カゼノトオリミチ
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晩秋の午後 印象派の絵のように 色づく桜葉 しずしずと散り
いたずらっ子のように 植木の枝を渡る小鳥たち
この午後は そうした チイサナ生き物たちの ためにあるようで
老犬は頭をたれ 落ち葉のなかを歩いて
黒い猫は首をあげ 弱々しい午後の日差しに 金色の目を細め 古いレンガの座に 気高く居る
風は 枯れ葉のニオイ 湿った土のニオイ かすかに北の海のニオイ
秋の空気は 見えないベールで街を覆い
ヒヨドリや シジュウカラの声を 街中に ぴいんとひびかせる
柿の実は柿色に 橙は橙色に 空ははちみつ色に 色づいて
息をするもの みんな水彩画の中へ にじんでゆく
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