獅々丸の雑記帳
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通勤路の……いや、中坊の頃通学路でもあった道の馴染みの大銀杏が切られた。
小さな踏切の脇にひっそりとある祠(ほこら)、祠ってのは神様を祀った小さ な社(やしろ)のこと。 その祠の脇にここらでは珍しい程の大銀杏が1本立っていた。 紅葉の時期になると、少し小さい紅葉樹を従えて、仰ぎ見るほどの煌きを放ち、 落葉すればそこに黄金の絨毯を作り出していた大銀杏。
今朝通りかかった時、初めにクレーン車と重機を積んだ積載車が目に入った。 作業時間までの待機中ってな風情。 脇に小さな川があるので一瞬『川の整備でもするのかな?』と思ったんだ。 でも、次に目に入ったものは、クレーン車の陰にある打ち落とされた枝の残骸。
そこで初めて景色がいつもと違うことに気付いた。 俺が大銀杏だと勘違いした樹は、脇付きの紅葉樹で、大銀杏は根元から2m位 で切られた幹だけの姿になっていた。 恐らく昨日の作業で枝打ちと幹の切断、今日は重機とクレーンで根の除去をす るつもりなのだろう。 今日残ってる地面の枝は昨日積みきれなかった物だな。
2m程の幹だけとなった巨木は、それでも威風堂々と『まだまだ生きてる』と でも言いたげにそこにあった。
『神様にはお断りを申して切ったんだよな?』 俺はそんなことが凄く気になって堪らなかった。
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帰り道。今さっきのことだ。 幹の様子を確認しようとして果たせなかった。 そこには伐採された枝の山があった。小山ほどの量。 あろうことか、脇付きの紅葉樹まで切ってしまったらしい。 一体、何があったんだ……?
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他人の土地のことだから、俺がどうこう言える立場じゃないが…。 ここは、どれも小規模なものだが、畑があって、道を挟んだ対面の家には塀の 向こうに桜が咲き、その少し後方には竹薮があり、蜜柑の木があり、そしてあ の大銀杏があった。 四季を『目』で楽しめる数少ない小道だったんだ。
そうだったですよね?祠の神。
せめて……切られるとこくらい見ていたかったなぁ。
俺の棲むマッドシティは、今日、またひとつ面白くない街になった。
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