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2000年01月31日(月) 5555記念[男の体に☆飯を盛れ]

時刻は9時半。
そろそろ、武蔵の仕事が終わる頃だとヒル魔は時計を見た。
今日は、何にしようか。
2つの弁当箱の片方に白飯をつめて、考える。もう一つ。
まっ先に卵焼きを端に置き、冷めるまでに他の品を考える。
塩の強い味が好きな武蔵のために作った、卵焼き。
辛子明太子を内側に巻き込んだそれは、武蔵に気に入ってもらえた一品。
あとは。

用意していた具材をを箱の中につめようとして少し手を止める。
仕事で汗をかいている武蔵の好みで、いつも塩辛い物がメインの弁当になる。
でも。あんまりいつもそればっかりじゃあ。
浅漬けの白菜か。キャベツを下に敷いた方がいいかな。
油物を入れるから、ばらんを入れても、間仕切りにもうひとつ何か欲しい。
パスタでも敷くか。茹でた残りがどこかにあったはずだ。
鳥のかあらげには最後にあんをかけよう。鯖のマリネは、タマネギを抜いてある。
煮染めのニンジンをつまんでヒル魔は時計を見上げた。
あと30分。楽しい時間が終わるまで。
来るか来ないか。それがわかるまでの、30分。
今日は、あいつ来るんだろうか。

夜10時までのこの時間は、ヒル魔にとっての新しい遊び。

----

弁当をここで食べて行く事もあれば、そのまま持って行く事もある。
実家にいるのに、どうしてそんなに食べる物に困っているのか。
聞いてみた事はない。
ただ、武蔵がここに来てくれるだけで嬉しい。それでいい。
いくつか質問をすれば、面倒そうな表情で返されてしまう。
腹が立つけれど、結局自分はあいつに惚れている。

最後に武蔵がが居心地悪そうにため息をついて店を出て行くのが最近のパターン。
会える時間は少ないから、できるだけ楽しく過ごしたい。
なかなかうまくはいかないものだけれど。

普段の自分なら、気楽に話せるだろう辛口の言葉も。
武蔵の前ではあいづちでさえも口籠る。いつもの自分の半分も度胸が無い。
嫌な悪循環にはまっていると、わかっていても。
今よりぎくしゃくするのが嫌で、簡単な会話さえもうまく言葉を選べない。
「おう」とか「ああ」だけで続く会話。

その後を思い出してヒル魔の手が止まる。
いつも、仕事を続けるこの場所。
床の上や、テーブルや、椅子の上。
思い出して誰もいない店内を見回した。
広く無いこの場所で。何度も。

顔が熱くなって、ヒル魔は息を吐いた。

今日は何時に来るのだろうと入り口に目を向けて、
そうしてそこに立つ武蔵の姿に息が止まった。
いつもの時間より、随分早い。
武蔵がいつ来ても良いように、この時間でも鍵は開けてある。
半分だけ下ろしたシャッターの下に、ガラス越しに屈んだ姿を見間違うはずがない。
がらがらと音を立てる引き戸を抜けて、内側からシャッターが閉められる。

「随分早いんじゃ、ねぇの」
「あ------腹減った」
勝手は知っているとばかりに、当たり前のように武蔵はカウンターの内側へ入って来た。
「今、弁当つめてるから椅子座って待ってろ」
「そんなの待てるか」
脇においた皿の上から、武蔵がひょいひょいと食べ物を摘む。
数が合わなくなると言いかけて、結局黙った。
武蔵が、好きなようにすればいい。
その手が選ぶ品を見極めて、嫌いな物がその中に入っていないかを観察した。
こう見えても、このがたいの良い男は好き嫌いが多い。
一応の好みは調べたつもりでも。
一度口に含んでから、二度と手を伸ばさない品を覚えておく。

「腹減った」
肉ばかりをつまみながら、油で汚れた指をヒル魔のエプロンで拭く。
「飯、盛るか?」
「んや、いい」
ある程度頬張ったところで、麦茶を差し出すと一気に飲み干された。
ごくごくと上下する喉を、唇の端からこぼれたものがつたう。
良い男だなと、ヒル魔は改めて思った。
不精ひげが、いつもより伸びている。
仕事からまっすぐ来ただろう汗の匂いも、気にならない。
ヒル魔の手許の弁当箱からも数品つままれて、最初の予定は大きく狂った。
普通なら、怒鳴りつける所だけれど。
すぐそばにいる武蔵にそんな言葉は投げ付けられない。
むしろ。
嬉しくて。赤くなった顔が恥ずかしくて、俯いてしまう。
どうしても顎より上に視線をあげられない。
直視できない分、少しだけ体を寄せてみる。
ふんわりと臭う嗅ぎ慣れた武蔵の体臭。

ほんのわずか、距離を縮めて胸を高まらせるヒル魔に。
武蔵の腕が後ろから絡み付いた。
ぎゅうぎゅうと抱き絞められて、期待していたとはいえ体が強ばる。
「腹へった」
後ろから、エプロンの下のボタンを乱暴に外してゆく指。
するりと内側に入り込んだ指先が、拭いきれていない肉の油を擦り付けるように降りて行く。
体温の高い指には、いつまでも慣れる事が出来ない。
触られた場所は指先から熱を受け取り。そこに火照りとむず痒さが残される。
肩がむかれ、そで口にシャツがたわむ。
ヒル魔の上体が簡単に引き出されて、その腰でエプロンが揺れた。
じゃまなシャツを床に落としたかったけれど。
武蔵の動きを妨げる事になりそうで、もじもじと後ろ手を擦りあわせた。
ボタンを外さなくては。抜けそうにない。
小さく動かした手が武蔵の股間に触れてしまい、ヒル魔は息を止めた。
ジーンズの上からでもわかる、その熱と高まり。
それが求める欲求が全部自分に向けられている事に。ちいさく目眩を感じる。
「なんだよ、触ってくれんのか」
耳を嚼まれて目を閉じる。
違うとも、そうだとも言えずにただ武蔵の腕の中で立ち尽くした。
キスをして欲しいなと思う。
首筋にとどく、武蔵の荒い息遣いを正面から感じたいなと思う。

しつこい程に武蔵の指は胸元を往復する。突起の周りをゆっくりと這うのは
いつもの武蔵の癖の一つ。
目を閉じてヒル魔は浅く息を吐いた。
どこかに、気が反れた時。意識が胸から離れたとたんに。
指でつままれて声をあげさせられる、いつもの癖。
その時を待ち、充血し続ける2つの突起。
目を薄くあけると、いつもの仕事場。
作りかけで食い荒らされてしまった弁当に目を下ろす。
こんなところで。抱き締められて。胸を触られて。
腰がじんじんと痺れているのが。

なんて、気持ち良いんだろう。

武蔵に抱きついて、キスをしたいと思う。
こんなに気持ち良いなんて、信じられないと言いたい。
けれど。意図しない動きは好まれないから。
せめてこれだけはと腕を伸ばして包丁を遠ざけた。
シンクの中にそれを落とそうとして、ぎり、と胸に爪を立てられる。
「何してんだ」
「痛っ………」
シャツが後ろに引かれ、そのまま布ごとねじられた。
両手が一つに束ねられて、ぐるぐると残った布が巻き付けられていく。
「勝手に動くんじゃねえ」
動かせなくなる、両手。
苛々としたような口調が悲しくて、大人しくされるままになる。
武蔵を抱き締められなくなった。それが一番悲しかった。

詰めかけの弁当箱や、料理を載せた皿が武蔵の手で左右によけられ。
空いたスペースに背中を押し付けられた。
仰向けの視界で見た、今日最初の正面からの武蔵。
目の周りに浅い痣がある、暗い顔。
「その、目……」
聞こうと開いた口を、ふさぐだけの口付け。
諦めて目を閉じたヒル魔を見下ろす武蔵。彼が浮かべた表情は。
ヒル魔には結局、伝わらなかった。

背中にあたる、ステンレスの台が痛い。
押し付けられて冷たい金属の感触に、眉が寄る。
痛いのは、いやだ。
それを言う気も起きない程、熱い体。
触れられるどころか、脱がされてもいない腰が自然に揺れる。
窮屈に台に押し付けられた姿勢のヒル魔の胸を執拗になめる武蔵。
突起に歯を立てられ、舌で押され、甘く息を吐かれて体が震える。
何か、あったんだろう。
目を閉じていても、武蔵が荒れている気配は感じられる。
唐突でも。場所を選ばなくても。
わがままでも。急に態度が変わっても。
縛られても。
言葉が乱暴でも。
武蔵が好き。
武蔵にそうされるのが、好き。

悲しいのは。
そんな髪を優しく撫でられない両手の戒め。


----


しばらく胸から腹にかけてを動いていた武蔵の顔が離れた。
うっすら目を開くと、脇にあった弁当の残りを見ている武蔵。
「これ、あんたが作ってたのか」
言われた事の意味が分からなくて、武蔵の目線を辿る。
「卵焼き」
「………ああ」
言われて、そういえばそんな事さえも伝えられて無かったなと思い出した。
卵液が少し残ったボウルを不思議そうに見ている武蔵。
脇にあった明太子の残りに手が伸びた。
指が、赤い魚卵をすくって口に運ぶ。
「辛いな」
頭にかかっていた心地よいもやが晴れて行く気分で、ヒル魔はそれを眺めていた。
気紛れに振り回されて。それでも嫌と言えない自分を馬鹿だと思った。
もう、今日はこれで終わりなんだろうなと体を起こして。
胸に押し付けられたものの冷たさに驚いた。
「同じぐらい、赤ぇな」
突起の周りに、押し付けられている指。その先についた赤い魚卵。
親指の腹で魚卵はつぶされ、押し伸ばされ、塗り付けられる。
色がついた突起を、さらに染めるように。
噛み付かれ、舌で何度もなぶられたその部分は、刺激に弱かった。
ふやける程に唾液を吸った肌は、その辛みの成分に悲鳴を上げた。
びりびりと伝わる痛み。
「んっ、痛い……」
片方に塗り付けられただけで、胸に火がついたようだった。
「ぃっ……や…」
見下ろす武蔵が、満足そうに笑う。
触れられていない方の胸に、再び武蔵の顔が落ちた。
柔らかく這わされる舌づかいは、心地よく、優しい。
けれど、その目的を悟ってヒル魔は身をよじった。
「いや…だ……」
甘い噛みつきも時折交えながら、胸がやんわりとほぐされる。
ついさっきまで。そうされる事が快感だったのに。
ペースト状のそれを塗り付けられた場所から、びりびりと体を揺らす痛み。
赤を塗り足す指が、その痛みを追い立てる。
痛くて。熱くて。
舌で嘗めあげられる柔らかな刺激がぼんやりと滲む。
いつも、それだけでとろとろと体が溶かされていたのに。
今は。
塗りこめられた場所は、腫れているのかも知れないと思う程熱い。
武蔵の息にさえ、肌が震える。
「こんなとこ、か」
突起を口に銜えたまま武蔵が呟く。
顔が離れて。赤を乗せた指が押し付けられた。
「っ………、やだっ………」
火を押し付けられたかと思う程。
それは唾液に慣れた肌へ染み渡る。
背中を反らして、体が逃げる。追い掛ける指が突起を摘んだ。
指の間に魚卵を乗せて、そのまま軽くひねられて。
ひどい熱さと痛みと、それだけではない刺激に、喉を反らした。
指が離れれば、火は熱を高める。
揺れる空気にさえ体はあおられて、声が漏れる。
胸を上下させて、身悶えても火は消えない。
その火が、熱い肌が、ヒル魔に一つの刺激をつきつける。
初めはじんわりと、そして次第に性急に、意識を塗り上げた。
見上げた武蔵は、楽しそうに笑い。ヒル魔が口を開くのを待っていた。
身をよじっても、解決しない刺激。
ぞわぞわと肌からその下の筋肉へと、その下へと、伸びて行く火の触手。
口にするには、あまりに恥ずかしく。
かといって、我慢ができる類いの刺激ではなく。
ヒル魔は目を閉じた。
目尻に熱が集まるのがわかる。
焦れるように腰が揺れた。
噛み締めていた唇を開けば、その言葉は簡単に吐き出された。
「か……痒、い……」
「どこが」
「……む、ねのところ………」
へえという言葉だけが降る。
じんじんと痺れる場所には何も降りては来ない。
「武蔵………」
「何だ」
唇を噛んだ。
武蔵が言わせたい言葉はわかっていても。
何度も口にしたのに、慣れない言葉。
特に、こんな状況では。
「……さ……わって…」
「どこを?」
「…痒い、とこ……」
「どこを?」
武蔵の息が肌にかかって、ひく、と腹が揺れた。
「…むっ………ね……」
手のひらが、腹と胸の丁度間に置かれて。ゆっくりと上へと這い上がる。
憎い程の、緩慢さで。
「胸、の?」
「もっと……上、だっ……」
「こう?」
肌に触れる程の距離で囁かれて閉じていた目尻が震えた。
武蔵の指先がようやく熱を持った場所に届き、息が漏れる。
触れるか触れないかの距離を保って指が、胸へ近付き。
焦らされた肌がぞくぞくと泡立つ。
安堵と。期待と。待ちわびた刺激と。快感に。
腰が揺れた。

片方を噛み付かれて、大きく仰け反る。
歯を立てられる事が、たまらなく心地良い。
指だけで弄られる片方は、引っ掻くように立てらた爪の刺激に喜んだ。
「……んっ…、噛ん、でっ……」
「すげえな」
肌に落とされる言葉さえも、刺激だった。
赤く染まった上体を見下ろして、武蔵は満足そうに笑った。
息を弾ませ、身をよじっているのは。胸への刺激だけで。
崩れそうな脚の間、エプロンの下ではさぞ苦しい事になっているだろうと。
武蔵はその奥へ手を伸ばした。
「ひっ、ん、……あっ………」
胸の周りに走る何本もの赤い線。
その数を、増やしながら布を下から押し上げる場所にも爪をたてた。
じっとりと濡れた布の感触が楽しくて、武蔵は喉で笑った。

面白い程に、自分に溺れる娘。
俺のどこが気に入ったのだろうか。
ここで、夜を過ごす時だけは。嫌な事から逃げられる。
何も聞いてこない、何も語ろうとしない娘。
今、一番気に入っている娘。
何も知らないこの娘に、たくさんの事を教えてやった。
白い布に、墨をまき散らすようなそれは、今の武蔵の楽しみの一つ。

こいつに全部を語る時がくれば。
いつかは、楽になれるのかもしれない。

この娘が救いになる可能性は高く。それに縋りたいと思いながらも。
暗い遊びに、武蔵はのめり込んでいた。



----




息が苦しい。目を開いているのか、閉じているのか。
それさえもよくわからない中で、ヒル魔は武蔵が何かを手にしたのがわかった。
銀色の、丸い物がぼんやりと視界に入って来て。
降ってくる液体。
すぐには動かない体で自分の腹を見下ろす。そこに零された粘りのある黄色。
武蔵の手がそれをすくい、腹に伸ばした。
鈍い思考は、それが卵液だと気がつくのに時間がかかった。
へそに溜まった黄色に、武蔵が唇を落とす。
わざわざ舌を鳴らすように嘗められて、ヒル魔は目を反らした。
「甘ぇ」
武蔵の好みにあわせたそれに、砂糖やみりんは使っていない。
「甘くなんか、してねぇよ…………」
「へぇ」
顔を上げた武蔵が笑う。
「じゃあ、アンタが甘いのか」
カッと、頬が熱く火照った。
反応を楽しむように、武蔵が白い布の下で指を動かす。
きつい程に布がはっていて。身動きさえ、痛みが走る。
そこを撫でられて身体が強ばり。がくりと腰が落ちた。
武蔵の膝に脚を割られ、太ももを跨ぐ形で支えられる。
白いエプロンはそのままに、武蔵は下のジーンズに手をかけた。
ボタンを外し、布を引く。張り詰めた雄が擦れる刺激に布を濡らす。
「触ってねぇのに、勃たせすぎじゃねぇの?」
言葉の意味をはっきりととらえる事も出来ず、ヒル魔のぼんやりと視線が宙を揺れた。
押さえ付けられていた下肢の拘束が解けて、表情が緩んだ。
脱力した両足を武蔵は肩にかつぎ、卵液をつけた指で双丘奥を探った。
待ちわびていたように、そこは柔らかく指を飲み込んだ。
指の腹で内側から刺激を与えてやり、適度ほぐれたところで引き抜く。
やりやすいように腰の高さを調節して、武蔵がヒル魔の腰を引くと。
ずるり、とヒル魔の上体が台から崩れかける。
「おい、落ちるなよ」
気に止める事もなく、武蔵は腰を押し込んだ。
「あぁっ-------」
反らした体が台から落ちかけて、後ろ手にヒル魔は体を支えた。
ほとんど宙に引き出された体は、突き上げに耐えきれずがくがくと揺れる。
ずり落ちそうな体を支えるには拘束された腕では無理があった。
力が抜けて、崩れる体に武蔵は舌打ちをした。
背中に腕を回し、軽く突き上げてやりながらヒル魔を持ち上げた。
腰の一点に体重がかかり、武蔵の顔が歪んだ。
たたらを踏むように後ろに数歩下がり、その数歩の振動にヒル魔が顔を歪ませる。
ふらつきながら、武蔵はヒル魔を脇の壁に押し付けた。
ヒル魔の上体をそこで支えさえ、思うままに武蔵は体を揺らした。
壁に擦られる背中の痛みも気にならない程の、揺らされる刺激。
「あっ、あっ、…んっ、ぅ………、ぁんっ…」
開いた目にうつる、眉をしかめた武蔵の顔に。
キスをしたいとヒル魔はぼんやり思った。
朦朧と濁った意識は、霧の様に広がる快感にかき消される。
抱き締めたい。壁に挟まれて感覚が消えた腕はそれを許してくれない。
好きだと言いたくても。
喉からこぼれるのは意味を持たない喘ぎばかり。
せめて、名前をと思うのに。
そう思う端から意識が飛んでしまう。
ただ、突き上げられて。喘ぎながら。
武蔵の顔を見ていた。
自分の体に、喜ぶ表情。荒い息をはずませながら、揺れる顔。
だんだんと視界に霞がかかって、それさえも出来なくなって。

ヒル魔の目尻から涙が落ちたことに、2人は気がつかないまま。

息を、体を、声を止めて。
2人は同時に意識を飛ばした。




床の上に崩れて、荒い息を整えながら。
目を覚まさないヒル魔に、武蔵は。
優しく唇を落とした。
無意識の内に、武蔵の手がヒル魔の頬を撫でた。
その身体が床に落ちてしまわないように、膝の上に抱えて
その背中に腕を回す。
気立ての良い、娘。
店のまん中でいつも楽しそうに切り盛りする姿。

それを、こんな姿にして。
歪んだ笑みが武蔵の顔に浮かんで、そうして。
ヒル魔の肩に額を落とした。
その姿勢のまま。
武蔵は、しばらく動くことが出来なかった。

夜明けまでは、まだ随分と時間がある。
店に光が差し込むまで。
2人が、光を見つけるまで。










20050522

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<キリ番倉庫にモドル>
<倉庫にモドル>






2000年01月30日(日) 6000記念[男の体に☆飯を盛れ2前編]

椅子に跨がって、こちらを楽し気に見上げる武蔵を。
ヒル魔は血の気が引く思いで、見下ろしていた。


今日は携帯に武蔵から連絡があった。
早めにそっちに着けると。弁当もいらないと。
だから、待っていろ、と。
すこし機嫌の良さそうな声に、給料でも出たのかなとぼんやりと考えた。
待っていろと、言われた。
店のカウンターに腰掛け、脚をテーブルにのせる。
何もしないで待つなんて。初めての事。
楽しそうに少し声が明るい武蔵の声。
気持ちが、それだけで一杯になってしまって。
そわそわと何もかもが落ち着かない。
どんな顔でここに来るのだろうとそればかりを考えた。
今まで、笑った顔を見たのは数回。
自分に笑いかけてくれる表情は、きっとそのどれよりも素敵なんだろう。
目が、ちらちらとガラス戸へ走る。
楽しみで。
テーブルを何度も踵で蹴った。
自然に熱くなる頬に、グラスを何度も押し当てる。
こんなに嬉しい事は、多分はじめて。


息を弾ませて入って来た武蔵は、すぐにヒル魔へ手を伸ばした。
夢みたいだ、とその腕に頬を寄せる。
仕事で荒れた手のひらは小さなささくれがたくさんあって、
少しこそばゆい。
目を閉じて、その感触を楽しんだ。
優しい武蔵。
「待ったか」
「別に」
夢みたいな、会話。
ずっと、こんな言葉を交わしてみたいと思っていたから。
紙袋を脇のテーブルに置いて、武蔵が隣の席に腰を下ろす。
そのまま、顔が寄せられて。
ヒル魔は目を閉じた。
恋人同士、みたいだ。
柔らかい触れ方に、胸がきゅうきゅうと苦しい。
締め付けられるようなほど、痛くて、嬉しい。

嬉しい。

おずおずと腕を武蔵の首に回すと、口の中に武蔵の笑いが広がった。
腰が引き寄せられ、あっという間に武蔵の膝の上に乗せられる。
ぎゅう、と胸が締め付けられる。
唇が離れても、武蔵の手が優しく髪の毛を撫でて。
何度も夢みたいだと思って。武蔵の肩に額を落としてその体温と匂いを感じた。
夢にまで見た、夢みたいな、夢。
耳もとに武蔵の息があたって、それだけで喘ぎそうになった。
「あんたさ、俺の事好きだろ」
楽しそうに囁かれる言葉。
「…………だったら、なんだよ」
「わかりやすいな」
赤い目尻を指の腹で撫でられる。
ささくれが、頬に線を引くような感覚。
すぐそばで見る武蔵の目の色に。
笑いと、悪戯をしかける直前の物を見る。
「俺のためなら、なんでも出来る、か?」
目の前の、武蔵にそう問われて。
自分に否定する事ができるわけ、ない。
本当にこの男に惚れてしまっている自分を感じて。
ヒル魔は目を反らした。
「何させるつもりなんだよ」
照れ隠しにさえもならないような台詞。
どんな恥ずかしい事をさせられるんだろうという期待と。
はじめて見せてくれる自分への笑顔に。
どこか、不安になる自分を無理矢理だました。

武蔵の目が。
本当は自分を見ていない事も。
企んでいる事が、自分にはあまり好ましくないだろうという予感も。

武蔵にされる事は、いつでも想像を超えた事ばかりで。
本当に驚かされていたけれど。心から嫌だった事は一つもないから。
きっと大丈夫。
ヒル魔は、目を武蔵に戻した。
「何、させるつもりなんだよ」
顎に唇を落として、肯定の意を伝える。
にい、と笑った武蔵の目。
少しその目が怖いと思いながらも。
ヒル魔は自分に言い聞かせた。

何をされたって。
きっと、平気。

-----

ごそごそと紙袋に武蔵が手を伸ばす。
何が出てくるのだろうと赤らむ顔は、期待と不安を隠せない。
そこから取り出されたのは、一本の缶。
ラベルをはがしたのか、ヘアムースを思い出させるその円筒形は
ヒル魔に何の手がかりも与えてくれない。
白いキャップを外して、武蔵が目の前でそれを振った。
内部で揺れる、液体の音。
なんだかわかるか?と問いかける目。
笑っているその武蔵の目の奥に何となく、恐怖を感じながら。
ヒル魔は首を振った。
ヘアムースでどんな事ができるのだろうと。
期待より、不安が少し膨らむ。
噴出口が顔の前に突き付けられた。
「ちょっと、目ぇ閉じろ」
目に滲みないように、ぎゅっと目を閉じたヒル魔の顔めがけて
武蔵は噴出用のボタンを押した。

シュワシュワと予想したとおりの音。
ただ、髪に向けられるとばかり思っていたヒル魔は、
そのムース状の物が顔に吹き付けられて驚いた。
目尻に、頬に、そしてそこから顎に垂れる物。
口に入ったらまずいんじゃないかと反射的に顔を拭って。
目をあけて、指についた物を確認した。
白い、泡。
そして。
弛んでいた唇から舌に触れる味。
「っ……………!!」
びくりと身体が跳ねた。
喉に絡んだ悲鳴をなんとか押し殺す。
あわてて顔を拭い、逃げる腰を武蔵がやんわりと引き戻す。
「あんたさあ」
楽し気に笑う、武蔵。
「嫌いなんだって?」
ヒル魔の鼻に乗った泡を指ですくって、それを見せつけるように揺らした。
「甘いもん」
ゆっくり口に近付けられるその指から、ヒル魔は必死で顔をそむけた。
唇をなぞる指は、優しく穏やかな動きなのに。
ヒル魔は背中に冷たい汗を感じた。
どうしても、乗り越えられない嫌悪。
過剰なまでに嫌な、臭い。色。感触。そして。
味。
ただ口のラインをなぞっていた指が、虚をついて押し込まれ。
「っ…、……っ、-------っ!!」
必死ではきだそうともがくヒル魔の首をもう片方が押さえ込む。
口の中で動かされる指に、脳を突き刺すような甘味をかき回される。
腰が、背筋が、ぞわりと凍る。
逃げる身体ががくがくと震える。
「便利になったよなぁ」
両手で顔を固定されて、否応なしに口につきこまれる甘味。
「押すだけでいいんだぜ?」
油で溶かした、砂糖の味。
勢い良く歯を食いしばってしまいそうで、ヒル魔は必死にその反射に耐えた。
「目ぇあけろ、ヒル魔」
自分の名前に、のろのろと目を開く。
多分、武蔵が口にするのは初めて。
とても、楽しそうに笑う表情。
「今日なあ、誕生日なんだ。俺の」
抜かれた指にほっと息を吐いた。
ゆるんだ唇から飲み下したく無い唾液が顎を伝った。
「祝ってくれるよなぁ?」
目の奥に。暗い色を沈ませて笑う武蔵。
自分が、愛してやまない男。

絶望的なほどに、自分を弄ぶ意志を感じながら。
ヒル魔はどうする事も出来ずに目を閉じた。


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何度も口をこじ割られ、強制的に飲下させられる甘味。
武蔵にキスをされても。どれだけ優しい言葉を囁かれても。
麻痺したように硬直する意識。
喉に、胃に、肌に。体内に降り積もる、嫌悪の感覚。
幾度も悲鳴をあげた喉はその都度、新たな甘味を放り込まれた。
顔を背ける都度、俺が嫌いかといつもの台詞。
逃げられない鎖のようなその言葉にヒル魔はあがらう術を持たない。

幾度目かに、口の中に泡を放り込まれ。
反射的に武蔵の胸を突き放すようにもがいた。
服の中に尽き込まれる缶。
シャツの下で、しゅうしゅうと新しい泡が生み出される。
「ひっ………ぃや、だっ……」
肌に触れるだけでそれは嫌悪を呼び起こす。
自分ではどうする事もできない生理的な拒絶。
立ち上がり、逃げようとする身体を何度も引き戻す武蔵の腕が
服の上から身体をなぞる。
「嫌、だっ……頼むっ、からっ…………」
泡が布越しに手のひらで潰されて、肌に塗り広げられる。
酷い悪夢のようで、ヒル魔は泣いた。
濃厚でむせる程の匂いに、意識を失いたいと思った。
武蔵の顔に飛び散った白いクリーム。
それ以上に自分は白にまみれているのだろうと想像し、逃げかけた身体から力が抜ける。
ヒル魔にとって、これは暴力をふるわれている以上の恐怖。
武蔵の手に握られた缶が、恐ろしい。
逃げても逃げても、追い掛けてくる白い恐怖。
武蔵が何を言っているのかも。
どんなに近くにいるのかも。
全部忘れてしまうほどの、本能の衝動。

気がつくと、武蔵の手がヒル魔の下着を剥いでいた。
むき出しにされたそこに、ぬめる手のひらが触れて行く。
何をされても、ただ体内にあるのは悲鳴。
恐怖からの逃げ出したい衝動。
武蔵に逆らいたくないという意識だけが、その全部の要求を押し殺す。
渦巻く欲求を、実行できない現実への絶望。
はじめに胸に抱いた淡い期待は、とうに黒く塗りつぶされ。
受け止めきれない状況に、意識が軽く飛びかける。

それを。
現実につなぎ止める白いクリーム。

舌打ちが鳴り、武蔵の手が動きを止めた。
「勃たたねぇかよ」
のろのろと目で武蔵を探した。
自分が好きだと言った男。
どこからかこんな目にあっている自分を助けてくれないだろうか。
そう思って。
視線が泳ぐ。

狭い店内。見なれた天井。
「何みてんだ」
聞き慣れた声。
肌が覚えた温もり。
ふいに唇をふさがれた。
麻痺してしまえば良いのにと思っていた口内に広がる、武蔵の味。
口の中の気持ちの悪さを塗り替えて欲しくて、ヒル魔はその舌を欲した。
間違えるはずが無い。
目の前の武蔵。

身体のあちこちに飛び散った、塗り込められた甘味から逃げたくて、
ヒル魔は舌を動かした。武蔵の唾液で、おぞましい感触を塗り替えて欲しくて。
背中に腕を回す。
薄れていた意識が回復する。
目を開くのが恐ろしくて、ただ、夢中で唇を絡めた。
のに。
あっけなく武蔵の腕がそれを阻む。
武蔵の息が荒い。欲情している事は、体温で分かった。
楽しくて仕方が無いと言う口調と。
濁りが増した目の笑い。
武蔵の指が、自身のジッパーを下ろした。
中から引き出した物に、自分で指をからめていく様子を、ヒル魔はぼんやりと見下ろした。
少しだけ息を弾ませ、武蔵の片手が缶へ伸びた。
「ヒル、魔」
熱に浮いた声が自分を呼ぶ。
自分の名前を。まるで呪縛の様だとヒル魔は感じた。
「嘗めろよ」
言われた言葉に、のろのろと動く身体。
震える膝が言う事を聞かない。
武蔵の肩に手をつき、かろうじて身体を立たせた途端に。
しゅうしゅうと忌わしい音がたつ。
見下ろした先の、新しい白い泡が。
武蔵の指に、その絡んだモノに吹き付けられた。

椅子に跨がって、こちらを楽し気に見上げる武蔵を。
ヒル魔は血の気が引く思いで、見下ろしていた。













20050524 0709

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<キリ番倉庫にモドル>
<倉庫にモドル>


2000年01月29日(土) [キリ番のまとめ]

うちに来ていらっしゃってる親愛なる皆様に。嬉しい!ハッピー!と
叫びたかった事から始まり結局私の下品さとかもろもろをさらけだした企画。




[3Pトーク]5月16日の日記より。
この直後に4444がヒットしたので、「やまだはいつもこんなんじゃないよ、キリ番だったからはじけただけだよ」てな事を言ってました。次のエロトークはキリ番にするよとか言ってました。そこから始まったんだな。

-5000hit御礼- お口ネタ。単品。0519

[常連さん物語]ネタが枯渇。急きょ設定を振る。そのままヤバい方向へ。
-5555hit御礼- [男の体に☆飯を盛れ]ヒル魔に飯を盛りました 0522
-6000hit御礼- [男の体に☆飯を盛れ2前編]生クリーム盛りました 0524
-6666hit御礼- [男の体に☆飯を盛れ2後編]生クリーム咥えました 0528
[男の体に☆恋を盛れ1] ラブ?0529
[男の体に☆恋を盛れ2] ラブ!0529
-7000hit御礼- [男の体に☆泡を盛れ]風呂場でエッチ


-7777hit御礼- [男の体の☆声が漏れ 前編]せっかくラッキーセブンなんで。武蔵のお部屋でえっち。

-7777hit御礼- [男の体の☆声が漏れ 後編]まあだけど幸せハッピーだけではないです。


そして続く。どこへ。

-8888hit御礼- [男の体を☆見せてやれ]



言い訳
そもそも一寸先は闇として生活しているやまだにとって、すでにネタなんて4444ヒットの時から常に枯渇状態。だって最初が3Pって。その先をどうつなげればいいの。
そんな時にメッセで会話したりメールでやりとりして素敵なネタに出会いました。書き進めていくうちに素敵な出会いもありました。

出会いを用意して下さったムサヒルの神様に敬礼。
生きてて良かった。むしろ飯を盛らせて下さい。近江様。
しかも、私が書こうかなと思っている未来予想図まであるんです。
こちらの日記には。近江さん、凄い人です。


人妻アフロこと稲葉しん様から頂きました素敵絵。
とても動揺したやまだがもらって1時間で送り返したメールより
抜粋の文章あります。


稲葉さまありがとうごさいます。
素敵サイトはこちら




素敵な絵描きさんの100ヒット記念にいただいたのさ!
いえーいクリーム万歳!!切り番踏んだ自分を誉めたよ!
皆も誉めてよ!おかげでこんなに素敵なイラストがうまれましたとさ!

まったく予想もしなかった武蔵の表情に
綺麗にぱんちを100発くらいました。
さすが100ヒット御礼イラスト!
素敵、だー!!!
一万のキリ番を踏んで一万ヒットほどイラストに打ち返されたい!

