舌の色はピンク
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| 2022年06月22日(水) |
VS小蟻、VS非効率、VS歩きスマホ太郎 |
7時起床。よく眠れた。 居間の前の廊下の窓を開けてみると、 床に小蟻が十数匹も這っている。 昨日の名残にしては多い。 妻を呼んで始末してもらい、 僕は弁当の準備にとりかかった。 ご飯と牛肉をそれぞれ温め、目玉焼きとともに詰める。
妻は小型の掃除機で吸い込んでから、 ミントのスプレーを窓際にかけていた。 しかしどうやら、掃除機に吸い込んでも生きながらえて、 さらには隙間から出てきてしまうらしい。 しかたなく掃除機の中身をまるごろジップロックに入れて捨てた。
朝イチで献立の特集。 毎日毎食、献立を考えるのタイヘンですよね、 という声には同意するのだが、その解決案としてアプリを紹介していた。 ヒタヒタだとかホカホカだとか、オノマトペでの検索もできるのだという。 「どんどんバカになるな」 と僕の代わりに妻がこぼした。 本当に。 目先の効率性を求めようとして 自身に求められる知性や能力への負荷から脱する代わりに、 結果的にバカになって損をする。 バカになる、ってことが どれだけ非効率なことかわかってないというのは かなり危ういと思うんですけどね。
いつも通り8時半に家を出て、 そして荻窪駅で小さな悶着に見舞われた。 ホーム内を反対側の端まで進んで行きたい僕の前を 歩きスマホのスーツ男がうすのろに歩いているものだから はかどらない。 広いホームでもないし後ろも行き詰まってしまう。 それでも、異様というほどでもないからと しばらくは歩調に合わせて、 道が拓けたところで横から彼を追い抜いた。 ぴったり歩きスマホ太郎の前に位置したわけだけれども、 歩いていると靴の端、かかと部分が後ろの歩みとかるく当たった。 二度続いた。 これはわざとかなと一瞥くれてやると、歩きスマホ太郎は睨みつけてきた。 もう一度当たった。 すると彼は僕を追い抜いて、もと通り僕の前にぴったり位置する格好となった。 へえ と思い今度は歩きスマホ太郎のかかとに僕の進む脚を当ててやった。 露骨にやった。 彼は歩みをとどめて、蹴るなよとすごんできた。 「気をつけましょうね」 と僕は言い、それから数歩進んで、 よほど腹に据えかねたのかまた彼は歩みを留めて、 モノスゴイ睨みつけ方をしてきた。 こちらもそれなりに睨みつける。 歩きスマホ太郎は舌打ちの真似事をして敵意マシマシだ。 僕は歩きスマホ逆ギレ太郎の手にある端末を指差して、 「気をつけましょうね」 と繰り返した。 これに対して彼は最大限に嫌味たらしい語調で 「ありがとう」 と言い(“あ”に強いアクセントをもたせた言い方だ)、 「でも、蹴るなよ」 と言い捨ててスタスタ前へ早歩きで去っていった。
蟻みたいなカス野郎だなと思った。
お前が先に蹴ったのだ… 故意ならば逆ギレだし 故意じゃなれけば歩きスマホの罪の証明だし… でもなにも怒鳴り散らしたりはしない、 ティーエイジャーではないから。 ただこれで彼の中で一つの決着がついてしまうのもなんであるし、 「最後は善」で締めたい理念があるから、 たとえちょっとでも自分の過失を認められてリッパだ、 こちらもたしかに露骨に足先を当てたのは悪かった、 ごめんなさい、お互い反省しよう、 今日が良い一日でありますように というまくしたてて”善意で圧倒”してやりたかったが、 どうにも皮肉というか嫌味になってしまいそうなのでやめた。
でもやっぱそこまで言ってやったほうがよかった気がする。 おかげで僕の中の彼は 歩きスマホ逆ギレ太郎蟻カス之助の域から脱しない。 ごめんなさい、お互い反省しよう でわかり合えたとは思うんだよな。 こんなやつにも家族がいて友達がいて 人並みの愛や善意や善行がその日々にあったりするのだ。 普通ってそういうもんだ。 叶うなら10年後か20年後かでもいいから あのときは未熟だったなあと 心から恥じ入ってほしい。 僕は一足先に反省しよう。
