『庭の話』

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『山』を 歩く。

山歩きと言っても、登山ではありません。
庭に入れる樹を見せて貰いに、山の一部を切り取って造園会社さんが
庭木の林として所有しているところへ出掛けて行ったのです。
一日中人の手の入る場所ではありますが、何しろ面積の割には人は少なく
だから自然が大変豊かです。
エゾリスが地面を駆け抜けて行くのを見ました。得した気分。
他にはウサギ、青大将が沢山見られるそうです。樹にはセミが一杯。

私は庭木の事は全く解らず、お店の人と家族の話を黙って聞いていました。
紅葉を積極的に勧められていますが、我が家の近所の家では今ちょっとした
紅葉流行り。
どこの家に、どれほど枝ぶりに良い物が入ったかと言う、そんな話が耳に
入って来ます。樹は高価なんだそうですね〜。実際聞いてもそう思いました。
ちょっと、物によっては桁違い。買えないですよ全然。
紅葉では「いろは紅葉」と呼ばれる物に1本とても気に入ったものが
ありました。ですが、これは案外風に弱く、我が家はふきさらしでもあるので
造園屋さんもやや勧めかねている様子。家族は樹の見事さから値段を予想し
これも諦めている様子。
小さい物でも良かったので欲しかったです、いろは紅葉。葉が薄く 綺麗な
色をしていて、秋のコウヨウが見事だそうです。繊細な感じのする紅葉でした。
赤の美しいノムラ紅葉の 余り大きくない物を買いました。
それとヤマボウシの赤と、アオハダと言うちょっと耳慣れない樹を。

ヤマボウシは現在、白が我が家の庭には植わっていますが、ハナミズキを
野生的にしたような丈夫な樹です。ハナミズキほど繊細な花ではないですが
雪の多い地方には ハナミズキは向かないのです。せっかくある程度まで
大きくなったところで折れてしまうのは辛い所です。
ですので、現在はこちらのヤマボウシの特に赤が人気の様子です。
大きな物は既に出てしまったと言う事で、市内の大きなホテルに7本の納入が
あったとの事。野趣のある花が観光客の目を楽しませる事になるのでしょう。

このヤマボウシとハナミズキの交雑種を見せて貰いました。
花は双方の特徴を見事にひいていて、ヤマボウシより丸みのある、柔らかい
感じの花です。葉はヤマボウシ寄りの様に思いました。
越冬はどうかと伺いましたら、現在は実験のような感じだとの事。
小木が3年でやっと今年花を付けたのだそうです。近々あちこちのお庭で
見られる事になるのかも知れません。

庭の模様替えや木の植え替えは木の性質に従って、秋と春に分けて行う事に
なりました。私は草花担当、特に根鉢の大きくなり過ぎたギボウシの
植え替えに苦労しそうです。
造園会社の担当M氏はお嬢さんが青系の芝桜に興味があると言うお話を
してくれ、ホタルカズラをお見せしたところ大変気に入って下さった様子で
秋に1株、お分けする事になりました。
ホタルカズラは雪の下で難なく越冬します。花数も年々増え、何より青が
美しいので、お勧めの草花です。



ヤマボウシの白。かちっとした感じですが、私はむしろそこが好きです。


花屋さん・センノウ。

店を閉じる花屋さんがあれば、店舗を増やすところもあります。
大きく広告を打っているので、店舗も大きいであろう ちょっとだけ
遠くの花屋さんに足を伸ばしてみる事にしました。

今年はどうした加減か、アマがほとんど全滅してしまいました。
一株だけ全く元気なのですが、直ぐ隣りの株は駄目になっています。
せっかく株も そこそこの大きさに育っていたので残念です。
実は青いアマの 大き目の株を探しているのでした。

残念ながらお店では目的の花を見付ける事は出来ませんでした。
ですが季節の、これから楽しめる物を幾つか購入しました。
シノグロッサム(シナワスレナグサ)。忘れな草より青が鮮やかです。
これから咲いてくれるのが嬉しいです。これで種が翌年も出てくれると
嬉しいんですが〜。シノグロッサムは雪の降る地方では毎年撒かないと
駄目みたいですね。
赤紫のフウリンオダマキを買いました。涼しげな草姿です。
でも、株同士が絡まっちゃって一株だけ取るのに苦労しました。
バローシリーズのオダマキが庭中に広がって、難儀しているにも拘わらず
更にカナダオダマキを買いました。形はバローと似ています。
品種名はありませんでした。
これを買ったのは、白に淡い紫が僅かに入ると言う色合いが綺麗だなと
思ったからですが、暑苦しい色味が多い我が家のオダマキの中で
この色なら増やしても良いかなと思ったもんで。
でも増え過ぎると、どちらにせよ うんざりしてしまうんですが・・・。
でも抜けない(苦笑)。庭はオダマキだらけ。現在満開です。
今日見たお店ははイングリッシュガーデンを作っている方を意識しての
品揃えの様に思えました。
充実していたのはプルモナリアやホイヘラなどシェードガーデンの素材。
それとバラの数が多かったです。
店内には様々なお洒落なガーデングッズもありました。