そうですよ。
ヒルに盛ったらそれを眺める武蔵の表情だって
そりゃあもう。凄い事になるんですから。
うあああ。
武蔵万歳。これからもキリ番を踏み付けて生きて行きます。
素敵サイトさんへのリンクは御本人の許可をとってから。

でもなあ。
今だったらやまだがキリ番ふみ放題だからなあ。
ちょっと教えたく無いぞ。素敵サイトさんは私だけのもんだい!
うそ嘘。ちょっと嘘。
Hさまいつもお言葉有り難うございます。
そして。素敵青春カップルをありがとうございました。

ヒロミさまありがとうごさいます。
素敵サイトはこちら



2000年01月28日(金) [常連さん物語]

とりたてて綺麗でもなく。とりたてて旨い訳でもない。
ただ、安くて早いのが何よりの定食屋。
昼間からビールを傾けるおじさんの頭にねじりはちまき。
店の前には工事関係者達の車。席が足りなくなると、
外に皿を持って車の影で食べる彼ら。
椅子もテーブルも年代物で、あちこちに油がしみついた店。
客層はおっさんばっかり。顔見知り同士が軽口を叩きながら
野球と工事と景気の話で盛り上がる店。
全員の肌の色が濃くて、夏はランニング。冬は作業着。
代わり映えしない仕事の繰り返しの中で、客が求めるのは紅一点の看板娘。
柄が良いとは言えない客層を、巧みに言葉であしらう娘さん。
みんなに妖ちゃんと呼ばれている彼女は、最近恋をしています。
新入りだと言われた彼は、この店の誰よりも若いはずの、「厳ちゃん」。
名字はまだ知りません。
忙しい昼食の最中では、声をかける暇もなく。ひたすら、その可愛いお耳で情報収集。
タケクラ工務店の跡取り息子。あんまり仕事は熱心じゃない。
こんな見た目でも実は若い。無口だけど、女の好みはうるさそうだ。
こういう奴がムッツリなんだと。
からかわれても静かに笑う青年。
ただ、見ているだけでは気がすまなくて。自然と大盛りにしてしまう「厳ちゃん」のご飯。
「なんだい妖ちゃん、こいつの飯だけ盛りつけが随分違わないかい」
回りの常連さん達につっこまれて、初めて「厳ちゃん」の目線が娘さんに向けられます。
そういえば。濃い味付けが好きな武蔵の盆にいつの間にか乗るようになった、ソースと醤油。
あれは、この娘さんが?
目があったところで、どうも、と言うように頭を下げると。
「別にそんなんじゃねえよ」と返されるけれど。
その日から、おかずも少しずつ増えるようになる。
「まだ若いんだろう、野菜を食え」と残した時には叱られるようになる。
けれど、武蔵の皿だけ人参が入っていない筑前煮。底の方にたくさんのお肉。
工事の時間がのびて人気がなくなったころに顔を出すと、食後にお茶が出されるようになる。
店に客がいなければ、向かいの席に看板娘が腰を下ろす。
厨房は静かで、料理人は奥で午睡。
年代物の扇風機がかたかたと音をたてて首を振る。
風物詩となった高校生達が走る姿を映すテレビ。
ラップで巻かれたリモコンでそれを消せば、残るのは青年の咀嚼音。
口も開かずに、ただ黙々と飯を口に運ぶ姿を見ている、娘さん。
今日のおひたしは、自分が作ったとか。
随分暑くなってきたから、そろそろ食いもんに気をつけないとなとか。
何が好きだとか。
いつも休みの日は何をしているのかとか。
名前を教えて欲しいとか。
言えずに、黙ってその食いっぷりを見ているだけ。
静かに、箸を盆の上に置いて、ごっそさんとのつぶやきに、おうと返す。
それだけの間柄。
----
口は悪いし態度も大きい娘さんは、最近元気がありません。
厳という青年の評判が最近少し悪いのです。
跡取り息子なのに、仕事に熱が入っていない。
あれじゃあ棟梁も可哀想だ。
色狂いってやつかい。なんでも随分とあっちの方に熱心らしいぜ。
うらやましいねえ。
妖ちゃんもあの若いのに気をつけるんだなぁ。
「いいから、さっさと皿のもんを片づけな」
いつものように軽口でテンポ良く会話を続け、酔っ払いが伸ばす手を
軽くはたきながら。娘さんはふうむと考えを巡らせます。
そんなふうに、陰口を叩かれる様には見えなかったのに。
ここのところあまり顔を見せなくなった青年を思い返して、娘さんは
苛々と食器を運びます。テーブルに置く時の音が、いつもより少しだけ大きく。
高く、乱暴になっている事に、娘さんだけが気がついていません。
夜。
明日の仕込みをするうちに足りなくなった食材を買いに深夜のスーパーへ。
その店内で、惣菜コーナー前に立つのはまぎれもないあの青年。
空になってしまった棚の前で困ったように腕を組んでいます。
どうしたもんかと考え倦ねている横顔。娘さんは仕方なく声をかける。
「なんか、探してんのか」
「……?」
青年は怪訝そうにこちらを見ています。
ああ、畜生。こんな時のために名前を聞いておけばよかったんだ。
「あんた、「厳ちゃん」だろ」
今まで名前を呼んだ事さえもなく。
はじめて口にした音は、青年の眉間のしわをさらに深めただけ。
「わりぃ………。あんた、どっかで……」
どうやら、心当たりに自分の顔は入っていないらしい。
印象は薄いだろうと思ってはいたけれど、まさかここまでとは。
沈み込みそうな気持ちで、今さらの自己紹介。
「そこの、川向いの定食屋の」
「…………ああ」
あの。と、ようやく合点がいったように青年がうなずく。
そうだよそこの店員だ。少しは顔ぐらい覚えても良いだろ、と
怒鳴りそうな自分を押さえる。
「飯、もう無いんじゃねえの?」
「ああ、そうなんだ」
このあたりにコンビニなどという気の効いた物は無い。
「…………だったら、うち、来るか」
平気な顔で言えるように、努力したつもりだった。
陳列棚の前で困り顔の青年を見た時から。頭の中でその言葉ばかりが
ぐるぐると渦巻いていた。
「……残り物ぐらいしか、ねぇけどよ」
いいのか、と訪ねるように首を傾けてくる青年。
「かまわねえよ」
言葉に嘘はないものの。緊張で汗ばむ身体。
断られる事が恐いし、断られなくても、恐い。
ただ。
こんなチャンスはもうきっと、巡ってこない。
しばらく考えたのちに、じゃあ頼むと青年が小さく呟く。
娘さんの恋は。こうして、動き出したのです。








20050521

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<倉庫にモドル>


2000年01月27日(木) 6666記念[男の体に☆飯を盛れ2後編]

昼でも薄暗い店内。武蔵と2人で会う時にはいつもこの暗い中だけで。その顔がいつも笑っているのか、怒っているのか、判断がつかないと思っていた。
今。
急に日が陰った気がした。
見上げてくる表情が見えず。目をこらせば意地悪く笑う口はしだけがかろうじて目に入る。
ヒル魔、と促すように声をかけられて。どうしてこんなに目の前が暗いんだろうとぼんやりと思った。
名前なんて呼ばれなくても、自分が武蔵を拒む事なんてある訳がない。
やれと言われれば。
そのとおりに動く馬鹿な自分。
武蔵にしっぽを振るような浅ましさしか持たない自分。

なのに。
日が陰る。武蔵がぼんやりと闇に沈む。
視界が揺れているのはどうしてだろう。
何度目かに名前を呼ばれて。のろのろと武蔵の足の間に膝をついた。
暗い闇の中で、武蔵の表情は読めないのに。そうする自分へ、笑う武蔵が、想像できた。
にい、と笑う武蔵以外を。
想像する事ができなかった。


地震なのかと思うくらいに、ゆらゆらと揺れる視界。ああ、自分が揺れているんだなと気がついて支えるように武蔵の膝に手をついた。腰をおろし、奇妙な化粧をされたそれに顔を近付づける。どこか麻痺したように舌がのびて。嫌悪する白にゆっくりと近付いて行く自分を、夢を見ているみたいだなとぼんやりと考えた。
そうだ。
少し前に自分を抱き締めてくれた腕。
今日初めて名前を呼んでくれた声。
頬を撫でてくれた指。
そんなものが、あった。少し前の事だった。

どこからが夢だったんだろうと白い泡の前で考えた。
きっと、全部が夢なんだろうなと思ってみる。
だからこんな事も全然平気で。本当は今自分はどこかで眠っているんだと。
武蔵もいないどこかで夢を見ているんだと。

どうせならもっと楽しい夢がいいなと思いながら、ヒル魔は小さく口を開いた。

どこかが麻痺してしまったのかもしれない。
武蔵に何をされても好きだと思う心も。
馬鹿みたいに何でも受け入れる自分も。
望んでも手に入らない苦しさも。

真っ白にクリームで上から塗りつぶしてしまえばきっと、楽になれるだろう。
そうして。何もかもが白い中で。むせ返るような白の中で。
寂しくてその白を掘り起こす自分が目に浮かんだ。
泥濘とした白に腰まで埋まりながら。きっと自分はこの気持ちを捨てられないんだろうと思ったところで。
舌の先に忘れてしまいたい味覚を感じてヒル魔は現実に突き戻された。




反射的に吐き出したい物を感じてヒル魔は目をつむった。
むせる程の匂いに包まれて、ひどい目眩を感じる。身体を支えようと武蔵の腿に置いた手に力をこめようとして。両腕がみつからない。
肩から先も、首から下も。じゃあ、この重い頭を支えているのはどこだろうと思った時には。
バランスを崩し、意識していないまま顔を白に突っ込んでいた。

頭の上で小さく息を呑む音がして、歯があたったのかと慌てて口を広げ。
歯止めがきかずにずるずると武蔵のものをのみこんで、同時に口内に忌むべき物の侵入を許してしまう。さっきまで、何度も武蔵に指で口をこじあけられた。その隙間に甘さを押し込まされて、指を食いちぎりそうな反射を必死になって押さえていたけれど。
その、数倍もの衝動が体内で渦巻いた。
閉じたい口の中に、武蔵の脈と熱を感じる。
喉の奥まで含んでもまだ根元までは飲み込めない大きな熱の塊を咥えて。
顎を強ばらせて、自分を止める。
からからに乾いた口の中には唾液さえも沸いて来ず、口の中にたまった甘味がどうしようもなくヒル魔に押し寄せた。悪意に満ちているそれを飲み込む事も。吐き出す事も出来ない。
ましてや、動く事など。
固まったままのヒル魔の頬に、ふいに、武蔵の指が触れた。

強引に頭をつかまれて揺すられてしまうかと、一瞬ひやりとした恐怖が沸き。
そんなこちらの思惑などを意にしていないような指に、頬のラインをゆっくりとなぞられた。
強制も、制止もその指は要求しない。ただ撫でるだけのその動きにだんだんと顎の強ばりが解けていくのを感じて。ヒル魔は逃げるように顔を浮かせた。
力を抜けば、ぎりぎりと噛みしめてしまいそうな嫌悪。
口の中の粘液に直接触れる甘味はヒル魔に酷く暗い欲求をつきつける。
無理矢理、それを押し込めて。ヒル魔は顔を上下に揺らした。
舌の先でクリームを割り、先端のくぼみを何度もつついた。
そこから滲む液に舌をからめて、意識を武蔵だけに繋ぎ続ける。
匂いも、感触も、味も、欲しいのは武蔵だけで。
他には何も感じたく無くて。

顔を上下する程に頬に新しく触れてくる柔らかでおぞましい泡。
唇の動きに合わせて、入り込んでくる油のぬめり。

そんなもの全部を舌に感じる武蔵で塗りつぶした。
苦いと感じる味覚をただ欲する。
熱いと感じる温度をさらに上げる。
次第に口内を圧迫する雄に、荒れる嫌悪が落ち着いていく。
口の中が武蔵だけで一杯になって。
舌を動かす事も出来ないほどに圧迫されて。
苦しいはずのその状態にヒル魔はうっとりと目を細めた。
顔を動かし、口の中へ刺激を繰り返す。
あれほど意識を占めていた嫌悪も、不快も薄れる。
身体のあちこちから緊張と強ばりが緩みだした。
自分を支えるのもおっくうで、ヒル魔は上体を武蔵にもたれさせた。

舌をきつくからめて、その反応を確かめる。
髪を撫でる指がさっきから止まったまま。降ってくる息が荒い。
もうすぐ、終わる。
ふとそう思って、言い様の知れない不安を感じた。
舌で覚えた武蔵自身の変化に、教えられたとおりの刺激を与えながら。
脳裏に浮かんだその言葉の禍々しさに根拠のない不安が膨らみ出す。
ヒル魔の髪をつかむ武蔵の指が、軽く立てられた。
深く息が吐き出され、そのまま、止まったとヒル魔が感じた時。
口一杯に広がる吐瀉液。
喉の奥まで数度にわたって飛び散るそれを全部受け止めながら。
ヒル魔は妙な胸騒ぎを黙殺した。
胸の内から沸いてくる、いくつもの思い。

口に出せば止まらなくなりそうな、武蔵への思い。
好きという気持ちと同じくらい、強い訴え。

吐き出せば全部が終わりそうなその思いと一緒に。
ヒル魔は目を伏せて、全部を飲下した。


-----


ずる、と身体を崩して床にへたりこむヒル魔を武蔵は息を整えながら見下ろした。
まさか本当にするとは思わなかった。
どこまで言えばヒル魔は拒むんだろうという前からの興味もあって、口にしてみただけの要求。恐らくは相当に嫌だったろうに。
一度も拒む事をしない、娘。
一体ヒル魔に自分はどう写っているのだろう。
頭に巻いたタオルをほどき唾液とクリームに汚れた股間を拭う。
自分でやったこととはいえ、油性のシミが散った部分を見下ろして少しため息をつく。
こりゃあもう履けねえな。
一応の身支度を整えても、床のヒル魔は身動きもしない。
だらりと口端から唾液を零しながら、放心したような表情を浮かべたまま。
勝手の知った厨房に入り、水を飲み。空いたグラスに水を満たしてヒル魔の元に戻った。

教えれば、ヒル魔はどんな事でも覚えた。
どんなに恥ずかしいのか、どんなに辛いのか。何も訴える事なく。
いつのまにかその限界がどこにあるのかを試している自分に気がつかされた。
ただ、ずるずると関係を続けて。
そろそろ潮時かなと思いながらこの店に通っていた。
自分に心底惚れた馬鹿な娘など、今までそうしてきたようにいつでも捨てられる。
ただ。
ここまで自分に惚れて見せる存在には興味がそそられた。
それなりに早い時期から女達に声をかけられて。何時の間にか当たり前のように身体を重ね続けて。薄れかけていた性への興味や欲求が、この娘には呼び起こされた。
ずるずると、関係が続いている。
今までの自分なら、とうにほうり出していただろうつまらない娘相手に。

グラスを目の前に見せて。飲むかと問うても返事も返って来ない。
さすがに酷い事をしたかなという意識がちらと掠めた。

客や、取り引き先の相手達全員の前で、殴られた時も。
ここしばらく続いていた嫌な空気が決定的なものになった今日も。
億劫な事の連続で、眠りから覚めても眉間が強ばっていた毎日。
気がつくと足がこの店に向かっていて。今日は何をしてやろうかと考えている時だけはそんな些細な事を忘れる事が出来た。
癒されているのとは違う感覚。
事態から目を背けているだけで何も解決はしていない事は分かっていても。
考えたくないという気持ちが強い程に、この店へ足が向いた。

けれど。
娘に対して。決定的に何かが欠けている自覚がある。
ヒル魔が自分へと向ける目線。欲している感情。
それの名前をなんと言うのか。
自覚する程に、困惑が生まれた。

まっすぐにヒル魔に見られている前では、手を伸ばす事もできなかった。
あまりに純粋に自分にむけられる好意の塊。
興味でも、物珍しさでも、同情でもない純粋な塊。
初めて向けられるそんな濃いものに、向き合える何かなど持ってはいない。

ヒル魔に意識が無い時にかろうじて伸ばす事ができる、腕。
とても臆病で情けない、卑怯な自分。

けして拒絶を示さないヒル魔。自分を拒む事のない、ただ一人の存在。
汚したいわけではないのだけれど。
それしか知らない自分に嫌悪がうまれる。
それはまた、娘にぶつけられて。
止まらない悪循環。

うつむいたまま動かないヒル魔に武蔵は問いかける。
俺は一体、お前にどうしてやりゃあいいんだ。
面倒な、現実。
先延ばしにして来た決断。
ここでほうり出すべきか。それとも。

水を飲むか、と目の前でグラスを揺らしても返事が返って来ない不安。
初めて黙殺された自分の問いかけに。
手を離すなら今だと絶えずささやく自分の意識に。
所在のないグラスを手にしたまま、武蔵は答えを探し続けた。









20050528

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2000年01月26日(水) [男の体に☆恋を盛れ]1

目の前で数回手のひらをひらひらと動かすと、ようやくヒル魔は顔をあげた。
まだ大分ほうけたままで視線が定まっていないヒル魔。
覗き込むと不思議そうに見上げられた。
その、顔の。あちこちに散った白の残骸。
泡自体はとうに崩れて、白い液体となってこびりついている。
髪についたものはとうに乾き、べたつきが塊になって絡まりをみせる。
額から頬にかけて。目元から顎まで。真っ赤な目が白さに囲まれて痛々しい。
拭うように指を伸ばすと、びく、とヒル魔の体が震えた。
行き場を無くしてしまった腕を、少し考えてから下ろす。
「すげえ顔、してるな」
優しくしてやりたいなと思っていた気持ちが簡単に萎むのが分かった。
「ぶっかけられた、みてぇ」
見下ろして、笑おうとして、うまく顔が作れなくて顔ごと背けた。
いつもと同じだと思ったところで。視界にヒル魔の腕が動いた。
目を向けると同時に、それが顔に飛び込んで来る。
力も勢いも中途なそれを軽く流したところで足に痛みが走った。
軽い衝撃が数回続き、そして止まり。
武蔵はヒル魔の全身を見下ろした。ひどい、有り様だった。
中途にぬがした下肢にまで白の名残りが残っている。

「ふざけるな」
弱々しい言葉は、それでもはっきりと武蔵の耳に届く。
何かにもたれ掛かるようにヒル魔が動き、椅子がそんな体重を支えきれずに後ろに下がった。床を滑る椅子の音がやけに大きく武蔵に届いた。
崩れそうな上体を手でささえ、そばの椅子にもたれかかる。
ちくしょう、と呟く声。
俯いた表情が知りたくて覗き込むと再び蹴られた。
「てめえ、何様のつもりだ」
顔も向けられないままヒル魔が口を開く。

武蔵に顔を見られたくなかった。相当に汚れてしまっているだろう顔や。
全身にぬりたくられた体や。それでも甘んじて全部を受け止めた自分を。
見られたくはなかった。
これ以上、みじめな気持ちはいやだった。
いいかげんにして欲しい、と口に出しかけて。それは自分への言葉だと口を閉じた。
もう良いかもしれない。これで、潮時かもしれない。
こんなみっともない姿を見られたくはなかった。
ここまでしても。
まだ縋るような自分。
それでも、その気持ちが届いていない。
武蔵に、信じてもらえない。
だったら。もう、いい。

何度も武蔵は繰り返した。俺が好きなんだろうと。
言葉の裏に、だったらできるだろうと臭わせて。
出来なければ好きじゃないんだろうと臭わせて。
強制されるような、行為の押し付け。
好きだと言葉に告げようとしても。信じようともしない目。
信じられないと臭わす態度。
その頭をつかんで、怒鳴り付けたくて。
それでも出来なかったのは分かって欲しかったからで。

それも、これも。
武蔵への気持ちを分かって欲しかったからで。

もう、良いと思った。
どうにでもなれと、口を開いた。
「お前、ムサシなんて名前じゃねえだろ」
どうでも良いと思えた。
「タケクラ工務店の一人息子で」
出て行って欲しかった。
「有名な放蕩息子で」
見られたくなかった。
「養子で」
泣きそうな自分を。
「そんなの、全部」
好いてさえもらえないみじめな自分を。
「俺が知らないと思ってたのかよ」
俺が、お前の事を。
「知られたら、同情されるとでも思ったのかよ」
知らない訳がないだろう。

一人で全部の不幸を背負ったみたいな顔しやがって。
誰も信じられないって顔で。
俺の事なんて何一つ見てもいないで。

もう。疲れた。

一緒にいるのは楽しい。
こんなにされてもまだ嫌いになれないのはよくわかっている。
酷い男だ。
でも。もう。疲れた。

「出てけ」
武蔵が、揺れたように見えた。
俺が、何をしたって。何だって受け入れると思っているんだろう。
それでも。この気持ちを信じてもらえない。
餌をちらうつかされて気持ちを試されるだけの関係に。
もう、疲れた。


力の入らない足で、ヒル魔は何度も武蔵を蹴った。
もういい。
「出て行け」
何か言おうとしている武蔵の言葉を聞きたくなかった。
俺の事が好きなんだろうと今、言われてしまえば。
うなずいて結局同じ事を繰り返してしまいそうで。
それが一番怖くて。
それでもそんな言葉が欲しくて。
ヒル魔が惚れた、酷い男。
薄ぐらい店内ではその表情も見えない。
まだ、自分はこの男に惚れていても良いのだという言葉が欲しくて。
全部、終わりにしたくて。
相反する2つの思いをどうしていいのかわからず。ただ、足を蹴りつけた。
何かの、終わりが欲しかった。

少し、距離が空いてヒル魔の足が届かなくなる。
しばらく武蔵はそうしていてから。
小さく、「そうか」と呟いた。
その後に。じゃあな、と小さな言葉が続いた。

それだけで。

店内に残されたヒル魔。
椅子にもたれて、ヒルマは武蔵がいなくなった店内を見渡した。
とても広い、がらんとした場所。
もう、あいつは来ないかなと自問。
来ないだろうなという予測。
とてもわかりやすい予想。

こんなに武蔵が好きなのに。
結局、無理だった。
ヒル魔は顔を椅子に突っ伏して流せなかった涙を、零した。
可哀想な、俺。
馬鹿な自分。

ヒル魔はただ自分の為に涙を落とした。
涙は後から後からこぼれて。
簡単には止まらなそうな涙に。
また、涙を零した。

可哀想な可哀想な、可哀想な自分と。
武蔵を思って。












ええと、続いてます。とりあえずあと半分ね
20050529 0515

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2000年01月25日(火) [男の体に☆恋を盛れ]2

店を出て武蔵は惰性で歩いた。自宅までの短い距離。
途中にある自販機の前で足を止めて、慣れた手付きで硬貨を入れた。
ヒル魔の店と自宅とを往復する間に出来た習慣。
腰を曲げて小さな箱を取り出し、パッケージをあける。一本を咥えてからポケットを探り、小さく舌打ちをした。
口に差し込んだまま未練がましく全部のポケットへ手を突っ込んだ。
いつも吸っているのに、肝心な時にいつもライターが無い。さっき吸ったのは何時だったろうと思い返して、店に入る直前まで記憶が遡る。そうだ。あの店の、カウンター。置いて来ちまった。
そこで、足が止まる。足下に落ちているライターを反射的に拾って、街灯に透かした。ガスが完全に無い事が見てわかり、それでも親指を動かした。カチカチという音と火花だけが散る。
諦めて道ばたに放り投げようかと思い。それさえも億劫でだらりと腕を下ろした。
歩く気にもならなくなった。人どころか車さえも通らない道の真ん中で、武蔵は火のついていない煙草を咥えたままぼんやりとそこに立ち尽くした。

無い、無いと探すうちに呆れたようにいつも突き出されたライター。
当たり前のようにそれを使っていたけれど、次に店を尋ねた時にはいつもなくしていた。
確かめてみた事はないけれど。あれは多分毎回新品だった。

弁当を作ると言われて、冗談だろうと思ったあの日。
本当に用意されるとは思わなくて、初めにそれを渡された時。
どうしていいのか分からなかった。
食べた箱を洗って返す物だと言う事も思い付かなくて、結局最初の内は
毎回弁当箱ごとヒル魔に用意させていた。
あの、初めの頃の箱を。どうしたのか覚えてはいない。

携帯の番号を聞いて、そこに何度か連絡をした。
今日は行けないとか。明日の弁当はいらないとか。
そのうち面倒になって連絡もせずに店に行かない日あっても。
ヒル魔からの連絡は無かった。
いつのまにかリダイヤルの上にいつもヒル魔の名前が登って。
着信に一度も残らなかった、ヒル魔の名前。

嫌いな物がだんだんと減った弁当箱の中身。
そんな事をしゃべった事はないはずだった。

セックスなんて、誰ともした事がないと言っていた。
初めてな事ばかりだと言っていたのに。初めから優しくしてやる事はなくて。
それでも一度も痛いと言わず、武蔵のシャツを噛んで震えいてた娘。

机の上や床の上や。店の外でやった事もあった。
一度も、嫌だと言わなかった。言わせなかった。

ヒル魔にとって、それは初めての事ばかりだったろう。
嫌だとか恥ずかしいとか。それさえも初めて体験して。
けれど。それがヒル魔だけじゃあなかったことに、今、気がつかされる。

連絡しなくても、突然押し掛けても、必ず待っていてくれる場所。
何をしても拒絶されない安心できる腕の中。
押し付けないけれど、けして離れていく事もなかった視線。
そばにいるだけで嬉しいと全身を使って伝えられる思い。
自分の為だけに用意されている食事。
いつも向けられるはにかんだ笑顔。

武蔵にとっての、はじめての事。
それが初めての事なのだと気がつきもしなかった。
変わった娘なのだと思っていた。
本当の事が何も見えて無かった。



店と自宅との丁度中間のあたりでぼんやりと武蔵は立っていた。
もう潮時だった。今までの女関係を振り返ってみれば、随分と深入りし過ぎていると思う。
情事に慣れない素人娘。散々嫌な思いをさせて、散々良いようにあしらった。
手放すには良いタイミング。
出て行けと突き付けられた言葉。
今まで通りにいくのなら。また新しい相手を探せば良い。
いくらでも、彼女達は寄ってくる。それから、後腐れのない者を選べば良い。

初めて、女とやったのはいつだったっけな。

学生の頃で、それは多分中学の頃。保健室だったか体育倉庫だったか。教師だったか、学生だったか。
当時は「やれた」事が興奮で、相手がどんな奴だったかはどうでもよかった。
知らない領分を知る事が面白くて、手当りしだいに手を伸ばした。

そうして。
何も手許に残らなかった。そういう物だと思っていた。


武蔵がヒル魔を棄てたのでは無く。ヒル魔が武蔵を棄てたんだと気がつかされる。
欲しい物が目の前にあった事に、ずっと、気がつかなかった。
場所は、自宅と店の丁度中間。
そこで拾った空のライター。
何も入っていないから、元々あったように、棄ててしまえば良いライター。

あなたは中身がからっぽだと。思ったより面白く無いと棄ててこられた自分。
棄ててしまえば良い。今まで通りに。今まで知らなかったのなら、これからも必要無いだろう。

拾ってしまえば良い。からっぽでもなんでも、あるがままを好いてくれる娘なのだから。
けれど、結局中身は無い。娘が欲しがるモノを自分は持っていない。


どうすればいいのだろうと考えて。
自然に足が片方を選んだ。
自分の胸の中にある娘への気持ち。何が詰まっているのか分からない胸の奥が、これで終わりだと思うとただぐずぐずと不満を訴える。言葉にならない抵抗を感じる。けれど。それがどんな名前の感情なのか分からない。
娘が好きなのかと自問する。
わからない。
娘を大切に思うのかと考える。
そうは思えない。
ただ、駄々をこねる胸の奥。

こんなのは、嫌だ。

足は、いつのまにか駆け出していた。店までの僅かな距離を。


-----

店の引き戸は開いたままだった。
そっと中を伺うとそこにヒル魔の姿があった。
自分がここを出た時そのままの姿勢。
少し、椅子に顔を俯かせてその体が動かない。
そっと音を立てないように近寄って、ヒル魔の指先に自分のタオルが握られている事を見た。
自分が汚してしまったそれの端を握りしめ、小さな寝息をたてている。
顔に、服に飛び散った色々な物もそのまま。

指を伸ばした。今度は、逃げられないように、そっと。
頬に散った白を触って乾いてしまったその上をなぞった。
酷い事を、したんだなと今さらながら思った。

ふいに、ぱちりと目が開く。
綺麗な色の、濁る事を知らない瞳が真直ぐに見つめてくる。

------

目の前に、武蔵がいた。心配そうに覗き込んで、頬に触れている武蔵。
最初に戻ったんだと思った。あの、優しくしてくれた武蔵。
頬をなぞる指が気持ちよくて、目を細めてそこに頬をすり寄せた。
武蔵に向かって小さく笑いかけると合わせるように笑ってくれた。
嬉しい。
夢の中だけ、いつもやさしい武蔵。
そいうえば眠る前に、すごく悲しい事があったと思い出す。
思い出したくも無いぐらい、辛い事。
「お前が、どっかに行っちまう夢、見たんだ」
目の前の顔が小さく驚いて、そして。
「どこも行かねえ」
小さく、笑った。両頬を大きな手で包まれて、これはとても素敵な夢だと思った。
「大好きなんだ」
答えは無く、困ったように武蔵の眉が寄る。
「お前が、俺の事どう思ってても、さ」
今言わなければいけないと思った。
「お前の事が大好きだ」
頬を包まれた暖かさに目を閉じた。指が、目尻を何度もなぞる。
少し上向きで、武蔵がしたいように顔を預けた。キスして欲しいと思った。
夢の中なら何でも出来ると思って、目をあける。
武蔵に抱きつこうと腕を伸ばして。
そこに、こびりついたままの白を見てからだが強ばった。
夢じゃ、ない。
「ヒル魔」
呼ぶ声。出て行ったはずの武蔵。
確かに出て行けと言ったはずなのに。
まだ夢の続きを見ているんだろうかと思った。
どこからが夢だったんだろうと思った。

告げられた言葉に、武蔵は声を失った。
どこか夢を見ているように語られる言葉。
俺の事が好きだと繰り返された態度に、今、ようやく言葉が追い付いた気がした。
「知ってた」
かろうじて、それだけが口に出せる。
でも。なんと返せばいいのか。
愛しているとか。
好きだとか。
ヒル魔が欲しがっている言葉は、多分自分の中にはまだ、無い。
多分、ヒル魔に対しての気持ちはもっと違う。

ヒル魔を邪魔だと思う事もある。
正直、こうして目の前にしても。面倒な事に手を出しているなと思う。
多分、子供じみたわがままというのが一番近い。
棄てたくは無いと言う主張。
捨てられたく無いと思う主張。
いつでも手をはなせると思っていたのに。
それは嫌だという声。
胸がざわざわと波立つ。
そんな面倒が、嫌だった。
愛とか、恋とか、そんなものは知らない。
そんな物は、多分一つも持って無い。

じゃあ。
ヒル魔に伸ばしているこの腕は。
一体どんな名前をつけてやれば良いんだろう。

「俺は、お前に何もしてやれねえ」
腕の中でヒル魔は表情も変えずに大人しく言葉を待っていた。
これが現実なのかどうなのか把握しかねているような表情。
「どうすりゃいいのか、わからねえよ」
困ったな、と今さら武蔵は思った。
何を言いたいのかさっぱり整理が出来ていない。
ただ。
俺がそばにいるだけで嬉しそうにしているヒル魔を見ていたいとか。
懐いているお前を見てるだけで良いとか。
自分が好かれているとわかるだけで十分だとか。
そばにいてほしいとか。
だけど、それは多分ヒル魔が欲しがっている関係とはちょっと違うと思う。
言葉にできなく、こんな時のいつもの癖で頭を掻きむしりたくなる。
でも、両手はヒル魔に触れていたくて。
仕方なくそのまま言葉を探した。
目が何度もあちこちに逃げて、その都度ヒル魔に視線を戻す。
不思議そうに見上げてくる、目線。
「だから、だな」
どうすればいいのか分からない。
何をすれば本当に喜ぶのかわからない。
そんな事を考える事は無かった。ただ、言われるままに腰を振ってやれば今までは喜ばれた。ちょっと変わった事をすれば大抵の女はおもしろがった。
けれど。
ヒル魔は違う。
今までの知って来たどの女達とも違う。
だから。
本当に、わからない。
「だから、だな」
今までのままじゃヒル魔を泣かす、だけになる。
「どうすりゃいいのか、言え」
出て行けと言われた相手に言う言葉じゃねえなと改めて思った。
今更な言葉にまた蹴られるかと思った。
腕の中でヒル魔は肯定も否定もしない。
不思議そうに見上げて、ぱちぱちと瞬きが繰り返される。
まだ寝ぼけてるような表情を可愛いと思って、指の腹でその目尻を撫でた。
涙の跡を指でなぞる。

しばらくそうして沈黙の後。
ヒル魔がゆっくりと、口を開いた。
「本気か」
「……………ああ」
ヒル魔の手が武蔵の甲に重なって、そのままヒル魔の顔が俯く。握られた手はとても冷たい。
抱き締めてやりゃいいのかと考えて、それでもヒル魔の言葉を待った。
しばらくの時間の後に。伏せたままでヒル魔が言葉を繋ぐ。
「じゃあ」
迷うように、言葉が途切れる。
「座れ」
中腰になっていた腰を、床の上に下ろした。
「近寄れ」
ヒル魔と同じ高さの目線。
「もっと、近寄れ」
椅子に体を預けているヒル魔に、できるだけ体を寄せる。
くたり、と体が胸に倒れてくる。抱き締めてやりたいと思うのに、手はヒル魔の両頬。
すぐそばにあるのに、とても窮屈な体勢。
「俺に」
ヒル魔の両手が、武蔵の手を外した。
迷うように目が逃げて、案外と長いまつげがふる、と震えた。
「キスしろ」
額に、唇を落とした。触れて、すぐに離す。
「そこじゃねぇ」
見上げて来たヒル魔の目尻に。
だんだんと、赤くなる頬に。
甘ったるさが混じった鼻先に。
細い、顎のラインに。
すこし塩の味がする部分を何度も舌でなぞり、音を立てて軽く吸う。
むずがるような、ささやかなキス。
「そこじゃ、ねぇ」
肩に手を回して、冷えた体を抱き締めた。
頬にもう一度唇を落として、ゆっくりと移動する。
綺麗にしてやるつもりで、顔に残っていた甘いものに舌を這わす。
くすぐったいというように逃げる顔を支えてから。
目を合わせて。
ヒル魔が目を閉じて。
唇を、落とした。
柔らかな唇をゆっくりとはみ。
軽く歯を立てる。
舌を交わらせるわけでもなく、ただ、優しいだけの口付け。
それは。
今までしてきた、どんな濃いキスよりも気持ちが良かった。
知らない事ばっかりだなと武蔵は柔らかく思った。

ヒル魔の腕がおずおずと背中に回される。
その腕の中が本当に心地よくて、武蔵は静かに言葉に耳を傾けた。
「俺を、見てろ」
離れて、また触れて、そうして、また離れて。
合間合間に、ヒル魔の言葉が武蔵に届く。
「無茶、するな」
「ちゃんと、飯を食え」
「一人で考え込むな」
「優しく、しろ」
届く言葉の全部が嬉しくて、武蔵は言葉をせがむようにキスを繰り返した。
「俺を、見てろ」
「浮気するな」
「そばにいろ」
真っ赤に顔を染めながら、堰を切ったように要求がこぼれ出てくる。
言いたかったんだろうなとあらためて思わされる事、ばかり。
「俺の事、好きになれ」
最後にそう言って、ヒル魔は口を閉じた。
きっと、言われた事は。
全部守れるだろうなと思って武蔵はぎゅうとその体を抱き締めた。
多分。
多分、これから。
ここから、全部を始めれば良い。

何をすればいいのなんて。
悩んでいたのが馬鹿らしい程。
簡単で、楽しくて、今までこうしてやれなかった事が不思議なくらいで。
武蔵はヒル魔に小さく謝った。
今まで、悪かったなと。
だけど。
ホントは、そんなに嫌じゃ無かっただろと囁いてみた。
お前は、だから馬鹿なんだと言うヒル魔の耳が赤に染まる。
どうして欲しい?と問う。
それだけの事。簡単な事。
もう少し、賢くなれと返されて、そりゃあ無理だなと笑った。

ここから、始まる。
楽しいだけの、2人の関係。












20050529 1113

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2000年01月24日(月) [男の体に☆泡を盛れ]7000ヒット御礼

くたりと腕の中で幸せそうに体を預けてくるヒル魔の首筋に、武蔵もまた額を落とした。
何をする訳でも無く、ただそばにいる事が楽しい。
今まで飢えていたような気持ちが満たされて、目の前に滲む。


手に入れられると思わなかった物。自分に向けられる事なんて無いと思っていた物をくれる、腕の中の存在。
この気持ちを伝えてやりたいと思うのに、何と言えばいいだろうと考えた。
自分の中になかった言葉。口に出すのもはずかしい陳腐な台詞。
思い浮かぶ言葉は全部どれもが正しく無い気がして武蔵は困惑した。

難しいもんだ。
好きとかそんなもんじゃなくて。
もっと、こう。

言葉がみつからない。
それが嬉しいって事もあるんだなと思って、自然に腕に力が入った。
細すぎると思う程の背中をなでて、ふと手のひらに慣れない感触を覚えた。
通常、あまり汗ばむ事を知らないヒル魔の肌に布がぬるりと貼り付いている。
手の平で強く撫でるとそこに指の形のシミが広がった。

こんなとこにまで。

武蔵はヒル魔の髪をなでた。べたべたした物が絡まるそこは、指の流れをさまたげる。
優しく髪をすいてやりたいのに。髪ごしにぐしゃぐしゃと撫でてやると、細い糸が絡まってもつれた。
少し体を離して見下ろしたヒル魔の姿は、痛々しいほどひどい有り様だ。
俯いた顔以外にも散らばった白。
首の後ろ。そこから背中に垂れている。
多分、シャツの下にはべっとりと垂れているんだろう。
腹の下から、中途に脱げたままの下着の下にまで白は伸びていた。
着ている服は、もう使い物にならないと思わせるほど酷い有り様だ。
どろどろにクリームにまみれたそれは、さぞ着心地が悪いだろう。
謝るより先にヒル魔を着替えさせてやりたくて、武蔵はもたれ掛かってくる肩を押した。
嫌がるように背中の腕が爪をたてる。
再度力を込めると寄せられる頭がふるふると揺れる。
「おい」
「……なんだよ」
「気持ち悪くねぇのか」
「………別に」
言葉に、離れたく無いと言う意志を感じて武蔵は困った。
だけど、いつまでもこのままじゃまずいだろう。
「一回離れろ」
「……………」
無言の抵抗に少し武蔵はむっとする。
「着替えてからにしろ」
「……嫌だ」
「まだ帰らねえよ」
「……俺の、言う通りにするんだろ」
下から見上げる顔は、赤らんだままそんな主張をする。
「だけど」
「黙って、座ってろ」
ぼす、と顔が埋められて余計に体が密着する。
だけどなあ。
酷く汚れたヒル魔に抱き着かれてしまっては、こちらまで汚れてしまう。
何より、この時間では。もう家に帰っても風呂が使えない。
自分で仕掛けたとはいえ。べっとりとしたそれが布の上から肌に染みる感触を、武蔵はそう長くは我慢が出来そうに無かった。
さっさと引き剥がして、洗い流してえのによ。
そこまで思ってふと考えがまとまった。
「おい。離れなきゃ良いんだろ」
否定も肯定もさせる間を与えず、武蔵はヒル魔を抱き着かせたまま持ち上げた。
驚いたように顔をあげるヒル魔の鼻先にキスを繰り返して武蔵はにい、と笑った。
「風呂、どこだ」

