手帖...ハタノアツコ

 

 

- 2006年12月29日(金)

12月29日フェスティバルホール
井上道義指揮  ベートーヴェン作曲 交響曲第九番


今夜の出来事を、わたしは作家ではなく音楽家なので、詳しくをことばに変換しないでおきます。ですがあまりの出来事で書かずにはいれません。

自分の耳や心の振り幅をここまではっきりと知らせてくれた今夜のコンサートという名前の二時間。体にある種のメーターがあるのだとしたら私のそれは三楽章の時点で振り切り、受け止めきれず、あふれた分の振動は意図の無い涙という形で現れました。四楽章まで持たせれなかった。単純に自分という器には入りきらず、涙というモノに形を変え、体内の分量を減らしまた聴く、観る。

エネルギー保存の法則の様に涙に変換されてしまった分のそれを受け止めれなかったことを悔やむ余裕もなく、いま、駅のベンチから携帯にメモを残しています。年末の戯言かもしれませんがこの世には、こんなに素晴らしい時間を生む力を持つ人たちがいるということを、、、何なんだろう、この先はこの先へ持ち越したいと思います。



2006年は一年を締めくくることなどとうていできるはずもない、すばらしい出会いばかりで、わたし自身がそれを受け止め、返すことができないままの年越しになりそうです。

この数日間の様々な出来ごとをまだ受け止めきれていませんがその回答のためにも音楽家として成長するしかないと思います。

波多野敦子


-

東京滞在。 - 2006年12月25日(月)

晴れ。

文京区ナカバン氏アトリエにて三つの箱制作中。
初めて見る映像制作過程に感動、魔法使いナカバン。

明日からは小金井市庄司氏スタジオにて音の作業。
ミックスでどんな変容を起こそうか模索中、耳使いの庄司さんと。


今はクリスマスということでバッハのミサ曲がでっかい、古いスピー カー からどかんと流れ出ています。


-

infomation 2 - 2006年12月08日(金)

12月23日(sat)cello solo live

<13の水>のジャケットを手掛けてくれている造形作家の吉田容子個展に伴って、久々のチェロ・ライブをします。

場所 bar METAMOROHPSE(メタモルフォーゼ)
*西宮市甲風園1丁目7−13エトール市川4階
*0798-65-0164
*阪急西宮北口駅北改札口を出て西側の階段を降りる、その後は電話で聞いて下さい。

時間 16:00~/20:00~ (2stage)
charge 無料(カンパ制)

こじんまりとした、不思議なひとの集まるお店、マスターのサカイデさんは70年代のロックマガジンの編集もやっていたらしい、かなり濃厚な方、この方と話をするのが楽しみで、近くの兵庫芸術文化センターにクラシックを聴きにいった後、この不思議なバーへよく立ち寄っています。サカイデさんに頂いた数々の音源はどれも面白く、中でもTHE RESIDENTSは最高に面白かった。

吉田容子の個展は12/4〜30まで、このお店の壁や扉を使って行われています。


-

Infomation - 2006年12月05日(火)

昨年、赤れんが倉庫(大阪港)にて共演した黒子さなえさんと二人でライヴをします。ダンサー一人、楽器も一個、前半後半に分けてヴァイオリンとチェロを演奏します。
スライドショウは写真家の辰巳千恵さんによるもの、大好きな方です。詳しくはAnN-shitsuのHPをご覧下さい。


皮膚 -hifu- 立体裁断展の為のふたつの断章
2006年12月16日(土) 大阪・北浜 Cafe DETAJ
開場 18時30分/開演 19時00分
※二部構成:上演時間 約60分

料金=予約・当日共に2,000円(ドリンク付)


出演=黒子さなえ contemporary × 波多野敦子 violin & cello
衣装=田川朋子(SEN)
スライドショウ=辰巳千恵(AnN-shitsu)

予約、詳細
AnN-shitsu  http://www.ann-shitsu.com/

cafe DETAJ(カフェ デタイユ)
大阪市中央区東高麗橋6-2 コンイロノビルB1F (MAP)
tel:06-6966-4211 e-mail:detaj@detaj.com
http://www.detaj.com/



