見慣れているはずの背中が、何故か急にまったく知らない人のそれに見えて、ぎょっとした。やけに年老いて、それでいて妙に筋肉質にも見えた。すぐそこにあるのに、手を伸ばしても容易に届かないかのような、遠い背中だった。怖い、と思った。怖いのは背中そのものなのか、遠い存在と感じてしまったことが、なのかは分からない。どうしたというのだろう。もうすぐ遠くへ行ってしまうのだろうか。