを忘れました。
そんな過程が浮かぶようです。新婚だからってふざけるなよう!!
(ふざけているのはやまだの頭だ)
そして武蔵の口から漏れる一言。「もうちょっとだな」
「口直しにはお前のキッスが一番だな」とか。
当たり前のようにチュウする2人。
ヒル魔とのちゅう前提に食事していりゃ、どんな美食も色あせるて事!
海原雄山は美食倶楽部存続のためにヒル魔抹殺を企てたとの噂もあります。
さっすが亭主関白。どこまで行っても勝てる気がしません。
(やまだはだんだん自分自身を止められません)
先日採血の結果で「血糖値低め」と医者に言われました。
連日連夜ムサヒルで補っているというのにまだまだ摂取しろというのか?
上質の菓子は甘さ分が控えめになるとはよく言いますが
ムサヒルは摂取しても摂取しても体に優しい最上級のスイーツですね。
お菓子がなければムサヒルをお舐め!と言わなかった
アントワネット様のお心遣いが心に染みます。
(血糖値と白血球とガンマの数値が低すぎでしたが)
(昼飯抜きで病院行ったからだなあと思います。貧血だったし)
ええとさて。どこまで書いたかな。そう、3級。
目的地は4段。遠いね。
2級 「あなた!ちょっと!!」と呼ばれた時、足をもつれさせないでリビングまでたどり着くことのできる人
なんというかこうお縛りプレイ実行中な2人の日常が忍ばれますよね。
(さらりと普通に言っていますがここからエロが混じっていきます)
武蔵を身動き取れない程に縛ったヒル魔が、その目の前で挑発ポーズ。
指を触れもせずに武蔵をその気にさせつつ、自分で脱いで自分で慣らして
自分で武蔵にのっかっちゃうというサービス満点お色気プレイ。
武蔵を縛った紐が緩んで来たから今度はヒル魔が逆に縛られちゃって
組んずほぐれつとはまさにこのような光景を言うのですね。
中途半端に縛り付けたまま抱き合って就寝。
翌朝手足にしびれが残ってしまって呼ばれて飛び出てバッタンドッターーン!
武蔵がリビングのヒル魔を押し倒すように床に転倒。
もちろん亭主関白ですからうっかりテーブルの下敷きとか戸棚の下敷きとか
そいで夕べのロープなんかも複雑にからまっていて密着&脱出不可能。
もぞもぞしながらだんだんとピンクな空気が満ちあふれてきて
不自由な体勢のままニャンニャンニャオーン。
この場合問題になるのはこの物語のタイトルが「ヒル魔100%」なのか「新妻100%」なのか。
「亭主関白」という文字が1%も見あたらない所にも頭を抱えたくなります。
あと、
『家具の下敷きになったヒル魔の様子がだんだん変です。
顔が赤くて呼吸が変で、武蔵の重さに辛そうです。急いで脱出を試みる武蔵は
手をのばしてオリーブオイルをつかみました。
「待ってろ、ヒル魔!これでお前を楽にしてやる!」
さあ、ヒル魔さんの運命やいかに?最も複雑にロープが絡んだ下半身をもぞもぞされて
ますます呼吸が乱れています。一体どうすれば良いのでしょうか?
混乱した武蔵は思いきって人工呼吸!渚のビーチは危険が一杯!』
とか事態を完全に見失っているやまださんにも頭を抱えたくなります。
1級 自分だけさっさとイッても「それがどうした」と言える人
2人は若いし回復力もスゴイから1回出したぐらいじゃまさに「それがどうした」てもんで
お前が出すなら今度は俺だあーー!て勢いと愛が感じられる一文です。
心持ちノーマル状況で武蔵1に対してヒル魔2〜3が望ましいのですが
武蔵がスタートが早くてフィニッシュも遅い人なのか
スタートが遅くてフィニッシュが早い人なのか。
どちらにしてもファンブックの「スピードに難あり、パワーに自信あり」みたいな
チャート式からはずれてないので上記の文章も公式に認められる事でしょう。
初段 買い物に行ったとき、荷物を持つことを断れる人
「俺の両手はお前専用」
たくさんの荷物を抱えたヒル魔さんを武蔵は軽々持ち上げます。
「お前、いつの間にこんなにたくましく‥‥」
真っ赤になりつつ照れるヒル魔に武蔵は優しく微笑みます。
「お前のためなら俺は奇跡を起こすのさ」
武蔵だったらシティーハンターのもっこり3点抱きとか出来そうだ。
超能力で10tの重りを宙に浮かせているとみせかけて、もっこりパワーで
重りを支えるシーンもありました。村田先生、そういう路線もありですよ。
気が付けば厳現ジャンプには冴羽僚的キャラが不在です。
いちごも終わった事なんですし、
旧名作に従った新しい「男性読者へのアプローチ」てことで
武蔵をリニューアルどうですか。
二段 ゴミ出し、風呂掃除などを断ることができる勇気のある人
ゴミ出し当番は武蔵でもヒル魔でもありません。
おや、と不思議に思った貴方。壁にかかった当番表を見て下さい。
可愛いハートが描かれていますね?察しの良い貴方は既にお気づきでしょう!
そう!2人で!
レッツ トゥギャザー!
ラブラブチャーミーに手をつないで、ゴミ捨て場までの短い逢瀬!
♪チャーミーグリーンを使うと〜 手を繋ぎたくなるぅ〜〜ぅ〜(ロケ地 函館八幡坂)
ゴミを捨てれば武蔵は仕事へ。ヒル魔はお家に帰らなくてはなりません。
名残惜しい。手を離したくない。
そんな思いで見つめ合う2人。
武「お前から離せよ」
ヒ「そっちから離せばいいだろ」
武「じゃあ、1,2の3で同時に離すぞ」
うつむいてもじもじするヒル魔。にやにや見下ろす武蔵。
1,2のさ‥‥
とたんに、武蔵がヒル魔の指をぎゅっと強く握ります。
驚いてぱっと顔を上げたヒル魔に武蔵が優しく口づけします。
「今日、家に帰るまで。1日中お前のコトを考えているぜ」
「俺だって‥‥‥‥何万回だって考えててやる!」
跡取り息子がこんな具合じゃ、武蔵工務店潰れるな。
お風呂掃除は割と普通に手が空いた方が進んでヤルと思うのですが
ある日間違えて混ぜるな危険を混ぜた武蔵。毒ガス発生!
同じく洗面所で作業していたヒル魔は驚いて駆け寄りますが
武蔵は内側から鍵をしめてしまいます。
「馬鹿!何やってんだ!開けやがれ!!」
「俺は、いい‥‥。ここを開ければお前にもガスが‥‥」
「いいから開けろ!」
「やめろ!!」
強く否定する武蔵の叫びに、ドアを叩くヒル魔の腕が止まります。
「いいか、よく聞け。このドアは開けちゃだめだ」
「武蔵っ!!」
「俺は、お前と結婚できて本当に幸せだったんだ。もう思い残すコトは何も無ぇ‥‥」
「糞!!ここを開けろ!」
「最後にお前を、一目‥‥見た、かっ‥‥‥‥」
「ムサシィーーーー!!!」
がくっ
ドアが緩んだ瞬間にこじあけたヒル魔は毒ガスの中に飛び込みます。
「馬鹿、やろう‥‥‥‥」
「馬鹿はてめえだ」
「ああ‥‥‥‥キレイだなぁ‥‥」
弱々しく差し出される武蔵の手を強く握るヒル魔。
「一つだけ、頼みがある‥‥」
「なんだ」
「俺が死ぬまでの間だけでいい、俺を愛していて欲しい‥‥」
「なっ‥‥」
「俺は死んでもお前を愛して‥‥ぃ‥‥」
(笑顔で)かくっ
「ムサシィーーーー!!!」
多分ヒル魔が握っていない方の片手は尻とか太股に伸びているね。間違いないね。
あと病院にかつぎこまれても「病室でセックスお断り!」つって
1日で追い出される気がしないでもない。
あとこんな話しておいてなんなんですがヒル魔がドア開けたらあまりの毒ガス充満ぶりに
ドアばたん!て閉めてガス晴れるまで雑誌とか見てるヒル魔ちゃんとかなんかも素敵。
だって武蔵はヒル魔を置いては絶対死なないと信じているから!
なんて美しい純愛ラブ!
そうしてここの日記を見ている人はそろそろやまだにムサヒルの正しい形を
レクチャーしたほうが良いと思う。
四段 隣がピアノを買ったとき、うちはピアニカでいいとキッパリ言える人
長かった。ここまで本当に長かった。はい。4段です。消してしまった日記の部分です。
ピアノが欲しいとおねだりするヒル魔にピアニカ買ってくる武蔵のお話に到着です。
しかも酔っぱらいです。千鳥足です。
寿司の折り詰め縛り的にピアニカぶら下げてご帰宅です。
おみやげだーー!とヒル魔に差し出し、スパコンコーン!と叩かれます。
そりゃあピアノとピアニカは共通点が「ピ」しかない。
ヒル魔が怒るのも当たり前だ。
だけど武蔵には夢があるのだ。
ヒル魔の可愛いお口の先がちょこんと黒い「アレ」をくわえる。
そりゃあ男なら誰だって憧れて止まない光景ですよ!
ぶうぶうふてくされるヒル魔に向かって「まあ一度ぐらい吹いてみろよ」
言われてしぶしぶそれを広げて、口にくわえて息を吹き込み。
ふしゅーーーー。
あれ?
変です。音が出ません。
頬が赤くなるぐらいに必死で息を吹き込んでいるのに。
どうして音が出ないのでしょう?
見ていた武蔵はヒル魔に向けて、指を一本突き出します。
「これ、ピアニカだと思ってちょっとくわえてみろ」
大人しく言われるままに指をぱっくん。
「ああ、そりゃダメだ。歯でしっかりくわえすぎだ。もっと緩くでかまわねえからそのままちょっと息吸い込んでみろ」
おや?武蔵さんが何かおかしなコトを言い始めましたよ?
