電子辞書片手に持って

2010年11月27日(土) くさいのはにんげんだ

散歩のとき
大きな破裂音が響き渡り
音のするほうへ急いだ
野次馬根性である

それは冬の夜空にあがる花火だった
鮭祭りの前夜祭らしい

公園の小高い丘を目指してゆくと
花火見物の子どもたちが集まっていた

そこで隣り合った中学生が
犬を撫でてくれた

お座りもお手も知らない老犬
その上病み上がりで犬らしい臭気たっぷり

さわるとくさいよ
この犬
暑さで弱っちゃったもんで

くさくないよ
くさいのは人間の方だ
オレの親が一番くさい

そう言い放った少年に
周りの子たちがくすくす笑う
ケータイから音楽が聞こえている
私の知らない音楽

夜空にバーンと花火が開く
犬が目を見張り遠吠えする

男の子たちが
嬉しげに
わぉぉぉおん!と唱和した


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眠龍 [MAIL]

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