蜂蜜ロジック。
七瀬愁



 無題2-4+お知らせ

駄目だと言ってもよかったはずだった。
あたしとシュウスケは付き合ってるわけでもなくって、それどころか、昨日は止めとばかりにフラれてしまった。そんな相手を家にあげる必要なんて、どこにもないのは充分わかっていた。

「え?」
「いや、駄目だったらいいけど」
「…駄目、じゃない」

何でそう答えたのか、自分でもよくわからなかった。昨日の今日で忘れられるはずもない相手だからか、それともまだどこかで期待して待ってるあたしがいるからか。

どちらにしても良い結果になりはしないのに、性懲りもなく一緒にいたいと思うあたしが勝って、扉を大きく開けた。後ろから一緒に入ってくるシュウスケの気配に、一瞬ぎゅっと目を閉じた。

ありえないくらい、どきどきした。部屋にあがるくらい、どうってことはないのはわかってる。幼馴染だし。でも今の状況で考えると、息を吸うのも苦しくなるくらい、血液が異常な速さで流れてることを実感した。息苦しい。

「入んの、ちょっと久しぶり。でもあんま変わってねえよな」

もう少し片付けておけば良かった。今更後悔しても遅いけど。部屋の鏡に映る自分の姿にも、同じようにげんなりした。

「そ、うかな。あ、なんか、飲む?」
「いや、いい。すぐ帰るし」
「…そっか」

シュウスケの一言一言に、びくびくしてしまう。床に敷いたラグの上で寛ぐ後姿をしばらく見てから、ベッドの上に座る。好き。見ているだけなのに、そんな気持ちが溢れだす。昨日さんざん泣いたくせに、まだ出てしまいそうになる涙のせいで、あたしはきつく唇を噛んだ。

「マヒロ?」

振り返ったシュウスケが、驚いたような声をあげた。それから立ち上がって、こちらにくる。

「泣くなよ」
「…泣いてない」
「泣いてんじゃん」
「泣いてないってば!」

頭の上に乗る、掌。「あー…もう」ハルちゃんがいつもそうしてくれるみたいにその手が何度も頭を撫で、そのせいであたしは不意を突いて流れ出した涙を止める術を失った。

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※更新のお知らせ※
サイトのほうでもちらりと言っておりましたが、12/22〜25日は旅行のため、更新がとまり、雑記またはSSのみとなります。申し訳ないです。年末も更新はバラけると思いますが、よろしくお願いいたします。

2007年12月21日(金)
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