「舌の先でな、くわえたやつの先からゆっくり舐めていくんだ」
1本だった指の数が、2本3本と増えていきます。
「息が漏れないように唇もう少しすぼめてみろ」
涎が手首まで垂れる程、何度も武蔵はヒル魔に「ピアニカの練習」を教えます。
「よし、それじゃあ今度は「縦笛」で練習するか」
かちゃかちゃとベルトを外し、勃ち上がった物を取り出します。
縦笛。日本古来の言い方で、「尺八」って言うんだけどな。
いそいそとヒル魔ににじり寄る武蔵ですが果たして練習の結果はいかに。
翌朝、マンションの住人は廊下で眠る武蔵さんの顔に涙で濡れる一筋を目にしたと言います。
武蔵もあんまりおふざけが過ぎるとヒル魔に離婚されちゃうぞ!
ここに来てだんだんとエロ度が高くなってきました。
さすがに段に上がると世界が違います。
ムサヒル番外地っぷりも良い感じです。
いっそやまだは地の果てに向かって1人で妄想をつぶやく方が余程世間に優しいといい加減気がつけ。
続きます。すみませんエロが酷い事になっております。
やまださんは、誰かに止めてもらったほうが良いと思うよ。
5段から先へ
| 2000年01月08日(土) | 手塚治虫 実験アニメーション鑑賞 |
[手塚治虫 実験アニメーション鑑賞]
とにかく凄い。
アニメ日本の黎明期と言われるだけの作品だけあった。宮崎監督けなしてたけど。
ケーブルテレビ最高です。これを見るために会社を早退。(最低)
つうかDVDがまじで欲しい。
特に気になった作品が[ある街角の物語]
ポスターが踊るというシーンがあるのですがどのポスターもみな、
花岡さんが作ったと思えるような凄いセンスのものばかり。
ぺたりとはりつけた色紙のようなラインがはっきりすっきりシンプルで
直線と曲線だけのデザイン性に飛んだものから
そこに違和感なく入る落ち穂拾いにピカソにムンク。
ビアズリーのサロメがあった。ところどころの演出はエッシャだ。
場末の女シンガー 警察 刑務所 いろいろなシーンを描いた
素晴らしいポスターたちの手拍子演奏。
背景は水彩じゃない。荒れたタッチで塗り残した下に地の色を見せてる、
濃くて奥行きと濃淡があって、なのに動きを邪魔しない。
色彩の感覚、画面を流れる動きの連続、天才つうのはこういうものを
コンスタンスに創りだせてこそなんだなと。
アニメという手法でのみ創りだせる動きの数々が
自然に音を列ねていると言うか
アニメらしい一つの動きに周りが影響されて
連鎖してリンクして音を繋いでいるというか
「動く絵」というものが、とても綺麗。
まさに手塚氏のアニメに対する憧れを見せつけられた感じがします。
かの方はアニメをこんな風に捕らえていたのかなあ。
大衆アニメのお手本のような(良い意味でも悪い意味でも)ディズニーに
強く憧れを持ちながらこういうあまりにも大衆受けしないものを
作ってしまったあたりに何とも言えないものを感じました。
この人は物語性を持つシナリオに合わせて動く映像よりも
無声映画とか声優なしアニメとかそういうものを作った方が
いいのじゃないかなあと思いました。
どんな些細な絵の動きにも全部に意味と物語がある。主張と流れと意思がある。
制作者サイドが動きを作っているのでは無く、不自然では無い
それでいて先が見えないとても「よく動く」アニメ。
よく動く、という日本語にいくつもの意味を込めたいアニメ。
一つのカットも、一つのコマも、意味の無いものはまったくない。
正直、手塚氏のアニメ化作品というのは
初期型以外はあまり好みではないというか元が持つ素晴らしさが
どうしてもアニメで表現できていないのではないのかなあと感じます。
動かない絵で受けた感動が大きすぎるから動くものに「さらなる何か」を
期待してみるこちらの過剰なリクエストが原因なのだと思うけど。
だけど初期は素晴らしかった。
モノクロのアトム。海のトリトン。
現在ケーブルで流れている悟空の大冒険とかリボンの騎士とか。
ジャングル大帝レオのオープニングとかの。
あの古びて滲んだ色合い。けしてクリアな美しさが無い。
一つ一つが濃い主張をする塗りかたのあのアニメ。
あれは本当にとても好きだった。
手塚氏のけして「万人向け」とは言えないあの重苦しく
読後感の悪くなる世界があの頃のアニメにはあったと思う。思います。
この60年代のオールドパーおじさんとか
首をかしげる犬とかニッカウイスキーとか花岡さんとか。
西岡兄弟とかプール冷えてますの絵とか。
あんなグラフィックが好きな私にとってこの手塚氏が総監督された
実験アニメーションの数々は好きと言う言葉ではくくれない
素晴らしい作品だと思うのです。よし。DVDを買おう。
この他もたくさんあったのですがどれも素晴らしかったです。
途中時間切れで見れなかったけど。
この他[おす]アニメも所詮「二次元」という演出が光る短編。
漫画的・アニメ的な感情表現の記号が多くあるけれど
これに出て来る記号ってのは中々今は見なくなってる。
使い方が難しいからなんだろうか。
[メモリー]
忘れようとしても忘れられない思い出をアニメで表現。
思い出となるとたくさんの事が「印象」重視となるわけで、
美しいものはより美しく、そこだけが抽出されて美化されるわけで
それを表現するやりかたがとてもシュールで気持ち良い。
誇張された記憶ってのは美しいと思います。
それが作為と自虐と甘えに満ちるからこそ。
エヴァの最終回であった写真を使う手法もこの1962年のアニメみると
ぜんぜんこっちの方がわかりやすいし面白いなと思いました。
(もちろん主題も話も製作背景もきっと全然違うんだろうけど)
[人魚]
水たまりにいた魚が人魚になった。
男は人魚に恋をして手をとりあいながら結婚を誓う。
けれど、彼以外の誰にとってもそれは小さな魚でしかない。
巨大な水槽の小さな魚を指差して「僕の妻です」と紹介する彼は
「想像」が許されない国の住人だったために…………。
必死に彼が主張する「人魚」がまやかしなのだと
まるで拷問のようにくり返しくり返し事実を認識させようと続ける周囲。
最後は悲しい結末ですがある意味ハッピーエンドなのでしょうか。
背景に透ける人や物の演出が好きです。
[展覧会の絵]
曲が好きなのですがかなり全体的のアレンジが強い。(コーラスもある)
ミュートやチェンバロンを多用した具合が素敵でした。
一度では耳の情報と目の情報がリンクしきれなくてもったいない。
あたしが馬鹿なせいもあるけど。
| 2000年01月07日(金) | アヒル。 |
あなた、自分で思うほど女ってもんを分かってないわよ?
鼻先で軽く笑う年上の女の言葉が頭から離れない。
散々自分の下でよがっていながら、今さら何を言うのだろうと。
言い返そうとして言葉が途中で止まってしまう。
阿含は苦労をした事がない。
何かをしようとして出来なかった記憶がない。
うまく出来なかった経験がない。
ある訳が無い。
天才と言う言葉は自分のためにある言葉だ。
女を抱く事もすぐに覚えた。
いくつかの面倒な手続きを踏まえた末に手に入れるにしては、
こんなもんか、という感想しかなかった。
それ程良いもんだとも思えない。
何度かくり返した経験の末にそんな結論を出した阿含へ。
女がそんな台詞を口にしたのはそんな頃だ。
何を言っているのか、意味がわからなかった。
言い返そうとして言葉が途中で凍り付いた。
まさか。
そうだ、まさかだ。
確かめるように手当りしだいに手を出した。
これは、そんな自分の手腕を確かめる、ただそれだけのテストに過ぎない。
気を失った細い体を足の甲でごろりと転がす。
暴れられては迷惑だから、適当なシャツとタオルで手足を縛った。
脱がした後でそうすりゃよかったと考える。
ポケットのナイフで下着ごとズボンを縦に裂き、白い下肢を晒けさせた。
未発達なままの部分を指でなぞりあげるとヒル魔の口から呻きが漏れる。
騒がれて人が来れば面倒だ。
さっさと済ませようと阿含は熱を帯び出す自身をズボンから引き出した。
「ははは、処女の滝のぼりーってな」
薄く汚れた体育マットの上に点々と鮮血を散らしながら逃げるヒル魔を阿含は言葉で更に追い詰めた。
痛いのだろうか、それだけでは無い物も感じているのか、握っている手のひらをゆっくりと動かせばヒル魔はひくりと腹を震わす。
腰を突き出すごとにヒル魔の眉が皺を刻む。色気のない呻き声は今まで聞いた何よりも耳に強く届く。腫れた頬と切れた唇を見下ろすだけで、快感以外の興奮が包んだ。
こちらを睨む顔を見下ろし、そこに何が浮んでいるのかを観察する。
音をたてそうな程睨み付ける視線の強さは衰える事がない。
腰を揺すると目が細くなるのが楽しくてそれを見たくて何度も細い腰を揺すってやった。
痛いと悲鳴を上げない事が不満だった。
食いしばった口からは押し殺したような声が漏れるだけ。
女のように喘げば面白いだろうに。
汗とホコリの匂いが残る薄汚い体育倉庫の一室で、ヒル魔は阿含に犯されている。
ヒル魔は知り合い。自分にしては長く、深い付き合いをしてきた相手。
数少ない同じ趣味を持った同士、親しくなるには時間が必要なかった相手。
目的の為には手段を選ばないヒル魔の態度は思った以上に心地よかった。
禁止と恐怖ばかりをまきちらす今までの世間から、得られなかった物だった。
頭脳だけは一流で、阿含が考えもしない驚くような計画や戦法。
卑怯で、姑息で、ずるくて、賢い。それがコンプレックスから生まれたものだと知るのもすぐ。
トレーニングをくり返しても筋肉のつかない細い自分を嫌悪しながら、阿含を見つめる目の奥には見知ったものが見えかくれする。
お前、凄い。
それでいながらヒル魔は阿含と距離を取らない貴重な人間。
恐れもせずに。
媚びもせずに。
卑屈でもなく諦めでもなく。
阿含の特異さを受け入れたまま対等に並ぼうと振る舞っていた。
対等なんだと思っているのだろう。
それが、阿含のカンに触った。
肩を並べて渡り合おうとする発言と態度。先を読みつくす頭脳と冷静な判断力。
たったそれだけで自分にでかい顔できると思っているらしい厚かましさ。
立場が違うと突き付けたかった。
お前ごときが、俺の隣に?