仕入れ店の関係か、サフィニアなどペチュニア系の花や 多花系の改良品種が
全くなかったのが印象的でした。
リクニス(センノウ)の改良種はありました。すごく可愛らしいピンクの
花で、欲しかったんですが高価で手が出なかったです。がっかり。
センノウは色味が「和」の色味で形も美しいので大好きな花です。
ですが茎が弱いと言う弱点がっ。
丁度、丈が伸び良い感じになって来た頃が台風の季節と言うのも辛いところ。
北海道でも、最近は大きな台風が通る事が 多くなったように思います。
日陰にも結構強い花なので、隠すように植えると言う手もあるかも知れません。
今日見たリクニスの改良種は、マツモトセンノウやフシグロセンノウなど
折れ易い気がするけど色が美しい種類のセンノウとは少し違っていて
花がナデシコに似ているかな?と思った以外は正直言って余りセンノウっぽく
ないように感じました。

ちょっと毛が生えて、柔らかそうで、形が繊細で色が美しく・・・折れ易い。
センノウも種類が多いですが、私が好きなのは そんな花です。



耐寒温度。

ホームセンターへの花の入荷が、例年より遅れているように思えます。
風の冷たい5月の頭から満開の状態で店頭に勢揃いも困り物だけれど
今時期から揃って入荷して来ると言うのも。

顔見知りのお花屋さんが二軒、相次いでお店を閉めてしまいました。
一軒は正確に言うと営業は続けて行くけれど 品揃えをガラッと変え
農薬や野菜苗など、近隣の農家御用達の店となりました。
元々郊外にあったお花屋さんで、周辺は農家だったのです。

ホームセンターも花の入荷が増えると賑やかになります。
もう植えるところも無いなと思いながら、何だかんだと見てしまいます。

我が家ではコンテナは一年草、地面は多年草でほとんど決まっています。
ナスタチウムの華やかなコンテナを 久し振りに作りました。
マホガニー色のナスタチウムを探している時に、ちょっと気になる植物を
見付けました。『テイカカズラ 黄金』
新芽の部分が黄金と言うよりは赤茶色をしており、それ以外は 縁が濃い緑で
中は明るい黄色です。
イルミネーションと言う ツルニチニチソウの園芸品種に大変
良く似ています。ほとんどそっくり。
問題は、双方ともキョウチクトウ科ではありますがイルミネーションが
ビンカ属であるのに対して黄金はテイカカズラ属である事。
ビンカ属であるツルニチニチソウは寒さに大変強く、イルミネーションも
問題なく雪の下で越冬します。一方テイカカズラで人気のある初雪カズラ
札幌での室外越冬は無理な様子です。

寒さに対する注意書きが品種名の裏などに書かれている事がありますが
「寒さにも強いです」で耐寒温度0℃
「寒さに大変強いです」でも耐寒温度−8℃くらいと言う物が多く見られます。
札幌以北で地植えにするのであれば、最低でも−12℃〜−15℃。
欲を言えば−30℃の記載が望ましいと思います。
園芸店のカタログなどにちゃんとした耐寒温度が書いてある事が多いです。
雪の下は案外暖かく、0℃程度とも言われますが 日光は全く差しません。
ですから常緑の物で、寒さには強いけれど雪は駄目と言う植物もあります。

とは言え、新しい魅力的な植物を見ると、つい買ってしまいます。
テイカカズラ黄金、イルミネーションと同じ鉢に植えつけてみようかと。
来年、赤い新芽が出れば勝ち、イルミネーションしか残らなかったら負け。

それにしても普通に越冬する植物でも斑入りとなると途端に駄目になる物も。
シャガの斑入りは苦戦中、目下花どころではない様子です。
斑の無い方は大変良く殖え、今が盛りです。
ツルニチニチソウも斑入りの物は 根は残りますが葉はほとんどやられます。
古い葉は駄目になり、葉が付いていた蔓だけが残っていますが、中心から
噴出すように新しい葉が出るので問題は無いようです。
むしろ、全部が新しい葉と言うのが瑞々しく、好んであちこちに斑入りの
ニチニチソウを植えています。



風を知る草、フウチソウ。
早くも何だか秋っぽい色合いです。本当に秋を迎えると小さな
穂が出ます。良く殖え、寒さにも強く、美しいグラスです。




小改装。


アジュガとリシマキアオーレア(這性のリシマキア、大変丈夫)

アジュガとエゴポジウム(セリ科シェード向き、大変丈夫)

