もうひとつの土曜日

アップルパイと世界地図を抱えて
古いエレベーターに乗り込む


いつものように
チョコレートが準備されているだろう


いつも歌ってくれた歌は
古くて、やけに切なくて


見えない未来の話を
テレビの音でかき消した


一緒に過ごさなくなったのは
いつからだったろう


そんなことは
とっくに忘れてしまったけれど


あの歌なんか聴かなくたって


欠けた前歯の優しい笑顔は
今でもちゃんと、思い出せるよ
2008年03月28日(金)
↑ Top