並びたてると思っているのか?
くったくなく笑い、体が近寄り、肩が触れる。
当たり前のようなその位置でヒル魔が笑う事が不愉快だった。
立場ってもんを、教えてやらなきゃならねえだろう。
思っていたから、ヒル魔を選んだ。
あの女の言った言葉を、くつがえさせるためのテスト。
鮮血に染まりつつあるマットの上で、阿含はしばらく動きを止めた。
ゆっくりだった指を動かし、強すぎる程に上下させてやる。
眉根がゆるみ、頬が火照る。
悔しそうに閉じる口から今までと違う悲鳴がこぼれる。
吐き出してやるためだけにスライドさせて、あと少しらしい所を表情で計る。
目をつむり、息を弾ませるヒル魔を腰の動きで揺らして起こす。
結合している場所からは、止まったはずの赤が流れる。
イけない辛さを味あわせながら、ヒル魔の内壁を味わい、擦りあげた。
最初は、痛いだけでいい。
痛いだけなら、尚の事良い。
苦痛にゆがみ、涙さえ浮んだ顔を見ながら阿含は大きく腰を揺すった。
十分に快と熱を味わい、精を吐き出した後の物をこれみよがしに引き出してやる。
「イイ具合だったぜ、お前の中はよ」
ヒル魔の目線が睨み付ける力を増した。
「見た目もサイコー。その辺の女よりてめえの方がおっ勃つぜ?」
萎えかけた部分を再び指で刺激すれば、そこはすぐに硬さを増した。
感じないようにしているのだろう。体内から阿含が抜けたヒル魔は多少の余裕を取り戻したようだが。
それでも出来る抵抗はわずかなものだ。
時間をかけて追い立てたのちに、阿含は手の中に吐き出しを強制させた。
悔しいのだろう、荒らい息のまま横を向き、阿含とは目を合わせようともしない。
「案外、これが初めてじゃないってわけか?」
手の平の汚れた部分を見せつけながら、怒りをそそる言葉をぶつけた。
振り向く顔は憎悪ばかり。
そうだ、それが最初に欲しかったんだ。
見下ろした先で、赤と白に染める下肢。
快感など感じる余裕も無い幼い体。
そこに、教え込んでやろう。
お前が、よがるようにしてやろう。
痛いだけの、未熟なお前に。
突っ込まれる事の気持ちよさ。
俺が、お前に教えてやろう。
嫌っても、憎んでも、それでも突かれてよがるように。
お前の意識と全く別の。
お前が、俺と並べるわけが無いだろう?
きっかけを作ったお前が悪い。
俺とつり合うなんて、大層な事を考えて。
近寄ってきたお前が悪い。
あの女に、わからせてやろう。
本当にわかっていないのは一体どちらだったのか。
この男には、わからせてやる。
お前が誰に近付いたのか。
知らない物など、必要ない。
出来ない事、手に入らない物、遠い物、初めての物。
未知の物。未知の不安。自分を保てなくなる不安定な恐怖の予感。
それは、いらない。必要がない。
突き付ける男、ヒル魔の存在が邪魔なのは。
気に喰わないだけが原因で。
説明の出来ない不快さをすべて阿含はヒル魔に押し付ける。
睨み付けて来る下からの視線。
慣れた視線。慣れた感覚。それがすべて。
ヒル魔からのそれを背中に強く感じながら、阿含は横たわる体を足の先で転がした。
この目線が。苦痛に染まっただけの体が。
この手の中でどう変わるのか。
想像するだけで、笑いが漏れた。
| 2000年01月06日(木) | アヒルのつもりなんですがムサヒル。かもしれない。 |
ファミレスから出たヒル魔は、重く、苦いため息をついた。
2年ぶりの顔合わせを逃げるかどうするか、ここに来るまで本気で迷った。
少しは変わっていてくれると良い。そんな願いをこめた今日。
記憶の中のあいつのまま。
あのまま、歪んだあいつの態度。
胸の奥が、後悔に苦い。
俺があいつを選ばなければ、あいつがこれからどうなるのか、と。
2年前に想像は出来た。わかっていながら、選ばなかった。
想像が崩れてくれればと無責任に願った。
あいつは俺がいなくても平気なんだと、都合の良い事を考えていた。
それは無責任な逃避。可能性の低い希望。身勝手な予想。
結果を知りつつヒル魔は阿含を放棄した。
たった一つを選びたくて、そのために全部を放り出した。
あいつの歪んだ態度と思考。
原因は、俺。こうなることを分かっていて、それでも手を離した自分のせい。
平日の昼、車の数がまばらな駐車場。さえぎるものもなく吹き付ける寒風。
嫌でも思い返される、2年前のあの頃。
いくつもの選択から、ただ一つを選んだあの時。
目をつむれば蘇るのはあの頃の思い。1人繰り返した謝罪の言葉。
[願いの代償]
阿含に出会ったのは5年前。互いに、小さな糞ガキだった。
転校してきたその日の内に、阿含は「危険児」のレッテルを貼られた。
初めて感じる「似た者」の臭い。
強い興味と同族意識を感じたのも、考えてみれば当然の流れだ。
当たり前のように気があい、つるみ、行動は派手に、楽しさも倍に。
同じ学校に通っていたのはとても短い。せいぜい1年。あの頃は、とても楽しかった。
今までに感じた事のなかった感情。
仲間、友達、あてにできる存在、自分を怖がらない者。距離が必要ない間。
あの頃、あいつは俺が好きだと言った。俺も、あいつが好きだと言った。
口にした言葉は、妙に恥ずかしく、すぐに照れで打ち消したけれど、胸の奥に残る思い。
嘘でもなくて、意地でもなくて。
こいつだったら好きになってやっても良い。ずっと一緒にいても良い。
何も知らない分だけ本気で、無知から気持ちは混じりけもなく、知らないままでも続けていられた、損得のない、間柄。何も無くても楽しい毎日。
再び阿含は家が離れ、中学は別。
けれど疎遠にならなかったのは、互いに互いが必要だった。
他のヤツじゃあ物足りなかった。
授業が終われば当たり前のように待ち合わせ、つるみ、
無駄な会話を楽しんで、そうして共に過ごしていた。
何か楽しい事はないかと、愚痴を言っているときでさえ。
暇だと思う閑も無い。
背中合わせの温い体温。誰もが恐れるこいつに近付く、ただ1人。
自分は特別。こいつも特別。
胸をくすぐられる何か。
共に行動することで回りから一目おかれる気持ち良さ。
やる事なす事、気が合った。
暴力を嫌わず、道徳も無視し、口喧しい押し付けも無い。
互いに家が離れていたから、互いの家に寝泊まりも増えた。
このままいつまでもだらだらと一緒にいられると思っていた。中2の春まで。
全部、あいつに出会うまでの話だ。
春から、夏へ。
季節が変わる最中に、たくさんの事が変わり尽くした。
手にするものは初めてばかり。
自分が無知だと思い知らされる。
些細な事で心がびくつく。挙動不振になる自分。
今まで何をしてきたのだろう。今まで、何を見てきたのだろう。
不思議な程に、総てが変わった。
町並みの色。空の明るさ。土ぼこりの匂い。汗のべたつき。
伸ばされる手。ぽかんと見開く目。単純な会話。裏の無い言葉。
鬚のある顎。ガキ臭い笑い顔。馴れ馴れしい馬鹿。
目を逸らせない程の、馬鹿。
好かれたい、と初めて思った。
自分からも、手を伸ばした。触れるか触れないかの所で手を下ろした。
おずおずとそれをくり返し、指がなぞるのは体温が残る椅子。脱ぎ捨てた上着。
黙っていられない気持ちがあった。
伝わらない事が歯がゆかった。伝わらなくて、ほっとしていた。
気がつくと目が背中を追う。
頭の中から消えない存在。
時に気持ちはイライラと波立ち、些細な小さな事が気に触る。
穏やかで満ち足りた気持ちも増えた。原因はあいつ。
自分以外にむけられる、あいつの悪意の無い態度。
嫉妬。憎しみ。怒り。空しさ。自分はとても心が狭い。
気が短くて、みっともない。こんな醜かったのだろうか、何度も自分を嫌悪した。
恥ずかしい思い。隠せない感情。押さえられない鼓動。吸い付けられる目線。
一挙一動に一喜一憂。
何もかもが気になって、思う気持ちが熱になった。
初めて、誰かに欲情した夏。
触れる事。重なる事。相手が自分の体に悦ぶ事。顔。声。熱。鼓動。
それが嬉しくて楽しくて、泣ける程に幸せだった。
武蔵を好きになった夏。
阿含にも、栗田にも、他の誰にも。こんな気持ちになった事はない。
暗く、重く、何にも変える事の出来ない、とても歪んだ強い欲求。
好きという気持ちが素晴らしいなんて。一体だれが言ったんだろう。
まるで直らない病のようだ。深まるばかりの底のない感情。
手に入らないのが嫌だ。
失う日が恐い。
単なるエゴの塊になる。
これを、気づかれないはずが無い。
自分を世界で一番と思う、信じて疑わないあの男。
周りに求めるのは服従と支配。ただ唯一の例外に選ばれた自分。
嬉しかったのはほんの一瞬。