------

散々の抵抗と口論と罵倒の末に。ヒル魔は頭を抱えた。
どうして、こんな事になるんだ。
ガラスの向こうからはのんきなまだかと問う声。
簡単に湯舟を洗って、そこに湯をためて。
もう準備は出来ているから、あとは武蔵を呼ぶだけ。
呼んで、一緒に風呂に入るだけ。

どうしてこんな事になるんだ。
軽く膝をかかえてしゃがみ見そうになる。涙目になりそうだった。
「おい、入るぞ」
何の抵抗も無いのかすっぱだかの武蔵ががらりと引き戸を開けて入ってくる。
「ばか、まだっ………」
「なんだよ、もう入れるじゃねえか。お前も脱げ」
今まで何度もそういう関係にはなったものの。
ここまではっきりと武蔵の肌を目にするのは初めてだ。
目のやりばに困って俯いたヒル魔に武蔵は頓着なく手を伸ばす。
「そんなべとべとしたもん、さっさと脱げ」
ちらちらと視界に入る武蔵の手も、足も、胸板も、明るい浴室の中ではどれもが恥ずかしい。
脱がそうとする武蔵に対しての抵抗も、そんな状態では満足に出来ない。
あっという間にシャツをはがれ、下着まで脱がされ、今更な事とはいえヒル魔は手足を縮めた。
あちこち肌の上に残ったクリームが、酷く恥ずかしい物に思えてしまう。
まるで。
思う事に羞恥があおられて顔が熱く染まる。
「あー、こりゃひでえな」
「……お前がやったんだろ!」
「おお、すまんすまん」
反省の色など全く無い謝罪。
自分でも意味が無い事は分かっていたが、自然に両腕が肩を掴んだ。
腿を胸につけるように畳んで、近付く武蔵を下から睨む。
どこもかしこもがべたべたと気持ち悪い。
「おい、石鹸どこだ」
むしろ楽しそうに近付く武蔵から体を逃がす。
「関係ねぇだろ、さっさと風呂に入れ」
「離れたく無いってさっき言ってただろう」
「うるせえよ、さっさとあったまって出ろ」
「ほら、こっち来い」
何を言っても耳を貸さない武蔵は、体を縮こまらせるヒル魔を強引に引き寄せた。先ほどと同じように両足の間に座らせ、そこから逃げられないように両足が絡んだ。ただ向きだけが違う。背中に武蔵の腹がぴったりとつけられて、直に感じてしまう体温。
目の前で絡むお互いの足。何一つまとっていないお互いの足。
「離れろっ……」
「さっきと随分態度が違うぞお前」
耳のすぐそばの声は少し、響いて大きい。いつも自分が一人でくつろぐ狭い浴室に、武蔵と2人で入るという奇妙さ。耳を噛みながら、武蔵が石鹸、と催促する。背に走るぞくぞくとした物をやり過ごしながら、ヒル魔は指でボトルを指差した。
「へえ、面白れえ」
手を伸ばせばそれだけ密着してくる武蔵の腹。こんなに近くでは、心臓の音も全部筒抜けな気がしてヒル魔は落ち着けと何度も自分に言い聞かせた。
ポンプの先の太いノズルからは、押せばそのまま泡が出てくる。面白がってスポンジに盛り付けられた白い泡の塊を目にして、ヒル魔は何度も予感を打ち消した。
「ほら、手、どけろ」
「……なっ………」
「洗ってやる。嬉しいだろ」
「……馬鹿かっ」
ふわふわと揺れる泡が、武蔵の手によってどんどんヒル魔の体に擦られる。
「何、するっ」
「暴れるな」
「そのぐらい自分で洗えるっ!」
「遠慮すんな」
手をほどかなければ抵抗は出来ない。言葉だけで嫌だ嫌だと言ってはみても。簡単に武蔵の手はするりと忍び込み、ヒル魔をびくびくと震えさせた。何より。分かってやっているとしか思えない、耳もとでの言葉。石鹸のぬるつきは、武蔵の手の動きを後押しする。
胸を辿る指の動きの滑らかさに、息が止まる。
「こん、なっ事っ………」
「なんだ?」
手も足も、後ろからつかまれてそこかしこが泡に包まれる。ごしごしと擦る訳でも無く、ただ単に体を覆うだけの泡。遊ばれているとは分かっても、ヒル魔は抵抗が出来なかった。
「どこで覚えて来る、んだっ……」
「まあ、付き合いだな」
「行った事あるのか!」
「何回か、な」

声が震えて、それきり黙るヒル魔に武蔵はまずかったかなと頭をひねった。
商売女達にはむしろ、外で会おうと言われた事が多かったから。店に行ったのはほんの数回。
それでも、多分怒るだろうな。こいつは。
「でも、なんだ」
無言のヒル魔が喜ぶ言葉を探す。
「誰かを洗うのは、お前が最初だ」
口の中で耳がぴくりと動くのが分かって。正直なやつだと武蔵は思った。
「普通、ああいうとこじゃ石鹸なんて使わねぇからな」
ヒル魔はまだ口を開かない。
「こんな事、俺だってはじめてだ」
無言のヒル魔の胸に指を伸ばした。泡に隠れてしまっていても、その場所を指で探るのは簡単だった。
びく、と腕の中で大きく震えてヒル魔が首を振る。
「こんな洗い方、お前にしかしねえよ」
落ちて来た泡をすくい、肩の上に置いた。思った通り、こいつはこういう「白」が良く似合う。
肌に落ちた色と対比すれば、その顔の赤さが際立つ。そういや顔にも相当かけていた事を思い出し、泡を伸ばした。
「ぅっ………」
反射的に目を瞑ったヒル魔の耳に、舌を這わせた。
その表情を見るまでも無く。密着した部分がヒル魔の震えを伝えてくれる。
刺激を与えていた指も手のひらも、全部の動きを止めて武蔵は言葉を続けた。
「……前、だけだ」
腕の中でひくりと震える体。
ただ、肌が触れているだけ。
目をつむったヒル魔に与えられる刺激は、ただ、武蔵の言葉だけ。
「……………、だけだ」
言葉にならないぐらい、低くささやいて。掠れたような音を耳に注いでやる。
「………っ……」
ヒル魔の喉が、ごくりと動いて。
甘く染まった吐息が洩れた。





武蔵の腕の中で。
ヒル魔はぼんやりと体を横たえていた。
動くなと言われた訳じゃ無い。どこかを押さえ付けられているわけでもない。
ただ、背中にぴったりとはりついた武蔵を感じているだけで。
麻痺してしまったように体が動かない。
背中が熱い。武蔵の声が、耳の中に直接語られているのにどこか遠い。
会話の中身が切れ切れに耳に入って、抜けて行く。
何度も顔に泡が塗られ、目を開けられないまま体を全部武蔵に預ける。
時々、思い出したように恥ずかしいとか、結局丸め込まれる自分の甘さとか、そんな物が流れて消える。
全部どうでもいい。
ただ、もう大丈夫なんだと思えるような心地よさに全部をまかせていた。
武蔵の手が体をなめらかに撫でる。
優しくて、少し泣けそうなぐらいに柔らかい触れ方。
今まで色々な刺激を受けてきた。それはどれも気持ち良かった。
武蔵が触ってくれる時にはいつでも気持ち良かった。けれど。
こんな些細な事が、気持ちを高めてくれる事を知った。
肌と肌が密着するだけで、こんなに気持ちが良いなんて事は知らなかった。
ただそれだけで。
武蔵の体に抱き締められていと思うだけで、腹の奥が甘く痺れた。
耳に直接届けられる武蔵の言葉。
内容はどうでもいい事ばかり。ただ、心地よい音楽のようだと思った。
低く、囁くように小さな声。
それはヒル魔を優しく揺らしてくれる。

工務店をやっている家に住み込みで働いているたくさんの若者の話。
そんな若者達を教育しなければならない苦労。
なかなかうまくいかないから投げ出したいと言う話。
教育係として何度も責任を取らされていると言う苦労。
跡をつがせたいと思っている工務店の棟梁と古参の大工達との摩擦。
俺がいるだけで、みんなうまくいかねえんだよ。

武蔵の呟く言葉はだんだんと深い所に降りて行く。
だんだんと、撫でていた手の動きに明らかな意志が加わりはじめる。
そうじゃないだろうと武蔵に言いたいのに。
口からは小さな喘ぎだけが馬鹿みたいにこぼれる。
今まで柔らかな刺激だけだったのに、早くからとろりと靄がかかったような視界。
何かを武蔵に伝えたいのに、思考はぼんやりとしか動かない。
それでも、お前はそんなに酷い奴じゃないと言いたかった。
武蔵に顔を向けようとして。
後ろから強く抱き締められた。まるでしっかりと固定されてしまうように。

両親はいなくて、施設にいた所を引き取られて。
今の義理の親は良い人達なのだけど、なじめないとか。

話がそんな所に流れたところで、武蔵の指が動きを変えた。
撫でるだけだった、手が。泡の中で巧みに動く。
柔らかかった刺激の全部が、ヒル魔を追い立てはじめる。
待てと言いたいのに、言葉が出ない。
すっかり暖まっていた体は、武蔵の手で簡単に追い立てられる。
曇ってぼんやりとしか姿を映さない鏡の前に、両足を大きく広げた自分がいた。
恥ずかしいなどという意識はとうに途切れた。
白をまだらに纏った体。
そこに写る自分より。自分に視線を落とす武蔵の表情を見ていた。

話を聞きたい。
言葉を、交わしたい。
多分武蔵がこんな話を自分に振ってくれる事など滅多にない。
だから、こんな風に流されるのは嫌なのに。

結局養子だって事で、あまり良い思いは出来なかった。
だから、「たけくら」の名前は重たい。
老舗の工務店の、跡取りなんだという荷物を無意識に感じてしまう。
だから、「たけくら」の名字は好きじゃ無い。

簡単に快楽だけを追ってしまう意識。
武蔵が、この体に仕込んだ躾。
言葉を返す事も出来ないぐらい、霞む視界。
腰のすぐ後ろに押し当てられている武蔵の熱。
自分をここまで快楽に弱くした、武蔵の熱。
欲しいと思う体内の囁き。
自然に腰が揺れて、鏡の中で武蔵が笑った。
気持ち良いのかと問われて、素直にうなずいた。
どうされたいと問われて、思うままに口が動いた。
意地悪く聞き返される。
同じ言葉を繰り返した。武蔵が耳もとで小さく笑う。
本当にと再度問われて。早くしろと返した。
その言葉に。
体の中から指が抜かれた。

高まる鼓動。ずっと、後ろから腰に当てられていた熱が、どこかに消える。
腰が少し宙に浮かされて。
そして。
ゆっくりと、落とされて。
「ひッ………ぁああっ……」
気づかうように、ゆっくりと落とされて。
最後に武蔵の手のひらがすべって、ずる、と根元にまで飲み込むように体が沈んだ。
「んっ……っ…」
鏡を見ろと言われた。
武蔵がお湯をかけて、はっきりと像を映すようになったその中に。
惚けた自分の顔。嬉しそうに弛んだ自分の顔。
恥ずかしい事じゃ無い。これは今まで何度でも繰り返して来た行為。
武蔵が息を整えるまでのわずかな間。ぼんやりと鏡の中の2人を眺めていた。
何度でもしてきた事なのに。
大きく足を開いて武蔵を飲み込んでいる自分をはじめて見た。
場所は、いつも使っている浴室。
あちこちに飛んでいる泡の隙間から見えかくれする、赤い肌。
どこもかしこもが、とても赤い。
武蔵が指を絡めた場所は、とうに泡が落ちていた。
胸の先も、流れてしまっている。
揺すられれば、あちこちから肌が露出した。
突き上げられる程、裸にされる。
苦痛ではなく、愉悦に歪む表情。
ぼんやりと、そんな自分を見ていた。
自分が武蔵に抱かれている姿。
武蔵が、自分を抱いている姿。
そこから、目が離せなかった。

「そんなに、気になるか」
目を閉じても、身体の向きを変えても。
意識が鏡をおいかけている。
自分が優しく武蔵に抱かれている姿を、追い掛けていた。
あんな風なんだと思った。
はじめて知った。
あんな風に自分は抱かれているのだと。
これは本当に夢じゃないんだと。
確かめるように、見せつけるように、鏡に意識が飛んでしまう。
「随分、気にするな」
もう一度、大きく足を開かされて。
鏡の中の武蔵の表情を見て、ヒル魔はくらりと、目眩を感じた。
武蔵の目。自分に向けられている目。
鏡の中で武蔵と視線がからみ合って。ふわ、とその目が和んだ。
自分に向かって、笑みが零れた。
「んっ、むさ、しっ…………」
鏡の中に、手を伸ばす。声をかける。
一番見たかった、表情。
抱きつきたくて手を伸ばしても、そこにあるのはただのガラス。
後ろから貫かれて、ヒル魔は大きく喉を反らした。
目の前に、優しい武蔵。後ろから、抱き締めてくれるのも、武蔵。
「見られてるのが、好きか」
「あっ、……っ、あ……んっ」
言葉にならなくて、首を縦に振った。
揺すりあげられて、身体が仰け反る。薄れる視界を感じながら、ヒル魔は目で武蔵を追った。
今までの、あの、少し怖かった面影を残していない、武蔵を。
自分が好きだと思える人を。
優しく抱き締めてくれる、鏡の中を。
肩にあたる息が荒くて。ヒル魔は武蔵の動きに腰を合わせた。
ぎりぎりまで、鏡を見て。それから、目を閉じて。
全部の感覚で武蔵を意識して。擦りあげられる刺激に、声を上げて。
腰に残っていた熱を、2人は同時に放った。


湯舟に2人でつかって。
軽く頬をなめられて。洗ってやったのたにまだ甘いと言われる。
馬鹿みたいにつまらない会話を繋いだ。
のぼせているようなふわふわした意識。
「大丈夫か」
平気だ、と意味を込めて武蔵の肩口に顔を埋めた。
ヒル魔の着ていた服は浴室の端でぐっしょりと濡れていて。
仕方ねえだろという言葉に不満だというスタイルを取りながら。
武蔵のシャツを借りて羽織る。
年は同じだと言うのに。シャツは大きくて、伸びた襟回りから肩が出そうだ。
長い丈は、ちょうど膝の上まで。
「微妙にエロい」と感想を漏らす武蔵を軽く蹴飛ばして。
上半身が裸のままの武蔵に抱き着いた。
「そのままじゃ、風邪ひくだろ」
言った言葉が、その通りに受け止められたのかどうか。
笑って、武蔵がヒル魔を膝の上に抱き寄せた。

そうして。少し、話をした。
だんだんとお互いに口数が減って。
最後には何もしゃべる事がなくなって。
ただ、黙ってお互いの額を肩に載せて。
静かで、落ち着いた時間を過ごした。

次にいつ会えるのか、わからないけれど。
ヒル魔はとろとろとした眠気に襲われながら考える。
次に会ったら。もっと話をしよう。
武蔵の話を、今度は最後まで聞きたい。

今までに知らなかった事。
何をしたいのか。
何をして欲しいのか。
自分はそんな武蔵に何をしたいのか。

全部を、話そう。ゆっくりでもいいから。
そうして、その時には。
お前はそんなに酷い奴じゃ無いと。
しっかり否定してあげてから。
だって、俺が惚れた男だからと。
教えよう。
だから、お前はそんなに酷くも無いんだぞと。

多分、武蔵が思っている以上に自分は笑ったり、
怒ったりする全部に振り回されている。
口に出すのはしゃくだけれど。
今すぐにはなかなか伝えられないけれど。

いつか、それを伝えたいと思った。

今は、ただ。
この心地よさに浸っていたい。
武蔵が乱暴な仕種でヒルマの髪をタオルで拭う。
その、布の下で。
そう遠く無いだろう未来を思ってヒル魔は小さく笑みが洩れた。

今はまだ秘密。
武蔵に秘密。


話したい事がたくさんある。















よくまあここまで阿呆らしいタイトルが続くモンだ。日本語って凄いね☆
なんでこんな事にってヒル魔が泣いてますけど。そりゃあ書き手に悪意があるもん。

20050606

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2000年01月23日(日) 稲葉さんありがとう



嫌だとつっぱねようとしたのに、どうしても強く押せない右腕。
力が抜けてしまって。それでも縋っていたくて。
逃げたくて。それでも武蔵は許してくれなくて。
諦めて指を添える。それは愛しい人の腕。
けれど酷い人の腕。

強く掴まれている事は嬉しい。そこだけでとても嬉しいのに。
口につき込まれる指。指についている、白いもの。
意識を失う事さえ許してくれない刺激物。どろりと滑る、甘い毒。
嫌だと声も竦んでいるのに、すぐそばで笑う男。
大好きな、酷い男。

だから。

左手は縋る。
本当は、そばにいて欲しい。
どんな事をされても、いいから。
逃げないで。離さないでと。本音が出た、左手。
だけど、やっぱり、辛い。体が震える。
支えて欲しい。ぎゅっと、抱き締めて欲しい。
けれど武蔵は近付いてくれない。ただ、見下ろして反応を見ている。
楽しい?
楽しいのか?
こんな目にあってる自分を、見ていて、楽しいのか?

抱き締めて欲しい。

崩れてしまう。
押し込まれる甘味は、背を支える骨から力を抜いていく。
けれど。そんな事も関係ないと武蔵の足が割って入る。
太腿の下。足を開くようにと意図を込めて。
逆らえない、武蔵の要求。

逆らえるはずがない。
もっと、と声さえ聞こえる気がして。
ヒル魔は少しずつ、足を広げた。
後ろに倒れそうになると、武蔵に腕を強く掴まれる。
酷い、倒錯。
酷い、酩酊。
武蔵の表情は、まるで酒に酔っているように。
ヒル魔の意識はまるで酒に濁っているように。
酷い、目眩。
ふらつく上体を支えるのは、からめあった腕だけ。
縋る腕は無視されている。
ただ、右腕だけに全部の意識をつなぎ止める。

武蔵の、体温。武蔵の握力。支えてくれる、力。
膝の先でつつかれても、反応を返す事さえ出来ない。
押し込まれた指の先の物を、舌で跳ね返す事も出来ない。
ただ。
全部の絶望を送り込んで来る、武蔵の表情。
最後の望み、細い望みの、武蔵の左腕。
突き放す、口の中の指。

楽しいのか。
喉の奥まで指をつき込まれ、反射的に胃が跳ねた。
楽しいのか。
こんな事が。

武蔵が望むのなら。
武蔵が楽しいのなら。

せめて、楽しいと。
言葉をかけて。
自分をだまして。
腕より強く、俺を縛って。






上記の文章は、稲葉さんあてのメールにのっけたものです。
当時はまだまだ知らない者どうし、丁寧なメールの返信を
心がけていたやまだのおみそがぱんって音を立てて壊れた日。

200500605
下記は最初にイラストに添えておりました馬鹿文章です。

リンク許可のお礼に、
何か描きますよ。

私にそんな事言ったらどうなるか分からないのか馬鹿め
と思っていました。すみません、私が馬鹿でした。
相手の力量と言うやつをまるで把握しておりませんでした。

つうかこの下のエロい言葉。エロ単語。
どっからこんなの持って来たんだ。潜という文字だけが見えますが、
潜望鏡かこらと突っ込みを入れたのは私だけでは無いと信じたい。

こんな猥褻物が突然送られて来た日にゃ。
おしっこちびる。

やまだ純情だからこんな恥ずかしい2人に
動揺してもう今日は乙カレーて感じ。になりたい。



このころは、私はまだ礼儀正しかった‥‥‥はずだ。



2000年01月22日(土) 男の身体の☆声が漏れ

このところ、武蔵は苛ついていた。
仕事はうまく進んでいる。人間関係も順調だ。
顔つきがよくなった、と言われるようにもなり、そうなると仕事が面白い。
やる事なす事、今までの不具合が嘘のように流れはじめて。
その結果、夜毎に通っていた定食屋に行く暇がなくなったのはとても皮肉な話だ。

別に、会えないのが嫌な訳じゃない。
ただ。無闇に耳に飛び込んでくる噂。
最近定食屋の娘さんが、綺麗になったとか。
サービスが良いとか。
妙に機嫌が良かったりするとか。
以前うっかり足を触って半殺しになった男が、
最近はあのコも丸くなったよと訳知り顔で話す都度。
言い様のない苦渋が口に広がる。

別に、構わねえ。そう思う程、耳が敏感に噂を聞き付ける。
どうってことねぇよ。

昼の時間はびっしりと仕事に追い立てられる。もうすぐ、梅雨。
せっかく乾いた材木が水にやられないように、ここから先は天候との競争になる。
なんとか屋根を、棟上げまでを済まさなければならいないのはどこも同じで。
材料の届きも遅くなる。それでもノルマはこなさなければならない。

昔堅気の義父の方針で、工務店には大工を目指す若者が住み込んでいる。
その若者達の教育係に武蔵が当てられた。最近の若者らしい彼らの言動の全部の
責任は武蔵の肩に疲労と言う形でかかって来る。

ぐったりと泥につかりそうな体を引きずって家に帰る頃。
とうに明かりの消えてしまっている定食屋の前を通る都度、武蔵は面白くなかった。
工事の現場が遠いせいで、昼に通う事もできはしない。
ただ会えないぐらいで何かが腹の底にたまるだなんて。まったく、どうかしてる。

らしくねぇ。
とどのつまり。不愉快の原因はそこにあるんだと武蔵は思っていた。


久しぶりの逢瀬。
自宅に寄らず、まっすぐに定食屋に向かった武蔵に顔を喜ばせる娘。
機嫌よく座れと椅子を足で蹴り流し、目の前にどんどんと置かれる品々。
さっきまで誰かがいたのじゃないかと思う程な手際の良さに、
逆に箸が進まなかった。
「もう終わりか」
「あー。なんか、食いたくねえ」
自分でも口調が拗ねている事に気がついていた。随分と大人気のない態度をしているなとは思うが、仕方が無い。どうしても、この娘の前では自分の態度が嫌な方向に形が崩れる。
甘えだとはわかっていても、八つ当たりやあてつけや、嫌がらせの対象にしてしまう。
今も、そうだ。
かいがいしく世話をする娘を、マメなやつだと思ってはみても。
それがすぐに愛情に繋がる事はなかなか難しい。
良いやつだとも思う。俺なんかのどこが気に入ってるのかとも思う。
煙草に火をつけて、用意された食品の上に吸い込んだ煙りを吐き出した。
大概に、最低だなと思ってそっと娘の方を伺ってみた。少し眉を上げただけで肩をすくめる。

初めにくらべれば随分と表情が増えたと思う。
自分に心を許したような気安いと思える態度が増えて、増えたと思う事がどことなく腹立つ。
この感情に、理由などない。
そうして、そんないら立ちに気がつこうともしない娘の様子に無闇に腹が立ってくる。
ただただすがるような態度と、媚びるようにも見える口調。目線。表情。
ぽつぽつと話をして、週末は本当に久しぶりの休みだと言うと。
ぽかんとしたように娘の目が開いてすぐに反らされた。
武蔵は黙ってたばこを灰皿に押し付けた。言うつもりなど、なかったのに。舌打ちしたい気持ちをかろうじて押さえる。
今週末はこの店も休みだと。知りたくて知ったわけじゃない。
合わせようとしてとった休みじゃない。
でも。
言いかけた言葉は結局口には出せなかった。
自然さを装おうとしている娘が何を言いたいのかなど、想像に足る。
言いかけては口を閉じ、必死に言葉を探しているそのじれったさに武蔵はため息をついた。
「どっか、行くか」
注意深く見ていなければ分からない程小さく、その表情が揺れた。
どこか生きたい所があるかと聞くと、娘はさぞ今思い付いたのだと言わんばかりに口を開いた。
「お前の家、行ってみてえ」
「……そんなんでいいのか」
「無理かよ」
「………いや……」
それは、中々に。
面白いかも知れない。
娘が思い描いているのとは明らかに別の方向でに興味をそそられて。武蔵は小さく口の端をゆがませた。
「じゃあ、週末はうちに来るか」
そうだな、と軽くうなずいた様子はそれほど興味がないようなそぶりでも。
背後から、浮かれている空気が伝わってくる。こいつ、ほんとに俺の事好きだよなあ。
ぼんやりとそう思いながら、武蔵は週末の自宅を想像して。込みあがる笑いを静かに噛み締めた。




「古い家なんだな」
「ああ、隙間だらけだ」
勉強机に対峙する椅子に座るように指差される。
武蔵は椅子から適度に距離がある床の上に腰を落とした。
壁際に置かれた年代ものらしいベッドは体重をかけただけでぎいと音をたてた。
「どこもかしこも古いんだよ」
部屋の中は、想像した以上に物が無い。急いで片付けたわけでも無く、もともとそういう部屋なんだろうなとヒル魔は思った。調度品はもちろん、私物らしいものも極端に少ない。本や、CDや、ゲームなど、趣味に当たる物が見当たらない。落ち着き無く室内を見渡しても、そこから武蔵の好みや嗜好を探す事は難しかった。
6畳ほどの部屋は、その分武蔵の匂いが強く感じられた。
不快ではない武蔵の体臭が付きまとっているような気がして、意識しないようにしようと勤めてもどこか恥ずかしい。いたたまれなくて、気まずくて、それでも来たいと言った手前どこかに出かけようとも言い出せない。
落ち着かない気分に小さくため息をつき、ヒル魔は武蔵が畳の上にのばした足元に目線を向けた。
武蔵の母親が気を利かせたのだろう、そこには盆にのせられた飲み物と菓子が置かれている。
そこまでほんの数歩の距離がとても遠いと思った途端に、軽く指が曲げられた。
ここに来い、というように。

何もかもを見すかされているようで動作の一つ一つを無駄に意識してしまう。
ただ椅子から立ってそばに近寄るだけで。それだけでも、何を考えているのかが全部知られているようで。
自分からそばに近寄る事、それ自体にひどい恥ずかしさを感じてしまう。
何気ないふりを装って武蔵の足下に座っても、まだ指が曲げられる。
まだ近寄るのかと軽く目を見開いて、驚くふりをする。全部ばれている事はわかっていても。
とりつくろいながらそばに近付く。ベットに近付く程強まる匂いに、意識してしまっている自分が煽られている気がした。多分、もう顔は赤みを帯びている。
開いている両足の間に、来いと無言で告げる武蔵。
すぐにそこに行くのはとても性急すぎるきがしてけばだった畳を見下ろしていれば、強引な腕に引き寄せられた。いつも、酷い要求ばかりをくり返す武蔵が今日はとても優しい。
ずるずると体が引かれて、簡単にその腕の中に体が納まる。
武蔵のからだの上に、腹這いで抱き着くような、姿勢。
まだまだ日が高いのに、とても淫らな姿勢。

腹部と下肢が密着して、お互いの身体の変化が手に取るようにわかるような姿勢。

熱い頬に触れるだけのキスをされて驚いて目の前の武蔵を見つめた。
「ん?嫌か?」
反応が面白かったようで、なんども何度もそれはくり返される。
「好きだろう?こういうのが」
肌の近いところで囁かれて、低音が波紋のように広がって染みる。
密着した場所はまだお互いに柔らかさしかなくて、ああ、まだ、とぼんやり考えた。
その考えにまた頬が火照って。笑うように武蔵の唇が降ってくる。
抱き締められたまま時間が過ぎる事が嘘みたいで、ああ、ずっとこうされたかったんだとあらためて思い返す。
今日の武蔵はとても、優しい。
抱き合うにはむしろ暑いと思えるぐらいの気温も、気にならなく。
武蔵の動きが止まったところでその肩に頭を埋めた。自分より高い体温がとてもここち良い。
少し汗をかいているらしい武蔵と、その後ろに置いてあるベットからの臭いに、ここが武蔵の部屋なのだと改めて強く思わされた。
綺麗に整えられているベットに視線をむけられなくて、目を閉じればよけいに意識してしまう。
頭から背中のゆっくりとなで下ろす手のひらは何の嫌らしさもないはずなのに、どうしても意識が一定の方向に引きずられてしまってため息が漏れた。武蔵の耳にそれがどう届いたのか、耳に小さく笑う音が聞こえてたまらずヒル魔は強く目を閉じた。
武蔵が小さく身動きするだけで後ろのベットが小さく軋む。寝返りを打ったらさぞ大きな音がするんだろうなと思った途端に、武蔵が口を開いた。
「ベッド、気になるか」
「な、にが…」
「音」
「あ−−−、別に……」
「話してりゃ気にならねえだろう」
「まあ、な……」
背中をなでる手の平が腰までおりてきて、ヒル魔は軽く目眩を感じた。
「ここんとこ、何してた」
「何って」
「あんま会ってなかっただろ」
「ん………」
寂しかったという言葉がするりと口から漏れそうで慌てて他の言葉を探す。
多分、武蔵はそう言われる事が好きじゃ無い。
「別に、いつもと変わんねえ…」
「へえ、そうかよ?」
背を撫でていた手が止まる。
「寂しくなかったのか?」
「別に……」
「俺は、なあ」
手のひらは止まったまま。
「寂しかったぜ」
少し笑いを含んでいるような口調。
嘘と本音が混じった時の、武蔵の癖の一つ。
口調より、言葉の意味に。ヒル魔は暑い、と、感じた。
武蔵に触れている部分の全部が、とても熱い。

「なんで、うちに来たかったんだよ」
言葉に記憶を思い返す。
どうしてって。武蔵がどんなところで寝起きしているのかを知りたかった。
ただ、それだけ。武蔵の事が知りたかっただけで。また、嫌われる答えだなと思ったから。
武蔵が好きそうな答えを探す。
「なあ」
耳の後ろをくすぐる声には嘘もつけなくて、頭にあった理由のいくつかがぐるぐると頭を回る。
「ふ……布団」
気を抜くとどうしても声が裏返ってしまいそうで、そればかりを気にして一番つまらない言葉が口から漏れた。
「ああ?布団?」
あまりにつまらない事で。ヒル魔は口をつぐんだ。
「…………ああ、そうか」
ぐいと肩を押し上げられて、顔をまじまじと覗き込まれる。
「布団あるところで、やったこと、なかったっけなあ!」
「……っ……」
「じゃあ、やるか?」
相当に赤いだろう顔を楽しそうに見る武蔵の目線は、逃げる事を許してくれない。
一度でも拒絶すれば、それきり二度と向けられる事がないのは想像できる。きっと何も躊躇することなく、普通に目線は反らされる。店に二度と来なくなる。それだけで簡単に縁は途切れる。
昼に二人で過ごせるのは初めてで、だったらもう少し武蔵の事が知りたかった。
「こんな……時間から、か?」
武蔵の家は、思った以上に旧式で、大きくて、木の匂いがして、そして。
人の気配がした。
廊下を歩く気配も、隣の部屋に誰かがいる気配も。とても強く感じられる。
「他に何するんだよ」
「でも……」
「やりたく、ねえか?」
ヒル魔は目を武蔵から目を反らした。この男は、いつもこうだ。
絶対に拒まないと知っていて、その上で聞いてくる。
答えが見えた言葉を、聞きたがる。とても幼稚で、自信がなくて、それに自分で気が附いていない
酷い、男だ。いつも目が追い掛けてくる。仕種に、言葉に、拒絶がないかと。
絶対に大丈夫だとわかっているのに、それでも目は、なお問いかける。
まだ、大丈夫かと。酷い事をする事が、愛情の深さの確認だというように。
そのくせ、自分がどれほどこの男を甘やかしても。
最後の最後で、信用していない目。
自分を好きだなんて、お前は相当にバカだなと突き放す。

何をどうしたって信用しない癖に。
欲しがる強さと、疑う強さは同じ物だ。

身体を支えていた腕から力を抜いて、ヒル魔はもう一度武蔵の肩に頭を落とした。
軽く抱き着いて、肯定の意志を伝える。平静を装おうとしてももう顔は熱に弛んでいる。
服の上から背をさする動きは、とうに意地が悪い物に変わっている。
じわじわと自分を追い立てる刺激を与え、むずがゆいようなくすぐったいような。
不快の一歩手前のような撫で方。
そんな小さな刺激を刺激と受け取ってしまうこの身体を嫌らしいと罵られて。
こんなにしたのはお前だとも言えない。

「なあ、お前さあ……」
笑いを含んだ言葉に目を閉じた。密着していた腹の下を揺すられて、とうに気が附いていた事実を揶揄される。
「勃ってるぜ……?」
「………っ…」
「どうする?」
答えなんて必要も無いと思うのはヒル魔だけで、武蔵は全部に答えを欲しがる。何かを隠しているだろうと、そればかりを追求する。
隠している事なんて何一つない。見て、思うままに行動すれば良いのに。
脅迫するように決断の選択を迫る男。そこに、ヒル魔の意志など無いに等しい。
「………………………………する」
思った通りに言葉を引き出して、武蔵はようやく破顔した。目だけが、どこまでも静かに見つめたままで。


















ごめんなさい、書き込めなくなったので次へ。
ええと、せっかくのラッキーセブンだからお布団でさせてあげたかったと
思ったわけです。考えた時はすっげえエロ!って思ってましたけど
実際に書いてみたらそうでもなかったなって思うわけです。が。

ちょっと時間をください。
すみません。


2000年01月21日(金) 男の身体の☆声が漏れ

ベットの上に身体を横たえると、さすがに今まで以上の音がした。
二人分の体重に文句を言うようにぎいぎいと軋むその音が部屋の外に聞こえているのでは無いかとひやりとする。窓があいている部屋は、家の中では端に位置しているらしかったが、それで気が休まると言うわけじゃ無い。
武蔵がおおいかぶさって、気にとめる様子も無く服の下に手をのばすのは音が漏れないと知っているからだろうか?
今までも、こんなふうに連れ込んでいるから。その経験からこんなに余裕でいるんだろうか?
顔を覗き込まれて、諦めたように目を反らした。
「何だよ」
「別に……」
「また、つまんねえこと考えてるのか」
「……………別に」
「音、外に漏れるのが嫌か?」
良いわけが無いだろうと怒鳴り付けたくて、無自覚そうな顔を睨み付ける。
「じゃあ何かしゃべってりゃいいだろ」
器用に服の下で指に動き回られて、ヒル魔は言葉につまった。
シャツで隠れて見えないはずの突起が簡単に探られて突かれる。
こんなに明るい中では、反応全部がきっと丸見えで。その明かりと耳にひびくぎいぎいとした音がどうしても気になって。ヒル魔は片手を目の上にのせた。見られる事から、逃げるように。追い掛けられる視線を、ごまかしたくて。
「最近、機嫌良いって聞いたぜ?」
円を描くように指先が揺れて、じわりじわりと追い立てられて。
声を出すまいと唇を引けば、からかうように爪をたてられた。
「っ……なっ………」
「なんか、良い事あったのかよ」
「何も……」
「じゃあ、なんで噂になってんだ」
きゅ、と摘まみ上げられて息が止まった。
声を出さないなんて、絶対に無理だ。
「知ら、ねえ……」
「ふうん…………」
摘まれたまま揺すられて、咽から掠れた空気が漏れた。
空いた手で、シーツを握った。
「男でも出来たか」
「なっ………」
強く掴まれて、息が止まる。
「じゃ、なんでだ」
ぎりぎりと強まる指の圧力に痛い、と言えば歯止めがきかなくなりそうで。
刺激をやりすごすために息を止めても、強弱をつけられて腹がひくひくと揺れてしまう。
こんな、事を。
他の男と、できる訳が無い。
指が弛んだ隙に胸に溜まった空気を吐き出して、荒く呼吸を整える最中。今度は逆がいじられる。
「なあ」
諦めたヒル魔が答えを口にするまでそれはくり返されて。途切れ途切れの言葉に、ようやく満足した武蔵が胸までシャツをめくりあげた。
だって、お前が。お前の噂が、良いから。
「嬉しかったのかよ?」
口元を押さえながらがくがくとうなずくヒル魔は、ぷっくりと腫れたそれを柔らかく嘗めあげられて小さくのけぞった。ぎい、と耳ざわりな音がして、動きさえも縛られる中で。
せいいっぱい背を反らせて声を殺す。楽し気に笑う武蔵の息づかいさえも、もどかしいほど高ぶった身体には刺激でしかなく。口に当てた自分の手が、よだれで濡れていく様さえもわかる日の光に。
ああ、と胸の中で何度もくり返した。
酷い。酷いと。
なのに、こんなにも気持ち良いと。
ベットの上では、酷く武蔵の匂いがきつくて。横たわるだけで、うっとりと身体が痺れて。
全部を忘れてしまいたいのに視界は明るく、音はうるさい。
廊下を歩く人の気配は、いつまでも途切れない。
会話が漏れ、部屋の前でそれが止み。嘘のようなその状況の中で、確実にいつも以上に行為に酔っている自分。

