舌の色はピンク
DiaryINDEX|past|will
曇りのち晴れ。 朝飯だけ食べて、すぐさま西荻へ。 鮮度の問題から昨日買わなかったハマグリを探し回る。 が…ない。 魚屋も開いていない。 アッチコッチ回った末、近所のOKマートでかろうじて、 小さいハマグリを買えた。これでよしとする。 午前中はずっと料理の準備。 妻は荻窪に、母に贈るための花を買いに行ってくれた。 昨日にも買ってくれたのだが、 「華々しいもの」という唯一の条件を満たしていない ひっそりしたバラの鉢植えだったから、 これは流石にと難色を示したところ、 鉢植えは一応私も欲しかったからこれは私が引き取る、 また新たに買う…と転回した結果、 みごとに華美な花束を買ってきてくれた。
昼飯にはピザを食べた。 250度のオーブンで8分暖めるだけの冷蔵品。 がこれが美味い。 これから母をもてなす時間に 相伴あずかるつもりだから、 一枚を半分に分けて終いにした。
母は予定より30分ほど早く着いた。 バス停まで迎えに行くと、 このバスもシルバーパスで無料だったのだという。 3日に70歳となった母は、 今月から都営地下鉄、都営バスの運賃が無料になった。 ここまでも200円程度で来れたとのことだ。
家の案内は妻に任せた。 この家に招く初の来客となる。 居室以外の一通りを見せて、居間に落ち着かせた。 今日のもてなしおおよそは 僕の振る舞うご馳走によってなされる。 まずはハマグリのお吸い物。 丁寧に出汁をとって蓋付きの漆器に注ぎ、お麩、三つ葉を浮かせて。 お次は小鉢で、小松菜の煮浸し。こちらは薄めの味つけ。 油揚げの油でニンジンを炒めて、どんこ少々を足して、 サッと煮た小松菜を乗せたもの。 キャロットラペにはかるくローストクルミを和えた。 また、スパイスはクミンだけでなく カルダモンとオールスパイスをほんの少し足した。 続けて漆器に盛った鯛のもみじおろしポン酢。 玉ねぎスライスは十分に辛味を抜いておき、 真鯛の刺し身を重ね、もみじおろしと小ねぎを乗せて、ポン酢を注ぐ。 口の中をサッパリさせたところで高野豆腐。 少量のコンソメの含め煮にして、 どんこ、タケノコ、小ねぎ、刻み生姜のとろみ餡かけ。 海老を添え、深みのある鉢で提供。 鴨肉と柿スライス。普段はケーキ用に使っている黒い皿に。 スライスした柿を軽くオリーブオイルでソテーして 薄めにスモークされた鴨肉と交互に並べる。 ソースは、醤油と少量のナンプラーを煮詰めてワサビを溶かしたもの。 ふろふき大根で口直し。 丁寧に炊いた大根に、 熱したみりんで溶いた白味噌をグラサージュ。 最後はいろり鍋。鶏もも肉とセリと煮ただけの鍋。 国内産のブランド鶏を2時間煮ただけあっていい出汁でてる。
トータルはそれなりの量になるから 残していいというつもりで提供したが、 母はご飯のおかわりまでした。 全体的に好評だった。やった甲斐がある。 デザートのみ妻に任せた。 抹茶パフェ。 生クリーム、大納言小豆、コーンフレーク、 黒豆、抹茶アイス、白玉。 白玉は僕がこしらえたもの。 これも美味しく好評だった。
食事しながら、母からいろんな話を聞いた。 勤め先の学校の愚痴やら、主催しているコンサート、 不動産のよもやま話、兄や甥の近況… 年配者に向かって話をしていく僕らではないから、 ごく自然な流れで、しゃべり好きの母の話を聞きっぱなしでいた。 最も我々をおののかせたのは、 母がYoutuberになったことだ。 なにか勘違いをしているのではないかと思われたが、 本当にチャンネルを開設し、4本の動画を公開していた。 長らく続けていた太極拳を下地に、 体と心をめぐる気の話などをしているようだった。 10年ほど前にブログを始めたときにも驚いたけれど 今回はその比ではない。 しかも奇妙な変装までしている。 素顔を晒すよりはいいが、ピンク髪のカツラにサングラス。 いちじるしく異様だ。 それでも当人が楽しんでいるなら何よりである。 面白かったのは動機づけで、 彼女は承認欲求から動いているのではない。 すこしでも固定視聴者をつかんで、 ゆくゆくは副業で営んでいる占いの方に 誘導したいというのだ。 なるほど彼女らしい。 つくづく思考が商いでできている。 それはビジネスではなく、肌感覚とともにある商いの精神。 この人はこうして70年生きてきたのだ。