すぐに覚えた「濃い」付き合い。対等という関係の他の意味。いくつもの側面。
武蔵の態度に比べてみれば、あまりに奇妙な阿含の態度。
無言で押し付けてくる強い妄信。
『俺がお前を見ていなくても、お前は俺を追いかけろ。』
暗に求められる絶対の「好意」。
特定のコール音を黙殺する数が、次第に増えた。
ちらちらと見えかくれしていた結末。
早く結論を出すべきだ、と。わかっていながら先送りにした。
卑怯な事をしている自覚は、随分前から持っていた。
求められているのは「好意」。向けられるのも「好意」。
けれどそれは片寄った物だ。
俺1人だけを見ていろと押し付け、他の総てを否定するやりかた。
阿含との付き合いが重くなる。息苦しささえ、感じてしまう。
楽しかったのは嘘じゃない。
好きだと口にしたのも本当。
気分次第で殴られる事もある。
殴り返すのも嫌いじゃ無い。
阿含はけして、嫌いでは無い。
なのに、重い。
笑いあえない。
気分が晴れない。
どこか、重い。
機嫌次第で変わる態度。
どれだけ楽しく話ていても、空気はとても急変しやすい。
気を使わない気安さはある。
多少の不機嫌程度には慣れた。
自分の思うままに感情を外に出す素直な阿含。
それが自分は嫌いじゃ無い。
強い力を持つ目。
押し寄せて来る好意。
要求ばかりを押し付ける圧力。
阿含は自分を見ていない。
そばにいれ、離れるな、俺を見ていろ。
俺に満足しろ。
そればかりを突き付ける阿含。
自由で、勝手で、気侭で、我が侭。
目はいつも他を向く。なのにその手は離れない。
自分が何を欲しがっているのか。気がつきもしない、無知な阿含。
だれど自分は知ってしまった。
欲しい物はただ一つ。
口にすれば阿含はきっと自分を手放す。
1か0か。あいつが欲しがる答はそれだけ。
「阿含」以外が大切だと言う、そんな自分を阿含は捨てる。
そうして、あいつはきっと崩れる。
歯止めがきかずに、走り出す。
急な坂を転がりかけるあいつの兆しを何度も見て来た。
自分がいるから、留まっている。
これは自惚れなんかじゃない。判断と分析。純粋な事実。
とても単純な阿含の性格。
アンバランスな、純粋さ。
混じりけのないあの男。他人を曲げても、自分が折れる事は無い。
歪んだ直進。可能にした才能と環境。踏み止まっているのは自分がいるから。
自分を、阿含が好いているから。
「自分」はあいつにとっての代理。
手に入らない物をごまかすための、単なるパーツ。
ギリギリのバランスを取るデッドライン。
離れれば、何が起きるか。想像は容易い。
それが恐い。それが辛い。それは嫌だ。
けれど阿含は選べない。
阿含だけを見てはいられない。
もう知ってしまった、覚えてしまった。
あの濃さ。あの熱。あの息。あの声。
無かった事にはしたくない。
突き放せないまま時が流れた。
2年前。
妨害された、栗田の道。俺達の道。クリスマスボウルへの一番の近道。
いつか、こんな事になるだろうと、思いながらも伸ばしたツケ。
先送りにした「決着」は、想像したより惨く重く、拍手したくなるほどの陳腐なものだ。
俺が、もうあいつを追いかけないという事。
戻ってこいとぶつけられた、痛い程の阿含の執着。
戻りたく無い、自分のエゴ。
悪意は全部栗田に向った。
原因は自分。回避出来るはずだった結末を、破裂するまで放置した自分。
武蔵を選んだ自分のエゴ。
あれから、2年。
多分同じ選択を迫られば、同じ事をするだろう今の自分。
最後に阿含に出会った時。
多分あれがチャンスだった。阿含が「戻って来い」と示した、最後の最後の、最後のチャンス。
あの時、あいつの手を取れば。
あの時、あいつを選んでいれば。
あの時、あいつの願いを叶えれば。
こんな未来は無かったはずだ。
3人で神龍寺の門をくぐり。
クリスマスボウルへの道は容易く。
困難も苦悩も泥門でのそれにくらべればわずかな労力で、きっと楽しくやれただろう。
武蔵を捨てる、と、決断すれば。
迷いも無く、自分は狭い道を選んだ。
栗田も捨てた。阿含も捨てた。俺は選んだ。
武蔵を選んだ。
徹底的に歪む阿含も。呆然とただ立ちすくむ栗田も。
わかった上で武蔵を選んだ。
武蔵が、好きだ。
冷えて来た駐車場の片隅でヒル魔は空を見上げた。
酷い事をしている自覚。
酷い選択をした自分。
許されなくても構わない。
自分の選んだエゴの道。
ただ、武蔵がそばにいればいい。
多分、自分はくり返す。同じ事。同じ状況。同じ選択を迫られるのなら。
何度でも、いくらでも、必要な物を手放すだろう。
きっと自分は武蔵を選ぶ。
胸が重い。息が苦い。これは代償。
武蔵を好きになった、代償。
重ければ重い程、伏せた顔に笑みが広がる。
苦ければ苦い程、それは陶酔の甘さに変わる。
武蔵を選んだ、高くつく代償。
何物にも変えがたい、苦く、重い、甘い代償。
| 2000年01月05日(水) | 皆さん武蔵を好きですかアンケ 結果 |
皆さん武蔵はお嫌いですか(結構切実アンケート)
先日から長々と続いていたアンケート。
お答え下さった皆さま誠にありがとうございました。
深々と熱く厚く御礼申し上げます。実にたくさんの方々に
お答えいただきまして、また素敵コメントなどもついておりまして
「武蔵」が主語のメールがこんなにたくさんいただけるなんて!
やまだ嬉しくて嬉しくてアウトルックと毎晩お話しておりました。
いやー、でも結構武蔵ってだめじゃん?あいつダメ男じゃん?なんて。
一種ののろけです。(やまだ何を食べてそこまで馬鹿になったんだ)
さて、まずは普通に集計させていただきます。
尚、同じ方が複数答えていらっしゃる場合も別口として答えております。
(記名して複数押して下さった方々。ありがとうございます)
【項目】
嫌い 長髪からだめ
モヒカンてどういうこと(モヒカンて)
見ていてむかつく (むかつく)
受けじゃなきゃ好き (受け嫌) 好き
【結果】
50% 好き
13% 受け嫌
7% モヒカンて
4.5% むかつく 好き
モヒカンて むかつく 好き
3% むかつく
モヒカンて 好き
モヒカンて
長髪からだめ 好き
モヒカンて 受け嫌 好き
1% 長髪からだめ モヒカンて
むかつく モヒカンて
嫌い 長髪からだめ モヒカンて むかつく
このデータから何を読み取るのか?
以下は偏見が混じったやまだのデータ解析結果です。
個人的な偏見と変質した判断と
50% 武蔵を「好き」と答えた人
18% 条件付きで「好き」と答えた人
31% 答えに好きが無かった人
むかつく部分を感じる人 15%
モヒカンて何と感じる人 25%
受けだったらちょっと否 16%
さて。このアンケートでやまだが最大に気になっていた項目つうのがございまして。
一体武蔵に対してどれだけの方が「むかつく」という感想を持ているのか。
それを知りたくて実施しました。やまだは正直、むかつきます。
理由はたくさん有り過ぎてむかつくんですが、だってむかつきませんか。
あいつ最低じゃないすか。見たまんま。
「大した事ないのに努力して努力した」ってフィールドで偉そうに言っちゃったり。
「大した事ない選手だ」って面と向って言い放ったり。
しかもそいつが、理由はあれど、自分からチームを長い事去っていた訳で
問題が解決してないのにまたのこのこと戻って来た癖に態度でかいんですよ?
偉そうでかっこつけていて、そのくせ、そのくせに。
チームを出て行く時だって、自力で悪になりきれなくて
まもり姉に「告げ口」してもらって罪悪感を他人に押し付けようとしたんですよ?
自分が我慢すれば良いって思い込んでる自己犠牲、自己満足、ナルシスト男ですよ?
なのにヒル魔に全部受け止めてもらって、愛されていたりするんですよ?
見ていてみなさんむかつきませんか。
この形式のアンケだと、やまだは「長髪からだめ」で「むかつく」だったのですが
同じ御意見の方はあんまりいらっしゃらなかったです……。
やまだはむかつく程に態度がでかくて腹立たしい、そんなあいつが大好きです。
この引き裂かれるような二つの強い感情の波にざんぶらざんぶら揺れてますが
要は萌えって事です!ラブって意味です!
やまだは武蔵のマニアてことです!基本的な所がこれほど欠点に感じると
今さらなにがどうなったって結構どうでも良いですね。
何があってもすべてが魅力に転じます。
武蔵が誰かと結婚したって、隠し子いたって人殺しててもむしろオッケー。
むしろ早くそうなってくれ。ジャンプの上からあまりのダメさに
追放されてヒル魔がそれを追い掛けて、二人の活躍はこれからだ!