いつもよりしつこい程に時間をかけて上体を触れられて。とうに下肢は熱を持っていた。
「うっ……」
ジーンズの布地を下から押し上げる部分を指で擦られ、耐えられずに声が漏れた。
二本の指の背で、形作る両脇をゆっくり下から上へとなぞられて。もどかしさに腰が揺れる。
「きつそうだよなあ、ここ」
わざわざ確認するように、告げてくる声。
「もう、濡れてんじゃねえのか?」
どう答えればいいのかわからなくて、ただ首を振った。
「このままじゃきついよなあ」
ぎり、と顔をおおう腕の下から睨み付けても気にした様子もない。
その先に自分が口にする言葉を待っている。言わされてしまう事も、分かっている。
「どうしたい?」
ひどく焦らすだけの刺激に反射的に腰が動いて、笑いが深まる。
「わから、ねっ………のか…」
「知りてえな」
指はその鈍いほどの動きを止めない。
「どうされたいんだ、あんた」
「どう、って……」
「あんたが喜ぶ事、してやりてぇ」
見下ろしているのは、嘘をついている表情。
「これは?」
「んっ………」
「こっちか?」
「…っ、あっ……」
「どれがイイ?」
指が布の上を動くだけで、いいように嬲られている。わかっていても、逆らえるはずが無い。
強い刺激程、逃せない熱を感じて大きく身をよじり。耳障りなベットの音が、そのまま感じる刺激の強さを武蔵に伝える。
「ぬっ……がし、てっ……」
「どれを」
「ぜ……全部……」
「どれ?」
「ジ……パンと……、っ……」
ファスナーが下ろされて、ずるりと引き降ろされる開放感に大きく息を吐いて。次を、と促されるから熱に浮かれたふりをする。
「下……ぎ、も………」
よく出来たと誉めるように唇をなめられた。脱がされた下着が、ジーンズと同じように床の上に放られて。
ぼんやりとそれを眺めて、目を疑った。
部屋のドアが、開いている。わずかではあるけれど、確かにこちらにむけて、開いている。
その、奥に。感じられる人の気配。
「武蔵っ……ドア…」
「あ−−?ああ、開いてるな」
さらりと言われる事に、ヒル魔は言葉が続けられなくなる。
「立て付け悪いんだ」
「誰か、いる……」
「そりゃな、いるだろ」
「どうして……」
とたんに声を小さく潜めたヒル魔に、笑いで返してくる武蔵が信じられない。
「俺が仕事休みって事はな」
隠す事もできなくなった下肢にゆっくりと直に触れる指が、ゆるやかに動きはじめる。
「家の奴ら全員、休みってことなんだよ」
知ってて。何もかもわかっていて。それで。こんな。
抗議の声を、あげる前に。手のひらで強く握りこまれて身体がのけぞった。
ドアの外からは、動かない誰かの気配。
見られている、聞かれているというその現実に。焦らされた身体が一層疼いた気がしてヒル魔は打ち消すように頭を振った。
「俺とやってるのが、知られるの嫌か?」
こんな、状況で。どうしたって否定できない状況で。
ようやく、本音をちらりと見せる卑怯な男。
お前なんて、大嫌いだと言えればどれ程楽になれるだろう。
ぐちぐちと音をたてるように先端を弄られて、こらえきれずに悶えればベットが音をたててそれを教える。
武蔵に。ドアの向こうにいる、人物に。
酷い、酷いと言いたいのに。口から漏れるのは押さえた喘ぎばかり。
触られているだけで、こんな有り様で。この先を考えると恐ろしくて。自分を押さえれないだろうと思う、その予感に。弄られる先端からとろりと液がこぼれて武蔵の指を濡らしていく。
奥の入り口が触れられて、濡れた指が慣れたように潜り込み。
押し入られる異物感を呻く事も出来ずに受け止めながら、どうすればいい、とそればかりを考えていた。



声を出したく無いと言うヒル魔の要求に。武蔵はゆっくりとつきあった。与えられる愛撫は優しく、ゆっくりとくり返されて、小さな刺激ばかりが与えられる。ヒルをおもいやっての事でないことは、嫌でも分かった。
身体に武蔵が侵入して。それでも。
そのゆったりとした動きは続けられる。嫌がらせのように、のろのろと、ただ、絶えまなく。
くり返される刺激にヒル魔はこぼれてくる涙を押さえられなかった。

どろり、と腹にたまった物。
武蔵が揺する腰の動きにあわせて、それは腹の中でのろのろと動く。
擦れる刺激は息を止めてやり過ごせても。
内側から腹に響くそれは。声を飲み込もうとする意識を内側からゆるやかに崩していく。
軽く、小さく揺すられて、やりすごそうとする気力が薄く削られて溶けていく。

声に出せない快感の苦痛。

腹筋の下で、背筋の奥で、焦らされる程に高められた疼きが揺れる。
粘り気と重力を帯び、気体にも似て内側で膨らんで解放を叫ぶ。
濃密に溜まるそれは腹部で液化し、とろりと揺れる。揺れて、囁く。
この先を知っているだろう、と。
それがどれだけ気持ち良いのか、お前には分かっているだろう、と。

軽く突き上げられるだけで腹にたまったそれらは一気に背を駆ける。
指の先まで突き抜けて、もっと先へ行きたいのだと暴れる。
耳の後ろをちりちりと焼き、肌の全部を逆立てる。
目の前を真っ白にするまでの、武蔵に追い立てられる登り道。

知っている、だろうと。
腹に響く、のろりとした刺激。
十分に高まった熱は食いしばった唇の端から唾液と一緒にわずかに洩れる。
動きをとめてこちらを伺う武蔵は、ヒル魔がせがむのを待っている。
人前で。昼間から。あられもなく、武蔵を欲しいと叫ぶまでを。
そうして、よがる自分を笑うんだろう。
そんな扱いへの不満も。意地も。羞恥も。意識して、手放していく。
武蔵にせがんで、縋るために。
ちらりとドアに目を向ければ、はじめの頃よりも広く開いている。
その奥に誰がいるのかは相変わらず見えないままで、朦朧とする意識はそこから時折話声を拾った。
複数いるような、その気配を無視する事などできるわけも無い。
けれど。
身体はもう待てないと主張する。

そして。
口を開く。
切れ切れに、片言。
聞こえないと言われて、何度も繰り替えさせられる。
もつれる舌で。何度も。
もっと動いて。
めちゃくちゃにして。
もう、許して。
言う程に武蔵の笑みが深まって、力の抜けた両腕が頭の上に押し上げられた。
腰に当てられていた支えがなくなって、不安定になったまま。
無造作に腰を強く突き出されてヒル魔は欲しかった刺激に強く仰け反った。
「あ−−−−っ」
武蔵の両腕は、ヒル魔の腕を固定したまま動かない。
宙に浮いた腰から下は支えられないままに突き動かされて、激しい動きにだんだんと姿勢が崩れてしまう。
ドアが大きく開いた気がした。
大きく揺すられて。突かれても。崩れる体位にじれったさは変わらなくて。
ヒル魔は両足を武蔵の腰に巻き付けた。
シーツに押し付けられた両腕の変わりに。抱き着きくように、腰から下で武蔵を引き寄せる。
自分のとった姿勢に、恥じなどを感じるよりも。待っていた刺激の連続に背から脳がびりびりと焼けた。
「あっ…、ひっ………、っ…、あんっ…あっ……」
突かれる動きにあわせて、淫らに腰を押し付けて。
視界に入ったドアは、さっきよりも幾分大きく開いているような気がした。
でも、それもどうでも良かった。
「んっ…、ああっ……、む、さしっ……」
「下の、名前だ」
「あっ……ん、、やっ……、ひっ……」
言われた事に、とっさに滲んだ意識がついていかない。
揺れる視界の中で、武蔵を探した。目の前でこちらを見下ろす、上気した顔に抱き着こうとして腕が動かない。
嫌だなと思う事さえ、揺すられるうちに千切れて消えて、仰け反る強さで腰にしがみついていた。
下の、名前。
ぼんやりと思ううちに声が先にその名を呼んだ。
「あっ……、やっ………、げ、んっ……っ」
叫んだ言葉に、武蔵がどんな表情を浮かべたのか。もう、ぼやけた視界で確かめる事は出来なかった。


可哀想だなあ。
あんたは。

自分が言ったままに、なんでも言う事を聞いて痴態をさらけだす身体に。
見下ろしながら妙に冷静な部分がそう感じていた。
腕の中で声を上げてよがる娘を、狭い視界で眺めて、笑う。
お前の事なんて好きじゃ無い男に、こんな目にあわされて。

背中に感じる視線と気配に、満足する自分。
さんざん定食屋の娘の噂をしていた、あいつらに見せつけることでの充実感。
治まっていく不快感と、首をもたげる不信感。

嫌だなんだと泣きながらも。結局言われるままに応じる娘が、目の前にいる。
あんたは。誰にだってこうなんだろうと言ってやりたくなる、暗い感情。
俺とつきあう以外に、何人を銜えこんでいるんだと聞きたくなる程情事に溺れる身体。
腰に巻き付く足の強さに。突き上げに答えるように押し付けられる腰の動きに。
始めての相手は俺だと言われて。他に誰とも寝ていないと言われて。
知り合ってまだほんのわずかな時間しかたっていなくて。
誰がそれを信じられるだろう?

「げ……んっ……、イ……くっ……」
その言葉と表情に、大きく腰を揺らして押し込む。仰け反った身体に、白い液が顎まで飛び散り。
ぎゅうと締め付けてくる感触に思わず呻きがこぼれるた。
その狭く熱い中に、武蔵は高まっていた全部を吐き出した。
娘が脱力するまでに。数回腰を揺らして、全部を注ぎ入れる。
思った通りに、娘の目が閉じると同時に身体がベットに沈み込んだ。

乱れたシーツの間で身動きしない身体から、ずるりと萎えた自身を引き抜いた後。
武蔵は意識のない娘に唇を落とした。

この手が、他の誰かに伸ばされていたら。
それを、目の当たりにすれば。娘が否定しなければ。
自分は平静でいられるだろうか。

感情の名前は、独占欲。支配欲。
熱が急速に冷めて、眠気が緩やかに襲ってくる。
手に入れたと言う達成感と、追い求められる満足感。

それと、少しの何か。
まだ、名前もつけられていないそれを武蔵は押さえ付けた。
ぴくりとも動かない娘は、どうやら完全に落ちてしまったらしい。
汗を滲ませた額にはりついた前髪をそっとはがしてやる。

ほんの少し、距離が縮まったと思った事は何度かあったものの。
優しくなれると思った感情は、うまれてすぐに泡のように消えた。
覗き込めばそこにあるのは、深い穴。
見下ろす自分でさえも、中が見えない暗い井戸。

愛しいと思うのとは違う。優しくしたいとも、思えない。
口には出来ても、心底好きだとも感じる事はない。
ただ。離れる事だけが、許せない。
自分以外の、何かに。誰かに。全部に。
考えただけで、不愉快になる。
少なくともこれは、恋愛感情という呼べる何かではない。

可哀想にな、と思う。
随分酷い目に合わせていると思う。
甘やかすお前が悪いんだとも思う。
意識のない娘になら。優しく出来るのになと思う。

目がさめれば、娘は何を思うだろう。
お前が誰のものになったのか。
家の中の全員が知っているだろう事に。
明日になれば、常連達の間にも広まるだろう事に。
それでいい。
少なくとも、自分の中では片がつく。

娘は、武蔵に惚れていると。
それが周囲に事実として伝わるだけで、十分だ。
俺がこの娘をどう思っているのか。
そんな事は、関係ない。

自分を甘やかしてくれる腕。
無条件に待っている存在。

それは欲しかったもの。
だけど。
代価に恋や愛だのを求められれば。
手放さなくてはならないのだろうか。
手ごろな、恋人。手を伸ばすだけで喜ぶ娘。

代価が欲しいと言われるのが怖くて、
いつも口を開く前に先手を打っている関係。
けれど、その目がよそを向く事が許せなくて。
例え噂だけでも不愉快になって。押し付けるばかりの自分の浅ましさがみっともなくて。
結局娘に八つ当たる。

少し、疲れた。

体をずらして、娘に体重をかけないように体を横たえて。
武蔵は目を閉じた。

少し、眠るか。
目がさめても、どうせ何も変わっていないだろうけれど。

だいぶん、疲れた。
楽になりたい。

答えはもうとうに出ている気がしているけれど。
気にそぐわない結論が目の前に突き付けられそうで。
武蔵は、ため息と共に目を閉じた。









20050718 0215


2000年01月18日(火) 亭主関白宣言続き

 
ええと、なんか酷い具合になったうえに続いています。
不快になられた方へ、ごめんなさい。






五段 女房や息子を正座させて説教したことのある人


これもまたスゴイ。スゴイコトになっています。
説教ですよ。Oh! セッキョーー!

名だたる歴代の運動部などに「説教」と冠して独自の刑罰システムがあるように。
ムサヒル家にだって独自の「説教」が存在します。
武蔵だってヒル魔だって。悪いコトしたらお説教です。

本日のレシピはこちら

『仲が良かったクリーニング屋のけんちゃんの口車に乗り、うっかり部屋に通したヒル魔が
「奥さん‥‥俺、ずっと前から奥さんの事が‥‥ハァハァ」「やっ、やめろっ!」と
抵抗しきれず押し倒された所に帰宅した旦那。危機一髪を救われてほっとするやらゾっとするやら』というシチュエーションを経て
色濃く反省の色を浮かべているヒル魔さん(1人)
ロープ(任意の長さ)
玩具(お好みの大きさ/遠隔操作ができるものだと尚良いです)

さて、まずは奥さんの口から謝罪の言葉を引き出しましょう。
悪かった。もうしない。武蔵が帰って来なかったら一体どうなっていたことか。
ごめんなさい。許してもらえるまで何でもする。

ここまで言わせれば後はとても簡単です。
ヒル魔の両手を背中でしっかり結びましょう。
ロープの先は、その辺の家具に繋ぐとモアベターです。
身動き出来ないように余裕なくぎっちり縛り付けるとモアベストです。
ここは下地造りですから手を抜かずにきっちりしっかり頑張りましょう。

さて。ヒル魔が多少の異変を感じても身動き出来ない程固定したら
次は玩具をつっこみましょう。
突然ずぼーといくのも良いです。
じわじわいたぶるようにゆっくり追い詰めていくのも悪くありません。
目隠しと言うアイテムを追加するなり。目の前に鏡をおくなり。
アイデア次第でメニューが一層華やかになります。

抵抗したり嫌がるようなら、「何でもするって言ったよな」
切り札をちらつかせて黙らせましょう。

さあ、準備はこれで完成です!
離れた所でスイッチを入れて楽しみましょう。
もちろん姿勢は「正座」です。
びくびく跳ねたり小さく震えたり涙声をあげたりしますが
そこはじっと我慢です。亭主関白とは妻の不満には耳を貸さず、
自分の気分と欲求と主張をどこまでも押し進める人の事です。
ここでひるんではせっかくの段位が泣くというものです。
さらなるレベルアップを狙うために心を鬼にして妻の辛さを楽しみましょう。
(ここに来てようやく亭主関白らしい事を言っていますが)
(表現のやり方つうか具現の仕方が著しく間違っている気がします)


六段 女房のほっぺたを平手打ちで叩いたことのある人


ここで注意を払わなければいけないのは、「何で」平手打ちをしたのか。
設問に目的語が書かれていない所です。(引っかけ問題です)
手のひらで。足で。本で。タオルで。チンコで。

そう!チンコ!

だって6段ですよ?ここまで来るのにどれだけの時間と努力が
かかったのか。それを思えばチンコの1つや2つなど惜しくは無いと思いませんんか?

大丈夫。6段まで上り詰めた貴方のチンコは立派です。
奥様の頬をはり飛ばすぐらいでは今さらびくともしないでしょう。
レッツトライ!新しい世界へ!迎えるのはレベルアップの効果音!

チャラリラッチャラーーン!

ムサシのチンコは
賢さが下がった!
スタミナが上がった!
硬さがアップした!
少し黒くなった!

全体的に、イイ感じになった!


さらなる上級技を披露したい方は、どうぞ先から飛び出る白い液なども
オプションとして使ってみると良いでしょう。
常にアレンジ心を忘れない。亭主関白として、それは正しい姿勢です。

何にせよ、こちらの技は大変上級者向けになっております。
生半可な段位程度しか持っていない方はけっして真似をしないで下さい。



七段 女房と外で待ち合わせをして、2時間遅れて行っても女房が待っていて、なおかつ文句を言わせない人


さあ、ここまで来るともはや師範の粋に達します。
そろそろ流れも読めてきているのではないでしょうか?
そうですね。ヒル魔さんは文句を言わないのではなく。
文句を言えない状況になっている。

渋谷の前なり、いいともの前なり。人通りの多い中、壁にもたれて顔を伏せ、
その場から一歩も動かない奥様を人は誰も注意しませんが。
良く見ると目深にかぶった帽子の下で、赤い顔の奥様は唇をきり、と噛み締めていらっしゃいます。
待てと言われてそのままに。
身体の奥で小さく響く、モーター音が気になります。
周りに聞こえていはしないか。
おかしく思われてはいないか。

ようやく現れた旦那の胸に、ヒル魔はぐらりと倒れ込みます。
「よく、我慢できたな」との言葉にヒル魔さんは文句も言わずにお願いをします。
「はっ……やく…、楽に、してっ………」

2時間どころか3時間でも大丈夫かもしれません。
鬼畜?人でなし?人非人?真の亭主関白のためにはこれらの過程も必要なプロセスです。
この先にすすむにはヒル魔の理解と協力が欠かせません。
次のステップにすすむ前にお互いよくよく相談してからじっくり時間を使いましょう。
あせってはいけません。無理強いなどもよくありません。

やりすぎ離婚などという最悪の結末はいつも貴方のそばにあります。



八段 気にくわないことがあったら、お茶またはおかずなどの載ったちゃぶ台をひっくり返すことのできる人


7段の場所でも述べたように、この先は2人の協力が鍵となります。
8段のテーマは非常に難しいと感じるかもしれませんが、コツをつかめば簡単です。
ここまで過酷なお題が続いていましたから、ここで少し肩の力を抜きましょう。

これは、一種のプレイです。
ひっくり返すとはみせかけで、ヒル魔にぶっかけるのだと思って下さい。

ぐっしょり濡れるヒル魔の顔。
生卵などが垂れる髪。
お風呂上がりの所を狙えば、0.2秒で男体盛りです。
傷1つない綺麗な肌に、食べ物ぶっかけて汚す楽しさ。

これぞ亭主関白の醍醐味の1つ。(もうなんとでも好きに主張させてあげて下さい)

べとべととするヒル魔の体を綺麗にするのも旦那の仕事。
男の手料理は後片付けがなっていない、と世間では言われているようですから
念入りに綺麗に綺麗にしてあげましょう。

その楽しさを思えば、ちゃぶ台をひっくり返す腕にも力が入るというものです。
気に入らない時などとタイミングを限定することなく。
がんがんヒル魔にぶっかけましょう。最初は派手に怒られるかもしれませんが
回数をこなせば、ヒル魔も(多分メイビー)わかってくれます。

やまだのおすすめは甘味と納豆ですが、
著しくヒル魔の機嫌を損ねる可能性があります。
ぶっかけメニューは最初は難易度の低い物から始めましょう。





九段 けんかをしたとき、間髪を入れずに、心の中でなく、声に出して「出ていけー!」と言える人


ムサヒル版に言い換えるならば
喧嘩をしていても間髪入れずに(エロにもつれこみ)心の中でなく、声に出して「出(し)てイけ!」と言える人

これが課題とされています。
ここに来て、なんだ、と拍子抜けされるでしょうか。
そうですよね。いつも武蔵がやっている事です。

喧嘩して、怒ってふくれるヒル魔のかわいらしさにいつものようにむらむらムンムンしてしまい。
ヒル魔………はぁはぁ ドンガバチョ!
そうして本能のままに体を重ねて、すっきりしたら万事解決。

しかし今回は少し違います。「間髪入れずに」という注意書き。
ここで難しいのはいかに喧嘩の最中にエロエロへ持ち込めるか。
この早業にかかっております。

かんかんに怒っているヒル魔のわずかな隙をつき。がばり!がばり!
スピード勝負です。
イメージトレーニングが欠かせません。
さらにヒル魔の虚をつく事も必要です。

そのためとあれば、時には素直に謝りましょう。
ここまで関白道を歩んで来た貴方の事です。さぞヒル魔には理不尽な思いをさせていることでしょう。
素直にあやまる。俺が悪かったと言ってみる。だけど好きだ、愛している、と。
心の扉を開けましょう。さすればヒル魔の頑固なお股もふんわり弛むというものです。

思い返してみて下さい。あのラブラブハッピーときめきタイムを。
初めはただ、それだったのです。
お前が好きだ。お前が好きだ!

たまには初心に戻りましょう。
胸の思いを打ち明けましょう。
どんなに酷い事をしても。貴方はヒル魔を愛している。それはまぎれも無い事実なのです。
どんなに酷い喧嘩だとしても、真実の前には怒りもすぐに溶けるのです。

注意点としては、うっかり初心に戻りすぎないように。
素直に思いを叫びすぎると全ての段取りが無駄になります。
「突っ込みてえ!」「今すぐやりてえ!」「お前をアンアン泣かせたい!!」などなどと。
心の扉は開く角度も重要です。あけっぴろげになりすぎて、喧嘩がさらにこじれることも。
経験と常識から、どれ程股間に血がたまっていても程度というものを忘れてはいけません。


十段 女房に「あなたのような亭主関白は見たことも聞いたこともありません」とお墨付きをもらっている人(女房の署名が必要)


おめでとう!ここまで来れば免許皆伝!貴方も立派な亭主関白!最後の難関のクリアももうすぐ!
ヒル魔にお墨つきをもらいましょう!お前は立派な亭主関白だとヒル魔に認めてもらいましょう!

ここまでの道のりを振り返って下さい。長く、苦しく、下半身にはらぶらぶハッピー。
甘く切ない性生活。あんなこと。こんなこと。あーーっ、たーーで、しょーーう。
ヒル魔に免状を差し出して、そこに署名をもらいましょう。

貴方が立派な亭主関白であれば、ヒル魔は素直に署名をします。
もしも貴方が少しはずれた亭主関白であるのならば。
「俺みたいに、一風変わった亭主関白なヤツなんて見た事ないだろう?」と誘導尋問で対応して下さい。
最後に残るのはヒル魔から貴方への気持ちです。
貴方のこれまでの仕打ちを振り返り、ヒル魔がどんな結論を出すのか。

運を天に任せましょう。

ここで一気に離婚届に判を押される事もあります。
そんな時はもう諦めて、「だーい、どーんでーん返しーー!」と叫んでボケましょう。
ヒル魔を失うのが恐いのか。免状を失うのが恐いのか。
貴方が真に賢いならば、最後の選択を謝る事はないはずです。

武運を祈ります。
貴方の素敵なムサヒル生活に幸あれ!(敬礼!)

PM9:39



ええと。
言いたい事はもろもろありますが結論としては「二度と消さない」。
そんな決心が余計に深まった本日でした。
なっげーわ、下品だわ、まとまってねえわですがなんかこう
覚えてはいるものの、同じ物をそのままくり返して書くと言う事が
思った以上に苦痛だったのでこんな形になりました。

消える前の物をごらんの方は「おいおい、残りはどうなるんじゃ」と
思われるかもしれませんが、まあそのうちこんな具合に無駄に伸びて
延びに延びて再びあらわれるかもしれません。











2000年01月17日(月) ごめんなさい。死んじゃうのはしかも雲水です

















阿含が泣く時ってどんな時だろう。
誰かが死ぬ時。誰かに負けた時。何かを無くしてしまった時。

誰が死んだら泣くのかなあ。
雲水が死んだら、あの子はそれを認識出来るだろうか。
病院のベットに横たわる自分の分身を眺め下ろして、
そこに死期を感じとった後。あの子は一体どうするだろう。
戦国武将だったらこの子は絶対織田信長だ。
悲しいとか辛いとかそんな感情を整理出来ずに怒りばかりが先走る子だ。

ヒル魔が死んだり一休が死んだりしたら、あの子はそれを信じるだろうか。
「けっ」とか言いながら「どうでもいいね、そんな事」と言いながら
ぼんやり、ヒル魔と会った場所をふらりふらりと歩きそうだ。
一休と過ごした場所はどこもアメフトに縁がある所ばかりで
なんとなくいつもと違う、けれどいつも以上に近寄りがたい
空気をまとった背中を部員に目撃されるんだ。

雲水が死ぬ時。
多分、それは逃げられない事実として目の前にあって
目を反らしたくても頭がしっかり受け止めちゃって、
また会えるかも知れないなんて、そんな逃避さえも許されなくて
どうしていいのかわからないままどうしてなんだと怒るばかりで
家からも出ず、部屋の隅から動く事も出来ず手の届く所の物をつかんで
それを握りつぶすばかり。
静かに、静かに荒れる部屋。
どうしてこの手につかめないのか。
同じ顔、同じ身体、同じ手足、才能が無かった、自分の分身。

気がつけば自分の両手を見下ろし、握っては開いて、そこに雲水の影を見る。
この手が簡単につかめるものを、つかむために努力をくり返した兄。
望むと望まざるに関わらずついてきたたくさんの称号。たくさんの賞賛。
誇るような、当然のような、恥ずかしいような気持ちでいながら
どうして雲水はこれを持っていないんだろうと不思議に思う時期があった。

いつもうざいと思っていた。
自分の後ろで静かに息づくあの男。ゴミの癖に。カスの癖に。
どれだけ顔をあわせなくても、どれだけ距離を置いてみても
それでもすい、と懐に入って何もなかったように笑う。怒る。
自分を怒鳴り、自分を引っ張り、そしていつもそばにいた。
そばにいなくてもそばにいた。

いないとわかってしまう今。そこにぽっかり崖が広がる。

暗いのか闇なのかそれは深いのか、もろいのか。
崖が広がる。そこにあるのは沈黙ばかり。
空気さえもゆるがない、広く広がる大きな空虚。

何一つ、何一つさえも手に入らない。あいつは何もつかめなかった。
生まれた時から、この今まで。
努力するだけしておきながら、何もつかめない生き方だった。
二つに分かれて生まれた意味は、こんな現実を見るためなのか。



悲しい訳じゃ無い。
辛い事じゃない。

ただ。
ここにいないという、ただそれだけの。
強烈なだけのただの現実。

縋る物が何か欲しくて、手の中の物を握りしめる。
時々痛みが走りもしたが、そのうち気にはならなくなった。


何も出来ず。欲しいものがたくさんあって。
それに向って足掻いていた。才能のない、自分の分身。
こんなみじめな思いをするなら。
お前、生まれて来ない方がよかった。

みじめだ。
カスだな。
ゴミらしい、底辺を這い回った短い一生。

顔をあげると、割れた鏡が目に入った。
最後に見た兄の顔。白いものに囲まれた中、負けじと白い顔をこちらに向けた。
ごめんな、と小さく動いた唇。
掴まれた腕の妙な熱さ。

情けねえ。
みっともねえな。
ゴミならゴミらしく、潔くいけよ。

何を言ったのか覚えていない。

ごめんな。
その言葉だけが頭に残る。

謝ってどうする。
てめえが何を、俺に言う?それは最期のお前の望みか?




鏡の中から、こちらを見つめる。
ごめんと、最期に口にしていた、あの表情がそこから消えない。

お前の悔いも。思い残しも。
俺は何一つ背負うつもりはねえんだよ。
ごめんて言いたい、てめえの気持ちはとことん勝手で気持ちが良いな。

押し付けたつもりだったか。
残った俺にお前のそれが、何かを残したつもりなのか?


カスは死んでもカスなんだよ。



気にもならない。
大した事じゃない。
つまんねえ、ただの事故だ。
うざい蠅が飛ばなくなった。
気楽じゃねえか。
のびのび、好きにやれるじゃねえか。


だから、こうして何日も。
動けないのは「てめえ」のせいじゃねえんだよ。

大した事じゃねえ。
別に気にする事じゃねえ。
なのに、ここから動けねえ。

鏡の中の静かな視線。
最期に謝ってそれで全部チャラにできると思ったのか。
腹がたつ。静かにゆらりと怒りが沸く。

言えばどうにかなると思っているのか。
言えばお前は楽になるのか。
言えば俺は許すと思っているのか。


言いたい事があるんなら戻ってこい。
言いたい事があるんなら、お前は俺に直に言え。

憎いばかりの置き土産。


最期の最期まで、卑怯な兄の置き土産。


2000年01月16日(日) 大晦日

 
息を止めて熱を持った腰を持ち上げる。
散々たまった圧力を勢いに変えようとして……。
先端近くに走る痛みがヒル魔の集中力を散らした。

「っ……、くそっ……」

ついさっきは、寸前にその先端をふさがれた。
その前は、急に声をかけられた。
一度や二度ではない、こちらの気を乱す動きとタイミングのずらし方にヒル魔は武蔵を睨み付けた。
腰の奥を貫くこの男の動きは、今日はどうにも緩慢だ。

「……年が変わる前に死にてえのか」

枕元にある重い銃器へとヒル魔はゆっくり手を伸ばした。

「あ……すまん、わりい」

日付けが変わるだけで年号が変わる2005年最後の一日。
その残り数時間を、こんな気の抜けたセックスで終わらせるつもりはヒル魔にはなかった。火照っていた身体は一度冷え、それから次第に怒りで熱くなる。
この男は、一体さっきから何をやっているんだろう。

「やってる最中に考え事たぁ、良い度胸だな」

明らかに集中していない。
目を合わせもせず、動きがそぞろだ。
ヒル魔の奥へ押し入った熱は、熱く固く、けれどその動きに勢いが無い。

「……や、別に……」

無精髭にざらつく顎を、細い指が素早く捕らえた。
逃げるように答えを避けて泳ぐ目線をヒル魔は強引にこちらへ向ける。

「言え」

逃げる、ごますなどを考える武蔵を一言で否定し、ヒル魔は声に怒りを伝えた。

「いや、その……な?」

ヒル魔の両脚は、武蔵の肩に乗せられている。不安定な姿勢のままヒル魔は片方の脚で肩を蹴った。

「今日、大晦日だろ?その、うまいこと今日から明日までやりっぱなしだと……」

ぼりぼりと頭を掻きながら武蔵が上目遣いでヒル魔を伺う。少し目尻に照れを含ませ、もぞもぞと口を動かすがその内容は相変わらず下品な物だ。

「2年挿し、つうのを……やってみたくてな!」

ヒル魔の眉根がさらに皺を深く刻んだ。機嫌を取るように近付いてくる顔を、ヒル魔は片手で押し退けた。

「そんな日本語は存在しねえ」

尚も近寄ろうとする品の無い顔を足の裏で蹴りつけた。力任せに、顔の向きを変えさせる。

「今何時だと思ってやがるんだ」
「8時、半……まえ………」
「今から盛って、んな事出来ると思ってんのか!」
「いや、俺だってもう少し後からしようと思ってたんだよ」

武蔵からくらべれば随分と細いヒル魔の足首を捕まえると、それをばたりとシーツに落とした。雑に扱かわれた事が不愉快でもう数回蹴ろうかと考えたヒル魔は、何か言いたげな顔に動きをしばらく止めてみた。

「お前がやりたそうだったか……」

ためらいもなく、無防備な腹にかかとを打ち込んだ。体勢が変わり、武蔵が呻き、動きはヒル魔の内部にまで伝わる。動きを止めていた場所に妙な振動が突然加わり、反射的に武蔵を締め付けかけたる内側をなんとか押さえる。

「てめえ、初詣に行くんだろうが!」
「……あ?、…………ぁ!」

腹から声を出したせいで、余計にその奥の物が意識させられた。何度も射精を止められたせいで刺激に飢えた身体は、ともすれば自分から腰を揺らしかねない。今はそれより怒りが先だ。大声を出す都度、腹筋の揺れにさえ反応しそうな内側の動きに注意を払いながらヒル魔は怒りを発散させた。

「てめえが自分で約束したくせに……」
「……あ、いや、忘れてた訳じゃ……」
「っざけんな」

武蔵の腕が腹をガードしたのを見極めてヒル魔はみぞおちにそれを叩き込んだ。
小さく呻いて武蔵の身体が丸くなる。すまん、と呟く声はあえて聞こえないふりをした。






 デビルバッツの1年達が、終業式に部室で楽しそうな笑い声をたてながら相談していた年始の予定。たまたま近くにいた武蔵はそれに巻き込まれ、むしろ初詣では行った事が無いから楽しみだとさえ口にしていた。割合、人付き合いを積極的にしない武蔵へ距離を感じるメンバーもいる中、恐れ知らずのセナとモン太がほとんど全員に声をかけた。クリスマスボウルへの必勝祈願だと言われればやはり皆はその気になる。
 隠そうともしない面倒くさげなヒル魔の態度は、「楽しみだな」とつぶやく武蔵の前に柔らかく消える。「いつもの面子で年明けから一緒か」とぼやけば「たまには良いだろう」と珍しく武蔵が乗り気の発言を返す。

だから。

だから、「一人で家にいたら寝ちまう」という武蔵の主張にわざわざ部屋によびつけてやり。ヒル魔にとっては程良い室温を「この部屋、熱ぃ」と窓を開ける愚行にも部屋から叩き出すのだけは我慢してやり。突然冷えた室温、厚着は嫌い、エアコンを強くすれば今より乾燥する空気が嫌で、どうにかしろと文句を言えば満面の笑顔で抱き締められた。本気でこの男の頭には何が涌いているのか、不安になる一方で振りほどけない自分の甘さは考えない事にした。

そんな中で、何となくコトになだれこんだ、のに。
そういや一緒に年を超すなんて始めての事だなと思っていた、のに。

気ののらなさそうなセックス。身が入っていないような、中途な刺激。
その気になってもタイミングをずらされ、射精を先延ばしする理不尽さ。
これで怒らない方がどうかしている。




睨みながら蹴っていたヒル魔の足首が武蔵につかまれ、再びシーツに押し付けられる。
大きく足を開く形になって、ヒル魔は一瞬息を止めた。

「もうろくしたか、糞爺」
「あー……、すまん」

どれだけ動きが鈍かろうと、突き込まれた中はとても熱い。
行為を長引かせようとする武蔵の動きは、焦らしにもにてむやみに熱を煽るばかり。
高められた身体は、むしろ些細な刺激さえも食い付きたがり、ひくつく内部は武蔵の物を締め付けたがる。
会話が続く間。
足首を掴まれる衝撃。

つき込まれたままの武蔵のモノを、締め付けないように自制するには辛さが伴う。
身動きする毎に腹筋はひくつき、じれったさに腰がうずく。

「待ち合わせは、何時だ」
「11時……」
「飯食って、風呂入って、服着替えたら時間ねえだろ」
「………はい」

しょげる武蔵の首筋に、ヒル魔は乱暴に腕を回した。
体重をかけてぶら下がり、近付く頬に唇を立てた。
舌の先でちりちりとした無精の跡を味わい、さっさとしろと言葉に変えて腰を振った。

「悪かったって思ってんなら……」

唇を這わせながら合間にヒル魔が小さく囁く。

「さっさと満足させやがれ」

ヒル魔がそれ以上何かを口に出す前に。
腰を強く打ち付けられて声が止まった。
要求した途端の、その変わりようにヒル魔は笑った。
背を反らし、揺らされるそれに身体をゆだね、咽から競り上がる声を噛んだ。

どことなく不満そうなその顔に手を伸ばし、耳元から顎先までを何度かなぞった。
口端がつまらなさそうに下がった部分を指でつつくと、数度でそれはだらしなく弛む。
武蔵の顔のラインをなぞりながら、次第に柔らかく触れる余裕がなくなってしまう。
離したく無いと思いながらもヒル魔はその手をシーツに落とした。
指先に冷たい布をなぞり、爪を立てて強く握る。
押さえられていた欲求はただ一度では満足出来ず、同じ気持ちらしい武蔵に向ってヒル魔は何度も腰を揺らした。



















セナは携帯に何度も視線を走らせた。
待ち合わせの時間は11時。その前後にぼつぼつと各自から連絡が入り、間に合わない、境内に流されちまって身動きが取れない、などの慌ただしい連絡が続く。予定の時間に顔を合わせられたのはごくわずか。風物詩とは言えあまりに多すぎる人並みにまともな待ち合わせも出来そうにない。結局、時間をずらして再度落ち合おうと決めてからも「彼等」からの連絡が無い。
12時を過ぎて少し。ようやく届いた電話の第一声は、「すまん」という謝罪。


「どうしたの、セナ。ヒル魔君から?」
「ううん、武蔵先輩から。二人とも風邪引いちゃって、出られなくなったんだって」
「ええ、珍しい」
「武蔵さん、声がさがさだったよ」
「残念ね……凄く、楽しみにしてたのに」
「うん、でも……」

電話の短い会話を思い出し、セナは少し首をかしげる。

「凄く、楽しそうだったけどね」





1年の締めくくりと1年の始まり。
2006年、二人のそれはこんな具合に始まったのだ。




2000年01月15日(土) 武蔵バトン

ヤンカチュ工務店のヤンヤンさまから頂きました。
凄く嬉しいです。うれしさが余って一度で語り切れません。
何度かに分けて莫迦みたいに語るような気がします。



◆ムサシのことをなんて呼んでいますか?

