VITA HOMOSEXUALIS
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2016年09月14日(水) フラッシュバック

 地下鉄を虎ノ門で降りて外堀通りを歩いて桜田通りに入る。この道を歩くとかつての政治活動の思い出がよみがえって気分が落ち着かない。

 われわれのデモ行進は清水谷公園に集結して出発、まさにこの道を歩いて日比谷公園を目指すのだった。

 明るい歩道には急がしそうなサラリーマンや、のどかな若いカップルがいた。

 だがわれわれはヘルメットをかぶって車道を6列横隊で歩き、両脇を機動隊にがっしりと固められているのだった。機動隊は隙があればわれわれを検挙しようと足をひっかけたり、警棒をにゅっと突き出したり、いろいろなことをする。

 そのデモの喧騒も遠い時代になり、私は仕事を取るためにそこを歩いていた。しかし、私はそんなときふと恐怖に襲われた。もしもあのときの「同志」に出会ったら、遁走した私は必ず査問にかけられる。それは爪と皮膚の間にマチ針を入れて行くのだ。そうして彼らの言うなりに自己批判するまでそれが続く。言葉はていねいでやわらかだ。自決を迫る侍のようだ。

 私は今でもこの恐怖から完全に自由にはなっていない。

 いつか彼らが私を訪ねてくる。だから、それまでの短い間、私は奔放な性を楽しんでいたかった。


aqua |MAIL

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