タダの日記<お父さんの日常生活>
タダ



 またおいで

年寄りの居る生活は確かに大変だ。
でも、年寄りの居る生活は楽しいよ。時として頓珍漢な会話は周りの爆笑を誘い、大きな声で「ばあちゃん、おはよう」という剛の顔は、寝ぼけ眼でボソボソというそれとは大違いににこやか。

「秦野に帰すことを前提にばあちゃんの面倒を引き受けた私。そんな私が悲しくて・・」「それは違うよ。この家に越したのもばあちゃんを呼ぶため、そして今回のばあちゃんの滞在は将来の予行演習だったんじゃないの?私はね、ばあちゃんの部屋と名付けた六畳間はいつまでもばあちゃんの部屋として残しておくよ。きっとそのころは日よけのために植えた蔦も、大きく成長していると思うからね」

またおいでばあちゃん


2004年11月30日(火)



 晩秋の一人旅


久しぶりにサイクリング。
木々はすっかり紅葉して、落ち葉を踏むタイヤの乾いた音が本格的な冬の到来を告げる。ヘッドホーンからはヘレンメリルの甘くせっないスローなバラード。オーバラップして目の前にきれいなもみじ。あぁ、かあちゃんと一緒に見たかったなぁ。かあちゃんの手の代わりにハンドルグリップをギュッと握りしめ「去年の今頃を思い出すねぇぇ」なんちゃって。

写真を撮ってピクトボードに載せましょう。芸術心をくすぐられたお父さん、枯れ葉の上を格好よくザザザーと自転車を止めカメラを構える・・・オヤ? 自転車は止ったけんど、ペダルのクリップが外れない・・・
ヤベェ・・・コケタ・・・・逆転のお父さん、格好ワリィィ。辺りをキョロキョロ、何事も無かったように、背中に枯れ葉を付けて、ウォッホッホ。
家について何事も無かったように、ただいま!


2004年11月28日(日)



 昼食


お昼です。今日は何を食しましょう。いつものコンビで銀座の裏道をぶらぶら歩きます。ラーメンにしましょうか?大盛りサービスの赤みそラーメンがいいですね。そうしましょう。そうしましょう。

うわぁぁ満員ですよ!待ちましょうか?イヤ、この先に最近できた和食の店があるからそこに行ってみましょう。そうしましょう。そうしましょう。

開店間もない店なので、入り口で仲居さんが案内をしています。

「お食事はいかがですか?」フムフム・・・「今日の昼食1200円」「何とか御膳1400円」「かき揚げどんぶり1600円」給料前のサラリーマンにはちょいときつい値段だな・・財布の中の千円札が脳裏に浮かびます。「入りましょう」連れは先に入ってしまいました。

こぎれいな洒落た高級和食屋さんです。カウンター席に着くと女将さんらしき女性が「いらっしゃいませ」と現れた。ウッツフォフォすんげぇビ・ジ・ン。連れも妙に緊張している。

お昼のメニュー見せてください。さっき入り口で値踏みしてたのによぉ。それと夜のメニューも見せてください。

「今後もよろしくお願いいたします」和服の女将が名刺を差し出した。ヲッフォフォフォ・・・

「かき揚げどんぶりにえび入っていますか?」

「入っておりますが、エビ抜きが出来るかどうか聞いてみましょう・・エビお嫌いなんですか?」

「蕁麻疹が出るんでねぇ・・ヲッフォフォフォ・・・」

「それはそれは大変ですね」

「いや大したことはないんですがね・・・ヲッフォッフォ」

そうこうしているうちに正式に頼んでいないかき揚げどんぶりが出てきた。

再び財布の千円札が頭をよぎる。側で連れが「1600円のかき揚げ美味しい?」

さぁ帰りましょうか。

「お足元にお気を付けて」そんなにヨタヨタしてネェです。

女将、仲居さんを従えて「無理にお立ち寄り願って申し訳ありません。お味はいかがでしたでしょうか?」と店先まで送りに出てくれる。

「美味しかったですよ、また来ますよ。ヲッフォフォフォ・・・」

ふと振り返るとまだこちらを見ている。

「何か偉い社長さんになったみたいだ」「ハイヤー遅いですねぇ、、ナンチャッテ

「二日分の昼食代でしたね」「偉い社長さんが何おっしゃる。ほんのコーヒー代でしょ・・」



ここの銀座支店

続けてすんげぇ美人と遭遇してヲッフォフォフォ・・・






2004年11月27日(土)