庭の工事をする事になりました。
急遽決まった物で、何だか忙しくなりそうです。
大工事までは行かないです。小工事。家の目隠しになる木を何本か入れる
予定です。
僅かに残っていた芝を取り、変わりにデージーをみっちり埋め込みます。
木の足元には育ち過ぎたギボウシを。
こ洒落た、タイルを丸く敷いて上にテーブルとか、面積が許せばするかも
知れないと言った感じです。

デージーみっちりは冒険です。ですが管理が要りません。
ギボウシは秋寂しいですが、木の紅葉で誤魔化そうかな〜と。
夏、デージーがどこまで汚くなるかがポイントですが、ローンデージーと
言う越夏が比較的容易で株も充実するタイプなので何とかなるのでは
無いかと言う、半分実験です。

暑い季節が目前なので、早目に済ませないとなりません。
天候もありますんで、順調に行って欲しいです。


ハナグモ。

今日は朝のうち、先日お昼を一緒に過ごした近所に住む友人が
さくらんぼの樹を見にやって来ました。
うちのさくらんぼは「佐藤錦」。1,000円ほどで購入して、小さな車に
積んで運べたくらいの細く小さな木でしたが、桜の成長率には物凄いものが
あり、3年ほどでかなりの大きさに育ち、実も良く成るようになりました。
ここまで成長率が高いとは思っても見なかったので、ほとんど仮植えの
つもりで置いた場所に今も植わっており、公園に面したさくらんぼの木は
ヒヨドリの格好の餌場となってます。
人間は下の方を少し摘むだけ。

友人が欲しいのは桜であり、さくらんぼでは無いのですが、成長率が
高いのは同じでしょうから、細い木から買っても構わないと思うと
答えました。ただし、植える場所を考えないと植え替えられなくなるよ。
ご主人は毛虫が付くの心配している様子。
天幕毛虫は葉の落ちたあとに天幕をみてみる事と、葉裏の卵を見付けたら
その葉や枝を落とす事、後はもう大発生したら仕方ないですからね〜。
鳥を呼ぶのも一つの手よんと言ってみました。

夕方近くは小さなお客人が2人、はす向かいに住む、小学2年のお兄ちゃん
と年中さんの妹さん。うちの息子と根気強く遊んでくれる優しい兄妹さんです。
夕方になるとデージーが閉じる話をすると閉じ掛かった花をじいっと見詰めて
いました。
「ねえ、もし閉じないのがあったら、怖くない?」
妹さんが訊ねて来ます。「・・・・・・怖いと思う。多分」真顔で答える私。

「ああっ虫!」
妹さんの声で指差した場所を見ると。甲虫のように緑に光る1cmも無い
何とも綺麗な姿が。それは蜘蛛でした。ハナグモでしょうが、これほど
綺麗なものをみるのは初めて。
掴んで花に戻すのを興味深げに子供達はみていました。

懐かしいな。昔はどの花を覗いてもハナグモがいたっけ。
そんな事を思い出していました。




お墓のある場所。

うちの庭には、お墓があります。
死んだ動物達が そこに埋まっています。

昨日は友達と昼食の約束をしていた。彼女が車で迎えに来てくれたので
家を出る。と、そこに。
「母さ〜ん」 家に残る母に大声で呼び掛ける。
「うちの前に、鳥が死んでる〜」
「ぎゃ〜っ」 と、家の中から声がした。そのまま車に乗って非情にも
私は食事に出てしまった。
あれを見れば、何とかせずにはいられまい。
それは本当に小さな、小さな、ヒナ鳥の死骸だった。口を僅かに空けて
目をしっかりつぶって、小さな両足の指を丸めていた。

2時間後、戻って来て、早速 尋ねる。「あそこ、埋めた?」
「埋めたよ」 と母。「あれはスズメだね。カラスにやられたんだよ」
「そうかあ」

そこは庭の端っこで、枝垂れ紅葉の木の下を潜る様にして行く場所だ。
ミックスなんて言葉が無かった頃飼っていた 雑種のルルの『骨壷』と
ずうっと飼って来た鳥達と、前に住んでいた家で やっぱりお墓にしていた
場所から持って来た少しの土とが埋まってる。
ギボウシの葉陰のひっそりとした、でも冬を除いて年中花の絶えない場所だ。
今はフウロソウが沢山の蕾を付け、隣でオダマキが花を付けている。
ヒメシャガとツルニチニチ草が色味の良く似た紫の花を咲かせている。

「目印に 上にデージーを植えておいた」
ああ、またそこからデージーがふえちゃうんだなあ。でもいいや。
ボタンインコのオーちゃんも、多分死んだらそこに眠る。
誰もお経は唱え方も知らないけれど、枝垂れ紅葉の下にしゃがんで見る
その周辺は、とても美しい。

『秘密の基地』と息子は名付けている。


管理人 焙煎 |午後からガーデン