境内の梅林の梅が、今週の信じられない程の温かさで満開になりました。
霞のように桜とはまた違った風情で美しいです。
梅林は参拝に来て下さる皆さまに、今は公開されていますし、境内のそこここに植えられた梅も満開で、境内は梅の香りに包まれています。
本当に綺麗で、気持ちがいいのですが、三蔵様と悟空は部屋に閉じこもっていらっしゃいます。
お仕事がお忙しいのもありますが、悟空が珍しく風邪を少し拗らせたようで、三蔵様が悟空の外出を止めていらっしゃるからです。
こんな暖かい日が続けば、元気な悟空は部屋にじっとしているわけもなく、外へ遊びに出掛けて、夕暮れまで帰ってこない毎日のはずですから。

悟空の風邪ですか？
温かい日が続いて、夜中に暑くてお布団を蹴脱いでいたのでで、明け方の寒さにやられたのだと、康永先生が仰っていました。
少し熱も出たので、大事を取っていると言う感じです。

三蔵様は意外に心配性なんです。
何も態度や言葉にはお出しにはなりませんけれど、本当に心配されるんですよ。
お優しいお方ですから。

そうそう、悟空の風邪が治ったら梅のお花見をしようと約束しています。
美味しいお弁当を持って行くんだと、悟空が楽しみにしているんですよ。
三蔵様ですか？
もちろん楽しみになさっていらっしゃるにきまってるじゃないですか。

（笙玄）

海苔巻き、海苔巻き、海苔巻き。
卵焼き、椎茸、かんぴょう、キュウリとウナギと。
くるくる巻いて、巻いて。
笙玄の手が魔法みたいに、海苔巻きを生み出していく。

「もう食べていい？」

わくわくしながら訊いたら、

「三蔵様がお戻りになるまで待って下さいね」

って、言われた。

「わかった」

頷いて、寝所の入り口を見る。
まだ、帰って来ない。
早く帰って来て。
お腹空いたし、一緒に豆まきもしたいんだから。
早く帰って来い。

（悟空）

明日は節分だから、寺院の中は落ち着かない。
毎年のことだけど、三蔵が豆まきするんだ。
すっげぇ綺麗で、いつもよりずっとキラキラしてて。
でも、めちゃくちゃ不機嫌になる。
今もこわーい顔して、昼ご飯食べてる。
華やかな行事は嫌いだって言ってるのに…って。
ぶちぶち…笙玄を困らせてるんだよな。
嫌ならとことん嫌だって言えばいいのに。
そう言わないのが三蔵なんだ。
ホント、真面目で優しいんだから。

（悟空）