ムサ 武蔵 馬鹿 ムサシ 村瀬 


最後に明らかに別人かと思われる物がありますね。
これは今年のまだ寒い頃、デビルバッツ創世記が世間を賑わせた時。
あまりに動揺したやまだは会社で佐木さんに語りかけました。

見ました!?見ましたか!?む………。

言えない。
恥ずかしくて、口に出せない。心で何百万とくり返している
武蔵というたった3文字が口に出せない。
あいつの名前をリアルに口に出すなんて。
あまりにもあまりにも違和感がある。不自然な物を感じる。

かといって、強く強く叫びたい気持ちを押さえる事など出来ず。
どうすれば、どうすれば、不審そうに眺める佐木さんの表情に
あまり長く沈黙を持たせる事も出来ず、しかし肝心の言葉は
口に出すにはあまりに重く……。

む、む……。村瀬。見ましたか。

なんだそりゃ。

今週のジャンプですよ!


そうだった、佐木さんは自分が興味ある漫画意以外、
掲載されているものに一切の興味を持たない人でした。
アイシールドに関していくらお勧めしても興味を持ってくれなかった方です。

しかし、そんなこたあどうでもいい。
とにかくひたすら話したい、この感動を分かって欲しい、
そして落ち着けと突っ込んで欲しい。
それには佐木さんしかいない、だけどどうせなら語った後で突っ込まれたい。



村瀬(武蔵の意)と池田(ヒル魔の意)っていう二人の高校生の物語なんですが。
見て無いのですね。わかりました、かいつまんで説明しましょう。




そうして。現在(12月)に至ります。漫画のタイトルは毎回適当に変えています。
佐木さんは、たまに「ネウロってヤツだっけ?」など
全く理解していないような発言をします。良い傾向です。

ただひたすらに村瀬という
親の病によって一度は現場を離れてしまったもののどうしても戻りたい、
けれど戻れないもどかしさとじれったさと手を伸ばしても届かない距離を
行き来するのは物言いたげな目線のみ。
そんな高校生のラブストーリー漫画があるんだよと説明しております。



一度は池田の元に戻れたものの、そこに再び試練が襲い掛かり
自宅が破産の危機に追い込まれています。



最終的には池田ヒル魔が兵器になって世界をぶっつぶした後に
二人きりで地球を捨てて宇宙に旅立つ話にしたいのですが
佐木さんがあまりにも食い付いてくれないので宙ぶらりんです。

そんなわけで、実際に武蔵の事を村瀬と叫ぶ時期がたまにあります。
とても、楽しいです。


◆大工ムサシとアフタームサシどちらが好きですか?

どちらも大変好物です。
しかして、どちがらと言われると大変困る質問ですね。

大工からアフターへと魅惑の変ぼうを遂げた武蔵の歴史には
数々のミッシングリンクが存在し、未だに語られる事のない
闇に葬られたままになっているピースが存在するために
(つうかまだまだ足りませんよもっと見せろ!けちけちすんなよ集英社!)
両者を一つながりの「武蔵」と考える事も難しく、
また、別物であると捕らえるのもまた乱暴であり、
両者の一長一短な個性の優越をたとえ個人的な感想とはいえ
簡単にここで結論付ける事は困難です。

強いて言うならば、大工かなと思うのですが
あの老けた顔、懐かしむまなざし、仰ぎ見る顎から頬にかけて、
苦悩が刻み込まれた表情が好きです。

アフターはそんなあちこちに刻まれたたくさんの物が
たまごの殻のようにつるんと剥けてしまい、その結果
一つ一つに言葉に今までのような重み、力などが消えた分
ばかっぽさが強調されるあんちくしょうの存在もまた見のがせません。
漢字でさえない、もう、ばかってしか言えない、ばか。

ばか・オブ・ばか。


あからさまに自分は大工が好きなんだなと思うのですが
それでも現在のアフターだって好きなんだあと思い知らされます。

ばかが好きです。
深い馬鹿も浅いばかも大好きです。
どっちにしてもそれと付き合うヒル魔が不幸になるから最高です。
ばかの馬鹿具合に頭を抱えたくなるのは馬鹿好きであるやまだにとって
人生の伴侶だと思うので仕方ないよなあと思います。

今後、アフタームサシの活躍は存分に味わえても
恐らくは「私が愛した大工」が復活する可能性は低く、
新しい伝説に期待すると同時に失われてしまった過去を嘆き、
再登場する事は無いだろうという判断から
今や天文学的な数値がつくと噂される大工武蔵に心がときめきます。







◆ムサシの萌えるエピソードを一つだけ選んで語って下さい

多すぎて何がなんだか……。
とりあえず出て来られたシーンはどれもこれももれなく萌え所。
割合にすると100%超(当社比)で魂のポイントを突ついて下さる
武蔵さんです。

ちなみにとても頭が弱いやまださんは登場シーン一つ一つに
名前をつけて覚えるようにしているのですが
中には「あんたあの子のなんなのさ(ガンショップキッドの後ろ姿)」
「戦いのさなかに散った夢の花(夕陽ガッツ戦)」など
武蔵が影も形も存在しないというのに武蔵シーンとして
カウントされている物も多数存在するので油断できません。

最近のやまだは面倒臭くなった萌え所が多すぎて
16巻あたりは「16巻」と呼んでいます。
あんな丸ごと一冊細かく区分するなんて不可能です。


ちなみにどうしても頭から離れないインパクト顔は
病室の窓際で腰を突き出したモデル立ちされてる武蔵のへんてこフェイスで。
他にも夜明け〜とか当たり前だ!!とか様々なかっこまんフェイスが
あるはずなのに武蔵と言われると最初に浮ぶ顔があれです。
勘弁して下さい。

武蔵と言われなくても気がつくとあれが浮びます。
まじで困ります。飯時も、寝る時も、風呂に入っていても
思い出すのはがつんと一発腰突き出し。
これほど脳裏にこびりついてしまったからには恐らく死に直面した時
思い返す走馬灯の大部分に口がへの字の武蔵が流れるに違いありません。


ええと、質問何でしたッけ。
つまりは萌えるエピソードと一つだけ。
1番じゃなくても良いのですね、どれか引き出して語ればよい。
そう解釈するならばもっとも語り所の少ないシーンを探してみましょう。

といってもどこも語りたくて仕方が無いシーンばかりですね。

ええと、「その男ムサシ」の近辺で回想シーンがある所で
回想の最後のコマ(ヒル魔が「強ええぞこのチームは」とか言ってる見開き)で
中学時代のまだ何も起きていない純粋無垢な頃のムサシと
その次のページで既に人を殺した目になっている武蔵。
この対比が大層たまりません。

何度もページをぱらぱらさせては、1ミリに満たない紙の厚さの間に
武蔵が思い返したであろう様々な出来事。
「武蔵厳」を「ムサシ」から「武蔵」へ変えた重さが、伝わって来ます。
あれ程柔らかに動いていた表情が、細められたまま硬化した目元。
下がったきり上がる気配の見せない口角。
日に灼けて張りを失った肌。

ページをめくるという1秒にも満たないその数瞬ですぐに武蔵が脳裏に
思い起こすあの頃、あの時代、あの思い出、こんなにも近い、濃い、強い、重い、
色鮮やかに蘇る空気、時間、気持ち、何もかも。
すぐ側にまざまざと蘇るのに何よりも遠い。

その寂寥感が何とも言えません。
コマというかエピソードというか正確にはあの「コマ間」がたまらんちんです。
コンビニで不審に想われる程高速でページを捲っていた事が懐かしいです。
このシーンのインパクトがあまりにも強かったためにやまださんの頭から
その後の煙草を捨てるシーン等がスポーーーーーンと頭から抜けてしまい
チャットやメッセなどで「あれ?そんなシーンあったっけ?」などと
恐ろしい莫迦発言をした事は皆さんの記憶から抜いて下さい。





◆ムサシの体毛は濃い派?薄い派?

あーーーーうーーー、
ビジュアルが関係する質問はとても悩みます。
色々な想像をする人がいらっしゃると思いますが
やまださんは脳みそのなかに映像がほとんどございません。
神様からの囁きもインスピレーションも
全て何もかも文字で絶賛放送中。

画像としての特徴を考えるととたんに頭がぴたっと止まる。
世間がGBに突入している時代、やまだの頭は常にKBで動いてます。


で、まあ。体毛?もじゃで。ゴリエぐらいあるのが希望……かな。
なんとなく。


ヒル魔は薄いと思います(聞いてない)
外人さんのふわふわでも可愛いなと思いますが
濃いのをがつんと!太いのしっかりと!が嬉しいです。
毛が濃いと色々と不便があると思うのであっちこっちにひっかけたり
挟んだりしてあいた!とか言うと思います。あんま気にして無いと思います。

ヒル魔を襲ったりイヤだって言われても無理強いしたり
勢いだけでにゃんにゃんしちゃって、ヒル魔もうっかり流されちゃって
うっかり気持ち良くなっちゃって。
目が覚めたらちょっと思い出してむかつく朝。隣でぐーすか寝てる武蔵。

そんな時はひっそり先に帰って。
たっぷり寝た後ぼやーーっとベットから身体を起こして。
のそのそとシャワー浴びるかなって起き上がって。

ベットから足出したら「痛えーーーー!!」

びりびり痺れるすねを見下ろすと、両足にべっとり。
張り付けられているのはガムテープ。
はしっこがベットの足にくくってあって、
足を伸ばしたらびりーーって。


四角い形に脱毛した跡を笑われてしまえばいいと思います。

だけど薄いってのも好きです。
濃いのが顔だけだったり顔と体系を考えて
もう少し濃くてもいいかなと自分で判断していたりすると
萌えます。





◆ムサシは受ですか攻ですか?

受けです。

基本的にあいつは受け体質だと思います。
相手に選んだ人が世界の奇跡、ヒル魔という名のビューティさんだったので
相対的に攻めの立場にいると思います。
人間的に急いて成長する事を自然に要求されたあまり
適度にいびつで、適度に困った形で
甘えがゆがんで発動すると良いなと思います。

あいつは甘えたい人じゃないかなと思います。

甘えたいけれど突っ込むのが当たりまえ。
そんな自分に受けの自覚がない受男武蔵を
その辺に正座させてくどくどと説明してやりたい。


お前は受だと。


可愛いなあ、ほんと頭良い子良い子してやりたい。
可愛くて可愛くて仕方が無いです。馬鹿を含めて。
態度でかいのも口調がつっけんどんなのも
余計な事言うのもするのも言動が極端なのも
ヒル魔に似ていて、でも私にとってはヒル魔より
百万倍ぐらい可愛らしいです。(当社比)

あ、あとヒル魔よりも無責任ぽい所が突出していて
それも萌えだったんですが最近はどっこいかな、とか。

自分の馬鹿に無自覚で、なんでもできると思っていて
それでいて無能な自己満足のあいつ。
そんな馬鹿が攻めなんて無理だろ、と。
お前はつっこまれてなんぼだよ、と。

言いたいのですがそばにヒル魔がいるもんですから。
生まれた時からセクシータレントのあいつがくっついてるもんですから。



卑怯だ。
あんな受けがそばにいたら、武蔵が受けに見えんじゃないか。
ヒル魔のばか!この件に関しては文句言いたい。
お前がいるばっかりに。武蔵の受けとしての魅力が
わかってもらえないんだよめそり。

だけどまあ、それじゃあ武蔵を誰が攻めるのかって問題で
アイシって私は攻めるキャラが少ないなと思いますので
どこのキャラも百合ップルに見えますので
ヒル魔が攻めると良いなと思うの。思います。


だけど武蔵の受け属性を高めさせているのもヒル魔かなと。
ヒル魔がどんどん増長して、「愛されて当然」と思っていて
「これと決めた相手には愛情を深く注ぐんだ」とかわけのわからん
信念ん(思い込み)とかあるのに現実は違ったり
身勝手だったり我が侭だったり、とことんダメな所が受け臭い。


ヒル魔も武蔵も属性とか片寄りとかが
とっても似ている二人だと思いますけど
似ているのにそこから発生する感情と結論のだし方が
真逆でそっくりな所がベストカップルだと思います。

武蔵もヒル魔もどっちも受けでも攻めでもどっちでも良いです。
あいつらが二人で幸せって思ってぎゅっと手を握っていてくれたら
あとは上でも下でも何でも美味です。節操ないです。
ポリシーなくってすみません。








◆ムサシは何歳くらいに見えますか?

えええと……。
いくつでしょうか……。
実はあんまり老けていると思わない時もあるんですよね。
実際最近なんて逆に大工に見えないし。
(やまださん、大工は年令を示す言葉ではありませんよ)


大工=おっさん
短かめ短髪=謎
長髪=高校生


漫画で「この人は××」と言われると鵜呑みにするタイプなので
へえ、そうなんだ、で終わります。素直なものですから。(使い方違うよ>素直)
大抵いくつぐらいに見えるかなあ……。
その男武蔵、ぐらいが好みの見かけですがあれっていくつぐらいなんでしょう。

心の中で武蔵はいつも永遠の18才です。
老けてるとか、老けていそうというより、なんとなく
「立派な大人な対応が出るんだろうな」と思わせる顔と雰囲気を持っていて
実際の立ち振る舞いがちっとも似つかわしく無い具合がとっても素敵です。
そんなちぐはぐさが実に18才臭いです。

ああでも、設問の意味はいくつに見えるか、であって……。
うーーーーーーーーーん。
年令……。逆に言えば、外見だけだったら私アイシのキャラ
全員が高校生に見えないんですが。あいつらいくつなんでしょうね。
(頭の中で高校生だと思うようにしております。



年令で色々と判断するにはやまだの目はあまりにも
腐っているというか目が肥えていないので答えが出せない問題です。
ビジュアルに関する問題などは苦手です。
パスと言いたい所ですが武蔵に関して思うままに語って良いという
設問ですからうるさいぐらいに騒いでみたいと思います。武蔵武蔵!!






◆ムサシに好きな衣装を一つ着てもらえるとしたら何を着てもらいますか?

困りそうで困らないのがこの問題なんですね。
実はやまだにとって最も心が膨らむ素敵な武蔵コスチューム。あります。

かなり前から想定しておりまして主張したいつうか叫びたいつうか
むしろ言ったら誰か描いてくれないかなと思っていたら某方が
描いてくださって死ぬ程満足。もう思い残す所なし。


裸体で猫耳。


これだ!すっきり!!!
いやっほう!
ただでさえ武蔵素敵なのにこれ以上素敵になってどうするつもり!?
むしろ魅力が溢れて押しながされる!助けて!溺れる!笑顔で!!

だって、武蔵が。肉体美が。なのに可愛いのが。
耳の上にふっくらと。ちょこんで。ぷに、で。
おまけに笑顔でにへらとかされると死ぬ。もう飛び込んで死ぬ。
そんな武蔵に触ろうとしてヒル魔にだったら撃ち殺されても良い。

見られるのならそのぐらいの代償安いもんだよね。
額に穴空いていたって気にしないよ。

首に鈴とか手袋の手のひら側に肉級とか、たまらんです。
そんな自分の姿を恥じて部屋の隅で膝をかかえる背中も好きです。
酔っぱらってそのままヒル魔の部屋にひっくり返っても素敵です。
飲み会の罰ゲームでそんな指令のカードを引いて
眉をしかめてなんだこりゃって思う顔も素敵。
それでもやっちゃう馬鹿な所素敵。

ついでに後ろで、ヒル魔と二人羽織りしなさいってカードを引く十がいます。
話を反らすのが得意ですみません。

どうやったら武蔵がそんな素敵コスチューム着てくれるかなと
長く頭をひねっていたのですが今年の夏ですっきりしました。
生きているって、常に驚きや神秘に満ちあふれています。

あ、ヒル魔が酔っぱらって笑いながら武蔵を飾り付けるのどうでしょう。
武蔵がヒルにつけてやろうと思っていたそれを紙袋から見つけて
引っ張り出して何だこりゃって言いながら
武蔵の意図はわかってるんだけど酔っぱらってるから御機嫌のままで
にこにこリボンとか鈴とか飾り付けします。
武蔵が嫌がったらちゅうとかでお返しすると素晴らしいです。
ちょっとふくれ顔だけどほだされて飾られた武蔵の紙袋の。

最後に出て来たのはいけない玩具。

あーーー、忘れてた、やべえと慌てますが
御機嫌のヒル魔はちょっと目を開いてから首をかしげて
いいぞ、って笑うと思います。
にこ、と笑って「お前がそのまんまでいられるんならな」って。

ちょっと悩んでから、まあ見るのヒル魔だけだし構わないなと
そのまま事に及ぼうとするんですがヒル魔が御機嫌。
時々笑いながら。すごく楽しそうに。
もくろみは成功したのになんだか釈然としない武蔵は
微妙に楽しい。そんな馬鹿な所が攻めていても受け臭い所。
です。




◆ムサシの下着はブリーフ?トランクス?ボクサー?

これが……。
これが、ほんとに難しくて………………。
だって、何履いてるんだろう、わからん、わかりません
この設問で最大の難関ですよね。つうか私も知りたいです。

武蔵達がその辺歩いていたら、かたっぱしからつかまえて
パンツ下ろしまくるんですがあいにく北海道に武蔵は生息してはおりません。
どこに行けば会えるかな。くすん。
単行本とか、すかしてみてもわからんし。
ジャンプ見ててもわからないし。
シャワーシーンとか出て来ないし。
ばか!集英社の役立たず!(暴言)

シルエットクイズとかしてくれないかな……。

トランクスだったらいいかな、と思います。
母親とかがそろえてくれるのそのまんま履くので
こだわりもなんもなくて、ずるずるとゴムがゆるんで来たのも
構わず履いてヒル魔が引っ張って遊ぶと思います。
脱衣所とかベットの脇とか。

ゆるんだやつだと、ズボンと一緒に脱ぐのが楽でいいんだぞーとか
言ったりしちゃって、ヒル魔にだらしねえ!と怒られると良いんですよ。


あと、乾燥機の中で乾いていたらそのまま履くって事をするので
ヒル魔の家で同棲してたら自然に普通に間違えて欲しいので
二人ともトランクス履く、とかだったら私が嬉しいです。




ボクサーとかのぴっちり感も好きそうだなと思うし。
ブリーフみたいな感じもするしなあ……。
このへんのパンツにまつわるエトセトラの一つを解消させるつもりで
ちょっとこねたを武蔵オンリーで本という形にしたいのですが
絵をつけてくれる近江さんが
「巻き型?ターザン?おむつ型?」などとやまだの心を揺らします。
問題を複雑にしてどうすんじゃね!

そいでもって、全部やりたいなあと思ったりしました。
パンツ!パンツの話は尽きません。奥が深い、下着の世界。




◆60ヤードキッカーに続くムサシの通り名を考えてください

これもまた実に実に苦手な設問です……。
名前をつけたりタイトルつけたりそういうのがとても苦手です……。
歩く迷惑男、動く厚顔無恥、天然のセクハラ馬鹿

ヒル魔事についてだけ、つっこみする馬鹿。
()
ナチュラルに旦那顔する馬鹿。
ヒル魔はオレのもんだぞってはずかしげもなく主張する馬鹿。
髪型を変えるにしてもやりすぎる馬鹿。


「ザ☆馬鹿」じゃだめですか。だめでしょうか。
非常にお似合いだと思うんですけれど。


◆ヒル魔、ムサシ、栗田の麻黄中親友三人組でのカプを教えてください

中学の時。武蔵はヒルが好きで、ヒルは武蔵が大好きで、ムサヒルはがち。
でも武蔵もヒル魔も栗田が大好きで、大好きな栗田に対して
隠し事する後ろめたさと背徳心から栗田にべた甘な二人。
栗田も薄々気がついているけれど、二人が隠したがってるなら
言ってくれるまで待とう、の気持ち。

ヒル魔と武蔵はそれぞれ栗田と二人きりだと
甘えたり八つ当たりしたりするので、栗田は攻だと思います。

栗田武蔵で栗田ヒル魔。そんな栗田を甘やかしてあげたい二人。

だから、とことん栗田にはやりたいことをやらせてあげたい。
ある意味ヒル栗田で武蔵栗田なので、結果として乱交。
幼き日々から性の乱れは始っていると思います。


◆バトン回す人五人

いません


2000年01月14日(金) 経験値バトン

●経験バトン

■入院 ○
 幸い病気もけがも無縁でした…。

■骨折 ○
 スキーで片腕折った事があるそうです。母談。やまだは覚えてません。小2ぐらい?
 当時「ゲレンデの暴走族」と呼ばれました。ヘルメット着用、直滑降のみ。(超迷惑)

■献血 ○
 義務だ、と思って通っていますが先端恐怖症なので毎回血管が緊張で消えます。
 注射も点滴も大嫌いです。顔色がすっと白くなるそうです。(看護婦さん談)

■失神 ×
 失態、失望(される)、失意などは得意ですよ。

■風俗 ×
 えーーーと‥‥。スナックの姉ちゃんとかは風俗に入るの?

■補導 ×
 されてみたかった。ちなみに学生の頃、生徒指導室の常連でした。
 制服をきちんと着ない子だったので。主に冬服を。冬の学校て暑くて。
 年中半袖、夏服で片手にブレザー持って歩いてました。

■女を殴る ×
 殴られた回数はそろそろ二桁に。主にライブか弟にやられます。
 
■男を殴る ○
 蹴りも含めると結構な回数かな。二桁は超えます。

■就職 ○
 働かないで暮らしたいです。

■アルバイト ○
 大好き。今でもやります。いろんな触手を渡り歩きました。
 職種だっつうの。馬鹿マックめ。

■海外旅行 ×
 パスポートは持っていますが。なんつうか、タイミングが悪くて。しょぼ。

■ピアノ 
 エレクトーンと併用して少々。今はその名残も無く指が動きませんが。

■テレビ出演 ○
 子供の頃結構出ていたらしいですが私の記憶にはありません。
 円山動物園でサル山にのぼった映像があるらしいですよ。やまだが。
 どんな子供だったんですか、私。

■ラグビー △
 授業でちょっとだけ。男子が必修だったのでぼんやりながめてて、
 その後女子も交えてゲームしました。あれは疲れるスポーツですね。

■合コン ○
 割と呼ばれます。盛り上げ役で。あんまりスキじゃないです。

■北海道 ○
 住んでます

■沖縄 ×
 一度でいい。青い海を見てみたい。

■エスカレータを逆走 ○
 今でも時々。人通りがないと、うっかり方向を間違えますよね。あれ。

■電車とホームの隙間に落ちる ×
 さすがにそこまでは。電車自体にあまり乗りません。

■金髪 ×
 母親が脱色しろ!あんたは髪が重くてうっとおしい!と言うので
 そのうちするかもしれません。

■ピアス ×
 絶対無駄に怪我をしたり流血したり、
 消毒とかさぼって腫らしたりすると思うので
 つけてみようとは思いません。金属アレルギーもあるし。

■ラブレターをもらう △
 幼稚園の時に‥‥。高校の時にもらったかもしれませんが忘れました。

■幽体離脱 △
 んーーー。微妙。現実だったのか夢だったのか覚えていないです。

■先生に殴られる ○
 しかも先生酔ってました。いや、しらふでも怒られて殴られたりって
 私の学生時代では普通でしたよ。今も普通だと思います。

■徒競走で一位 ×
 最後から数えて、ならいつもぶっちぎりで。

■コスプレ ×
 してみたいっすねえ。

■同棲 ×
 してみたいっすねえ。

■ストリート誌に載る ?
 ストリート誌って何ですか

■ナンパ ○
 某友人と一緒の時に声をかけられやすいのですが、
 大抵ヤツがスゴイ勢いで持ち帰りします。
 1人では‥‥。どうなんだろう‥‥。ナンパか?あれは。
 道を聞かれたついでにどっかに誘われるんですけれど。
 大抵お断りします。

■逆ナンパ ×
 連れがいつもクラブでやります。そっと置いて帰ります。

■交通事故 ○
 軽い接触事故だったらしょっちゅう。
 歩いてたり自転車のってたら、よく車とぶつかります。びくり。
 車で事故したことは無いです。自慢。無違反ですよ!自慢。つうか奇跡。

■パーマ ○
 かけてもかけても翌日に落ちるんですよね。

■飲んで記憶喪失 ×
 忘れたいです。

■警察にお世話 ○
 えーーーと‥‥。被害者、という形では割と。
 あと、遺失物届けでも割と。ありがとう、警察さん!
 幸いな事にいままで加害者になったことはないです。

■芸能人を見た ○
 スマップの中居 氷川きよし(触った) 新庄選手(会話した)
 吉川ひなの(ポッキーCM撮影の時エキストラやっていたので)
 あと色々と見ているはずなんですが……忘れました。
 あ、巨人軍の原監督。あと渡部篤朗。

■愛されるより愛したい派? ○
 両方欲しい。どっちかと言うのなら、愛されたい。
 でも愛されるとひたすら他ばっかり目うつりするそうなので、
 常に誰かを愛したい派みたいです。

■夜行列車の旅 ○
 狭い寝台の中、友達と二人で持ち込んだ同人を読みふけった夜しか経験なし。
 他は、すべて普通座席で腕くんでがんばって寝るようにしてます。
 バスよりも楽ですが、それでもこの数年、夜通し列車は疲れます。

■彼氏(彼女)と泡ブロ!! ×
 したみたいですねえ

■浮気したことがある? ×
 してみたいですねえ。

■留学orホームステイ ×
 してみたい……。

■告白したことがある? ○
 ははは。つい最近。ふられました。(唐突すぎた、な……)

■彼氏(彼女)に手作りのプレゼント、あげたことある? ×
 多分、無い……。ないと思います……。
 手作りチョコとかクッキーとかはありなんですか。

■彼女(彼)の前で泣いたことある? ×
 ない、と思う……。不明。覚えてません。

■感動モノに弱い ○
 弱過ぎて、苦手です。泣きすぎて具合悪くなります。 

■初恋の思い出は? ×
 恐ろしく覚えていません。いつだろ?
 まだなんですぅ、なんて可愛い事も言えない年になりました。

■恋愛は押すよりも押される方が好き? △
 やまだが押す人なので、自分の意表を突く押され方すると引きます。
 でも押されてもみたいです。もみくちゃにされてみたい。

■実は好きな人をおとすテクニックを持っている? ×
 持ってたら苦労しません。でも、ムサヒルだったら、テクニックも何も
 ただ、相手がそこにいるだけでメロリンしそう。
 あいつらは、相手限定テクニックだけが超絶で、他はすごくだめだめだ。
 
 なのにいつも浮気の心配ばっかりするんだ!と思います。

■Jリーグ観戦 
 コンサドーレを何度か。頑張れ、とは思うけど今の状況は仕方ないかな。
 たまに、「なんでアレで負けてココで勝つの!?」って事を
 やってくれるのが最近の見どころです。勝敗に関係ない所で勝ちすぎだ。
 あと、地元のサッポロドームで連敗しすぎだ。

■知り合いに有名人がいる ×
 いた、ような、気がしますが……。忘れました。

■心霊体験 △
 私の気のせいか本当の体験か微妙にわからなくて………。
 とある夜、学校で1人残っていたら
 窓の外を白いもんがふわふわしていて、最初はカーテン、
 最後はコンビニの袋が外を飛んでるんだと思ったんですが
 なんか気味悪くて下宿先に戻ったら祖母が亡くなってたんですね。
 でもあれは絶対コンビニの袋だと思うの…………。

■日記をつけたことがある? ○
 いまここでこうしているのが日記なのであれば、そうですね。
 1年にも満ちていませんが、続いていると思います。
 普段は2日坊主ぐらいです。かきかけの日記帳が凄いたくさんあります。

■フラゲ ×
 フライングゲット。要は、発売日よりも早く手に入れる事ですね。
 立地条件が災いしてそんな恵まれた事をやった事がありません。
 

それでこれ、誰に回せばいいの?
わからないのでとりあえず止めておきます。
見た方、とても長いので大変ですがお好きな方、どうぞ。


2000年01月13日(木) 春が近いらしいですね。

 
北海道の場合はここから春までが本当に長いのですが。
とりあえず残ってた写真をまとめてみました。どうぞ。




































江花のパノラマロード(夏冬)富良野でーす!



