クロール

指先をピンとのばし
絶え間ない抵抗をかき分けて
降り注ぐしぶきをなだめ
目前のあぶくをいとおしみ


息は律動的に
つま先は調和と均衡の尾
流れるままに、流されぬように
優雅に、そして悠然と


待ち受ける底なしの闇
聞こえるは青い、青い深海の嘆き
冷たさは毛穴までしみ入る
曖昧な視界が心を惑わす


一人きり、声は届かない
それでも、うろたえることなく
身にからむ水が
心地よく肌を滑るまで


すこしずつ、すこしずつ
2007年12月14日(金)
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