ていうのも素敵な未来だとまじで思います。
ちょっとまじめに。
武蔵は欠点が多く目立つキャラだとは思いますが、
そこが魅力に見える貴重で愛されるキャラだなと思います。
読者にも、作者にも、漫画の中の人たちにも。
そこが愛しい訳ですが、嫌いって言う人も多いのじゃないかなと思う訳で
色々と知りたい事があって始めたアンケでしたが、たくさんの方に見てもらえて
答えていただけて、嬉しかったです。ありがとうございます。
武蔵は愛されてるキャラだと思います。
いろんな所があいつは受け臭いなと思ったりもしますが
最大の理由は、無条件に愛情を受けている、愛されている、
そんな所かもしれないです。
皆さんの武蔵への愛情が聞けてとても楽しかったです。
以下、アンケートにあったコメントとお返事一覧です。
ほんとうにたくさん御意見御感想熱い思いありがとうございます。
尚、武蔵に関して触れていないメールに関しては通常の場所で
お返事させていただきます。>復帰後からだんだん武蔵がアホに思えてきて、〜(略)(SN様 28日 13:10) 初めまして、こんにちわ!やまだもあいつが受けでアホで馬鹿に見えてそこが格好良くてはあはあしてたまりません。大丈夫!全部原作公認!集英社からの「馬鹿キャラ許可」出ました!何を恐れる事がありましょう。No more 我慢!I need アホ!モヒカンは武蔵の特異具合を世間に知らせるグットヘアだと思います。たまらんです。共にこの泥沼にどっぷり浸かって生きていきましょう!アフロになってもちょび髭だって心の底からウエルカムです。 >あーでもピンだったらここまで好きじゃないかも、です…。(28日 17:12) その気持ち痛い程わかります。蛭魔と揃うと光り輝くあの2人。赤い糸にがんじがらめなあの2人。見えない磁石どころかむしろ見え見えの引力が存在しているあの2人。ニュートン先生もびっくりです。万有引力破れたり!ムサヒルの近くでは光さえねじ曲がります。視線が引き寄せられても不可抗力です。時空の歪みはムサヒルのパワーです。ピンだったらココまでの力は発動しません。あの2人に心が揺り動かされるのは自然の摂理なのです!鼻息! >モヒカンムサシが大好きです(28日 20:03) やまだも大層好物です。蛭魔があのモヒカンをいじったりセットしたりベットで引っ張ったり顔を埋めたりするかと思うと2秒で心が臨死します。歩くとひょこひょこ揺れる頭になったのですからこれからはお尻もひょこひょこ振って歩いてほしいものです。私服姿で街を歩いて、グラサンかけてお家に帰って、近所の人たちにひそひそ言われれば良いと思います。「武蔵さんとこの息子さん‥‥」井戸端会議でも大人気です。 >なんか恋してるみたいです…爆笑(29日 13:57) むむっ!お医者様でも草津の湯でもと言われる奴ですか!重症ですね!やまだの病はブラックジャックでも治せません。重態です!ぽちりと好きボタンを押したときのご感想でしょうか。武蔵が出てくるジャンプを抱きしめて胸をときめかせる夜の切なさの感想でしょうか。でも、恋って素敵!だって世界が輝くのだから!ジャンプのお陰で世界は薔薇色。空にあるのは太陽じゃありません。あれは武蔵の笑顔です。 >むさしは攻(30日 00:27) ああ‥‥。まったくでございます。武蔵は攻です。間違いないです。いつもやまだの戯言に苦虫かみつぶしてご覧になっていらっしゃいますか。ムサヒルですよ!武蔵は攻めです!ムサ受けに流されて 変わっていくやまだを あなたは 時々 遠くで 叱って 欲しいです。ハリセンとかで後ろからべしーー!とつっこんで下さい。たてつけが悪くてたまに(え?)暴走してますが、基本は攻め。武蔵は攻め。世界の定説。大丈夫。魂に深く刻んであります。受けだ!と叫ぶのは多分たまに(え?)です。やまだも基本は武蔵攻めです。攻めのあいつも凛々しくきゃわゆい!!です。(おいこら) >モヒカンも好きですよ〜。(略)(蛭魔総受け様4日 07:36 ) 馬鹿なモヒカン男にさえも攻められちゃう蛭魔がとっても可愛いなと思います。武蔵は単体だと受け疑惑が高まる可愛い子ちゃんなのに何故にあれほど蛭魔に対して攻めになれるのでしょうね。オーパーツを解読するより難解なこの謎、世界7大不思議の一つであります。世界不思議発見で朝まで生討論して欲しいものです。黒柳さんが「お黙りなさい。だって仕方ないでしょ。蛭魔は武蔵に攻められたいのよ」と坂東英二あたりにぴしゃりと言ってくれると爽快です。 >どんなムサシでも大好物なんです(5日 0:39 ) どんな武蔵もデリーシャス!世界三大珍味に数えられる日も近いですよ!まずは日本の三大珍味、ウニ、からすみ、このわたにそっと紛れ込ませてみましょう。武蔵ノーマルはちょっと歯ごたえが強いけど、塩辛く濃厚な味はお酒のつまみにぴったりです。大工武蔵は薫製、中学生武蔵は躍り食い、長髪武蔵は洋風アレンジ、モヒカンはピザ味って所でしょうか。 >「死ぬほど好き」っていう欄ないんですか。(略)(6日 0:36 ) おかえりなさいませ!アンケお答えありがとうございます!好きの更に上の項目作っておけば良かったなあとか今さらながらに後悔してますが、Cさんのお気持ちはとてもはっきり伝わりましたよ!やまだと一緒って事ですね!超も新も旧も苺もすべては武蔵に通じております!大丈夫、胸を張って武蔵へ愛を囁きましょう!萌えで世界は救えませんが、腐った同胞の魂は救われます!というか救って下さい。武蔵の語りに飢えております! >偉そうな裏エースならぬ裏主将気取りなとこがむかつきます。バカな子ほど可愛い。かわいさ余って憎さ百倍ってやつです。(2日 17:42 ) ひょっとするとあいつ自分の事「(表)キャプテン」とかと勘違いしてないかなと不安になることが多いこの頃。あれはあいつなりのヒル魔を補佐している態度なんでしょうか。むかつきます。最低男の知ったかぶり。むかわいい(むかつく+可愛い)。むかっこいい(むかつく+格好いい)。むりしい(むかつく+凛々しい)。あいつが何をやっても感想は常にそんな具合。あいつ、まじでむかつきます。態度がでかいって上級生に裏校舎に呼ばれて○○○れればいいのに!萌え! >ムサシがかっこいいことする(言う)たびに「何こいつムカツク!大好き!!」と心の叫びが漏れます。(3日 0:51 ) そうです!やまだも同じですよ!そこなんですよ、むかつきラブ!略すると「むか好き」つうか「むラブ」つうか「む萌え」?あいつなんてケルベロスとかと一緒に鎖につながれてるのがお似合いなんだ!と思うのですが蛭魔の隣りもお似合いだったりしてむかつきます。一生むかつく、だけど好き、みたいなこの状況はいっそ何かの試練だと思って楽しむ事にしています。しているんですがむかつきます。 >大好きなんですけど。蛭魔ファンなので、愛されすぎてて時々むかっと。イラッと来るときが。(略)(28日16:30) あいつまじで愛されてますよね。ため息。あんな態度悪いのに。あんな自分勝手で傍若無人で亭主関白、うぬぼれも強そうなのに。なのに蛭魔に甘やかされてますよねえ‥‥。たまに蛭魔をぶん殴って目を覚まさせたい。あんた目がハートになってるよ!と肩を揺すって起こしたい。蛭魔はなんであんな馬鹿がイイんでしょうねえ。相当趣味が悪いです。モヒカンになった武蔵は、今までの無駄にえらっそうな態度から一転、馬鹿だねえ‥‥。と見守るまなざしも緩みがちです。今後は「仕方ないよね。武蔵馬鹿だから」こんな言葉で自分をクールダウン&ヒートアップさせたいです。 >武蔵はまさに「憎いあんちくしょう」です。(略)(29日23:57) 泥門チームの中で、あいつほど我が儘一杯夢一杯、やりたい放題な奴なんていません。アイシの中で一番の我が儘野郎じゃないですかね。蛭魔が唯一頭ごなしにけっ飛ばせない相手。武蔵。腹立つ‥‥。武蔵ごときが!!どうしてくれよう、誰かあいつの鼻をぺしゃんこにしてくれる人はいないんでしょうか。自分がどれだけ甘やかされているのか少し気が付けば良いのですよ。まったくもう!ほんとにもう!!蛭魔が唯一武蔵を怒ったってぺこぱこなんですから。誰も止められないって事でしょうか。そのうちトラックの前に飛び出して愛を告白しようとしてトラックに轢かれると思います。死ぬ時は蛭魔の膝の上で。死んでも蛭魔の心に住み続ける男。きいーー!自覚ない勝ち逃げ男め!そんなあいつが大好きです。ラブの不思議な矛盾を抱えて今日も生きるやまだは負け逃げ人生です。 >なんでソレにしたのか凄く訊きたい(略)(1日17:48 ) 訊きましょう。一緒に集英社に突撃しましょう。編集とアニメスタッフと村田の家に行ってどういうことか小一時間詰め寄りましょう。長髪をきゅっと後ろで縛ってにっこり笑って欲しかった‥‥。服をぬぐのもままならなくエロ突入、蛭魔が武蔵の髪の毛ぐしゃぐしゃにかき回しながらのメイクラブとかして欲しかった‥‥。部室で。そいで身支度整えて一息ついて、みんなも集まって素知らぬ顔で「練習すんぞ」「蛭魔、俺の髪ゴム知らねえか」「さっき縛ってただろ」「あー!?」てやった後に蛭魔の右手にすっぽりはまってるゴムをまもり姉とかに指摘されて真っ赤になっちゃう蛭魔さんが見たかった‥‥。めそめそ。縛って欲しかったですねえ‥‥。いっそ、モヒカンの頭きゅっと縛って縄つけて引きずり回してしまいたい。 >全部愛ゆえです。(おそらく)(笑)(略)(30日12:57) Kさん!Kさん大好き!Kさんだけだ、嫌いボタン押して下さったの貴女だけです大好き!私も愛ゆえに武蔵がとっても大嫌いです!あっの馬鹿!(力強く)あんの、アホ!(顔を顰めて)そこのモヒカン!頭丸めてわびるならまだわかる、その頭なんだ!お前はどこで何をしたいの!公園?公園エチで覗く人にアピールしたい?「俺達ここにいまーす!」って主張したい?いっそ「こんなモヒカンに押し倒される蛭魔」ってのをアピールしたい?間接的に蛭魔を更におとしめたい?馬鹿!お前が蛭魔に相手してもらってるのなんてお情けなんだよ!ありがたいと這いつくばれ!!世界の蛭スキーに土下座して謝れ!罰としてこれからもあいつは蛭魔に酷い事たくさんしてたくさんして、我らムサヒラへサービスすべきなのですよ!!しかし、武蔵が蛭魔を押し倒すってのが時々たまらなく腹立つのですよねえ‥‥。いつかあいつにぎゃふんと言わせてやりたいです。それは別として、今度メイド蛭魔に酷いことしようメッセとかAV蛭魔さんを泣かせてしまおうチャットなどありましたら是非呼んで下さい。やまだずーーーとしゃべり続けていられる自信がこざいますよ!