初冬。すすきがまだ枯れる前です



下川町の牧場。放し飼いなんてこんなもの。

冬の畑。一応北海道はこういう景色が多いのですがやっぱり車で少々かかります。
それでも札幌とか大都市だからであって主要都市以外は20分あったら余裕で市街に出られんじゃないかな。


紋別市を見下ろしますよ

どこかの峠から。千望峠。どこだろう?ええと、富良野でした。





2000年01月12日(水) オフライン情報色々

 

通販を希望の方は必要事項を明記して上のメルフォからお送り下さい。
必須事項
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・御希望の本の冊数、種類

折り返し詳細メールを返信させて頂きます。
HNなどもお持ちでしたら明記して下さると嬉しいです。

1週間以上連絡がない!という場合はお手数ですが
確認のメールをお願い致します。


・入金方法は郵便振替です。手数料は別途負担お願いいたします。
 (窓口の場合100円 ATMの場合60円)
・発送はメール便を使用させて頂きます。
・お申し込みの方の名前と振替時の名義が違う場合はその旨もお知らせ下さい。

2006.06.18発行予定 スペース「D-1」


手フェチヒル魔とへたれな武蔵
ヒル魔が変態で武蔵がバカです。全編通してエロエロしてますがエロ度はそれ程高くないと思います。性的倒錯がかなり強いので20禁とさせて頂きます。

A5 40P [50g] 300円 20禁 ゲスト様
[稲葉しんさん サイコさん]
 



雷様2
4月2日に出た「雷さまたまに落ちる」の続編です。

あたりさん + やまだ 合同誌
A5 20P [20g] 200円
2006.04.2発行済





「雷さまたまに落ちる」
近江さん + やまだ 合同誌
A5 24p [30g] ¥200 コピー誌





「4LDK」武蔵お誕生日おめでとう本
あたりさん 近江さん 稲葉しんさん + やまだ 合同誌
B5 32p 18禁 ¥400 完売





「DOS」
稲葉しんさん 個人誌 ゲストさせて頂きました
B5 32p 20禁 ¥400 完売



4月2日
ムサシオンリーイベントにて合同でスペースを取りました。
いらしてくださった多くの皆様ありがとうございます。

当日満足にご挨拶も出来なくて恥ずかしい限りです。
本当にありがとうございました。


2000年01月11日(火) いちゃつきベット

荒い息を落ち着かせるために大きく呼吸をくり返し、
コトが終わった武蔵はいつもの様に眠気に身をまかせた。
心地よいけだるさが体を包む。とろとろとしたその心地よさに浸りながら、
武蔵はヒル魔の体を抱き寄せた。

「暑苦しぃんだ、てめぇ……。」

情事の後独特の掠れた声が不満を漏らす。
暖房を切って時間がたった室内の空気が顔にひやりと冷たい。
文句を言いつつもヒル魔は布団の中から逃げ出さないのはそのせいだろう。
良い季節になったと思う。
布団の中に潜り込むヒル魔が外に出ている部分はかろうじて頬から上のみ。
さっきまであれ程汗をかいていたその顔は少し疲れを残しただけで、
目尻の赤さ以外はいつもと特に変わらない。
ついさっきまで顔を赤らめ、組み伏せた下で声を上げていたとは思えない程に。

武蔵の両手はヒル魔の下肢を散々いじり、お互いの体液に汚れている。
軽くぬぐった程度の状態で、ヒル魔の顔に手を伸ばせば何を言われるか分かった物では無い。

こちらに向けられた頬の温度がどれだけ下がったのかを知りたくて、
武蔵は無造作にヒル魔の頬へと顔を寄せた。
そろそろ鬚も目立ち始めただろうな顎を、自分とは全く違う質感の頬に押し付ける。

「重い……」

逃げる体を両腕で抱えて、尚も頬をすり寄せた。
逃がさないようにヒル魔の薄い肩に体重をのせ、触れた肌の冷たさを楽しむ。

「なんでてめぇはそう、暑苦しいんだ……」

形の良いヒル魔の鼻梁に武蔵は唇を寄せた。
すっかり冷えてしまっているそこは口の中で冷たさを主張する。

「口ん中、熱くて気持ち悪いんだよ」

コトが終わればすぐに熱を失うヒル魔の体は、暑苦しいからという理由でいつも接触を拒む。
けれど、ヒル魔の体内の方が。武蔵を受け止める、双丘の奥が。
絡める舌が、歯列の奥が。どれほど熱いのかをきっと知らない。

言えば蹴られるだろうコトを察知して、武蔵は黙って冷えてしまったヒル魔の肌をあたためた。
汗ばんでどこもかしこもがべたつくために、気持ち悪いのは事実だろう。
何とか距離を置こうともがくヒル魔の抵抗で肌と布団の間を冷えた空気が入り込む。
お互いの体温で暖められた空気が逃げて、身震いするような温度差に武蔵は余計にヒル魔へ近付く。

「離れ、ろっ……」

聞こえなかったふりをして尚も体重をかけた。
元々武蔵は何かを腕に抱くのが好きだ。
そばにいる誰かを抱き締める質感、その重さと温度に気持ち良さを感じる質だ。
腕の中にいるのがヒル魔であれば尚更で。嫌がられる程に追いかけてやりたくなる気持ちは強まる。
布団がはがれるのも構わず、ふざけ半分に両腕を大きく動かして抵抗するヒル魔をシーツに押し付けた。

「このっっ……」

あがらう声に笑いが混じる。こういう遊びがヒル魔も嫌いでは無いという訳だ。
暖かな空気が流れてしまう事も構わず、狭い布団の中でもぞもぞと二人は位置を変えた。
追い掛けるぞ、というゼスチャーと、触るなという意思表示を見せつけながら、
けだるさと心地よさと温もりと眠気に浸る楽しいコミュニケーション。
その最中に、ふとヒル魔の目線が止まった。
ヒル魔の鎖骨に顔を押し付ける武蔵は、それに気がつかない。
はっきりしない視界の中で、すがめるように目が細くなり凝視した後に片手が布団から持ち上がった。

闇に光るような白い腕が、ばちりと派手な音を立てて武蔵の背中を叩く。

「な……ん、だ?」

月が差し込む薄闇の中、腕を振り上げたヒル魔のぽかんとした顔がこちらを見ている。
正確には、武蔵の肩。
首を伸ばして武蔵の肩裏を凝視している。

「……なんか、あったか」
「虫」
「……?」

武蔵自身がいくら後ろへ目線を伸ばしても叩かれた場所に目が届かない。

「虫、いたと思ったんだよ……。ほくろ、か」

なんだ、つまんねと言うようにヒル魔の頭ばがシーツに落ちた。

「お前のほくろ、なんでそんなぐしゃぐしゃした形してんだ」

言われてみれば、あったかもしれない。自分で見えない場所のほくろなど、気にした事も無かったけれど。

「なんで今さらそんな事言うんだ」

こんな関係になって何年にもなる。
お互いの裸なんてとうに見慣れたはずなのに、今さらヒル魔がホクロと虫を見間違える等らしくないと武蔵は思った。

「今さらって……」

そんな、何の意味もなく口に出した言葉にヒル魔の顔が赤く火照った。
薄闇の中でもはっきりと分かる顔色に武蔵は言葉の意味を考え、しばらくの間沈黙が流れた。
逃げようとする体を、逃がすまいと巻き付く武蔵の腕の中で、ヒル魔の片手が枕をつかんだ。
恥ずかしそうに赤らめる頬が目の前にある。
滅多に目にする事の出来ないそんなヒル魔を眺める武蔵の口端がぐにゃりとゆがんだ。

「そうか、お前……」

ああ、そうか。答えに気がつき武蔵が開いた大口に勢い良く枕が叩き付けられた。

「俺の背中、見っ…………」

「死ね!!」

武蔵の顔面めがけて何度も叩き付けられる枕に手加減は無い。
それでも、打ち込む強さがそのままヒル魔の照れなのだとわかって、武蔵は破顔した。

こんな関係になったからこそ。
ヒル魔は武蔵の背中を目にする事が少ないわけだ。
ホクロがどこにあるかなど、分からない程に。

布団の中で思いきり膝を立て、ずりずりと距離を置くヒル魔はどうやら本気で逃げる気らしい。
離れてしまった体に腕を伸ばす。壁に背があたったのか、後退を止めたヒル魔の足が武蔵の腹を強く押す。
顔に押し付けられた枕でその姿を目で追う事は出来ず、だから余計に手が宙をかいた。
窒息させるつもりか、と思う程の強さで押し付けられる枕。
武蔵の両手がヒル魔の腰をかすめるとその圧力がゆるんだ気がした。
腹に触れ、骨盤をなぞり、少し伸ばして腰へと指を届かせる。
ばふ、と枕の上から殴られるものの、その圧力がまた、ゆるむ。

「お前、自分のホクロ知ってるか」

わずかに空いた隙間からなんとか出した言葉は不明瞭なまま布に潜る。
ヒル魔には聞こえたのだろうか、なんのリアクションも返って来ない。
ただ、枕を叩く勢いも弱まった。

「ここ、とかよ……」

背中と腰が混じる場所。綺麗な曲線をつくるその箇所を指でなぞる。
枕が、強く押し返された。
自分よりもだいぶん薄い筋肉をなぞり、そこから片手を背の上へと回す。
骨の数を数えるようにゆっくりと指でヒル魔の肌を読んだ。
荒れてささくれた武蔵の指がヒル魔の滑らかな部分にうっすらと赤い線を残すのが目に浮ぶ。

「こっちにもあるんだぞ」

背から脇にかけて。
微妙な強弱をつけて刺激を加えれば枕が揺れた。
枕を押し付ける力が急に弱まって、楽になった武蔵の耳にヒル魔の小さなため息が届く。

「自分の背中、見た事ねえだろ」

あんなに熱かったヒル魔の体温は、どこを探しても見つからない。
自分ばかりが盛っている気がしてそうじゃないだろうと悪戯心が沸き上がった。
視界は枕に覆われている。分かるのはヒル魔の呼吸。触れる場所から伝わる温度。

なぞれば声が震えた。しつこくつつけば声が止まった。
丹念に刺激をくり返せば抱きかかえる体から力が抜ける。
顔に乗せられているだけの枕。
ヒル魔の片手は多分口に。
片手は、まだ枕を掴んでいるのだろうか。

「顔、見てえ」

声をかけても返事は無い。

「なあ、顔見せろよ」

反応を確かめながら撫で回し、その指が届く場所を徐々に広げる。
まだ湿り気を帯びている下肢をなぞると腕の中でヒル魔が背を反らした。
きゅ、と胸をいじれば腕に良い反応が返ってくる。

「……なあ」

しつこくくり返すとふいに顔が自由になった。
覆っていた布の塊が消え、その少し先にシーツに顔を押し当てるヒル魔の顎。
顔を押さえる指の間からこちらを睨む顔は見慣れたもの。

「ホクロの場所、教えてやろうか」

赤みを取り戻した表情を追い掛ける武蔵の視線からヒル魔は首をねじって顔を背ける。
シーツにすれただけではない耳の赤さがより際立つとも知らないままに。

「もう、いい……。黙れ、てめえは」

ため息に紛れた言葉が隠そうとしているのは照れ。
焦らすな、と意図する睨み付け。
武蔵をベットから蹴り落とす事は、壁際のヒル魔にとっては容易い事だ。
力をこめて、武蔵の腹を蹴りあげれば良い。

こんな時にでも逃げの手を緩める、拒絶をしないヒル魔の甘え。


キスしてえなと思った所でふと目があって。
すぐに反らされた視線がまたこちらに戻って、仕方ねぇと言うようなため息。
それは、肯定の合図。

のそのそと顔を寄せると、ヒル魔の指が武蔵の鼻をぎゅうとひねった。
ヒル魔の目元は隠れて見えない。けれど、唇が開いてゆっくりと近付いてくる。

再び腕の中に戻って来たヒル魔を抱き締めながらゆっくりと背中をなぞる。
しみも、傷も、ほくろさえも一つとして無い、真っ白な背中を。

それを知っているのは俺だけで良いと武蔵は思う。

腕の中の重さが少しずつ増して、おずおずともたれてくるヒル魔を強く抱き締めた。





空気さえもが冷える夜。
暖まった夜具に体を横たえて、心地よさに眠りにつこうとするごとに繰り返されるじゃれあいの数々。

二人の夜は、こうして更ける。



2000年01月10日(月) 0000

武蔵の腕の中で。
ヒル魔はぼんやりと体を横たえていた。
動くなと言われた訳じゃ無い。どこかを押さえ付けられているわけでもない。
ただ、背中にぴったりとはりついた武蔵を感じているだけで。
麻痺してしまったように体が動かない。
背中が熱い。武蔵の声が、耳の中に直接語られているのにどこか遠い。
会話の中身が切れ切れに耳に入って、抜けて行く。
何度も顔に泡が塗られ、目を開けられないまま体を全部武蔵に預ける。
時々、思い出したように恥ずかしいとか、結局丸め込まれる自分の甘さとか、そんな物が流れて消える。
全部どうでもいい。
ただ、もう大丈夫なんだと思えるような心地よさに全部をまかせていた。
武蔵の手が体をなめらかに撫でる。
優しくて、少し泣けそうなぐらいに柔らかい触れ方。
今まで色々な刺激を受けてきた。それはどれも気持ち良かった。
武蔵が触ってくれる時にはいつでも気持ち良かった。けれど。
こんな些細な事が、気持ちを高めてくれる事を知った。
肌と肌が密着するだけで、こんなに気持ちが良いなんて事は知らなかった。
ただそれだけで。
武蔵の体に抱き締められていと思うだけで、腹の奥が甘く痺れた。
耳に直接届けられる武蔵の言葉。
内容はどうでもいい事ばかり。ただ、心地よい音楽のようだと思った。
低く、囁くように小さな声。
それはヒル魔を優しく揺らしてくれる。

工務店をやっている家に住み込みで働いているたくさんの若者の話。
そんな若者達を教育しなければならない苦労。
なかなかうまくいかないから投げ出したいと言う話。
教育係として何度も責任を取らされていると言う苦労。
跡をつがせたいと思っている工務店の棟梁と古参の大工達との摩擦。
俺がいるだけで、みんなうまくいかねえんだよ。

武蔵の呟く言葉はだんだんと深い所に降りて行く。
だんだんと、撫でていた手の動きに明らかな意志が加わりはじめる。
そうじゃないだろうと武蔵に言いたいのに。
口からは小さな喘ぎだけが馬鹿みたいにこぼれる。
今まで柔らかな刺激だけだったのに、早くからとろりと靄がかかったような視界。
何かを武蔵に伝えたいのに、思考はぼんやりとしか動かない。
それでも、お前はそんなに酷い奴じゃないと言いたかった。
武蔵に顔を向けようとして。
後ろから強く抱き締められた。まるでしっかりと固定されてしまうように。

両親はいなくて、施設にいた所を引き取られて。
今の義理の親は良い人達なのだけど、なじめないとか。

話がそんな所に流れたところで、武蔵の指が動きを変えた。
撫でるだけだった、手が。泡の中で巧みに動く。
柔らかかった刺激の全部が、ヒル魔を追い立てはじめる。
待てと言いたいのに、言葉が出ない。
すっかり暖まっていた体は、武蔵の手で簡単に追い立てられる。
曇ってぼんやりとしか姿を映さない鏡の前に、両足を大きく広げた自分がいた。
恥ずかしいなどという意識はとうに途切れた。
白をまだらに纏った体。
そこに写る自分より。自分に視線を落とす武蔵の表情を見ていた。

話を聞きたい。
言葉を、交わしたい。
多分武蔵がこんな話を自分に振ってくれる事など滅多にない。
だから、こんな風に流されるのは嫌なのに。

結局養子だって事で、あまり良い思いは出来なかった。
だから、「たけくら」の名前は重たい。
老舗の工務店の、跡取りなんだという荷物を無意識に感じてしまう。
だから、「たけくら」の名字は好きじゃ無い。

簡単に快楽だけを追ってしまう意識。
武蔵が、この体に仕込んだ躾。
言葉を返す事も出来ないぐらい、霞む視界。
腰のすぐ後ろに押し当てられている武蔵の熱。
自分をここまで快楽に弱くした、武蔵の熱。
欲しいと思う体内の囁き。
自然に腰が揺れて、鏡の中で武蔵が笑った。
気持ち良いのかと問われて、素直にうなずいた。
どうされたいと問われて、思うままに口が動いた。
意地悪く聞き返される。
同じ言葉を繰り返した。武蔵が耳もとで小さく笑う。
本当にと再度問われて。早くしろと返した。
その言葉に。
体の中から指が抜かれた。

高まる鼓動。ずっと、後ろから腰に当てられていた熱が、どこかに消える。
腰が少し宙に浮かされて。
そして。
ゆっくりと、落とされて。
「ひッ………ぁああっ……」
気づかうように、ゆっくりと落とされて。
最後に武蔵の手のひらがすべって、ずる、と根元にまで飲み込むように体が沈んだ。
「んっ……っ…」
鏡を見ろと言われた。
武蔵がお湯をかけて、はっきりと像を映すようになったその中に。
惚けた自分の顔。嬉しそうに弛んだ自分の顔。
恥ずかしい事じゃ無い。これは今まで何度でも繰り返して来た行為。
武蔵が息を整えるまでのわずかな間。ぼんやりと鏡の中の2人を眺めていた。
何度でもしてきた事なのに。
大きく足を開いて武蔵を飲み込んでいる自分をはじめて見た。
場所は、いつも使っている浴室。
あちこちに飛んでいる泡の隙間から見えかくれする、赤い肌。
どこもかしこもが、とても赤い。
武蔵が指を絡めた場所は、とうに泡が落ちていた。
胸の先も、流れてしまっている。
揺すられれば、あちこちから肌が露出した。
突き上げられる程、裸にされる。
苦痛ではなく、愉悦に歪む表情。
ぼんやりと、そんな自分を見ていた。
自分が武蔵に抱かれている姿。
武蔵が、自分を抱いている姿。
そこから、目が離せなかった。

「そんなに、気になるか」
目を閉じても、身体の向きを変えても。
意識が鏡をおいかけている。
自分が優しく武蔵に抱かれている姿を、追い掛けていた。
あんな風なんだと思った。
はじめて知った。
あんな風に自分は抱かれているのだと。
これは本当に夢じゃないんだと。
確かめるように、見せつけるように、鏡に意識が飛んでしまう。
「随分、気にするな」
もう一度、大きく足を開かされて。
鏡の中の武蔵の表情を見て、ヒル魔はくらりと、目眩を感じた。
武蔵の目。自分に向けられている目。
鏡の中で武蔵と視線がからみ合って。ふわ、とその目が和んだ。
自分に向かって、笑みが零れた。
「んっ、むさ、しっ…………」
鏡の中に、手を伸ばす。声をかける。
一番見たかった、表情。
抱きつきたくて手を伸ばしても、そこにあるのはただのガラス。
後ろから貫かれて、ヒル魔は大きく喉を反らした。
目の前に、優しい武蔵。後ろから、抱き締めてくれるのも、武蔵。
「見られてるのが、好きか」
「あっ、……っ、あ……んっ」
言葉にならなくて、首を縦に振った。
揺すりあげられて、身体が仰け反る。薄れる視界を感じながら、ヒル魔は目で武蔵を追った。
今までの、あの、少し怖かった面影を残していない、武蔵を。
自分が好きだと思える人を。
優しく抱き締めてくれる、鏡の中を。
肩にあたる息が荒くて。ヒル魔は武蔵の動きに腰を合わせた。
ぎりぎりまで、鏡を見て。それから、目を閉じて。
全部の感覚で武蔵を意識して。擦りあげられる刺激に、声を上げて。
腰に残っていた熱を、2人は同時に放った。


湯舟に2人でつかって。
軽く頬をなめられて。洗ってやったのたにまだ甘いと言われる。
馬鹿みたいにつまらない会話を繋いだ。
のぼせているようなふわふわした意識。
「大丈夫か」
平気だ、と意味を込めて武蔵の肩口に顔を埋めた。
ヒル魔の着ていた服は浴室の端でぐっしょりと濡れていて。
仕方ねえだろという言葉に不満だというスタイルを取りながら。
武蔵のシャツを借りて羽織る。
年は同じだと言うのに。シャツは大きくて、伸びた襟回りから肩が出そうだ。
長い丈は、ちょうど膝の上まで。
「微妙にエロい」と感想を漏らす武蔵を軽く蹴飛ばして。
上半身が裸のままの武蔵に抱き着いた。
「そのままじゃ、風邪ひくだろ」
言った言葉が、その通りに受け止められたのかどうか。
笑って、武蔵がヒル魔を膝の上に抱き寄せた。

そうして。少し、話をした。
だんだんとお互いに口数が減って。
最後には何もしゃべる事がなくなって。
ただ、黙ってお互いの額を肩に載せて。
静かで、落ち着いた時間を過ごした。

次にいつ会えるのか、わからないけれど。
ヒル魔はとろとろとした眠気に襲われながら考える。
次に会ったら。もっと話をしよう。
武蔵の話を、今度は最後まで聞きたい。

今までに知らなかった事。
何をしたいのか。
何をして欲しいのか。
自分はそんな武蔵に何をしたいのか。

全部を、話そう。ゆっくりでもいいから。
そうして、その時には。
お前はそんなに酷い奴じゃ無いと。
しっかり否定してあげてから。
だって、俺が惚れた男だからと。
教えよう。
だから、お前はそんなに酷くも無いんだぞと。

多分、武蔵が思っている以上に自分は笑ったり、
怒ったりする全部に振り回されている。
口に出すのはしゃくだけれど。
今すぐにはなかなか伝えられないけれど。

いつか、それを伝えたいと思った。

今は、ただ。
この心地よさに浸っていたい。
武蔵が乱暴な仕種でヒルマの髪をタオルで拭う。
その、布の下で。
そう遠く無いだろう未来を思ってヒル魔は小さく笑みが洩れた。

今はまだ秘密。
武蔵に秘密。


話したい事がたくさんある。



職場で事務の女性に不便だと言われて。そういえば家に使っていない物があると言うと、頼むから持ってきてくれと頼まれた。
同居人のヒル魔も高校に入ってから身長が随分と伸びた。もう使う事は無いだろう「それ」を翌日には会社に届ける事を快諾した武蔵は、そういえば問題の「それ」の姿をしばらく見ていなかった事に気がついた。
最後に使ったのは、いつだったっけ?
ヒル魔が、まだ背が小さかったころ。使った場所は玄関。
それだけをしっかりと覚えていて武蔵は照れる自分をごまかすようにがりがりと頭を掻いた。


一人で留守番をしている最中に見知らぬ男が部屋に入り込み。酷い暴力を受けたヒル魔は、それ以来一人で過ごす時間を何より嫌った。帰宅する時間が遅い武蔵にあわせて、いつのまにかヒル魔の帰宅する時間も遅くなった。それまでの時間を一体どうやって潰しているのかは分からなかったが、10に満たない年の子供が夜遅くまでを外で過ごす事はあまり誉められた物では無い。

当然、早く帰れと言ってみた。
それを、簡単にうんと言う相手では無いけれど。
子供の夜歩きはあまりに危険だ。何かが起きてからでは遅すぎる、と思っていたころに。
ごたごたが重なって、約束していた休みが仕事で潰れた時。
ふて腐れたヒル魔に謝り倒して出かけた武蔵が自宅に戻ったのは夜10時。
そこに、ヒル魔がいない事に愕然とした。

恐らくどこかで武蔵が家に戻るのを見ていたのだろう。
武蔵におくれる事数分で帰宅したヒル魔は、まだふて腐れたそぶりを見せている。

「今まで、どこに行っていたんだ」
いつものような「ふり」ではなく、本気で顔が険しくなる。
ソファに腰掛けて、じっくり話をするためにそばに座れと招き寄せれば
ヒル魔は当たり前のように膝の上によじ登る。
「てめえだって、遅かったじゃねえか」
叱られている事を軽くかわし、向かい合うように座る子供は顔を武蔵の胸に埋める。
「お前いくつだかわかってんのか」
「約束やぶった癖に、説教なんて聞きたくねえぞ」
家にいる時、いつも武蔵に付きまとう事はもう日常の光景。
こうして、叱るべき事を本気で口にしている時でさえ。
ヒル魔は悪びれた様子も見せずに甘えてくる。
結局は、ほだされる。
自分を無防備に頼ってくる小さなこの子供は、とうに武蔵の手に負えない存在だ。

どうすればこいつに「はい」と素直に言う事を聞かせてやれるだろう。
どれだけ自分がヒル魔に甘くても。これだけは、しっかりと言い聞かせてやらなければならない。
ふと、伸びっぱなしだった顎に小さな手が当てられて、とっさに武蔵は顔を反らした。
「なんだよ、嫌なのかよ」

最近。
どこで覚えてきたのかヒル魔はやたらと武蔵に手を伸ばす。
何を考えているのか、キスをねだる。頬を寄せる。

あの事件以来、やたらと抱き着く癖や一人が嫌だと軽い退行を見せていたから、今回もまたそんな一過性の物だと思っていたのに。黙ってヒル魔がしたいようにさせていると、行動はエスカレートするばかりだ。

立ち上がって歩き回れば、ヒル魔の身長ではとうてい武蔵の顔に近寄る事は出来ない。
だから、こうしてソファに座る時、体をかがめた時。ヒル魔は武蔵に寄り掛かって、頬を寄せてくる。
したいようにさせてやれば、唇が押し付けられる。ちゅ、と音を立てて。軽く押し当てるだけのキス。
親愛の情にしては、しつこいぐらいにくり返される回数。
眠る前に。朝起きた時に。出勤時に。帰宅の時にも。
身長差がある事を本気で悔しがり、ぴょんぴょんと飛びかかるヒル魔の、全部に言う事を聞いていればキリが無い。
仕事の忙しさ、家にいる時間の短さに比例するようにヒル魔は密接につきまとい、邪険に扱えば拗ねたように帰宅する時間が遅くなる。夜遅い行動は、家で待つ武蔵の焦燥感を煽る。
どうにかしなけりゃならないと思うけれど、簡単に言う事を聞くような相手では、ないのだ。

小さな頭が伸び上がってくる動きを難無くかわしながら、どうすりゃいいかと考える。
「なんでよけるんだよ……」
不機嫌そうな言葉に動きをとめると、小さな細い腕が首筋にからまって。すがりつく。
子供の腕の力など、強引にほどく事はできるのに。それをしない武蔵の甘さをヒル魔は知っている。
柔らかな頬に、鬚のあとがじりじりと痛いだけだろうに。
たばこ臭え、と小さく呟くこの子供にどうやって言い聞かせればいいのか。
ヒル魔がしたいように、させておきながら。武蔵はため息をついた。これだけ密着されればたばこも吸えない。
どうしたもんだか。

眉間にしわを寄せた武蔵を、至近距離からヒル魔が見上げてくる。不満そうなその表情に、これ以上どんな不満があるのか、いっそ聞いてみたい気がしてならない。
「俺に、早く帰っていて欲しいならな」
しぶしぶ、という口調で。ヒル魔が顎鬚を指の腹でなぞりながら口を開く。
「条件、あるぞ」
「なんだ条件って」
ヒル魔が条件、と言い出して。何をぬかす、わがまま放題なくせにとつっぱねかけたが。
こうやって口にハッキリと出す要求は少なかった事に気がついて興味が湧いた。
何かが欲しい、と子供らしい駄々をこねることは案外少ない。
「お前、俺を避けるな」
「……なんだって?」
「俺がしたいって言ったら、ちゃんとちゅー、させろ」
「……………そりゃ、無理だろ」
「なんで!」
妙な事を言い出されて、とっさに子供の教育上によくないと否定してみたものの。
良く考えてみる間でも無く嫌がる理由なんて、これっぽっちもみあたらない。
けれど。
いくら家族同然の同居人とはいえ、そりゃあちょっと変わった習慣なのではなかろうか。
懐かれる事は嬉しくても、どこか危険な一線を超えはじめている気がするのは気のせいだろうか?
「いちいちお前の前にしゃがめってのか?」
とりあえずの、軽い拒絶。
けれど、一番もっともらしい理由を突き付けてやる。
「そういうことは、俺に背が伸びてからにしろ」
素直に言う事を聞くとは思わなかったが、これでいくらかの時間稼ぎにはなるだろう。
と、思ったところで。ヒル魔がいかにも嬉しそうに目の前でにい、と笑ってみせた。
「お前は、そう言うと思ったんだ」
そう言って。ぴょん、と膝の上から飛び下り、あっというまに玄関へと駆けて行く。
「おい!こら!」
外に出るためでは無いらしい。
すぐにリビングに戻ってきたヒル魔が手にしていた物は。
子供と同じぐらいもあるような、アルミで出来た簡易の脚立。









ちなみに。言い出す前に態度にあらわれただけで察したムサシがヒルに買い与えているからで
子供らしい欲求が少ないわけでは無いと思いますよ。


2000年01月09日(日) 亭主関白宣言再び

先日再起動最中にぶち消してしまった内容を記憶手探りに書き直し。

全国亭主関白協会

武蔵を亭主関白の何段に設定するかでその人のムサヒル度合いが変化するのではないかと思う。
(当然逆もまた然り。股叱り。自分の股に向かってこら!と叱りつける武蔵もまた可愛いらしい)
(ヒル魔に酷いことしたのは俺じゃなくて股間です、という責任転換するのもよし)
(折角その気になってるヒル魔に対して勃ちあがらくなった股間を叱りとばすもよし)
(なんか一回消してしまった事をなかったように格好良くまとめようとしている1行目に対して)
(所詮やまだなのでかなり話が乱れてちぎれて非常に収集が付かない模様。)

亭主関白段位リストを見ていて
8級 武蔵が「お茶」と言ったら、ヒル魔がお茶をほんとうに持ってくる人 という場合と
8級 ヒル魔が「お茶」と言ったら、武蔵がお茶をほんとうに持ってくる人 という場合とでは
あまりにシチュエーションが違ってしまう。
どっちがいいのか。
どっちもいい
声を大にして言おう。
どっちもいい


7級 服や下着を平気で脱ぎ散らかせる人

これだってもうどうして良いのかわからないぐらいいい
シチュエーションで言うところのラピュタでシータが海賊船に乗り込んで
家事手伝いをしている最中に「いい」を連発する船員の気持ちで。
この亭主関白段位認定の1行1行にホモが広がる。

帰宅した武蔵がアッという間に裸体になって「飯か風呂か、それとも俺か?」なんて
スゥイーツワードを待つことも出来ず玄関に迎えに来た奥さんをはあはあがばあ!の
「 服や下着を(玄関で)平気で脱ぎ散らかせる人」

帰宅した武蔵がお風呂の前にベットインの前にヒル魔をどんどこ脱がしてしまう。
「 (ヒル魔の)服や下着を(罵倒も抵抗も物ともせずに)平気で脱ぎ散らかせる人」

宅配兄ちゃんやセールス相手。あげく野外の公園や部室の中などの場所で
「 服や下着を(人前で)平気で脱ぎ散らかせる人」


これで7級だなんて凄すぎる‥‥。やまだの脳が焼き切れそうです!
まあどこで脱いだって平気だろ!とばかりにばんばん脱いでヒル魔にけっ飛ばされて
脱いだ下着とか靴下とかを顔に投げつけられていそうな武蔵ですがだけど逆に
ヒル魔がそんなやんちゃな面を持っていらしてても素敵です。
武蔵が怒ったようにそれを拾い集めて叱っても言う事聞かないから
脅し文句としてパンツ片手に「臭い嗅ぐぞ!」て言って逆に首の骨折られるとかね。
悪癖がぴたりと収まるとかね。

これ書きながら隣りに表を置いてちらちら見ているのですが
とにかくどの文章も酷すぎる。やまだに一体どうしろと言うのか。(どうもしねえよ)


3級 女房がつくった料理に「もうちょっとだな」とダメ出しができる人

ちょっとしょっぱい時
武蔵の帰りが遅くなって、寂しさのあまり料理に涙が入ったからです。

ちょっと甘い時
お鍋の蓋を開けて「愛情!」って叫び過ぎたからです。(ネタが古い。)

ちょっと辛い時
料理が俺にヤキモチ妬いてるぜ。(もう意味わかんねえ)

ちょっと冷えてる時
食事の前にエロエロしすぎ。

ちょっと味が足りない時
調理中に後ろから奥さんにちょっかいかけてしまったため塩こしょうを忘れました。

そんな過程が浮かぶようです。新婚だからってふざけるなよう!!
(ふざけているのはやまだの頭だ)
そして武蔵の口から漏れる一言。「もうちょっとだな」
「口直しにはお前のキッスが一番だな」とか。
当たり前のようにチュウする2人。
ヒル魔とのちゅう前提に食事していりゃ、どんな美食も色あせるて事!
海原雄山は美食倶楽部存続のためにヒル魔抹殺を企てたとの噂もあります。

さっすが亭主関白。どこまで行っても勝てる気がしません。
(やまだはだんだん自分自身を止められません)

先日採血の結果で「血糖値低め」と医者に言われました。
連日連夜ムサヒルで補っているというのにまだまだ摂取しろというのか?
上質の菓子は甘さ分が控えめになるとはよく言いますが
ムサヒルは摂取しても摂取しても体に優しい最上級のスイーツですね。
お菓子がなければムサヒルをお舐め!と言わなかった
アントワネット様のお心遣いが心に染みます。
(血糖値と白血球とガンマの数値が低すぎでしたが)
(昼飯抜きで病院行ったからだなあと思います。貧血だったし)



ええとさて。どこまで書いたかな。そう、3級。
目的地は4段。遠いね。



2級 「あなた!ちょっと!!」と呼ばれた時、足をもつれさせないでリビングまでたどり着くことのできる人

なんというかこうお縛りプレイ実行中な2人の日常が忍ばれますよね。
(さらりと普通に言っていますがここからエロが混じっていきます)


武蔵を身動き取れない程に縛ったヒル魔が、その目の前で挑発ポーズ。
指を触れもせずに武蔵をその気にさせつつ、自分で脱いで自分で慣らして
自分で武蔵にのっかっちゃうというサービス満点お色気プレイ。
武蔵を縛った紐が緩んで来たから今度はヒル魔が逆に縛られちゃって
組んずほぐれつとはまさにこのような光景を言うのですね。

中途半端に縛り付けたまま抱き合って就寝。
翌朝手足にしびれが残ってしまって呼ばれて飛び出てバッタンドッターーン!
武蔵がリビングのヒル魔を押し倒すように床に転倒。
もちろん亭主関白ですからうっかりテーブルの下敷きとか戸棚の下敷きとか
そいで夕べのロープなんかも複雑にからまっていて密着&脱出不可能。
もぞもぞしながらだんだんとピンクな空気が満ちあふれてきて
不自由な体勢のままニャンニャンニャオーン。

この場合問題になるのはこの物語のタイトルが「ヒル魔100%」なのか「新妻100%」なのか。
「亭主関白」という文字が1%も見あたらない所にも頭を抱えたくなります。

あと、
『家具の下敷きになったヒル魔の様子がだんだん変です。
顔が赤くて呼吸が変で、武蔵の重さに辛そうです。急いで脱出を試みる武蔵は
手をのばしてオリーブオイルをつかみました。
「待ってろ、ヒル魔!これでお前を楽にしてやる!」
さあ、ヒル魔さんの運命やいかに?最も複雑にロープが絡んだ下半身をもぞもぞされて
ますます呼吸が乱れています。一体どうすれば良いのでしょうか?
混乱した武蔵は思いきって人工呼吸!渚のビーチは危険が一杯!』
とか事態を完全に見失っているやまださんにも頭を抱えたくなります。


1級 自分だけさっさとイッても「それがどうした」と言える人

2人は若いし回復力もスゴイから1回出したぐらいじゃまさに「それがどうした」てもんで
お前が出すなら今度は俺だあーー!て勢いと愛が感じられる一文です。
心持ちノーマル状況で武蔵1に対してヒル魔2〜3が望ましいのですが
武蔵がスタートが早くてフィニッシュも遅い人なのか
スタートが遅くてフィニッシュが早い人なのか。
どちらにしてもファンブックの「スピードに難あり、パワーに自信あり」みたいな
チャート式からはずれてないので上記の文章も公式に認められる事でしょう。



初段 買い物に行ったとき、荷物を持つことを断れる人 

「俺の両手はお前専用」
たくさんの荷物を抱えたヒル魔さんを武蔵は軽々持ち上げます。
「お前、いつの間にこんなにたくましく‥‥」
真っ赤になりつつ照れるヒル魔に武蔵は優しく微笑みます。
「お前のためなら俺は奇跡を起こすのさ」

武蔵だったらシティーハンターのもっこり3点抱きとか出来そうだ。
超能力で10tの重りを宙に浮かせているとみせかけて、もっこりパワーで
重りを支えるシーンもありました。村田先生、そういう路線もありですよ。
気が付けば現ジャンプには冴羽僚的キャラが不在です。
いちごも終わった事なんですし、
旧名作に従った新しい「男性読者へのアプローチ」てことで
武蔵をリニューアルどうですか。



二段 ゴミ出し、風呂掃除などを断ることができる勇気のある人

ゴミ出し当番は武蔵でもヒル魔でもありません。
おや、と不思議に思った貴方。壁にかかった当番表を見て下さい。
可愛いハートが描かれていますね?察しの良い貴方は既にお気づきでしょう!
そう!2人で!
レッツ トゥギャザー!
ラブラブチャーミーに手をつないで、ゴミ捨て場までの短い逢瀬!
♪チャーミーグリーンを使うと〜 手を繋ぎたくなるぅ〜〜ぅ〜(ロケ地 函館八幡坂)
ゴミを捨てれば武蔵は仕事へ。ヒル魔はお家に帰らなくてはなりません。
名残惜しい。手を離したくない。

そんな思いで見つめ合う2人。
武「お前から離せよ」
ヒ「そっちから離せばいいだろ」
武「じゃあ、1,2の3で同時に離すぞ」
うつむいてもじもじするヒル魔。にやにや見下ろす武蔵。

1,2のさ‥‥

とたんに、武蔵がヒル魔の指をぎゅっと強く握ります。
驚いてぱっと顔を上げたヒル魔に武蔵が優しく口づけします。
「今日、家に帰るまで。1日中お前のコトを考えているぜ」
「俺だって‥‥‥‥何万回だって考えててやる!」
跡取り息子がこんな具合じゃ、武蔵工務店潰れるな。


お風呂掃除は割と普通に手が空いた方が進んでヤルと思うのですが
ある日間違えて混ぜるな危険を混ぜた武蔵。毒ガス発生!
同じく洗面所で作業していたヒル魔は驚いて駆け寄りますが
武蔵は内側から鍵をしめてしまいます。
「馬鹿!何やってんだ!開けやがれ!!」
「俺は、いい‥‥。ここを開ければお前にもガスが‥‥」
「いいから開けろ!」
「やめろ!!」
強く否定する武蔵の叫びに、ドアを叩くヒル魔の腕が止まります。
「いいか、よく聞け。このドアは開けちゃだめだ」
「武蔵っ!!」
「俺は、お前と結婚できて本当に幸せだったんだ。もう思い残すコトは何も無ぇ‥‥」
「糞!!ここを開けろ!」
「最後にお前を、一目‥‥見た、かっ‥‥‥‥」
「ムサシィーーーー!!!」
がくっ

ドアが緩んだ瞬間にこじあけたヒル魔は毒ガスの中に飛び込みます。
「馬鹿、やろう‥‥‥‥」
「馬鹿はてめえだ」
「ああ‥‥‥‥キレイだなぁ‥‥」
弱々しく差し出される武蔵の手を強く握るヒル魔。
「一つだけ、頼みがある‥‥」
「なんだ」
「俺が死ぬまでの間だけでいい、俺を愛していて欲しい‥‥」
「なっ‥‥」
「俺は死んでもお前を愛して‥‥ぃ‥‥」
(笑顔で)かくっ
「ムサシィーーーー!!!」


多分ヒル魔が握っていない方の片手は尻とか太股に伸びているね。間違いないね。
あと病院にかつぎこまれても「病室でセックスお断り!」つって
1日で追い出される気がしないでもない。

あとこんな話しておいてなんなんですがヒル魔がドア開けたらあまりの毒ガス充満ぶりに
ドアばたん!て閉めてガス晴れるまで雑誌とか見てるヒル魔ちゃんとかなんかも素敵。
だって武蔵はヒル魔を置いては絶対死なないと信じているから!
なんて美しい純愛ラブ!

