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うたうたい
かつて飛び回った大空を
孤独の虚から見上げて
あなたは何を思うのでしょう
ひからびた器を投げ出したまま
嘆くこともできずに
失ったのは翼ではない
あなたのいのち
膝をすりむき
べそをかく子供のように
ただただ、涙をこぼせるのなら
光は届いていますか
凍えてはいませんか
ここでは雨が頬をぬらし
だれもが傘を、雨宿る場所を、
待ち続けています
そこからはい出すときには
思い出してください
生き続けることば、魂の泉
あなたのさえずるうたごえを
窓辺できいていたひとのことを
「返信」
大切なものを失った あの日
小鳥は飛ぶことをやめました
その元へと飛んでいけないのなら
翼さえ失ったようなもの
大切なものを失った あの日
小鳥は うたうことをやめました
このうたがもう届かないのなら
言葉さえ失ったようなもの
飛ぶことと うたうこと
それらが小鳥の本分ならば
失ったのは いのち
小鳥はもう小鳥ではない
とりかごの中は まだ温かく
目の前に広がるのは自由な孤独
だけどいつか
はい出すことができたとき
もしも そこにいてくれるのならば
失ったままの翼でも
きっとこの足で参りましょう
失ったままの言葉でも
心だけ連れて行きましょう
精一杯の
できそこないの愛のうたを
あの愛しい窓辺で
ご一緒に
By
kotori
2008年01月12日(土)