| 2000年01月04日(火) | 2006>6月拍手お返事 |
6月25日 水曜日
ジャンプを読んでこんなにも叫び、ハァハァ言ったのは初めてです。〜 楓様
いやあ、ほんとに凄かったですねえ。思い返すと私も今でもはあはあします。生憎手元にあのジャンプ残ってないのですがよりにもよって何を意図してどこをどうしたらそうなるのか。わけわからんのが本音です。変態だ、Mだとは元から知っておりましたがそれを公開する意図がわからない。まさか彼等はそれを公開したとか変態趣味ばれた、とかそういうの思って無いんでしょうか。周りには悟られて無い、とでも思ってるんでしょうか。サトラレ,という思った事がだだ漏れの能力という漫画がありましたが、ヒル魔は武蔵を好きなのが周りにだだもれ過ぎだと気が付かないんでしょうか。なんだか彼が不憫になって来る今日この頃です。6月25日 水曜日
お体大丈夫でしょうか?す、すいません…コンビニうんぬんの〜 様
いえいえ、確かにコンビニ漬けは体に優しく無い食生活ですから御言葉もっともでございますよ!たまにたまに、と思いながらいつもずるずると添加物にどっぷりです。もっとも私は味覚音痴ですのでまずはそこから直せという所なんですが。あらゆる物に酢をぶっかけるのはいい加減、やめたい所でございます。生理は本当にふとしたはずみで止まってしまうので気を付けていきたいところです。ちなみに体脂肪平均値って女性はその数字なんですか。
もーーーーのすげえ、びびりました。私、18から上いった事なくて……。ボーダーラインをいつもいったりきたりしてたんですね。ちょっと筋肉付けたいなあと本気で思えてきました。情報、ありがとうございました!6月25日 水曜日
あまりの懐かしさに思わず手が動いてしまいました。KANの歌、〜 白雪様
どうも!オンリーでは目と鼻の先な位置関係だったのに御言葉を交わす事も出来ず終了してしまいました……。悔しい………。やまだが数人いればいいのに!と思いますがきっと全員で同じ事をすると思います。kan好きでした!というより当時は常に耳に入って来る環境でしたね。あの頃のヒット曲って本当に凄い普及率でしたから……。kanで思い出すのはりぼんで連載されていた「ハンサムな彼女」であの曲が使われておりまして吉住先生の不幸キャラとセットで頭に蘇ります。/やまだロリはずーーとずーーーと語れると思います。かなり好きです。でも自分で活動するより人様のを見るのがもっと好きです。悟空で例えるとクリリンに会う前とブウと戦った時ぐらい違います。純粋に無邪気で卑猥。まさに短縮するとムサヒルって事ですね。ロリの素晴らしさを統べて熟知されていそうな白雪さんと今度体育会系な語りをさせて頂きたいです。最初からジャージ。さらにいつでも横になれるように布団。白い紙たくさん。そんな奇怪な機会が存在しましたら足下に這いつくばってロリをロリと叫びます。(何のこっちゃ)イベントで御会いしたら次ぎこそゆっくり語り合わせて下さい!6月22日 日曜日
>フェチズムのハートシールは毛隠しだったんですね(笑)〜 楓様
いえっさー!オンリーお疲れ様でした!ハートマークということは初期の頃にお買い上げ頂いたわけですね。実はそんなに本がはけると思わなくて途中でハートが品切れ。後はポストイットで代用しておりました。一応20禁という事で本だしてみましたが、中身はちっともやっておらず、なんだかそんなにあんまりだなーって事でしたが表紙で稲葉さんが素敵な毛を御披露下さってなんとか形になったというのが本音です。いつも稲葉さんには助けられておりますですよ……。そろそろお誕生日過ぎられてますでしょうか。20才過ぎましたらばぺりっと剥がしてみて下さい。通販は本日発送させていただきました!イベントでは声かけてくださいよう!チキンで小物なやまださんはいつも不安に震えているのですよ!いつも素敵な武蔵(運輸)と遭遇する楓さんに幸せあれ!
6月20日 火曜日
先程近江さんのサイトで閉鎖という情報を〜 様
特に相談らしい話も受けていなかったので(もともとムサヒルとして期間限定で作った、という話は聞いていました)私も寝耳にみみずでびっくりでした!まあ、びっくりというかあいつらしいというかそういう感想です。何かしたいね、という事で現在もりもり企画進行中ですが、多分ヤツのサイトが無くなっても僕達はこんな具合だと思います。集団でちょろちょろしてますので何かあったらまた覗いてあげて下さい。6月22日 木曜日
>忙しいお仕事の合間でのほんの少しのコンビニ利用かと〜 様
体調の心配までしていただきまして、真に頭が上がりません。ありがとうございます!!やまだはあんまりコンビニが好きではなくてですね。死ぬなあ、と思った時は吉牛かコンビニ、という生活になる時がたまにあります。いえ、割りとあります。コンビニ飯の悪い所は割りとよく耳にしているんですがあの簡単に食物を手に入れられる便利さには負けてしまいますね。日常ではかなり添加物等を避ける生活していますので、プラマイゼロかちょっとだけマイナス、的な生活になっております。トータルでプラスを維持出来る生活が望ましいのですが……。バランスよく、規則的な生活とムサヒルを送るためにも気合い入れて生きて行きたいと思います。御配慮ありがとうございます!6月20日 火曜日
>いつも楽しく拝見してます。もし今後〜 様
どうも、日々日記にいらしてくださり、ありがとうございます。そうですね、語りたいなんて言っていましたね……。その後やまだが何のリアクションさえしていない事を一体どのように思われているでしょう。言うだけかい!なんて思われているでしょうね。正解!その通り!無駄にお心を騒がせるような発言だけしてそのまんまですみません。いつか語る日が来るとは思いますが、その時は別窓開くような形で語ると思います。ただ、ただですね……。世間様で言われるような話にはならないと思います。私は彼等を幸せラブップルには見えない人なので。凄ーい変態的な不幸話をする予定です。なので、確実に別窓です。いつまでたっても王道がわからない可哀想なやまださんです。優しい目で見てあげて下さい。6月15日 木曜日
>41100だったので足跡を…。携帯やまだけ6/11のメモの感じが〜 様
声高らかに叫んで下さい!うちはあんまりキリ番n踏みました−という声が少なくてですね。リクし放題です!つうか、受け付けてもそれを消化するまでが長くて呆れられていると言う説もありますが。あたりさんのリクなんて確か去年の内に頂いた気が。ええと、かなり遅い人なんですが、リクはしていただけるととても嬉しいのでよろしければどん、と申し込んで見て下さい。/やまだのメモはあんなもんです。大事な所を書かずに棒線でごまかすので酷いもんです。6月19日 月曜日
>イベント大変お疲れ様でした!憧れのマシンガントークを〜 様
んどーもーー!マシンガンと言いつつ、実際には水鉄砲のちょろり、ぐらいの威力しかありませんでした。なんか色々とネタとかトークの材料とか用意していたつもりだったんですが当日になってすっかり綺麗に忘れたようです。でもお家に帰って冷静に考えると黙ってて正解だと思いました。「フェチ」は、色々と先が長い話なんですがとことん武蔵が嫌なヤツになってしまうのでやまだはちょっとげんなりしております。今後は「武蔵がヒル魔を理解出来ない」という形で進みます。性癖を理解してくれない武蔵がヒル魔に対しての行動が今後酷いなあ、て具合です。話としては盛り下がる一方です。飼育ネタ。むしろそっちが王道だと思いました。素晴らしい!ぜひ武蔵にはヒル魔をひとりじめして欲しいなと思いました。お買い上げ、感想ありがとうございました!6月16日 金曜日
>やまださん!かなりキワキワな状態なのでしょうが〜 様
きわきわでしたが、今振り返ってみると何をどう極っていたのか謎でございます。結局イベントには余裕で参加できたのですから。喉元過ぎると何とやら。苦労と失敗をさっぱりと忘れ、教訓を次に生かせない予感が今からまざまざとします。イベント当日、やまだの姿は楽しめましたでしょうか。どうにも当日の記憶をひっくり返してみると何をやっていたのか思い出せません。隣のスペース様とも会話は少なく、同じスペース内でもあまり話が出来なかったと言われ、御会いした方々とはほとんど会話も出きず、本は1册も買えませんでした。それでも非常に素晴らしいイベントだったという記憶ばっかりが蘇ります。共にあの素晴らしい会場の空気を味わえただけでも幸せです。次に何かの機会がありましたら、ぜひとも東京に行くつもりですのでこりずに眺めてやって下さいませ!励ましありがとうございます!6月15日 木曜日
>PC復活です!そうそうヒルはムサだけに弱くなきゃ駄目です!〜 様
そうなんですよねえ。というか最近のジャンプがそんな感じですよねえ。登場したての、天下無敵、俺が一番なんだぜYA-HA-!と言っていたヒル魔からは考えられないぐらい凄い事になってますよね。一体どうなってしまうんでしょう。連載終わったら髪の毛さらさら、お目目ぱっちり、セーラー服に身を包んで武蔵の前に現れたりするんじゃないかと思います。ムサヒルでヒルが小さいと、でかい図体が振り回される楽しみもさる事ながら、最近のヒル魔の従順さを考えると紫の上的に「自分好み」のヒル魔を作れるのではないかと思えて来ました。光源氏計画ですよ!ムサヒルというのはどこまでも素晴らしい萌えが潜んでいますね。これからも目が離せませんよ!PC復活おめでとうございます!6月14日 水曜日
>ただいま授乳中。〜 様
はっはっは。だめですぅ〜〜。かっこいいでしょ!かっこいいでしょ!いいだろーー、あたしのもんなんだぜぇぇ!ほんと、1年ちょい前には考えられない事でしたが、現在たくさんの素敵絵師さんに囲まれてムサヒルライフを満喫してます。うらやましいだろ!つうか乳やりお疲れ!そのうち触りにいきますからしぼませるなよ。その乳を。6月14日 水曜日
>隠れ萌え解析というものをご存じでしょうか?〜 様
知りませんでした。何でしょう、結果が素晴らしい事になっていますが、声を大にして良いのであれば、「隠すなよ!」と言いたい所です。天使だなんて!二人の愛が天使だなんて!(そこまで言ってない)学ラン萌えは隠れていませんね。金髪萌えも隠れていません。恐るべし隠れきれている天使萌え……。二人が可愛い天使の仮装で早口言葉言う姿を想像しました。古くてすみません。近親相姦の比率が低い所にとても下唇を噛み締めたいです。だいたいトータルで100ってのが不満です。200ぐらいで!そいで種類ももっとたくさん!ムサヒルが潜在的に持っている様々な萌えのすべてを網羅して欲しい!そんな気持ちでございます。武蔵と蛭魔で天使かあ、天使てんし……。とチビの2文字から目をそらしぎみです。やまだの100%はチビ萌えとショタ萌えで出来ております。あんまり与えると過剰摂取で弾けて飛びます。(無駄知識)素敵情報ありがとうございました!!心の底から隠れ萌えを楽しみたいと思います!!!6月11日 日曜日
>入れて見れば良かったのに…全然間に合ったような気がします〜 様
凄いっすね。印刷屋さんて。なんか他の方にも言われたのですよ。まじですか!間に合ってしまったりするんでしょうか!!今回は結果的に品切れ多かったのでコピーといういくらでも数を増やせる形で出せて良かったなと思いましたが。いつか出してみたいですねえ。オフセット本。イベントに間に合わない場合、売る場所が見つからないために非常にどきどきしながら計画を立てていたりします。計画倒れが大得意なので周りからは「大丈夫なのか!」と呆れられてもおりますがこのドコドキ感が病みつきになるのですね!つうかドキドキするなよ。計画的にちゃんとやれよ!そういう事ですね。次ぎは間に合うようになんとかがんばっていきたいです!アドバイスありがとうございます!!