-

健忘症になるのが一番怖いと思う。 - 2006年12月02日(土)

nakabanと作っている(2004年から)作品、三つの箱の録音を東京小金井市にある庄司広光さん宅(sara disk)で行って来た。


...たのしかった、率直な感想。


そもそも庄司さんとは知り合って間もない、初めて一緒に呑んだのは確かツキノワとトウヤマ楽団との打ち上げ、その後アヤコレット一団が我が家へ泊まりに来たとき庄司さんという人の存在が身近になった。ナカバンともトウヤマさんを通して顔見知りだったものの、近くなったのはこの二年。そして今作をリリースしてくれるnobleレーベルの久保さんとも数年前からのお付き合い。

ばらばらに知り合ったみなさんがやはりばらばらに顔見知りだったのがきっかけでリリースに向けての制作が本格的にスタートしました。



小金井に滞在していたのは4日間。シネルパの山我静さんとサルビアやF.L.Yの山田民族さんの住む畑の中の平屋に寝泊まりさせて頂きました(ほんとうにありがとうございます!)、日々の宴会、楽しすぎて毎日焼酎を呑み続け、最終日には庄司さんは食道炎再発、わたしはふわふわの脳みそが動かない頭での作業。
しかし楽しかった。。。

宴会ばかりではなく、録音そのものの刺激的な時間、ほんとうに久しぶりというか、初めてではないでしょうか、このわくわく感。
庄司さんが相棒となってくれて、部屋のソファに深く腰をおろしたナカバンに守られながら、まずは用意していた楽譜をわたしがなぞって行く。音が重ねられるにつれ、庄司さんがつぶやいた、はたのさんの頭の中でこれが鳴ってたんだー。そうなんです、要約外に出す事が出来ました。しかしほんとうに楽しかったのは頭の中の音を吐き出した、その後から。

庄司さんがアイデアを発し、ほぼ同時にわたしも似たような事を考える、よっしゃ、それで行こう、その瞬発力(呑んでいるときの庄司さんからは想像出来ない動きの速さ、でもカレーを作っている時が最速でした、そして最高のカレーでした。)が原動力となり、あれやこれやと予定外の音やノイズが増えて行く。楽しくないはずがない!


庄司さんに頼もう、とほぼ直感で思った時の自分を思い出しました。


最終日前夜に行った宴会後半、一升瓶の焼酎を減らし続ける庄司さんに朝方言われた一言、忘れられません。。。
「段取りなんていらない!録音なんて終わんなくていいんです!」

大阪から来ていたわたしは時間のリミットがあり少々焦っていた寝不足の頭がむっとしましたが、朝風呂につかりながら、それが庄司さんの美学だ、と思い直し、おそらく家でぶっ倒れているであろう(予想通り)庄司さんにコーヒーを入れるナカバンの姿を見ながら最終日録り予定の曲を練習。
1時間後には「いつでも録れますよー」の声。
そして数分の猶予もなく、ぎりぎり予定をすべて終了。


ひとまずお疲れさまの談笑をする間もなく新幹線最終に飛び乗って大阪へ向かいました。でも、お疲れ様の乾杯をしなくて良かった、まだ、なんにも終わってない。ナカバンの作業、音のミックス、最終的な音と映像を合わす作業。それらすべてが終わったときにする乾杯を楽しみに、体調整えてたくさん呑む準備をしておかなくては。


大阪へ着いて一息つく間もなく、デグルチーニのレコ発ライブの準備。シャングリラという梅田の会場に泊まり込み、修学旅行のように布団並べてどちらかが寝付くまでの気を使いながらの会話を楽しみ、メンバー同士の士気を高め、二時間強ぶっとおしのライブをやりきりました。ピョン中島氏曰く、<病みつきになるライブ>。


たのしかった、ほんとに。
遊びとビジネスの境界線、綱渡りしながら、たのしいことを実現させていく。


ほんとうにたくさんの人たちに守られている、痛いほど、感じました。健忘症にだけはなりたくない。















追記。
今回の録音の写真をたくさん載せてくれています。
庄司さん、ありがとうございます!
sara disk HP http://www.sndwm.com/




-



 

 

 

 

目次
past  will