 小平のヨン様

どこへ行ってもヨン様ヨン様・・・冗談じゃネェつうの。家にはお父様が居るじゃネェか。うちのお父様もかっこいいでぇ。入れ歯も入れて口元さわやか。メガネだって結構流行に乗ってるし。帰宅途中,ジャズを聴きながらリズミカルにフリフリ歩くお姿なんざ、小平の奥様方にばあちゃんの散歩同様、結構話題になってるのを知らねぇのかい?
かあちゃんヨォ、おいらに惚れたのはあの清々しい笑顔じゃなかったっけ?ヨン様みたいに粘土の唇をグニョーッと横に引っ張ったような笑顔じゃネェですよ。

そんなお父さんも疲れてるねぇ。朝の電車でよだれ垂らして寝てしまったよ。やべぇと前に立っている人を見たらすんげぇ美人・・幸い目は合わなかった。金曜日の朝は何故かお疲れ。そして帰りは元気ルンルン

2004年11月26日(金)



 今日は酔い天気

朝礼の一言。我が家の近所で椋鳥の大群がうるさいんですよ。近所の家では糞害で憤慨しているでしょうね

「この携帯ストラップには鈴が付いてますね。落とさないようにですか?」
「いや、音します

「お父さん、、このファイルを圧縮しようとしてるのですが、どうも上手くできないんですが、、、」
「これこれこんな方法でやってみたら?」
しばらくたって「できましたよ!できました!」
「おお、良かったですね!アクシュ


2004年11月25日(木)



 神奈川弁

ばあちゃんは神奈川の人。
そうだでよぉ・・(そうだから)まっつぐ・・(真すぐ)おとつい・・(一昨日)これらはみんな神奈川の方言。
私の実父も神奈川出身で横浜、小田原には縁が深い。そんで、私は東京弁と神奈川弁をまぜこぜに使うことができる。
そんでさぁ(サァもたぶん横浜弁)、この道をまっつぐに行って信号をしだり(左)に曲がってヨォ(ヨォもたぶん神奈川弁)・・・・
元々私はこの素質があるモンだからヨォ、抵抗無くばあちゃんと会話ができるでヨォ。
ばあちゃん耳が遠いでよぉ、大きな声で互いに神奈川弁で話しながら散歩から帰ってくるのが二階の部屋からよく聞こえるでヨォ。気分のよいシは歩きながら歌がでるそうだ。
♪南国土佐を後にして・・さすがのかあちゃんも結構恥ずかしがっていただよぉ。聞いた私も恥ずかしかったよぉ。
横幅広くてユッサユサと歩くかあちゃんの後ろ姿と、南国土佐を歌いながら小さくてちょこちょこ歩くばあちゃんの後ろ姿はきっと近所の名物になるんでねぇかな・・?


2004年11月24日(水)



 今日は新嘗祭

勤労感謝の日、、良い天気
昨日届いたボーズをセッティング。とても快適。あと、IBMがあれば最高なんだケンド。マックでも良いね。

ばあちゃんとかあちゃんが炬燵でうたた寝。お隣の庭から剪定の音。のんびりした新嘗祭。

我が家の平均年齢55才
その中にいる18才の剛。年寄りばかりで窮屈かも知れないね。でもね君がいないと平均年齢は70才近くになってしまうんだ。花小老人ホームと言っても可笑しくない。剛ちゃん頼んだよ。此処はまだ青年の家なんだからね。
おばあちゃんは孫が大好き。おばちゃんは親も知らないことをそっと君だけに教えてくれるんだよ。その教えてくれたことは不思議な力があって、今の君には解らないんだ。君が結婚して子供が出来る頃になるとそれが段々芽生えてくるんだね。だからばあちゃんと一生懸命会話をするときっと良いことあるよ。たとえば満州事変の話とかね。

2004年11月23日(火)



 ボーズ

我がPC用にボーズのスピーカを楽天で買った。

昨晩、カミサンに明日荷物がくるからよろしく頼むよといったとき、
「また何か買ったんでしょ?何買ったのよ?」
「ボーズ・・・」
「お金ナイナイといいながら!ボーズはあなただけでよいのよ、全く!」