そうしてここの日記を見ている人はそろそろやまだにムサヒルの正しい形を
レクチャーしたほうが良いと思う。



四段 隣がピアノを買ったとき、うちはピアニカでいいとキッパリ言える人

長かった。ここまで本当に長かった。はい。4段です。消してしまった日記の部分です。
ピアノが欲しいとおねだりするヒル魔にピアニカ買ってくる武蔵のお話に到着です。
しかも酔っぱらいです。千鳥足です。
寿司の折り詰め縛り的にピアニカぶら下げてご帰宅です。

おみやげだーー!とヒル魔に差し出し、スパコンコーン!と叩かれます。
そりゃあピアノとピアニカは共通点が「ピ」しかない。
ヒル魔が怒るのも当たり前だ。
だけど武蔵には夢があるのだ。
ヒル魔の可愛いお口の先がちょこんと黒い「アレ」をくわえる。

そりゃあ男なら誰だって憧れて止まない光景ですよ!
ぶうぶうふてくされるヒル魔に向かって「まあ一度ぐらい吹いてみろよ」
言われてしぶしぶそれを広げて、口にくわえて息を吹き込み。

ふしゅーーーー。

あれ?
変です。音が出ません。

頬が赤くなるぐらいに必死で息を吹き込んでいるのに。
どうして音が出ないのでしょう?
見ていた武蔵はヒル魔に向けて、指を一本突き出します。

「これ、ピアニカだと思ってちょっとくわえてみろ」

大人しく言われるままに指をぱっくん。

「ああ、そりゃダメだ。歯でしっかりくわえすぎだ。もっと緩くでかまわねえからそのままちょっと息吸い込んでみろ」

おや?武蔵さんが何かおかしなコトを言い始めましたよ?

「舌の先でな、くわえたやつの先からゆっくり舐めていくんだ」

1本だった指の数が、2本3本と増えていきます。

「息が漏れないように唇もう少しすぼめてみろ」

涎が手首まで垂れる程、何度も武蔵はヒル魔に「ピアニカの練習」を教えます。

「よし、それじゃあ今度は「縦笛」で練習するか」

かちゃかちゃとベルトを外し、勃ち上がった物を取り出します。
縦笛。日本古来の言い方で、「尺八」って言うんだけどな。
いそいそとヒル魔ににじり寄る武蔵ですが果たして練習の結果はいかに。


翌朝、マンションの住人は廊下で眠る武蔵さんの顔に涙で濡れる一筋を目にしたと言います。
武蔵もあんまりおふざけが過ぎるとヒル魔に離婚されちゃうぞ!

ここに来てだんだんとエロ度が高くなってきました。
さすがに段に上がると世界が違います。
ムサヒル番外地っぷりも良い感じです。
いっそやまだは地の果てに向かって1人で妄想をつぶやく方が余程世間に優しいといい加減気がつけ。




続きます。すみませんエロが酷い事になっております。
やまださんは、誰かに止めてもらったほうが良いと思うよ。


5段から先へ



2000年01月08日(土) 手塚治虫 実験アニメーション鑑賞

 
[手塚治虫 実験アニメーション鑑賞]
とにかく凄い。
アニメ日本の黎明期と言われるだけの作品だけあった。宮崎監督けなしてたけど。
ケーブルテレビ最高です。これを見るために会社を早退。(最低)
つうかDVDがまじで欲しい。

特に気になった作品が[ある街角の物語]

ポスターが踊るというシーンがあるのですがどのポスターもみな、
花岡さんが作ったと思えるような凄いセンスのものばかり。
ぺたりとはりつけた色紙のようなラインがはっきりすっきりシンプルで
直線と曲線だけのデザイン性に飛んだものから
そこに違和感なく入る落ち穂拾いにピカソにムンク。
ビアズリーのサロメがあった。ところどころの演出はエッシャだ。
場末の女シンガー 警察 刑務所 いろいろなシーンを描いた
素晴らしいポスターたちの手拍子演奏。
背景は水彩じゃない。荒れたタッチで塗り残した下に地の色を見せてる、
濃くて奥行きと濃淡があって、なのに動きを邪魔しない。
色彩の感覚、画面を流れる動きの連続、天才つうのはこういうものを
コンスタンスに創りだせてこそなんだなと。

アニメという手法でのみ創りだせる動きの数々が
自然に音を列ねていると言うか
アニメらしい一つの動きに周りが影響されて
連鎖してリンクして音を繋いでいるというか
「動く絵」というものが、とても綺麗。


まさに手塚氏のアニメに対する憧れを見せつけられた感じがします。
かの方はアニメをこんな風に捕らえていたのかなあ。
大衆アニメのお手本のような(良い意味でも悪い意味でも)ディズニーに
強く憧れを持ちながらこういうあまりにも大衆受けしないものを
作ってしまったあたりに何とも言えないものを感じました。

この人は物語性を持つシナリオに合わせて動く映像よりも
無声映画とか声優なしアニメとかそういうものを作った方が
いいのじゃないかなあと思いました。

どんな些細な絵の動きにも全部に意味と物語がある。主張と流れと意思がある。
制作者サイドが動きを作っているのでは無く、不自然では無い
それでいて先が見えないとても「よく動く」アニメ。
よく動く、という日本語にいくつもの意味を込めたいアニメ。
一つのカットも、一つのコマも、意味の無いものはまったくない。

正直、手塚氏のアニメ化作品というのは
初期型以外はあまり好みではないというか元が持つ素晴らしさが
どうしてもアニメで表現できていないのではないのかなあと感じます。
動かない絵で受けた感動が大きすぎるから動くものに「さらなる何か」を
期待してみるこちらの過剰なリクエストが原因なのだと思うけど。

だけど初期は素晴らしかった。
モノクロのアトム。海のトリトン。
現在ケーブルで流れている悟空の大冒険とかリボンの騎士とか。
ジャングル大帝レオのオープニングとかの。
あの古びて滲んだ色合い。けしてクリアな美しさが無い。
一つ一つが濃い主張をする塗りかたのあのアニメ。
あれは本当にとても好きだった。

手塚氏のけして「万人向け」とは言えないあの重苦しく
読後感の悪くなる世界があの頃のアニメにはあったと思う。思います。

この60年代のオールドパーおじさんとか
首をかしげる犬とかニッカウイスキーとか花岡さんとか。
西岡兄弟とかプール冷えてますの絵とか。
あんなグラフィックが好きな私にとってこの手塚氏が総監督された
実験アニメーションの数々は好きと言う言葉ではくくれない
素晴らしい作品だと思うのです。よし。DVDを買おう。

この他もたくさんあったのですがどれも素晴らしかったです。
途中時間切れで見れなかったけど。


この他[おす]アニメも所詮「二次元」という演出が光る短編。
漫画的・アニメ的な感情表現の記号が多くあるけれど
これに出て来る記号ってのは中々今は見なくなってる。
使い方が難しいからなんだろうか。

[メモリー]
忘れようとしても忘れられない思い出をアニメで表現。
思い出となるとたくさんの事が「印象」重視となるわけで、
美しいものはより美しく、そこだけが抽出されて美化されるわけで
それを表現するやりかたがとてもシュールで気持ち良い。

誇張された記憶ってのは美しいと思います。
それが作為と自虐と甘えに満ちるからこそ。

エヴァの最終回であった写真を使う手法もこの1962年のアニメみると
ぜんぜんこっちの方がわかりやすいし面白いなと思いました。
(もちろん主題も話も製作背景もきっと全然違うんだろうけど)


[人魚]

水たまりにいた魚が人魚になった。
男は人魚に恋をして手をとりあいながら結婚を誓う。
けれど、彼以外の誰にとってもそれは小さな魚でしかない。
巨大な水槽の小さな魚を指差して「僕の妻です」と紹介する彼は
「想像」が許されない国の住人だったために…………。

必死に彼が主張する「人魚」がまやかしなのだと
まるで拷問のようにくり返しくり返し事実を認識させようと続ける周囲。

最後は悲しい結末ですがある意味ハッピーエンドなのでしょうか。
背景に透ける人や物の演出が好きです。


[展覧会の絵]

曲が好きなのですがかなり全体的のアレンジが強い。(コーラスもある)
ミュートやチェンバロンを多用した具合が素敵でした。
一度では耳の情報と目の情報がリンクしきれなくてもったいない。
あたしが馬鹿なせいもあるけど。


2000年01月07日(金) アヒル。

 

あなた、自分で思うほど女ってもんを分かってないわよ?

鼻先で軽く笑う年上の女の言葉が頭から離れない。
散々自分の下でよがっていながら、今さら何を言うのだろうと。
言い返そうとして言葉が途中で止まってしまう。

阿含は苦労をした事がない。
何かをしようとして出来なかった記憶がない。
うまく出来なかった経験がない。

ある訳が無い。

天才と言う言葉は自分のためにある言葉だ。
女を抱く事もすぐに覚えた。
いくつかの面倒な手続きを踏まえた末に手に入れるにしては、
こんなもんか、という感想しかなかった。
それ程良いもんだとも思えない。

何度かくり返した経験の末にそんな結論を出した阿含へ。
女がそんな台詞を口にしたのはそんな頃だ。


何を言っているのか、意味がわからなかった。

言い返そうとして言葉が途中で凍り付いた。
まさか。

そうだ、まさかだ。
確かめるように手当りしだいに手を出した。
これは、そんな自分の手腕を確かめる、ただそれだけのテストに過ぎない。

気を失った細い体を足の甲でごろりと転がす。
暴れられては迷惑だから、適当なシャツとタオルで手足を縛った。
脱がした後でそうすりゃよかったと考える。
ポケットのナイフで下着ごとズボンを縦に裂き、白い下肢を晒けさせた。
未発達なままの部分を指でなぞりあげるとヒル魔の口から呻きが漏れる。
騒がれて人が来れば面倒だ。
さっさと済ませようと阿含は熱を帯び出す自身をズボンから引き出した。



「ははは、処女の滝のぼりーってな」

薄く汚れた体育マットの上に点々と鮮血を散らしながら逃げるヒル魔を阿含は言葉で更に追い詰めた。
痛いのだろうか、それだけでは無い物も感じているのか、握っている手のひらをゆっくりと動かせばヒル魔はひくりと腹を震わす。
腰を突き出すごとにヒル魔の眉が皺を刻む。色気のない呻き声は今まで聞いた何よりも耳に強く届く。腫れた頬と切れた唇を見下ろすだけで、快感以外の興奮が包んだ。


こちらを睨む顔を見下ろし、そこに何が浮んでいるのかを観察する。
音をたてそうな程睨み付ける視線の強さは衰える事がない。 
腰を揺すると目が細くなるのが楽しくてそれを見たくて何度も細い腰を揺すってやった。

痛いと悲鳴を上げない事が不満だった。

食いしばった口からは押し殺したような声が漏れるだけ。
女のように喘げば面白いだろうに。



汗とホコリの匂いが残る薄汚い体育倉庫の一室で、ヒル魔は阿含に犯されている。




ヒル魔は知り合い。自分にしては長く、深い付き合いをしてきた相手。
数少ない同じ趣味を持った同士、親しくなるには時間が必要なかった相手。
目的の為には手段を選ばないヒル魔の態度は思った以上に心地よかった。
禁止と恐怖ばかりをまきちらす今までの世間から、得られなかった物だった。

頭脳だけは一流で、阿含が考えもしない驚くような計画や戦法。
卑怯で、姑息で、ずるくて、賢い。それがコンプレックスから生まれたものだと知るのもすぐ。
トレーニングをくり返しても筋肉のつかない細い自分を嫌悪しながら、阿含を見つめる目の奥には見知ったものが見えかくれする。

お前、凄い。

それでいながらヒル魔は阿含と距離を取らない貴重な人間。

恐れもせずに。
媚びもせずに。
卑屈でもなく諦めでもなく。

阿含の特異さを受け入れたまま対等に並ぼうと振る舞っていた。
対等なんだと思っているのだろう。


それが、阿含のカンに触った。


肩を並べて渡り合おうとする発言と態度。先を読みつくす頭脳と冷静な判断力。
たったそれだけで自分にでかい顔できると思っているらしい厚かましさ。

立場が違うと突き付けたかった。
お前ごときが、俺の隣に?
並びたてると思っているのか?



くったくなく笑い、体が近寄り、肩が触れる。
当たり前のようなその位置でヒル魔が笑う事が不愉快だった。



立場ってもんを、教えてやらなきゃならねえだろう。
思っていたから、ヒル魔を選んだ。

あの女の言った言葉を、くつがえさせるためのテスト。





鮮血に染まりつつあるマットの上で、阿含はしばらく動きを止めた。
ゆっくりだった指を動かし、強すぎる程に上下させてやる。
眉根がゆるみ、頬が火照る。
悔しそうに閉じる口から今までと違う悲鳴がこぼれる。

吐き出してやるためだけにスライドさせて、あと少しらしい所を表情で計る。
目をつむり、息を弾ませるヒル魔を腰の動きで揺らして起こす。

結合している場所からは、止まったはずの赤が流れる。

イけない辛さを味あわせながら、ヒル魔の内壁を味わい、擦りあげた。
最初は、痛いだけでいい。

痛いだけなら、尚の事良い。



苦痛にゆがみ、涙さえ浮んだ顔を見ながら阿含は大きく腰を揺すった。
十分に快と熱を味わい、精を吐き出した後の物をこれみよがしに引き出してやる。

「イイ具合だったぜ、お前の中はよ」

ヒル魔の目線が睨み付ける力を増した。

「見た目もサイコー。その辺の女よりてめえの方がおっ勃つぜ?」

萎えかけた部分を再び指で刺激すれば、そこはすぐに硬さを増した。
感じないようにしているのだろう。体内から阿含が抜けたヒル魔は多少の余裕を取り戻したようだが。
それでも出来る抵抗はわずかなものだ。
時間をかけて追い立てたのちに、阿含は手の中に吐き出しを強制させた。
悔しいのだろう、荒らい息のまま横を向き、阿含とは目を合わせようともしない。

「案外、これが初めてじゃないってわけか?」

手の平の汚れた部分を見せつけながら、怒りをそそる言葉をぶつけた。
振り向く顔は憎悪ばかり。
そうだ、それが最初に欲しかったんだ。


見下ろした先で、赤と白に染める下肢。
快感など感じる余裕も無い幼い体。

そこに、教え込んでやろう。



お前が、よがるようにしてやろう。



痛いだけの、未熟なお前に。
突っ込まれる事の気持ちよさ。

俺が、お前に教えてやろう。
嫌っても、憎んでも、それでも突かれてよがるように。
お前の意識と全く別の。

お前が、俺と並べるわけが無いだろう?
きっかけを作ったお前が悪い。

俺とつり合うなんて、大層な事を考えて。
近寄ってきたお前が悪い。




あの女に、わからせてやろう。
本当にわかっていないのは一体どちらだったのか。

この男には、わからせてやる。
お前が誰に近付いたのか。




知らない物など、必要ない。
出来ない事、手に入らない物、遠い物、初めての物。

未知の物。未知の不安。自分を保てなくなる不安定な恐怖の予感。




それは、いらない。必要がない。

突き付ける男、ヒル魔の存在が邪魔なのは。
気に喰わないだけが原因で。


説明の出来ない不快さをすべて阿含はヒル魔に押し付ける。
睨み付けて来る下からの視線。
慣れた視線。慣れた感覚。それがすべて。

ヒル魔からのそれを背中に強く感じながら、阿含は横たわる体を足の先で転がした。


この目線が。苦痛に染まっただけの体が。
この手の中でどう変わるのか。

想像するだけで、笑いが漏れた。






2000年01月06日(木) アヒルのつもりなんですがムサヒル。かもしれない。

 





ファミレスから出たヒル魔は、重く、苦いため息をついた。
2年ぶりの顔合わせを逃げるかどうするか、ここに来るまで本気で迷った。
少しは変わっていてくれると良い。そんな願いをこめた今日。

記憶の中のあいつのまま。
あのまま、歪んだあいつの態度。

胸の奥が、後悔に苦い。
俺があいつを選ばなければ、あいつがこれからどうなるのか、と。
2年前に想像は出来た。わかっていながら、選ばなかった。

想像が崩れてくれればと無責任に願った。
あいつは俺がいなくても平気なんだと、都合の良い事を考えていた。
それは無責任な逃避。可能性の低い希望。身勝手な予想。
結果を知りつつヒル魔は阿含を放棄した。
たった一つを選びたくて、そのために全部を放り出した。


あいつの歪んだ態度と思考。
原因は、俺。こうなることを分かっていて、それでも手を離した自分のせい。


平日の昼、車の数がまばらな駐車場。さえぎるものもなく吹き付ける寒風。
嫌でも思い返される、2年前のあの頃。
いくつもの選択から、ただ一つを選んだあの時。
目をつむれば蘇るのはあの頃の思い。1人繰り返した謝罪の言葉。


[願いの代償]


阿含に出会ったのは5年前。互いに、小さな糞ガキだった。
転校してきたその日の内に、阿含は「危険児」のレッテルを貼られた。
初めて感じる「似た者」の臭い。
強い興味と同族意識を感じたのも、考えてみれば当然の流れだ。

当たり前のように気があい、つるみ、行動は派手に、楽しさも倍に。
同じ学校に通っていたのはとても短い。せいぜい1年。あの頃は、とても楽しかった。
今までに感じた事のなかった感情。
仲間、友達、あてにできる存在、自分を怖がらない者。距離が必要ない間。

あの頃、あいつは俺が好きだと言った。俺も、あいつが好きだと言った。
口にした言葉は、妙に恥ずかしく、すぐに照れで打ち消したけれど、胸の奥に残る思い。
嘘でもなくて、意地でもなくて。
こいつだったら好きになってやっても良い。ずっと一緒にいても良い。
何も知らない分だけ本気で、無知から気持ちは混じりけもなく、知らないままでも続けていられた、損得のない、間柄。何も無くても楽しい毎日。


再び阿含は家が離れ、中学は別。
けれど疎遠にならなかったのは、互いに互いが必要だった。
他のヤツじゃあ物足りなかった。
授業が終われば当たり前のように待ち合わせ、つるみ、
無駄な会話を楽しんで、そうして共に過ごしていた。
何か楽しい事はないかと、愚痴を言っているときでさえ。
暇だと思う閑も無い。
背中合わせの温い体温。誰もが恐れるこいつに近付く、ただ1人。
自分は特別。こいつも特別。
胸をくすぐられる何か。
共に行動することで回りから一目おかれる気持ち良さ。

やる事なす事、気が合った。
暴力を嫌わず、道徳も無視し、口喧しい押し付けも無い。
互いに家が離れていたから、互いの家に寝泊まりも増えた。
このままいつまでもだらだらと一緒にいられると思っていた。中2の春まで。

全部、あいつに出会うまでの話だ。





春から、夏へ。
季節が変わる最中に、たくさんの事が変わり尽くした。

手にするものは初めてばかり。
自分が無知だと思い知らされる。
些細な事で心がびくつく。挙動不振になる自分。
今まで何をしてきたのだろう。今まで、何を見てきたのだろう。




不思議な程に、総てが変わった。

町並みの色。空の明るさ。土ぼこりの匂い。汗のべたつき。
伸ばされる手。ぽかんと見開く目。単純な会話。裏の無い言葉。
鬚のある顎。ガキ臭い笑い顔。馴れ馴れしい馬鹿。

目を逸らせない程の、馬鹿。





好かれたい、と初めて思った。
自分からも、手を伸ばした。触れるか触れないかの所で手を下ろした。
おずおずとそれをくり返し、指がなぞるのは体温が残る椅子。脱ぎ捨てた上着。
黙っていられない気持ちがあった。
伝わらない事が歯がゆかった。伝わらなくて、ほっとしていた。

気がつくと目が背中を追う。
頭の中から消えない存在。
時に気持ちはイライラと波立ち、些細な小さな事が気に触る。
穏やかで満ち足りた気持ちも増えた。原因はあいつ。
自分以外にむけられる、あいつの悪意の無い態度。

嫉妬。憎しみ。怒り。空しさ。自分はとても心が狭い。
気が短くて、みっともない。こんな醜かったのだろうか、何度も自分を嫌悪した。
恥ずかしい思い。隠せない感情。押さえられない鼓動。吸い付けられる目線。
一挙一動に一喜一憂。
何もかもが気になって、思う気持ちが熱になった。




初めて、誰かに欲情した夏。




触れる事。重なる事。相手が自分の体に悦ぶ事。顔。声。熱。鼓動。
それが嬉しくて楽しくて、泣ける程に幸せだった。





武蔵を好きになった夏。





阿含にも、栗田にも、他の誰にも。こんな気持ちになった事はない。
暗く、重く、何にも変える事の出来ない、とても歪んだ強い欲求。

好きという気持ちが素晴らしいなんて。一体だれが言ったんだろう。
まるで直らない病のようだ。深まるばかりの底のない感情。

手に入らないのが嫌だ。
失う日が恐い。
単なるエゴの塊になる。






これを、気づかれないはずが無い。


自分を世界で一番と思う、信じて疑わないあの男。
周りに求めるのは服従と支配。ただ唯一の例外に選ばれた自分。
嬉しかったのはほんの一瞬。

すぐに覚えた「濃い」付き合い。対等という関係の他の意味。いくつもの側面。

武蔵の態度に比べてみれば、あまりに奇妙な阿含の態度。
無言で押し付けてくる強い妄信。
『俺がお前を見ていなくても、お前は俺を追いかけろ。』
暗に求められる絶対の「好意」。

特定のコール音を黙殺する数が、次第に増えた。
ちらちらと見えかくれしていた結末。
早く結論を出すべきだ、と。わかっていながら先送りにした。



卑怯な事をしている自覚は、随分前から持っていた。
求められているのは「好意」。向けられるのも「好意」。
けれどそれは片寄った物だ。
俺1人だけを見ていろと押し付け、他の総てを否定するやりかた。

阿含との付き合いが重くなる。息苦しささえ、感じてしまう。
楽しかったのは嘘じゃない。
好きだと口にしたのも本当。
気分次第で殴られる事もある。
殴り返すのも嫌いじゃ無い。
阿含はけして、嫌いでは無い。

なのに、重い。

笑いあえない。
気分が晴れない。
どこか、重い。
機嫌次第で変わる態度。
どれだけ楽しく話ていても、空気はとても急変しやすい。

気を使わない気安さはある。
多少の不機嫌程度には慣れた。
自分の思うままに感情を外に出す素直な阿含。
それが自分は嫌いじゃ無い。

強い力を持つ目。
押し寄せて来る好意。
要求ばかりを押し付ける圧力。
阿含は自分を見ていない。
そばにいれ、離れるな、俺を見ていろ。

俺に満足しろ。

そればかりを突き付ける阿含。
自由で、勝手で、気侭で、我が侭。
目はいつも他を向く。なのにその手は離れない。
自分が何を欲しがっているのか。気がつきもしない、無知な阿含。
だれど自分は知ってしまった。

欲しい物はただ一つ。

口にすれば阿含はきっと自分を手放す。
1か0か。あいつが欲しがる答はそれだけ。
「阿含」以外が大切だと言う、そんな自分を阿含は捨てる。

そうして、あいつはきっと崩れる。
歯止めがきかずに、走り出す。
急な坂を転がりかけるあいつの兆しを何度も見て来た。
自分がいるから、留まっている。
これは自惚れなんかじゃない。判断と分析。純粋な事実。
とても単純な阿含の性格。

アンバランスな、純粋さ。
混じりけのないあの男。他人を曲げても、自分が折れる事は無い。
歪んだ直進。可能にした才能と環境。踏み止まっているのは自分がいるから。

自分を、阿含が好いているから。
「自分」はあいつにとっての代理。
手に入らない物をごまかすための、単なるパーツ。
ギリギリのバランスを取るデッドライン。

離れれば、何が起きるか。想像は容易い。
それが恐い。それが辛い。それは嫌だ。
けれど阿含は選べない。
阿含だけを見てはいられない。
もう知ってしまった、覚えてしまった。

あの濃さ。あの熱。あの息。あの声。
無かった事にはしたくない。

突き放せないまま時が流れた。




2年前。




妨害された、栗田の道。俺達の道。クリスマスボウルへの一番の近道。
いつか、こんな事になるだろうと、思いながらも伸ばしたツケ。
先送りにした「決着」は、想像したより惨く重く、拍手したくなるほどの陳腐なものだ。

俺が、もうあいつを追いかけないという事。
戻ってこいとぶつけられた、痛い程の阿含の執着。

戻りたく無い、自分のエゴ。



悪意は全部栗田に向った。
原因は自分。回避出来るはずだった結末を、破裂するまで放置した自分。

武蔵を選んだ自分のエゴ。




あれから、2年。
多分同じ選択を迫られば、同じ事をするだろう今の自分。





最後に阿含に出会った時。
多分あれがチャンスだった。阿含が「戻って来い」と示した、最後の最後の、最後のチャンス。
あの時、あいつの手を取れば。
あの時、あいつを選んでいれば。
あの時、あいつの願いを叶えれば。

こんな未来は無かったはずだ。

3人で神龍寺の門をくぐり。
クリスマスボウルへの道は容易く。
困難も苦悩も泥門でのそれにくらべればわずかな労力で、きっと楽しくやれただろう。



武蔵を捨てる、と、決断すれば。



迷いも無く、自分は狭い道を選んだ。
栗田も捨てた。阿含も捨てた。俺は選んだ。



武蔵を選んだ。



徹底的に歪む阿含も。呆然とただ立ちすくむ栗田も。
わかった上で武蔵を選んだ。





武蔵が、好きだ。













冷えて来た駐車場の片隅でヒル魔は空を見上げた。

酷い事をしている自覚。
酷い選択をした自分。
許されなくても構わない。
自分の選んだエゴの道。

ただ、武蔵がそばにいればいい。





多分、自分はくり返す。同じ事。同じ状況。同じ選択を迫られるのなら。
何度でも、いくらでも、必要な物を手放すだろう。

きっと自分は武蔵を選ぶ。



胸が重い。息が苦い。これは代償。
武蔵を好きになった、代償。

重ければ重い程、伏せた顔に笑みが広がる。
苦ければ苦い程、それは陶酔の甘さに変わる。





武蔵を選んだ、高くつく代償。
何物にも変えがたい、苦く、重い、甘い代償。













2000年01月05日(水) 皆さん武蔵を好きですかアンケ 結果

 

皆さん武蔵はお嫌いですか(結構切実アンケート)

先日から長々と続いていたアンケート。
お答え下さった皆さま誠にありがとうございました。
深々と熱く厚く御礼申し上げます。実にたくさんの方々に
お答えいただきまして、また素敵コメントなどもついておりまして
「武蔵」が主語のメールがこんなにたくさんいただけるなんて!
やまだ嬉しくて嬉しくてアウトルックと毎晩お話しておりました。
いやー、でも結構武蔵ってだめじゃん?あいつダメ男じゃん?なんて。

一種ののろけです。(やまだ何を食べてそこまで馬鹿になったんだ)

さて、まずは普通に集計させていただきます。
尚、同じ方が複数答えていらっしゃる場合も別口として答えております。
(記名して複数押して下さった方々。ありがとうございます)

【項目】
嫌い  長髪からだめ
モヒカンてどういうこと(モヒカンて)
見ていてむかつく (むかつく)
受けじゃなきゃ好き (受け嫌) 好き

【結果】
50% 好き  
13% 受け嫌 
 7% モヒカンて   
4.5% むかつく 好き 
    モヒカンて むかつく 好き  
 3% むかつく
    モヒカンて 好き
    モヒカンて
    長髪からだめ 好き
    モヒカンて 受け嫌 好き
 1% 長髪からだめ モヒカンて
    むかつく モヒカンて
    嫌い 長髪からだめ モヒカンて むかつく


このデータから何を読み取るのか?
以下は偏見が混じったやまだのデータ解析結果です。
個人的な偏見と変質した判断と


50% 武蔵を「好き」と答えた人
18% 条件付きで「好き」と答えた人
31% 答えに好きが無かった人

むかつく部分を感じる人 15%
モヒカンて何と感じる人 25%
受けだったらちょっと否 16%



さて。このアンケートでやまだが最大に気になっていた項目つうのがございまして。
一体武蔵に対してどれだけの方が「むかつく」という感想を持ているのか。
それを知りたくて実施しました。やまだは正直、むかつきます。
理由はたくさん有り過ぎてむかつくんですが、だってむかつきませんか。
あいつ最低じゃないすか。見たまんま。

「大した事ないのに努力して努力した」ってフィールドで偉そうに言っちゃったり。
「大した事ない選手だ」って面と向って言い放ったり。

しかもそいつが、理由はあれど、自分からチームを長い事去っていた訳で
問題が解決してないのにまたのこのこと戻って来た癖に態度でかいんですよ?
偉そうでかっこつけていて、そのくせ、そのくせに。

チームを出て行く時だって、自力で悪になりきれなくて
まもり姉に「告げ口」してもらって罪悪感を他人に押し付けようとしたんですよ?
自分が我慢すれば良いって思い込んでる自己犠牲、自己満足、ナルシスト男ですよ?



なのにヒル魔に全部受け止めてもらって、愛されていたりするんですよ?



見ていてみなさんむかつきませんか。
この形式のアンケだと、やまだは「長髪からだめ」で「むかつく」だったのですが
同じ御意見の方はあんまりいらっしゃらなかったです……。
やまだはむかつく程に態度がでかくて腹立たしい、そんなあいつが大好きです。

この引き裂かれるような二つの強い感情の波にざんぶらざんぶら揺れてますが
要は萌えって事です!ラブって意味です!
やまだは武蔵のマニアてことです!基本的な所がこれほど欠点に感じると
今さらなにがどうなったって結構どうでも良いですね。
何があってもすべてが魅力に転じます。

武蔵が誰かと結婚したって、隠し子いたって人殺しててもむしろオッケー。
むしろ早くそうなってくれ。ジャンプの上からあまりのダメさに
追放されてヒル魔がそれを追い掛けて、二人の活躍はこれからだ!
ていうのも素敵な未来だとまじで思います。



ちょっとまじめに。

武蔵は欠点が多く目立つキャラだとは思いますが、
そこが魅力に見える貴重で愛されるキャラだなと思います。
読者にも、作者にも、漫画の中の人たちにも。

そこが愛しい訳ですが、嫌いって言う人も多いのじゃないかなと思う訳で
色々と知りたい事があって始めたアンケでしたが、たくさんの方に見てもらえて
答えていただけて、嬉しかったです。ありがとうございます。


武蔵は愛されてるキャラだと思います。
いろんな所があいつは受け臭いなと思ったりもしますが
最大の理由は、無条件に愛情を受けている、愛されている、
そんな所かもしれないです。

皆さんの武蔵への愛情が聞けてとても楽しかったです。







以下、アンケートにあったコメントとお返事一覧です。
ほんとうにたくさん御意見御感想熱い思いありがとうございます。
尚、武蔵に関して触れていないメールに関しては通常の場所で
お返事させていただきます。











































好き
復帰後からだんだん武蔵がアホに思えてきて、〜(略)(SN様 28日 13:10)
初めまして、こんにちわ!やまだもあいつが受けでアホで馬鹿に見えてそこが格好良くてはあはあしてたまりません。大丈夫!全部原作公認!集英社からの「馬鹿キャラ許可」出ました!何を恐れる事がありましょう。No more 我慢!I need アホ!モヒカンは武蔵の特異具合を世間に知らせるグットヘアだと思います。たまらんです。共にこの泥沼にどっぷり浸かって生きていきましょう!アフロになってもちょび髭だって心の底からウエルカムです。
あーでもピンだったらここまで好きじゃないかも、です…。(28日 17:12)
その気持ち痛い程わかります。蛭魔と揃うと光り輝くあの2人。赤い糸にがんじがらめなあの2人。見えない磁石どころかむしろ見え見えの引力が存在しているあの2人。ニュートン先生もびっくりです。万有引力破れたり!ムサヒルの近くでは光さえねじ曲がります。視線が引き寄せられても不可抗力です。時空の歪みはムサヒルのパワーです。ピンだったらココまでの力は発動しません。あの2人に心が揺り動かされるのは自然の摂理なのです!鼻息!
モヒカンムサシが大好きです(28日 20:03)
やまだも大層好物です。蛭魔があのモヒカンをいじったりセットしたりベットで引っ張ったり顔を埋めたりするかと思うと2秒で心が臨死します。歩くとひょこひょこ揺れる頭になったのですからこれからはお尻もひょこひょこ振って歩いてほしいものです。私服姿で街を歩いて、グラサンかけてお家に帰って、近所の人たちにひそひそ言われれば良いと思います。「武蔵さんとこの息子さん‥‥」井戸端会議でも大人気です。
なんか恋してるみたいです…爆笑(29日 13:57)
むむっ!お医者様でも草津の湯でもと言われる奴ですか!重症ですね!やまだの病はブラックジャックでも治せません。重態です!ぽちりと好きボタンを押したときのご感想でしょうか。武蔵が出てくるジャンプを抱きしめて胸をときめかせる夜の切なさの感想でしょうか。でも、恋って素敵!だって世界が輝くのだから!ジャンプのお陰で世界は薔薇色。空にあるのは太陽じゃありません。あれは武蔵の笑顔です。
むさしは攻(30日 00:27)
ああ‥‥。まったくでございます。武蔵は攻です。間違いないです。いつもやまだの戯言に苦虫かみつぶしてご覧になっていらっしゃいますか。ムサヒルですよ!武蔵は攻めです!ムサ受けに流されて 変わっていくやまだを あなたは 時々 遠くで 叱って 欲しいです。ハリセンとかで後ろからべしーー!とつっこんで下さい。たてつけが悪くてたまに(え?)暴走してますが、基本は攻め。武蔵は攻め。世界の定説。大丈夫。魂に深く刻んであります。受けだ!と叫ぶのは多分たまに(え?)です。やまだも基本は武蔵攻めです。攻めのあいつも凛々しくきゃわゆい!!です。(おいこら)
モヒカンも好きですよ〜。(略)(蛭魔総受け様4日 07:36 )
馬鹿なモヒカン男にさえも攻められちゃう蛭魔がとっても可愛いなと思います。武蔵は単体だと受け疑惑が高まる可愛い子ちゃんなのに何故にあれほど蛭魔に対して攻めになれるのでしょうね。オーパーツを解読するより難解なこの謎、世界7大不思議の一つであります。世界不思議発見で朝まで生討論して欲しいものです。黒柳さんが「お黙りなさい。だって仕方ないでしょ。蛭魔は武蔵に攻められたいのよ」と坂東英二あたりにぴしゃりと言ってくれると爽快です。
どんなムサシでも大好物なんです(5日 0:39 )
どんな武蔵もデリーシャス!世界三大珍味に数えられる日も近いですよ!まずは日本の三大珍味、ウニ、からすみ、このわたにそっと紛れ込ませてみましょう。武蔵ノーマルはちょっと歯ごたえが強いけど、塩辛く濃厚な味はお酒のつまみにぴったりです。大工武蔵は薫製、中学生武蔵は躍り食い、長髪武蔵は洋風アレンジ、モヒカンはピザ味って所でしょうか。
「死ぬほど好き」っていう欄ないんですか。(略)(6日 0:36 )
おかえりなさいませ!アンケお答えありがとうございます!好きの更に上の項目作っておけば良かったなあとか今さらながらに後悔してますが、Cさんのお気持ちはとてもはっきり伝わりましたよ!やまだと一緒って事ですね!超も新も旧も苺もすべては武蔵に通じております!大丈夫、胸を張って武蔵へ愛を囁きましょう!萌えで世界は救えませんが、腐った同胞の魂は救われます!というか救って下さい。武蔵の語りに飢えております!












むかつく
偉そうな裏エースならぬ裏主将気取りなとこがむかつきます。バカな子ほど可愛い。かわいさ余って憎さ百倍ってやつです。(2日 17:42 )
ひょっとするとあいつ自分の事「(表)キャプテン」とかと勘違いしてないかなと不安になることが多いこの頃。あれはあいつなりのヒル魔を補佐している態度なんでしょうか。かつきます。低男のったかぶり。むかわいい(むかつく+可愛い)。むかっこいい(むかつく+格好いい)。むりしい(むかつく+凛々しい)。あいつが何をやっても感想は常にそんな具合。あいつ、まじでむかつきます。態度がでかいって上級生に裏校舎に呼ばれて○○○れればいいのに!萌え!






















