限定鼓動

2011年03月16日(水) CUT

腕を切ってしまう。
切りたくないんだと訴えれば
減っていた薬がまた戻り
それを久しぶりに真面目に飲みながら
それでも
泣きながら眠る日ばかりだ。

感情に抑えが利かない。
情動を押さえ込めない。

『後一回切ったら死んでしまうよ』

それが脅しだけでは済まないことは
眼の前に並んだ数値で理解できること。
心臓が悲鳴をあげてる。
そんなの
胸に手を充てなくても、鼓動が全身に響いてる。


さようならと云いたい人が
たくさんいるのに。
それだけ大事な人がいるのに。

ねぇ。
あたしの心と体が
云うことを聴かないんだ。




2011年03月04日(金) 救えない

同僚が腕を切ってる。
過呼吸を起こす。
夥しい赤い線を描く傷痕と
呼吸数は比例している。

自分が辿ってきた道を
このまま辿るんではないか。
あたしより5年近く若い歳で
そのままあたしの5年前を行くのではないか。
不安になった。

あたしの傷は、重ねるごとに深くなった。
今では必ず静脈を切るまで、リストカットの意味を成さない。
彼女の傷は、まだ引っ掻いた程度だ。
それが深くならない保証はない。

彼女の言葉の端々に
自分の影を見るようで
それでも彼女は別物だ。
自分と同じな訳じゃない。
けれど、何も理解できない周囲より
彼女の痛みがわかるのに
わかる筈なのに
あたしは何も救えない。
何もしてやれない。

何の為の痛みだ。
どうして彼女の悲鳴に気付いたのに。

あたしは、無力だ。




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陽 [MAIL]