舌の色はピンク
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春が去った。 わかってたけど。 寒い。 明日より寒い。
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小学校二年のときに 酒瓶のフタ集めがクラスで流行した。 フタは独楽に見立てられ、指で回転させて 誰が最も長く回せられるかを競っていた。 その動力がフタによってまちまちであること、 また土俵が机の上かコンクリか校庭かなどにより フタそれぞれに相性らしきものがあって、 多くフタを所有していればいるだけ有利だった。
当時僕はクラスでも1,2を争うコレクションを誇っていた。 覇道へ揚々突き進んでいた日々のなか 同じく大量のフタを集めていたしクラスメイトが コレクションの全てを譲ってくれるという申し出があった。 僕は歓喜した。最強。これで最強だ。 のみならず、翌日から他のクラスメイト達からも 譲渡の提案があり、僕はこれを全て引き取った。 コレクションは甚大な規模となった。 しかし競い争う相手がいつのまにかいなかった。
ビニール袋に敷き詰められた無数の酒瓶フタは 子供に嫌悪感しか与えない異臭を漂わせており 使い道もなければ保管しておく意味ももはやない。 ある日兄が僕の不在時にそれらを全て捨てた。 涙が出た。 そのときも、今になっても理由がよくわからない涙を流した。
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