2015年05月07日(木)...邂逅

 其の背中を眼に入れた瞬間、全身が粟立つのが解った。項の黒子の位置から、意外と広い肩幅、肩甲骨の骨骨しさや脇腹のしっとりとした質感、何気無い仕草まで、総てが生々しい。ソイカードを握る手が汗ばんで、息が出来ない。
 此の儘店を出ようと逡巡する間も無く、カウンタから柔かな声が降る。無言で受け取ったソイラテを手に目指す出口が、酷く遠く感じた。

 普通の事を普通に、皆がしている事を同じく、そんな夢も夢でしか無いと思い知った今日。自棄に為るのも、焼石に火が付くのも、簡単に思えて、如何したいのかさえ解らなくなる。
 見付けて欲しくて、慰めて欲しくて、其れでも、成り行きが怖い。

>相変わらず情け無い顔

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