昼頃会社にメールが入った【BOSEきました】
よくスペルを知っていたね・・【坊主きました】・・でなくてよかったよ。

買ったのはこれです







2004年11月22日(月)



 ばあちゃんが泣きそう

カミサンが午後から恒例の勉強会へ。
ばあちゃんには3時間くらいで帰ると云ったらしい。
二階から茶の間へばあちゃんの様子を見に行くと、炬燵にもぐり込んでウトウトしている。数回こんな事を繰り返すと、ばあちゃんは私が部屋に入ったことに気が付いて、「遅いねぇ○○ちゃんは・・」「大丈夫ですよ、もうじき帰ってきますから」「だって三時間で帰ってくると言ったでよぉ」
それからしばらく私は自分の部屋に戻っていると、一階の廊下で物音がする。下りてみるとばあちゃんが廊下に佇んでいる。
「どうしました?おばあちゃん」
「○○が遅くて心配で心配で、命が縮む思いだで、ここで待ってるのよ。三時間で帰ると言っていたのによぉ」
「たぶんもうじき帰ってきますから座って待っていましょうよ。でもちょっと電話をしてみましょうね」
「もしもし、今どこ?何時頃帰るの?」電波の調子が悪くもうじき帰ると言ったきり直ぐ切れた。
「直に帰ると言ってましたよ」
「今の電話○○かえ?今どこに居るの」短い電話だったので、どうやら少し疑っている様子。
そして再度電話「ばあちゃんがこれこれしかじか・・」「今家の直ぐ側」
「おばあちゃん、家の直ぐ側ですって!」
「顔を見るまで、心配で心配で・・・命が縮まっただよ」
ばあちゃんの顔は今にも泣きそう!この状態が後10分続いたら私も泣いちゃう!
車が止まって玄関が開く音。「ほら帰ってきましたよ!」ばあちゃんの嬉しそうな顔。良かったでよぉ。
「いったい、何してただよぉ。三時間で帰ると言ったのに」

幾つになっても娘は心配をかける小さな子供。
年寄りにはいい加減な事を言っちゃいけませんよ。



2004年11月21日(日)



 ばあちゃんの冒険

バアチャンが小平にきて初めての土曜日
「おばあちゃんおはよう」
「あれ今日は会社お休みかい?」
「土曜日と日曜日はお休みなんですよ」
「今日は何日?」
「今日はね二十日」
「嫌だねぇ、歳を取ると今日が何日かも忘れてしまうんだよ」
そんなばあちゃん、朝食のめざしを頭からばりばり食らう。
カミサンがキムチを皿にに分ける。よしなさいよ、辛いよ・・・
大丈夫大丈夫キムチが好きなんだから。
白菜喉に引っかかるよ・・・
大丈夫大丈夫、食べられない物は口に入れないから。
しかし、元気だなぁ・・よく食うな・・小さいけれど背中も真っ直ぐだ・・手先もまだまだ器用だし・・でも結構我が侭だ・・

普通でも声のでかいカミサン、耳の遠いばあちゃんと話すときは更にでかくなる。二階でPCをやっているとでかい声がだんだんと近づいてきた。何?ばあちゃん?どうしたの?おんぶされたの?何?一人で上がっただと?偉いねばあちゃん!
二階の日差しは暖かい。そんな中、ばあちゃんは爪切り。年寄りにしてはきれいな足をしてるね。「何?お父さん、ばあちゃんの足を見てムラムラしたの?」「何を馬鹿なこと言ってるんですか」
そして耳掃除。
「痛くしたら嫌だよ。怒るよ。でも気持ちいいね。これでお爺さんとの話もよく聞こえるだねぇ」

「今日は暖かいから二階に居ますか?」
「ここは他人の家に居るみたいだから下に降りるよ」
じゃ、下に行きましょう。後ろ下がりで母さんはおしりを支えて、私は手を支えているから、ゆっくりゆっくり、一段ずつよく足元を見てね。
「怖いだでよ」
「大丈夫大丈夫ゆっくりね。しっかり手すりに掴まってね」
「怖いだでよぉ」
下に着くと「ほ〜、怖かった。命が縮まったでよぉ」





2004年11月20日(土)
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