むかつく 好き
ムサシがかっこいいことする(言う)たびに「何こいつムカツク!大好き!!」と心の叫びが漏れます。(3日 0:51 )
そうです!やまだも同じですよ!そこなんですよ、むかつきラブ!略すると「むか好き」つうか「むラブ」つうか「む萌え」?あいつなんてケルベロスとかと一緒に鎖につながれてるのがお似合いなんだ!と思うのですが蛭魔の隣りもお似合いだったりしてむかつきます。一生むかつく、だけど好き、みたいなこの状況はいっそ何かの試練だと思って楽しむ事にしています。しているんですがむかつきます。
大好きなんですけど。蛭魔ファンなので、愛されすぎてて時々むかっと。イラッと来るときが。(略)(28日16:30)
あいつまじで愛されてますよね。ため息。あんな態度悪いのに。あんな自分勝手で傍若無人で亭主関白、うぬぼれも強そうなのに。なのに蛭魔に甘やかされてますよねえ‥‥。たまに蛭魔をぶん殴って目を覚まさせたい。あんた目がハートになってるよ!と肩を揺すって起こしたい。蛭魔はなんであんな馬鹿がイイんでしょうねえ。相当趣味が悪いです。モヒカンになった武蔵は、今までの無駄にえらっそうな態度から一転、馬鹿だねえ‥‥。と見守るまなざしも緩みがちです。今後は「仕方ないよね。武蔵馬鹿だから」こんな言葉で自分をクールダウン&ヒートアップさせたいです。
武蔵はまさに「憎いあんちくしょう」です。(略)(29日23:57)
泥門チームの中で、あいつほど我が儘一杯夢一杯、やりたい放題な奴なんていません。アイシの中で一番の我が儘野郎じゃないですかね。蛭魔が唯一頭ごなしにけっ飛ばせない相手。武蔵。腹立つ‥‥。武蔵ごときが!!どうしてくれよう、誰かあいつの鼻をぺしゃんこにしてくれる人はいないんでしょうか。自分がどれだけ甘やかされているのか少し気が付けば良いのですよ。まったくもう!ほんとにもう!!蛭魔が唯一武蔵を怒ったってぺこぱこなんですから。誰も止められないって事でしょうか。そのうちトラックの前に飛び出して愛を告白しようとしてトラックに轢かれると思います。死ぬ時は蛭魔の膝の上で。死んでも蛭魔の心に住み続ける男。きいーー!自覚ない勝ち逃げ男め!そんなあいつが大好きです。ラブの不思議な矛盾を抱えて今日も生きるやまだは負け逃げ人生です。












モヒカンてどういうこと
なんでソレにしたのか凄く訊きたい(略)(1日17:48 )
訊きましょう。一緒に集英社に突撃しましょう。編集とアニメスタッフと村田の家に行ってどういうことか小一時間詰め寄りましょう。長髪をきゅっと後ろで縛ってにっこり笑って欲しかった‥‥。服をぬぐのもままならなくエロ突入、蛭魔が武蔵の髪の毛ぐしゃぐしゃにかき回しながらのメイクラブとかして欲しかった‥‥。部室で。そいで身支度整えて一息ついて、みんなも集まって素知らぬ顔で「練習すんぞ」「蛭魔、俺の髪ゴム知らねえか」「さっき縛ってただろ」「あー!?」てやった後に蛭魔の右手にすっぽりはまってるゴムをまもり姉とかに指摘されて真っ赤になっちゃう蛭魔さんが見たかった‥‥。めそめそ。縛って欲しかったですねえ‥‥。いっそ、モヒカンの頭きゅっと縛って縄つけて引きずり回してしまいたい。











嫌い 長髪からだめ モヒカンてどういうこと むかつく
全部愛ゆえです。(おそらく)(笑)(略)(30日12:57)
Kさん!Kさん大好き!Kさんだけだ、嫌いボタン押して下さったの貴女だけです大好き!私も愛ゆえに武蔵がとっても大嫌いです!あっの馬鹿!(力強く)あんの、アホ!(顔を顰めて)そこのモヒカン!頭丸めてわびるならまだわかる、その頭なんだ!お前はどこで何をしたいの!公園?公園エチで覗く人にアピールしたい?「俺達ここにいまーす!」って主張したい?いっそ「こんなモヒカンに押し倒される蛭魔」ってのをアピールしたい?間接的に蛭魔を更におとしめたい?馬鹿!お前が蛭魔に相手してもらってるのなんてお情けなんだよ!ありがたいと這いつくばれ!!世界の蛭スキーに土下座して謝れ!罰としてこれからもあいつは蛭魔に酷い事たくさんしてたくさんして、我らムサヒラへサービスすべきなのですよ!!しかし、武蔵が蛭魔を押し倒すってのが時々たまらなく腹立つのですよねえ‥‥。いつかあいつにぎゃふんと言わせてやりたいです。それは別として、今度メイド蛭魔に酷いことしようメッセとかAV蛭魔さんを泣かせてしまおうチャットなどありましたら是非呼んで下さい。やまだずーーーとしゃべり続けていられる自信がこざいますよ!




2000年01月04日(火) 2006>6月拍手お返事





6月25日 水曜日

ジャンプを読んでこんなにも叫び、ハァハァ言ったのは初めてです。〜 楓様 

いやあ、ほんとに凄かったですねえ。思い返すと私も今でもはあはあします。生憎手元にあのジャンプ残ってないのですがよりにもよって何を意図してどこをどうしたらそうなるのか。わけわからんのが本音です。変態だ、Mだとは元から知っておりましたがそれを公開する意図がわからない。まさか彼等はそれを公開したとか変態趣味ばれた、とかそういうの思って無いんでしょうか。周りには悟られて無い、とでも思ってるんでしょうか。サトラレ,という思った事がだだ漏れの能力という漫画がありましたが、ヒル魔は武蔵を好きなのが周りにだだもれ過ぎだと気が付かないんでしょうか。なんだか彼が不憫になって来る今日この頃です。



6月25日 水曜日

お体大丈夫でしょうか?す、すいません…コンビニうんぬんの〜 様 

いえいえ、確かにコンビニ漬けは体に優しく無い食生活ですから御言葉もっともでございますよ!たまにたまに、と思いながらいつもずるずると添加物にどっぷりです。もっとも私は味覚音痴ですのでまずはそこから直せという所なんですが。あらゆる物に酢をぶっかけるのはいい加減、やめたい所でございます。生理は本当にふとしたはずみで止まってしまうので気を付けていきたいところです。ちなみに体脂肪平均値って女性はその数字なんですか。
もーーーーのすげえ、びびりました。私、18から上いった事なくて……。ボーダーラインをいつもいったりきたりしてたんですね。ちょっと筋肉付けたいなあと本気で思えてきました。情報、ありがとうございました!



6月25日 水曜日

あまりの懐かしさに思わず手が動いてしまいました。KANの歌、〜 白雪様 

どうも!オンリーでは目と鼻の先な位置関係だったのに御言葉を交わす事も出来ず終了してしまいました……。悔しい………。やまだが数人いればいいのに!と思いますがきっと全員で同じ事をすると思います。kan好きでした!というより当時は常に耳に入って来る環境でしたね。あの頃のヒット曲って本当に凄い普及率でしたから……。kanで思い出すのはりぼんで連載されていた「ハンサムな彼女」であの曲が使われておりまして吉住先生の不幸キャラとセットで頭に蘇ります。/やまだロリはずーーとずーーーと語れると思います。かなり好きです。でも自分で活動するより人様のを見るのがもっと好きです。悟空で例えるとクリリンに会う前とブウと戦った時ぐらい違います。純粋に無邪気で卑猥。まさに短縮するとムサヒルって事ですね。ロリの素晴らしさを統べて熟知されていそうな白雪さんと今度体育会系な語りをさせて頂きたいです。最初からジャージ。さらにいつでも横になれるように布団。白い紙たくさん。そんな奇怪な機会が存在しましたら足下に這いつくばってロリをロリと叫びます。(何のこっちゃ)イベントで御会いしたら次ぎこそゆっくり語り合わせて下さい!




6月22日 日曜日

>フェチズムのハートシールは毛隠しだったんですね(笑)〜 楓様 

いえっさー!オンリーお疲れ様でした!ハートマークということは初期の頃にお買い上げ頂いたわけですね。実はそんなに本がはけると思わなくて途中でハートが品切れ。後はポストイットで代用しておりました。一応20禁という事で本だしてみましたが、中身はちっともやっておらず、なんだかそんなにあんまりだなーって事でしたが表紙で稲葉さんが素敵な毛を御披露下さってなんとか形になったというのが本音です。いつも稲葉さんには助けられておりますですよ……。そろそろお誕生日過ぎられてますでしょうか。20才過ぎましたらばぺりっと剥がしてみて下さい。通販は本日発送させていただきました!イベントでは声かけてくださいよう!チキンで小物なやまださんはいつも不安に震えているのですよ!いつも素敵な武蔵(運輸)と遭遇する楓さんに幸せあれ!
 


6月20日 火曜日

先程近江さんのサイトで閉鎖という情報を〜 様 

特に相談らしい話も受けていなかったので(もともとムサヒルとして期間限定で作った、という話は聞いていました)私も寝耳にみみずでびっくりでした!まあ、びっくりというかあいつらしいというかそういう感想です。何かしたいね、という事で現在もりもり企画進行中ですが、多分ヤツのサイトが無くなっても僕達はこんな具合だと思います。集団でちょろちょろしてますので何かあったらまた覗いてあげて下さい。



6月22日 木曜日

>忙しいお仕事の合間でのほんの少しのコンビニ利用かと〜 様 

体調の心配までしていただきまして、真に頭が上がりません。ありがとうございます!!やまだはあんまりコンビニが好きではなくてですね。死ぬなあ、と思った時は吉牛かコンビニ、という生活になる時がたまにあります。いえ、割りとあります。コンビニ飯の悪い所は割りとよく耳にしているんですがあの簡単に食物を手に入れられる便利さには負けてしまいますね。日常ではかなり添加物等を避ける生活していますので、プラマイゼロかちょっとだけマイナス、的な生活になっております。トータルでプラスを維持出来る生活が望ましいのですが……。バランスよく、規則的な生活とムサヒルを送るためにも気合い入れて生きて行きたいと思います。御配慮ありがとうございます!



6月20日 火曜日

>いつも楽しく拝見してます。もし今後〜 様 

どうも、日々日記にいらしてくださり、ありがとうございます。そうですね、語りたいなんて言っていましたね……。その後やまだが何のリアクションさえしていない事を一体どのように思われているでしょう。言うだけかい!なんて思われているでしょうね。正解!その通り!無駄にお心を騒がせるような発言だけしてそのまんまですみません。いつか語る日が来るとは思いますが、その時は別窓開くような形で語ると思います。ただ、ただですね……。世間様で言われるような話にはならないと思います。私は彼等を幸せラブップルには見えない人なので。凄ーい変態的な不幸話をする予定です。なので、確実に別窓です。いつまでたっても王道がわからない可哀想なやまださんです。優しい目で見てあげて下さい。



6月15日 木曜日

>41100だったので足跡を…。携帯やまだけ6/11のメモの感じが〜 様 

声高らかに叫んで下さい!うちはあんまりキリ番n踏みました−という声が少なくてですね。リクし放題です!つうか、受け付けてもそれを消化するまでが長くて呆れられていると言う説もありますが。あたりさんのリクなんて確か去年の内に頂いた気が。ええと、かなり遅い人なんですが、リクはしていただけるととても嬉しいのでよろしければどん、と申し込んで見て下さい。/やまだのメモはあんなもんです。大事な所を書かずに棒線でごまかすので酷いもんです。




6月19日 月曜日

>イベント大変お疲れ様でした!憧れのマシンガントークを〜 様 

んどーもーー!マシンガンと言いつつ、実際には水鉄砲のちょろり、ぐらいの威力しかありませんでした。なんか色々とネタとかトークの材料とか用意していたつもりだったんですが当日になってすっかり綺麗に忘れたようです。でもお家に帰って冷静に考えると黙ってて正解だと思いました。「フェチ」は、色々と先が長い話なんですがとことん武蔵が嫌なヤツになってしまうのでやまだはちょっとげんなりしております。今後は「武蔵がヒル魔を理解出来ない」という形で進みます。性癖を理解してくれない武蔵がヒル魔に対しての行動が今後酷いなあ、て具合です。話としては盛り下がる一方です。飼育ネタ。むしろそっちが王道だと思いました。素晴らしい!ぜひ武蔵にはヒル魔をひとりじめして欲しいなと思いました。お買い上げ、感想ありがとうございました!



6月16日 金曜日

>やまださん!かなりキワキワな状態なのでしょうが〜 様 

きわきわでしたが、今振り返ってみると何をどう極っていたのか謎でございます。結局イベントには余裕で参加できたのですから。喉元過ぎると何とやら。苦労と失敗をさっぱりと忘れ、教訓を次に生かせない予感が今からまざまざとします。イベント当日、やまだの姿は楽しめましたでしょうか。どうにも当日の記憶をひっくり返してみると何をやっていたのか思い出せません。隣のスペース様とも会話は少なく、同じスペース内でもあまり話が出来なかったと言われ、御会いした方々とはほとんど会話も出きず、本は1册も買えませんでした。それでも非常に素晴らしいイベントだったという記憶ばっかりが蘇ります。共にあの素晴らしい会場の空気を味わえただけでも幸せです。次に何かの機会がありましたら、ぜひとも東京に行くつもりですのでこりずに眺めてやって下さいませ!励ましありがとうございます!



6月15日 木曜日

>PC復活です!そうそうヒルはムサだけに弱くなきゃ駄目です!〜 様 

そうなんですよねえ。というか最近のジャンプがそんな感じですよねえ。登場したての、天下無敵、俺が一番なんだぜYA-HA-!と言っていたヒル魔からは考えられないぐらい凄い事になってますよね。一体どうなってしまうんでしょう。連載終わったら髪の毛さらさら、お目目ぱっちり、セーラー服に身を包んで武蔵の前に現れたりするんじゃないかと思います。ムサヒルでヒルが小さいと、でかい図体が振り回される楽しみもさる事ながら、最近のヒル魔の従順さを考えると紫の上的に「自分好み」のヒル魔を作れるのではないかと思えて来ました。光源氏計画ですよ!ムサヒルというのはどこまでも素晴らしい萌えが潜んでいますね。これからも目が離せませんよ!PC復活おめでとうございます!



6月14日 水曜日

>ただいま授乳中。〜 様 

はっはっは。だめですぅ〜〜。かっこいいでしょ!かっこいいでしょ!いいだろーー、あたしのもんなんだぜぇぇ!ほんと、1年ちょい前には考えられない事でしたが、現在たくさんの素敵絵師さんに囲まれてムサヒルライフを満喫してます。うらやましいだろ!つうか乳やりお疲れ!そのうち触りにいきますからしぼませるなよ。その乳を。



6月14日 水曜日

隠れ萌え解析というものをご存じでしょうか?〜 様 

知りませんでした。何でしょう、結果が素晴らしい事になっていますが、声を大にして良いのであれば、「隠すなよ!」と言いたい所です。天使だなんて!二人の愛が天使だなんて!(そこまで言ってない)学ラン萌えは隠れていませんね。金髪萌えも隠れていません。恐るべし隠れきれている天使萌え……。二人が可愛い天使の仮装で早口言葉言う姿を想像しました。古くてすみません。近親相姦の比率が低い所にとても下唇を噛み締めたいです。だいたいトータルで100ってのが不満です。200ぐらいで!そいで種類ももっとたくさん!ムサヒルが潜在的に持っている様々な萌えのすべてを網羅して欲しい!そんな気持ちでございます。武蔵と蛭魔で天使かあ、天使てんし……。とチビの2文字から目をそらしぎみです。やまだの100%はチビ萌えとショタ萌えで出来ております。あんまり与えると過剰摂取で弾けて飛びます。(無駄知識)素敵情報ありがとうございました!!心の底から隠れ萌えを楽しみたいと思います!!!



6月11日 日曜日

>入れて見れば良かったのに…全然間に合ったような気がします〜 様 

凄いっすね。印刷屋さんて。なんか他の方にも言われたのですよ。まじですか!間に合ってしまったりするんでしょうか!!今回は結果的に品切れ多かったのでコピーといういくらでも数を増やせる形で出せて良かったなと思いましたが。いつか出してみたいですねえ。オフセット本。イベントに間に合わない場合、売る場所が見つからないために非常にどきどきしながら計画を立てていたりします。計画倒れが大得意なので周りからは「大丈夫なのか!」と呆れられてもおりますがこのドコドキ感が病みつきになるのですね!つうかドキドキするなよ。計画的にちゃんとやれよ!そういう事ですね。次ぎは間に合うようになんとかがんばっていきたいです!アドバイスありがとうございます!!





過去のお返事は以下をご覧下さい。

2005年8月  1行メール9・10月  拍手9・10月  11・12月
2006年01 02 03 04 05 06


2000年01月03日(月) [泥の小鳥]

小鳥を拾った。学校の裏で一番大きな杉の木の下。
あまりに大きくて、子供達が登れない巨木。誰もてっぺんに辿り着いた事のない老木。
ここで一番大きな鳥が住んでいると言われていて。
けれど、武蔵がみつけた小鳥はとても小さく弱々しかった。

俺はこういう小さいのは手当てできねえ。
武蔵が困った顔で、ヒル魔の元にやってきた。
手のひらにハンカチをのせて、その中に横たえられた小鳥。
ヒル魔は少し武蔵を眺めて。
こいつは、何回言っても伝わらねえ馬鹿だなと思いながら。
その、手の中の小さな温もりを受け取った。
羽を広げて、脚を触る。骨が折れているようなので、軽く添え木を当ててみた。
「獣医に見せなきゃだめだ。俺はこんなの専門じゃねえからな」
「お前、器用だな」
相変わらず、人の話を聞かない武蔵はそう言って嬉しそうに笑った。
「聞いてんのか」
武蔵は机の中から辞書を取り出し、頑丈なカバーだけを抜き取った。
その中に注意深く、小鳥を差し入れる。
「元気になったら、放してやらなきゃな」
今にも名前を呼び出すんじゃ無いかと思う程にうきうきとそう言う武蔵を
バカにしたようにヒル魔は眺めた。
保護された小鳥。怯えながらも、暴れる事も無く。
じっと静かに体力を温存しているような小鳥。
見知らぬ場所で、少なくともその武蔵のぬくもりを信じているようなその態度は賢い。
自分にどこか重なる物を感じて、ヒル魔は教室の外に目をやった。

どこにおいておこうかと2人で相談し、使われていない体育倉庫があげられた。錆び付いた南京錠で閉め切られたその倉庫の窓に鍵がかけられていない事を、ヒル魔はよく知っていた。
都合良く集められた粗大ゴミを登ると、ちょうど屋根に近い窓に手が届く。
ヒル魔がひっそりと使っていたその隠れ家のような場所に武蔵は驚いた様子も見せず後ろをついて来た。聞けば、いつもこちらに走るヒル魔をおいかけて、何度かここを使っている所を見ていたのだと言う。気がつかなかった事とそこまで観察されていた恥ずかしさに、ヒル魔はバカじゃねぇのとそばの卓球台を蹴り上げた。



数日後。獣医の言葉どおりの回復を見せる鳥に思わず笑顔を向けながら、ヒル魔は武蔵を校門の前で待っていた。
毎日違う名前で武蔵が呼び掛けるために、未だに呼び名が決まっていない小鳥。
昨日はあろうことか妖一と小鳥に声をかけやがった。
早く飛び立ちたいとばたばたと羽を動かすために、箱は初めのものよりだいぶん大きい。
餌をよこせと手をつつく程に2人に慣れてしまった小鳥。
こうなってくると、子供にとっては手放しがたいものがある。
それをかかえて。掃除当番で遅くなる武蔵を待った。今日は、2人で獣医に行くのだ。

ふいに、人の気配を感じて振り返る。
武蔵だ、と思った自分を軽く罵った。クラスでも先頭にたってヒル魔と相性の悪い一群。
何かにつけて悪意にまみれたからかいを浴びせてくる彼らへのいつもの対処として、
軽く目線をやり過ごす。
独創性に欠けた、つまらない言葉が彼らから飛び出す。それをいつものように聞こえない振りをした。
目線を真直ぐに校舎にむけて、武蔵を探す。
数がいなければ何も行動できない臆病な奴等。教室でもきゃんきゃんと噛み付く事しか出来ないからと、ヒル魔は彼らを軽んじた。
いつものように、無いものとして扱えば良いと。けれどそれはヒル魔にしては楽観的すぎる判断だった。
からかいに耳を傾けないヒル魔へ、彼らはじわりと距離をつめる。
今、ここには。
彼らがもっとも気にしている「周囲の目」が無い。
いつもとは違う大胆な行動に、ヒル魔の変わらない態度が火を注いだ。

気がつけば周りを囲まれ。背後に校門を背負ってヒル魔は奥歯を噛んだ。
彼らがしきりに興味を注ぐ、箱の中の小鳥。
それをよこせと。
お前のような奴に育てられる訳がないだろうと。
なんたって、人殺しの子供なんだからなと。

言われて、横から飛びかかられた。
不意をつかれて、不様に地面に転がってしまう。
箱から飛び出した小鳥は、もがくように地の上で羽をばたつかせた。
せめて飛んで逃げれば良いのにと思う。
武蔵とヒル魔の2人だけの秘密を、他の誰にも知られたく無かった。
こんな奴等にだったら、尚更。触れられたくもない。
地面を這うように手を伸ばし、指の先で小鳥を引き寄せる。
乱暴に扱われ、鳥は容赦なくヒル魔の指に噛み付いた。
くちばしでぎりぎりとひねあげられ、ヒル魔の顔が小さく歪む。
それでも奪われないように手の中に確保して。
校門を出れば目の前は薄汚れたどぶ川。
その左右で彼らが退路を断った。憎らしい程の余裕をみせつけながら。

逃げ道を探すヒル魔の手の中で、あばれる小鳥。
ばたばたと羽毛が舞い、その量の多さにヒル魔の指が弛んだ。
鳥は、必死だった。
ヒル魔もまた、手放したくはなかった。
武蔵が可愛がっていた、小さな鳥。
ヒル魔の名前をつけて、からかってこちらの表情を伺っていた武蔵。
2人だけの秘密。
ムサシと自分を繋いでくれるたった一つの、接点。

弛んだ隙をついて小鳥は指を抜け出し。反射的にヒル魔は力を込めた。
そして。手に伝わる、嫌な感触。
音もなく、手に伝わる何かが折れる感触。
今までの比では無い程に、暴れ出した鳥。
けれど、明らかに動かない一部分。

逃げる事も忘れて固まったヒル魔に伸ばされる何本もの手。
反射的に逃げて。
そして、逃げ切れないとわかって。
ヒル魔は手を離した。
汚れて濁った川の上で。
小さなさえずりが水音に消える。
静かになる周囲。

そのまま、ぼんやりとヒル魔は立っていた。
手の中に残る、最後の感触。
確かに残っていた温もり。
思い出される、懐いていた頃の姿。
目の前をよぎる、羽毛。

呆然と。
ヒル魔はただ宙を揺れるそれを見ていた。
声も無く。
涙も無く。




気がつくと、武蔵がすぐそばに立っていた。
何も言わず、泥にまみれたヒル魔の鞄と空になってしまった箱を持って。
「あいつらがやったのか」
何も言葉が見つからず、ヒル魔は小さくうなずいた。
武蔵の顔を、見れるはずもない。
全部を見すかされているようで、ヒル魔はとっさに声を上げた。
「あの、鳥……」
「連れてかれたか?」
残念そうな声に、反射的に首を振る。
「逃げち、まった」
「そっか」
恐る恐る武蔵を盗み見たヒル魔は。
嬉しそうに空を見上げる表情をそこに見た。
「良かったな」
まるで鳥を探すように。
汚い川も、汚れた自分も、目に入らないように。
空を見上げている武蔵を。
ヒル魔は声も無くひっそりと盗み見た。




この街は、汚くて狭い。
淀んで、暗い。
早く武蔵が出て行けばいい。
こんな街に慣れる前に。
綺麗なままの武蔵でいて欲しい。

耳に縫い付けられている4つのピアスに手を伸ばした。
誰にも言えない、5つ目のピアスを指の先に感じて。
ヒル魔は声もなく泣いた。

自分が汚れる事は構わない。
武蔵が汚れないのなら構わない。

けれど。

武蔵が遠い。
汚れて欲しく無いという想いが強い程に。
手をのばせない距離がある。
声をかけてはならないと心が警鐘を鳴らす。
見ているだけでもそれは罪だと誰かが囁く。
なぜなら、お前は罪人だからだ。
握りつぶした手を持っているだろう。
たくさんの大人の声。
この町で生きてきた自分には慣れた光景でも。


この事を武蔵が知ったら。どう思うだろう。

顔を見る事も出来ずにヒル魔は武蔵の数歩先を歩いた。

「おい、待てよ。」
追い掛けて来た武蔵がヒル魔の腕をつかんだ。
最後に、小鳥を掴んでいた側。
背筋が凍って反射的にその手を振りほどく。
「なんだよ、血ぃ出てるぞ」
手の腹の柔らかい場所。
そこから流れる血の跡にくちばしの形を見つけてヒル魔は腕を背後に隠した。

ぱくぱくと口を開いて、閉じて。
それでも武蔵は強引に怪我の具合を調べようとするので。
空いていた手で突き飛ばし。距離を取った。
「何すんだ」
「……れに、触るなっ」
驚いて止まる武蔵を見る事も出来ず。ヒル魔は走っていた。

手の中に残る、小さなものが壊れる感触。
耳に響く嘲笑の声。
何を傷付いたふりをしている。
お前だけが汚れていないと思っていたのか?
生まれた時から、罪をかぶった子供の癖に。
浅ましい。
恥ずかしいね。
さすが、生まれが立派だと志も高い事で。
賢い子供の考える事は。さすがに違うね。



走りながらヒル魔は神様と唱えた。
とうに信じる事をやめたその名前。
自分に対して何一つ手を貸してくれなかった存在。
だけど。
助けて。
武蔵を汚さないで。

俺が、あいつに近付いても。

お願いです、神様。
俺はもう救いようがないけれど。
それでも、武蔵のそばにいたいから。

俺が、あいつを好きでいても。

あいつを汚さないで下さい。
あいつのそばにいたいんです。

家に向かって走り。すぐに涙も枯れて。
疲れて、走るのをやめて。
ばからしいという結論がすぐに出る。
そんな願いはかないっこ無いのに。

なのに。

後ろから走ってくる足音。
おおい、と声を上げてやってくる、あいつ。

逃げたく無い。そばにいたい。
離れたく無い。嫌われたく無い。

武蔵が追い付くまで。ほんの少し。
早く声をかけてほしい。すぐに手を伸ばして欲しい。
どこかであいつを汚すつもりかと囁く声。
離れるのは嫌だと泣き叫ぶ声。

川に落ちるべきだったのは。
自分の方だと思いながら。
足を止めてしまった自分に小さく泣いた。
武蔵が汚れてしまう事より。
自分の気持ちを止められない浅ましさ。

これが。
罪人の子供の何よりの証拠。








20050526 0400
<倉庫にモドル>


2000年01月02日(日) ばるぼら




肩を支えてやらないと歩けない程にそいつの身体は定まらなかった。

車を降り、腕を引き、ふらつく背中を部屋の中に押し込むだけで、一仕事だった。
部屋の真ん中で、奴はごろりと寝そべる。
案外綺麗なんだなと言ったのは世辞のつもりだろうか。
ごろごろと転がりながら、居心地の良い場所を見つけたようだ。満足げに机の下に身体を潜り込ませた時にはその腕の中に酒瓶が抱きかかえられていた。
「おい、まず着替えろ」
素材もわからないほど汚れ、だぼついた上着を引っ張ると抵抗もなくそれは奴から離れた。
「てめえ、臭うんだ」
「先に飲ませろよ。俺はあんたの客だろ?」
ふざけるな、と武蔵は思った。
馴れ馴れしいにも程がある。
妙な節回しで鼻歌のような音を並べながら満足そうに瓶を口に運ぶ少年を、俺は軽く靴先で蹴り上げた。
思った以上に軽いその手ごたえに、これは「いつもの奴」だろうかと疑いが芽吹く。
「痛ぇよ、何すんだ!」
「先に風呂だ、気に入らないならさっさと出て行け」
少年は、壁にもたれてこちらを見上げる。
何度見ても見なれない汚れた奇妙な髪の色が目に刺さる。
俺は何度も自分に問う。これは、誰だ?
「誘ったのはあんたの方だろ。ちょっと有名だからって、偉そうに」
これは、誰だ?
俺はまっすぐに、少年を見下ろした。
少し、おびえたように奴は膝を抱える。
駅で見かけたのと同じ姿勢。膝の間に顔を挟め、力の抜けた身体を膝で支える。
「出て行け」
少年は、黙って床を見つめている。
椅子を所定の位置から引き、少年が目に入るように腰掛けた。
ぎし、ときしんだ音にびくりとこちらを見上げる目には先ほどの力はない。
「言い過ぎたよ、すまねえ」
急すぎる変化に、俺はもう一度自分に問うてみる。
これは、誰だ?
沈黙を、どう解釈したのか奴は、こちらを伺いながら再び棚に並んだ瓶へと手を伸ばす。
「酒が飲みたいなら、先に風呂だ」
両手に持った瓶と俺へと両方に目を向け、しぶしぶ手を離し。
そして、あっという間に服をぬぎすてた。
少年、と言うのは間違いかも知れない。
やせこけた身体はそれでも「少年」よりも更に先の成長の跡を残している。
「なあ、先生。やりたくなった?」
「ふざけるな」
再度蹴る仕種を見せると、少年は急いでバスルームに飛び込んだ。
ドアが閉まり、中からはやかましい水音が響いた。
その音に、耳を傾けながら。俺は、目を閉じる。
もう一度、考えるべきだ。あれは、誰だったのか。



ぼんやりと雑踏の流れに身を任せて歩いていた。
場所は新宿。誰かが消えても、誰も気にも止めないほどの人の数。
排泄物のように汚いものが毎日生み出され、垂れ流され、満ちあふれた都市。
そこを、俺は歩いていた。
細かい場所は覚えていない。

気がつけば、俺は立ち止まっていた。
何時のまにか人波からはじき出され、色の禿げた壁の前で我に返った。
そして。
視界の隅でぼろが動いた。
錆びてむき出しになった鉄柱の下。
ぼろきれに囲まれて小さな顔が覗いている。
人形か、と想う程にそれは動かず、小さく、そして整った顔だちだと思った。
あれ程、よごれているのに。
ひょっとすると、本当に人形かも知れない。
一歩近付くと、視界が揺れた。
ぼろの中の人形を中心に、世界がぐにゃりと歪んだ気がした。
ゴミに見えたのは、人形の服だった。
だぼついた上着は、その中身の姿を完全に隠す。
首だけが、差し込まれているのかもしれない。
どこかのマネキンが、捨てられているのかもしれない。
近付けば、足がわかった。小さく折り畳まれた膝の上に、ちょんと乗った顔。
その元は白かっただろう肌も、泥と煤で化粧をしている。
この街に似合いの飾り付けだ。
何も映さない暗い目がまるで穴のようだった。
黒では無い、よごれた土の色。それより、すこし明るい髪の色。
くすんだ山吹の様でもあり、火山灰の赤茶けた石のようにも見えた。
ぼろに間違えるのも無理は無く、それは人らしくは無い色だ。
近寄る程に、視界がくずれ、崩れる程に、人形ははっきりと形を示した。
とがった耳、ぶら下がる金属片、形の良い眉、そして。
目だけが、動いた。

ただ、目がこちらに向けられただけで。
この世界の何かが濁った。
背後のざわめきは絶える事もなく、その全部が一枚の幕を通して耳に届く。
どんよりとした穴が2つ、こちらを向いている。
耳の奥には奇妙な違和感。
沈黙に支配されているような重い空気。
たった一歩、近付いただけで。
目が、動いた。それだけで、そこに俺は異世界を感じて。
手を伸ばした。つもりだった。

多分、一瞬の事だったのだろう。
気が着いた時には人形の視線は元の位置へ向けられていた。
俺はただ突っ立ったままだった。
相変わらず辺りは汚く、汚れて饐えた空気に満ちている。
人形では、なかった。
子供が一人、うずくまり、誰もそれに気を止めようともしない。
ただ、それだけの風景。

俺は、声をかけた。何を話し掛けたのかは覚えていない。
何ごとかを話し掛け、肩を揺すってからその子供を抱きかかえた。

立ち上がれば、それは意外に大きい。
男なのか。女なのか。年の頃もはっきりしない。
そして。
話し掛けた俺を見上げる淀んだ視線。
立ち上がって、すぐに床を這った目線。
その、間に。
瞬間、ゆがんで笑った口元。


それが、すべての始まり。









イラストはアタリさんから。

倉庫にモドル


2000年01月01日(土) ログログ倉庫


中学生美術時間のモデル

何かで変態だったよ記念をさせていただいたのですが。
何だろ。本誌で武蔵がヒル魔殴ったやつかな。武蔵が2人います。
 


Xファイル  これの前の話はどこいった。


修学旅行でヒル魔総受   


悪夢 はて……?覚えていない。何だろうこれ。

ばかモン あれ。今日(2月2日)書こうと思っていたネタと同じだよこれ。

ひるぼら2 あたりさんへ。

探し物はなんですか/春 子供ヒル魔と大工の武蔵

デリヘルヒル魔と部屋を間違えられた武蔵 なんでこれここにあるんだ。

探すものは 夏 子供ヒル魔と大工の武蔵

とりっくおあとりーと 兄妹ムサヒルハロウィンもの

山の神様 花火の話だ。

南の島 単行本で南の島だったよ記念

ローライズ ジーパンです。稲葉さんの日記に食い付きました。

マスクで特訓中にエッチしたらどうなるの 短い話。

ガオマルヒルの語り うはうはー!




やくざ おかださんちの絵茶で突発書き。

クリスマス 兄妹ネタ

あいうえお 短いですね。ムサヒル馬鹿いちゃつきネタ

剃刀のストック はじいちから拝借。

ゲリボタン 腹痛の武蔵

女子高生   ちゃこさんの絵を思ってパンツパンツしました。

ちび武蔵とでかいヒル魔 怪我を治すのはちゅうですよ。

電車でファー ヤンヤンさんのファーなムサヒルで。

ワンコ武蔵の悲惨な生活 あたりさんからの05年年末のリク。おそ!!!

どろんこ祭り  兄妹ムサヒル



とーーーりあえず。リンクあってるかな。
無駄に数が多いですね……。拾えなかったのも入れるともっと有ると思う。
ここ数カ月の話なんですけれど。

なんかろくでもないもんばっかり………。




7月11日 追加

なんだか最近うまくいかない 酷いムサヒル系。超短い。

素足にスニーカー サイコさんちの絵チャにて。あたりさんからのリク。中学生。

むさたん 2007武蔵誕生日記念ネタ。高校生

嘘つき カウントするヒル魔。高校生の休日。

ばくちゅームサヒル 鼠がムサヒル。ちなみに元の番組見ておりません。

しかたがない 多分高校生。多分「ぱんつはいてない」ネタがやりたかったもよう。タイトルの目的語は「馬鹿だから」。主語は武蔵のようでもありヒル魔でもある。と思います。好きなものは好きだから、でもいい。

コンビニ 高校生。超短い。日常。




2007年ヒル受けオンリーイベントレポ。
イベント前日レポ ちょっと補足 あたり版より抜粋1 抜粋2
イベント当日 あたり版より抜粋3





やまだ