食事を終え、会話も一段落ついたところで、 妻の妊娠…?を伝えてみた。 本来なら安定期まではまだ明かしたくもないが、 今時点でも母の喜ぶ話題ではあり、 また彼女は人生経験を豊富だから心配ないだろうと踏んで。 これが妻の方のご家族となると、 何分まだこの世代に子をなした事例がないという事情も手伝って、 過大な期待が寄せられてしまうことになるから、 こちらは慎重に、安定期に入るまでは伝えないと決まった。
「まだ確定じゃないけど」と散々念押ししたから 母も込み入った話はしなかったが、 伝えた瞬間にはわかりやすく パアアァッと顔を輝かせた。 喜んでもらえてよかった一方で、 いうなれば、 よくやった! 的な…前時代的な価値観ありきとなりかねないから、 妻への配慮もあり、こちらも話は深入りさせなかった。
それから花束をやり、写真を撮って、 土産を持たせておいとまとなった。 タクシーを手配してやるつもりだったが 彼女はこれを固辞して、 行きと同じくバスと電車を乗り継ぐ経路で帰っていった。
妻はやはり疲れたらしく、ダウンした。 僕は延々と洗いものをして、 それからは先日配本してもらった本を読んでいたが、 妻の勝手に付き合って一緒に漫画を読んだり、 何もせず過ごしたりなどした。 ところへ親戚から連絡が入った。 従兄弟の一人が入籍したそうだ。 めでたい話が続く。 母にとっては実に嬉しい一日だろう。 と思っていたらその母から電話がかかってきた。 今日の件については随分喜んでいた。 また、さっそく土産のわらび餅も開けたそうで、 これも美味しい、おしゃれだと喜んでいた。 写真まで送ってきていた。 実に美味しそうだ。 絶対に食べたい。 近日中に僕もわらび餅を買うことにした。 わらび餅、作りたいしな。
夕飯は昼と似たような献立。 残りもので確認できる味は、やはりいずれも美味しかった。 天才…。
食後に妻と義母が電話しているところ、 少々代わってもらって挨拶した。 昨日いただいた花の礼だ。 花はわからないが気持ちは嬉しい。 いつでも来てくださいねと伝えた。本心だ。 今日を経たことで客をもてなす確信が得られたから。 お義母さんは、娘が禁煙できているかどうかを気にしておられた。 かなり大変そうだがちゃんと続けていると言うと驚いた様子だった。 今は妊娠という事情も加わったから、もう完全に禁煙コースまっしぐらだろう。 だが妊娠についてはまだ言えない。
妻の弟くんもじきに入籍する。 挙式にあたっては、へたすると 妻の出産時期とかち合う可能性もある。 やはり早めに伝えておく必要があった。 安定期に入る直前を目安とした。
それから図書館から借りてきた妊娠出産についての ガイド本を二人で読んだ。 女の負担は大変なものだ。 単純に、損な役回りだ。 この 「単純に損」 という極めてシンプルな話が、 一部の男性に伝わっていない気がする。 高邁なフェミ思想や立派な人権意識、 勉強を必要とされる人文理論などは置いておいて、 まずはこの 「単純に損」 だけに焦点を絞っても、 入り口としては悪くないと思うのだけど。 どうにも 「複雑な損」 に話が傾きがちなのよな。
妻は今は食欲があり、 それどころかずっと何かを食べていたいくらいだという。 とくに朝、もっと食べたいらしい。 それも何かこう、肉だとか… とリクエストするから跳ね除けたが、 しばらくして一考し、 手持ちの食材から ワンタンスープという最適解を導き出した。 中華粥にワンタンの皮を揚げて入れようと計画していたから、 そのためだけにワンタンの皮を買ってある。 さらに一昨日の担々麺のための豚ひき肉が余っている。 ワンタンなら肉の量も少ない。 体を温めたいに飲ませるスープとしても、 ワンタンスープはうってつけだ。 天才…。
夜も更けていたが せっせとワンタンをこしらえた。 ひき肉はチューブ生姜とニンニク、醤油、酒、胡椒で 2分ほどこねたのみ。 包み始めてから、ワンタンの形がよくワカランことに気づいた。 途中から三角形にしてみたらそれらしくなった。
今夜も咲を読んで寝た。
|