僕が育休中の予定となる7月下旬に 会社を退職してしまうこととなる同僚へ 早めの挨拶をした。 こちらはいつ育休が始まるかもわからない身の上なので。 彼女は無愛想で言葉の選択も悪く 極端にコミュニケーションが取りづらいタイプで 多くの人が持て余してるのだけれども 僕に対してはいつもにこやかで 良好な関係性を築けてはいた。 60過ぎの彼女はもともとがこの道のベテランで 知識も経験も豊富であったはずが、 十数年前に業務がデジタルへと完全移行した際に 置いてけぼりとなりかけたところを 僕がイチからMacを教えた縁で それ以来仕事を割り振ってきた。 彼女が望んでいた仕事を なかなかあてがえなかったのは心残りだけれど お世話になりましたどうかお元気でと 簡単ならば挨拶できてよかった。 彼女はまだ数年は会社にいたかったらしい。 しかし会社の方の意向ではじかれてしまった。 どうにもならないのだという。 その遺恨は僕が継ぎますからね。
夕飯はペペロンチーノ。 先日食べさせてやれなかったのでリベンジとして。 キャベツ、ブロッコリーを具として、 仕上げに追いのオリーブオイルを絡ませた。 おかげで麺はツヤツヤ。めちゃ美味しいし。 この前見たザノンフィクションで ツヤツヤのパスタ仕上げてて美味しそうだったからつい。 本当はあまりやりたくないのだけど。 オイルは最低限にとどめたいので…健康上…
妻は陣痛が始まったらどう行動すべきかを、 出血、破水、痛みごとのチャート式で用意していた。 一見よくまとまっているがツメが甘い。 なにしろ人生初の経験、 絶大な緊張と不安でワタワタしているさなかのことだ。 そんな時間の自分を信用するものじゃない。 もっと徹底的に細かく書くべきだと伝え納得してもらい、 明日別紙でもう少し詳細を足すこととなった。 ベビー用品の確認もした。 実際、明日陣痛が始まって…ということも もう十分ありうるわけだから。 ここまできたか。 ここまできたなあ。
居間の廊下、窓との間に 小蟻が這い出てくるほんのわずかな隙間があって、 これを妻が持っていた道具で閉じた。 樹脂みたいなやつ。 乾くのに24時間かかるとかで 今夜は居間の窓は開けっ放しで寝ることとなった。
夜、雨が本降りになって あーこれは怖いなーと浴室覗いてみたら ナメクジ出てきていた。二匹。 排水口ではないのかもしれない。 外へ出られるドアの下端にあるわずかな隙間があやしいと、 後日ここにも細工することにした。
民話読み聞かせ。 王が一人娘の婿を選ぶにあたって 彼女を高いところに置いてその指にはめた 指輪を見事掴み取れた男を結婚相手とする、 としたのだけれどその試みに成功したのは ぼろっちい服をまとった羊飼いで、 これはいかんと王はなんとか追い払いたい。 そこで四十匹の兎を預けて、 明日の朝まで逃さずにいろという。 一匹でもいなくなっていたら殺すと。 羊飼いはどうにか達成したかったものの 無為無策で結局四十匹は森の中を散り散りに逃げてしまう。 途方にくれていたところ笛を拾い、 吹いてみると意のままに四十匹を操れる。 そうして翌日王宮へ参上。 困った王は、もう一日と引き伸ばし、 それから変装をして羊飼いのもとに現れ、 アレコレ要求して一匹を手元にせしめるが 結局笛の力で取り戻されてしまう。 納得できない王妃も同じように挑んだが 結局は似た結果に終わった。 そしてとうとう王女もが挑む。 成功すれば羊飼いを死刑に追いやれる… そのつもりでいたが兎は手に入れられなかった。 クライマックスは王宮での一同との対峙。 ここで王は最後の悪あがきに無理難題をふっかけるが、 羊飼いは頓知で切り抜けた。
…でもこうして頭脳戦で勝ったとはいえ ここまで忌み嫌われて 婚姻でめでたしめでたしは無理だろ と、思ってたら最後の最後急展開。 羊飼いは王を倒してそれから国を支配したって。
えー。 すげえ。 打ち切りかよ。
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