過去のお返事は以下をご覧下さい。
2005年8月 1行メール9・10月 拍手9・10月 11・12月
2006年01 02 03 04 05 06
| 2000年01月03日(月) | [泥の小鳥] |
小鳥を拾った。学校の裏で一番大きな杉の木の下。
あまりに大きくて、子供達が登れない巨木。誰もてっぺんに辿り着いた事のない老木。
ここで一番大きな鳥が住んでいると言われていて。
けれど、武蔵がみつけた小鳥はとても小さく弱々しかった。
俺はこういう小さいのは手当てできねえ。
武蔵が困った顔で、ヒル魔の元にやってきた。
手のひらにハンカチをのせて、その中に横たえられた小鳥。
ヒル魔は少し武蔵を眺めて。
こいつは、何回言っても伝わらねえ馬鹿だなと思いながら。
その、手の中の小さな温もりを受け取った。
羽を広げて、脚を触る。骨が折れているようなので、軽く添え木を当ててみた。
「獣医に見せなきゃだめだ。俺はこんなの専門じゃねえからな」
「お前、器用だな」
相変わらず、人の話を聞かない武蔵はそう言って嬉しそうに笑った。
「聞いてんのか」
武蔵は机の中から辞書を取り出し、頑丈なカバーだけを抜き取った。
その中に注意深く、小鳥を差し入れる。
「元気になったら、放してやらなきゃな」
今にも名前を呼び出すんじゃ無いかと思う程にうきうきとそう言う武蔵を
バカにしたようにヒル魔は眺めた。
保護された小鳥。怯えながらも、暴れる事も無く。
じっと静かに体力を温存しているような小鳥。
見知らぬ場所で、少なくともその武蔵のぬくもりを信じているようなその態度は賢い。
自分にどこか重なる物を感じて、ヒル魔は教室の外に目をやった。
どこにおいておこうかと2人で相談し、使われていない体育倉庫があげられた。錆び付いた南京錠で閉め切られたその倉庫の窓に鍵がかけられていない事を、ヒル魔はよく知っていた。
都合良く集められた粗大ゴミを登ると、ちょうど屋根に近い窓に手が届く。
ヒル魔がひっそりと使っていたその隠れ家のような場所に武蔵は驚いた様子も見せず後ろをついて来た。聞けば、いつもこちらに走るヒル魔をおいかけて、何度かここを使っている所を見ていたのだと言う。気がつかなかった事とそこまで観察されていた恥ずかしさに、ヒル魔はバカじゃねぇのとそばの卓球台を蹴り上げた。
数日後。獣医の言葉どおりの回復を見せる鳥に思わず笑顔を向けながら、ヒル魔は武蔵を校門の前で待っていた。
毎日違う名前で武蔵が呼び掛けるために、未だに呼び名が決まっていない小鳥。
昨日はあろうことか妖一と小鳥に声をかけやがった。
早く飛び立ちたいとばたばたと羽を動かすために、箱は初めのものよりだいぶん大きい。
餌をよこせと手をつつく程に2人に慣れてしまった小鳥。
こうなってくると、子供にとっては手放しがたいものがある。
それをかかえて。掃除当番で遅くなる武蔵を待った。今日は、2人で獣医に行くのだ。
ふいに、人の気配を感じて振り返る。
武蔵だ、と思った自分を軽く罵った。クラスでも先頭にたってヒル魔と相性の悪い一群。
何かにつけて悪意にまみれたからかいを浴びせてくる彼らへのいつもの対処として、
軽く目線をやり過ごす。
独創性に欠けた、つまらない言葉が彼らから飛び出す。それをいつものように聞こえない振りをした。
目線を真直ぐに校舎にむけて、武蔵を探す。
数がいなければ何も行動できない臆病な奴等。教室でもきゃんきゃんと噛み付く事しか出来ないからと、ヒル魔は彼らを軽んじた。
いつものように、無いものとして扱えば良いと。けれどそれはヒル魔にしては楽観的すぎる判断だった。
からかいに耳を傾けないヒル魔へ、彼らはじわりと距離をつめる。
今、ここには。
彼らがもっとも気にしている「周囲の目」が無い。
いつもとは違う大胆な行動に、ヒル魔の変わらない態度が火を注いだ。
気がつけば周りを囲まれ。背後に校門を背負ってヒル魔は奥歯を噛んだ。
彼らがしきりに興味を注ぐ、箱の中の小鳥。
それをよこせと。
お前のような奴に育てられる訳がないだろうと。
なんたって、人殺しの子供なんだからなと。
言われて、横から飛びかかられた。
不意をつかれて、不様に地面に転がってしまう。
箱から飛び出した小鳥は、もがくように地の上で羽をばたつかせた。
せめて飛んで逃げれば良いのにと思う。
武蔵とヒル魔の2人だけの秘密を、他の誰にも知られたく無かった。
こんな奴等にだったら、尚更。触れられたくもない。
地面を這うように手を伸ばし、指の先で小鳥を引き寄せる。
乱暴に扱われ、鳥は容赦なくヒル魔の指に噛み付いた。
くちばしでぎりぎりとひねあげられ、ヒル魔の顔が小さく歪む。
それでも奪われないように手の中に確保して。
校門を出れば目の前は薄汚れたどぶ川。
その左右で彼らが退路を断った。憎らしい程の余裕をみせつけながら。
逃げ道を探すヒル魔の手の中で、あばれる小鳥。
ばたばたと羽毛が舞い、その量の多さにヒル魔の指が弛んだ。
鳥は、必死だった。
ヒル魔もまた、手放したくはなかった。
武蔵が可愛がっていた、小さな鳥。
ヒル魔の名前をつけて、からかってこちらの表情を伺っていた武蔵。
2人だけの秘密。
ムサシと自分を繋いでくれるたった一つの、接点。
弛んだ隙をついて小鳥は指を抜け出し。反射的にヒル魔は力を込めた。
そして。手に伝わる、嫌な感触。
音もなく、手に伝わる何かが折れる感触。
今までの比では無い程に、暴れ出した鳥。
けれど、明らかに動かない一部分。
逃げる事も忘れて固まったヒル魔に伸ばされる何本もの手。
反射的に逃げて。
そして、逃げ切れないとわかって。
ヒル魔は手を離した。
汚れて濁った川の上で。
小さなさえずりが水音に消える。
静かになる周囲。
そのまま、ぼんやりとヒル魔は立っていた。
手の中に残る、最後の感触。
確かに残っていた温もり。
思い出される、懐いていた頃の姿。
目の前をよぎる、羽毛。
呆然と。
ヒル魔はただ宙を揺れるそれを見ていた。
声も無く。
涙も無く。
気がつくと、武蔵がすぐそばに立っていた。
何も言わず、泥にまみれたヒル魔の鞄と空になってしまった箱を持って。
「あいつらがやったのか」
何も言葉が見つからず、ヒル魔は小さくうなずいた。
武蔵の顔を、見れるはずもない。
全部を見すかされているようで、ヒル魔はとっさに声を上げた。
「あの、鳥……」
「連れてかれたか?」
残念そうな声に、反射的に首を振る。
「逃げち、まった」
「そっか」
恐る恐る武蔵を盗み見たヒル魔は。
嬉しそうに空を見上げる表情をそこに見た。
「良かったな」
まるで鳥を探すように。
汚い川も、汚れた自分も、目に入らないように。
空を見上げている武蔵を。
ヒル魔は声も無くひっそりと盗み見た。
この街は、汚くて狭い。
淀んで、暗い。
早く武蔵が出て行けばいい。
こんな街に慣れる前に。
綺麗なままの武蔵でいて欲しい。
耳に縫い付けられている4つのピアスに手を伸ばした。
誰にも言えない、5つ目のピアスを指の先に感じて。
ヒル魔は声もなく泣いた。
自分が汚れる事は構わない。
武蔵が汚れないのなら構わない。
けれど。
武蔵が遠い。
汚れて欲しく無いという想いが強い程に。
手をのばせない距離がある。
声をかけてはならないと心が警鐘を鳴らす。
見ているだけでもそれは罪だと誰かが囁く。
なぜなら、お前は罪人だからだ。
握りつぶした手を持っているだろう。
たくさんの大人の声。
この町で生きてきた自分には慣れた光景でも。
この事を武蔵が知ったら。どう思うだろう。
顔を見る事も出来ずにヒル魔は武蔵の数歩先を歩いた。
「おい、待てよ。」
追い掛けて来た武蔵がヒル魔の腕をつかんだ。
最後に、小鳥を掴んでいた側。
背筋が凍って反射的にその手を振りほどく。
「なんだよ、血ぃ出てるぞ」
手の腹の柔らかい場所。
そこから流れる血の跡にくちばしの形を見つけてヒル魔は腕を背後に隠した。
ぱくぱくと口を開いて、閉じて。
それでも武蔵は強引に怪我の具合を調べようとするので。
空いていた手で突き飛ばし。距離を取った。
「何すんだ」
「……れに、触るなっ」
驚いて止まる武蔵を見る事も出来ず。ヒル魔は走っていた。
手の中に残る、小さなものが壊れる感触。
耳に響く嘲笑の声。
何を傷付いたふりをしている。
お前だけが汚れていないと思っていたのか?
