獅々丸の雑記帳
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学生の頃だ、走り仲間にエンジンをかけてから水温計が少し動くまで、絶対に クルマを動かさない男がいた。 スタートするや『ヴォン!』とひと踏み、すんごい勢いでダッシュする。 ここで環境破壊とか真面目な突っ込みはナシで。若い世間知らずの走り屋時代 のことだ。
で、ある時聞いたさ。『お前、何してんの?』って。
ヤツはこう答えた。『暖気だよ。クルマにはこの方がいいんだぜ。』って。
空かさず俺はヤツに言った。『停まったまま暖気したって、暖まるのはエンジ ン周りだけじゃんか。』
俺は続けて言った。『暖気するなら水温計が動くくらいまでは無茶な走りはし ないで、クルマの色んな可動部が暖まるまで走った方がいいぜ。』
『ほぉー。』ヤツは納得がいったようだった。
『だから、暖気“運転”っていうんだぜ。』俺はサムアップと共に彼にウイン クを送った。
しばらくして後、また彼を見かけた。 クルマを停めてダチと笑い合っていた。そのエンジンは静かに眠ったままだ。
俺は近付いて声をかけた。『よぉ、最近調子はどうだい?』
彼は笑った。『あん時は良いこと教えてくれてありがっとよ。あれからただの 暖気はしてねーぜ。』
俺も笑った。『そりゃいい心掛けだ。』
すると、彼はサムアップと共にこう言った。
『ダンケシェーン!(暖気せーん!)』
(火暴)
ハイ、ほとんど全部、作り話です。
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