胡桃の感想記
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2002年08月25日(日) 「歓びの娘 鑑定医シャルル la fille」シアター・ドラマシティ

☆劇団Studio Life(スタジオライフ)公演☆

【ia fille Cast】笠原浩夫 林勇輔 鶴田浩一 深山洋貴 及川健 寺岡哲 山崎康一 石飛幸治 河内喜一郎 
藤原啓児  末松一仁 前田倫良 川角一郎 青木隆敏 牧島進一 萬代慶太 下井顕太郎

ミュージカルにはまった私が初めて自主的に観たストレートプレイ作品で、劇団Studio Life初観劇でもある。
「いつもなら、ここで歌うよなー」とか「ここでは皆で踊り出したりするんだけどなー」と頭の片隅で考えながら観ていた。

及川ミシェルの「完全犯罪だ!」という独白から始まるこの作品は、死体鑑定医で人間嫌いの主人公シャルルと、少女娼婦(長女アデル)、バラバラ死体(父親)、家庭内暴力(長男アラン)、拒食症(次男ミシェル)と、ダークな世界。ちなみに独白で及川ミシェルが何をしているのか分からなかったが、あれは自慰だったらしい。う〜ん、衝撃的なオープニング。

一番の興味で、不安でもあったのが、この劇団の特徴でもある男性が演じる“女性役”。これに拒否反応を起こしたら、もうStudio Lifeは観られないわーと思っていた。でもそんな心配は全く無用で、違和感無く受け入れられた。深山アデルは、華奢で成長途中の“少女”だったし、娼婦仲間の石飛ナナや山崎ナネットも笑いをとっていて面白おかしいキャラだったので、すんなり世界に入り込めた。

笠原シャルルはスタイル抜群、冷静沈着、ニヒルな物言いが格好良かったのだが・・・どうもあの金髪が最後まで馴染めなかった(何となく)。鶴田アランは乱暴でいかにも弱者の林にノン(母)や及川ミシェル(弟)に怒鳴ったりしていたのだが、イライラを自分でもコントロールできない葛藤みたいなものも感じられて、一番格好良かった。この作品で、一番“普通の感覚”の人だったと思うし。

拒食症の及川ミシェルは、半ズボン&ハイソックスで、鶴田アラン(兄)に小突かれては「・・・あっ」とよろめいたり、事あるごとに「うっ・・・」(吐き気を催す)と退場したりしていたので、なんて演技が上手くて可愛い子役がいるんだろうかと感心していた。カーテンコールでは、共演者にパーカーのフードを被せられていて(またそれが似合う!)、“やめてよぉ〜、もうっ”って感じだったので、才能もあって皆(大人たち)にも可愛がられている子役だわ・・・と感動していた。

最初は従順で良き母、可愛らしい女性だった林二ノン。この人の声は柔らかで優しい響きなので、ホントに女性のよう。仕草も完璧だったので、後ろの席だった私は思わず、「この人、ホント男?」とオペラグラスで確認した位。まぁ、確かに男性でしたが、こういう女性もいるっていればいるよなぁって感じだった。父親に支配されていたのではなく、すべて妄想癖(語弊があるけど)のある母親が一家を支配していたという真実が明かされる屋根裏での独白は、迫力があって怖くもあり、壊れてしまった女性の哀しさもあり、圧倒されてしまった。この最初はちょっとした役に見えたニノンだけど、きっと劇団でも演技派の実力のある人が演じる役なんだろうなぁと思った。

回想シーンで出てくる寺岡ピエール。セリフはほとんどないのだが、階段から転げ落ちるシーンがリアルで印象的だった。気の弱そうな感じだったので、ニノンに彼も支配されていたと言われれば、納得できる。

ところで私は、この劇団の“耽美”という言葉に引っかかっていたので、藤原デュロンや末松オルマンを見たとき「何だ、おじさんもいるじゃん!(←すいません)」とホッとした。若い人たちだけのビジュアル系の軽い劇団かと思っていたので、安心したのだ。ちょっと分かりにくい場面もあったがラストは納得できた。

カーテンコール後、役者さんたちがお花を配っていたのには驚いた。
後ろの席だった私の近くまで来たが、実は私の周りや後ろは空席だった為か、流石に手前で止まっていたけど。

帰りにロビーの人だかりの奥で“子役”の写真をちらりと見て、その人が劇団員だと知ったときの衝撃と言ったら・・・!(笑)しかも、その人は会員証のデザインとかもしていると知り、なんだかベテランさんっぽい?!私より年上?!・・・確かにパンフの写真は大人でしたけどね(でもカワイイ)。


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