生まれた時から、罪をかぶった子供の癖に。
浅ましい。
恥ずかしいね。
さすが、生まれが立派だと志も高い事で。
賢い子供の考える事は。さすがに違うね。
走りながらヒル魔は神様と唱えた。
とうに信じる事をやめたその名前。
自分に対して何一つ手を貸してくれなかった存在。
だけど。
助けて。
武蔵を汚さないで。
俺が、あいつに近付いても。
お願いです、神様。
俺はもう救いようがないけれど。
それでも、武蔵のそばにいたいから。
俺が、あいつを好きでいても。
あいつを汚さないで下さい。
あいつのそばにいたいんです。
家に向かって走り。すぐに涙も枯れて。
疲れて、走るのをやめて。
ばからしいという結論がすぐに出る。
そんな願いはかないっこ無いのに。
なのに。
後ろから走ってくる足音。
おおい、と声を上げてやってくる、あいつ。
逃げたく無い。そばにいたい。
離れたく無い。嫌われたく無い。
武蔵が追い付くまで。ほんの少し。
早く声をかけてほしい。すぐに手を伸ばして欲しい。
どこかであいつを汚すつもりかと囁く声。
離れるのは嫌だと泣き叫ぶ声。
川に落ちるべきだったのは。
自分の方だと思いながら。
足を止めてしまった自分に小さく泣いた。
武蔵が汚れてしまう事より。
自分の気持ちを止められない浅ましさ。
これが。
罪人の子供の何よりの証拠。
20050526 0400<倉庫にモドル>
| 2000年01月02日(日) | ばるぼら |

肩を支えてやらないと歩けない程にそいつの身体は定まらなかった。
車を降り、腕を引き、ふらつく背中を部屋の中に押し込むだけで、一仕事だった。
部屋の真ん中で、奴はごろりと寝そべる。
案外綺麗なんだなと言ったのは世辞のつもりだろうか。
ごろごろと転がりながら、居心地の良い場所を見つけたようだ。満足げに机の下に身体を潜り込ませた時にはその腕の中に酒瓶が抱きかかえられていた。
「おい、まず着替えろ」
素材もわからないほど汚れ、だぼついた上着を引っ張ると抵抗もなくそれは奴から離れた。
「てめえ、臭うんだ」
「先に飲ませろよ。俺はあんたの客だろ?」
ふざけるな、と武蔵は思った。
馴れ馴れしいにも程がある。
妙な節回しで鼻歌のような音を並べながら満足そうに瓶を口に運ぶ少年を、俺は軽く靴先で蹴り上げた。
思った以上に軽いその手ごたえに、これは「いつもの奴」だろうかと疑いが芽吹く。
「痛ぇよ、何すんだ!」
「先に風呂だ、気に入らないならさっさと出て行け」
少年は、壁にもたれてこちらを見上げる。
何度見ても見なれない汚れた奇妙な髪の色が目に刺さる。
俺は何度も自分に問う。これは、誰だ?
「誘ったのはあんたの方だろ。ちょっと有名だからって、偉そうに」
これは、誰だ?
俺はまっすぐに、少年を見下ろした。
少し、おびえたように奴は膝を抱える。
駅で見かけたのと同じ姿勢。膝の間に顔を挟め、力の抜けた身体を膝で支える。
「出て行け」
少年は、黙って床を見つめている。
椅子を所定の位置から引き、少年が目に入るように腰掛けた。
ぎし、ときしんだ音にびくりとこちらを見上げる目には先ほどの力はない。
「言い過ぎたよ、すまねえ」
急すぎる変化に、俺はもう一度自分に問うてみる。
これは、誰だ?
沈黙を、どう解釈したのか奴は、こちらを伺いながら再び棚に並んだ瓶へと手を伸ばす。
「酒が飲みたいなら、先に風呂だ」
両手に持った瓶と俺へと両方に目を向け、しぶしぶ手を離し。
そして、あっという間に服をぬぎすてた。
少年、と言うのは間違いかも知れない。
やせこけた身体はそれでも「少年」よりも更に先の成長の跡を残している。
「なあ、先生。やりたくなった?」
「ふざけるな」
再度蹴る仕種を見せると、少年は急いでバスルームに飛び込んだ。
ドアが閉まり、中からはやかましい水音が響いた。
その音に、耳を傾けながら。俺は、目を閉じる。
もう一度、考えるべきだ。あれは、誰だったのか。
ぼんやりと雑踏の流れに身を任せて歩いていた。
場所は新宿。誰かが消えても、誰も気にも止めないほどの人の数。
排泄物のように汚いものが毎日生み出され、垂れ流され、満ちあふれた都市。
そこを、俺は歩いていた。
細かい場所は覚えていない。
気がつけば、俺は立ち止まっていた。
何時のまにか人波からはじき出され、色の禿げた壁の前で我に返った。
そして。
視界の隅でぼろが動いた。
錆びてむき出しになった鉄柱の下。
ぼろきれに囲まれて小さな顔が覗いている。
人形か、と想う程にそれは動かず、小さく、そして整った顔だちだと思った。
あれ程、よごれているのに。
ひょっとすると、本当に人形かも知れない。
一歩近付くと、視界が揺れた。
ぼろの中の人形を中心に、世界がぐにゃりと歪んだ気がした。
ゴミに見えたのは、人形の服だった。
だぼついた上着は、その中身の姿を完全に隠す。
首だけが、差し込まれているのかもしれない。
どこかのマネキンが、捨てられているのかもしれない。
近付けば、足がわかった。小さく折り畳まれた膝の上に、ちょんと乗った顔。
その元は白かっただろう肌も、泥と煤で化粧をしている。
この街に似合いの飾り付けだ。
何も映さない暗い目がまるで穴のようだった。
黒では無い、よごれた土の色。それより、すこし明るい髪の色。
くすんだ山吹の様でもあり、火山灰の赤茶けた石のようにも見えた。
ぼろに間違えるのも無理は無く、それは人らしくは無い色だ。
近寄る程に、視界がくずれ、崩れる程に、人形ははっきりと形を示した。
とがった耳、ぶら下がる金属片、形の良い眉、そして。
目だけが、動いた。
ただ、目がこちらに向けられただけで。
この世界の何かが濁った。
背後のざわめきは絶える事もなく、その全部が一枚の幕を通して耳に届く。
どんよりとした穴が2つ、こちらを向いている。
耳の奥には奇妙な違和感。
沈黙に支配されているような重い空気。
たった一歩、近付いただけで。
目が、動いた。それだけで、そこに俺は異世界を感じて。
手を伸ばした。つもりだった。
多分、一瞬の事だったのだろう。
気が着いた時には人形の視線は元の位置へ向けられていた。
俺はただ突っ立ったままだった。
相変わらず辺りは汚く、汚れて饐えた空気に満ちている。
人形では、なかった。
子供が一人、うずくまり、誰もそれに気を止めようともしない。
ただ、それだけの風景。
俺は、声をかけた。何を話し掛けたのかは覚えていない。
何ごとかを話し掛け、肩を揺すってからその子供を抱きかかえた。
立ち上がれば、それは意外に大きい。
男なのか。女なのか。年の頃もはっきりしない。
そして。
話し掛けた俺を見上げる淀んだ視線。
立ち上がって、すぐに床を這った目線。
その、間に。
瞬間、ゆがんで笑った口元。
それが、すべての始まり。
イラストはアタリさんから。
倉庫にモドル
| 2000年01月01日(土) | ログログ倉庫 |
中学生美術時間のモデル
何かで変態だったよ記念をさせていただいたのですが。
何だろ。本誌で武蔵がヒル魔殴ったやつかな。武蔵が2人います。
前 後
Xファイル 後 これの前の話はどこいった。
修学旅行でヒル魔総受 前 中 後
悪夢 はて……?覚えていない。何だろうこれ。
ばかモン あれ。今日(2月2日)書こうと思っていたネタと同じだよこれ。
ひるぼら2 あたりさんへ。
探し物はなんですか/春 子供ヒル魔と大工の武蔵
デリヘルヒル魔と部屋を間違えられた武蔵 なんでこれここにあるんだ。
探すものは 夏 子供ヒル魔と大工の武蔵
とりっくおあとりーと 兄妹ムサヒルハロウィンもの
山の神様 花火の話だ。
南の島 単行本で南の島だったよ記念
ローライズ ジーパンです。稲葉さんの日記に食い付きました。
マスクで特訓中にエッチしたらどうなるの 短い話。
ガオマルヒルの語り うはうはー!
やくざ おかださんちの絵茶で突発書き。
クリスマス 兄妹ネタ
あいうえお 短いですね。ムサヒル馬鹿いちゃつきネタ
剃刀のストック はじいちから拝借。
ゲリボタン 腹痛の武蔵
女子高生前 中 後 ちゃこさんの絵を思ってパンツパンツしました。
ちび武蔵とでかいヒル魔 怪我を治すのはちゅうですよ。
電車でファー ヤンヤンさんのファーなムサヒルで。
ワンコ武蔵の悲惨な生活 あたりさんからの05年年末のリク。おそ!!!
どろんこ祭り前 後 兄妹ムサヒル
とーーーりあえず。リンクあってるかな。
無駄に数が多いですね……。拾えなかったのも入れるともっと有ると思う。
ここ数カ月の話なんですけれど。
なんかろくでもないもんばっかり………。
7月11日 追加
なんだか最近うまくいかない 酷いムサヒル系。超短い。
素足にスニーカー サイコさんちの絵チャにて。あたりさんからのリク。中学生。
むさたん 2007武蔵誕生日記念ネタ。高校生
嘘つき カウントするヒル魔。高校生の休日。
ばくちゅームサヒル 鼠がムサヒル。ちなみに元の番組見ておりません。
しかたがない 多分高校生。多分「ぱんつはいてない」ネタがやりたかったもよう。タイトルの目的語は「馬鹿だから」。主語は武蔵のようでもありヒル魔でもある。と思います。好きなものは好きだから、でもいい。
コンビニ 高校生。超短い。日常。
2007年ヒル受けオンリーイベントレポ。
イベント前日レポ ちょっと補足 あたり版より抜粋1 抜粋2
イベント当日 あたり版より抜粋3