萬葉集覚書

2006年12月08日(金) 1 籠もよ み籠持ち

籠もよ み籠持ち 堀串もよ み堀串持ち
この丘に 菜摘ます子 家聞かな 名のらさね
そらみつ 大和の国は 
おしなべて 吾こそ居れ しきなべて 吾こそ座せ 
吾にこそは告らめ 家をも名をも



キレイな籠とカッコいい箆を持って薬草を摘んでるお嬢さん
あなたはどこの家のなんという名前なのかな?
私はこの大和を治めているんだよ
だから安心しておっしゃいな
家も名前も





万葉集巻一の巻頭の歌ですね。
俗に雄略天皇の御製とされていますが、おそらくは当時流布していた民謡か里謡の類に少しばかりアレンジを加えただけの、誰でも知っている歌だったのでしょう。

今でこそ和歌というと詠むものですが、当時古代の日本ではそれぞれが独自のメロディをつけて、それこそ歌っていたんだと思います。
もちろん、基本となる旋律は共通の認識の中にあったのでしょうが、それにどういうアレンジをして歌い上げるかが、歌人としての評価のひとつの基準になっていたんじゃないでしょうか。
この場合は民謡、里謡ですから、そんなに本来の歌とかけ離れた調子っ外れなマネはできなかったでしょうが、歌い方、節の上げ下げ、音の長短などで個人の技量を競ったんだと思います。

この歌の歌詞の一部をそっと変えて、好きな女性の家のそばで歌えば、あるいは想いが叶えられた男もいたでしょう。
そう思うと、身近なものだったんでしょうね、歌って。


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セレーネのためいき

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