カゼノトオリミチ
もくじ|過去|未来

お裁縫が苦手で かんしゃくおこして
おこられて また投げ出して
涙目で 手に汗かいて 糸をほどく
縁側にもう 夏の夕焼けが 届いてた
ほら こうやって
嫌がらずに やりなさい と
糸切りバサミで ちょん ちょん と
せっかくの小さなミシン目を 切ってゆく母を
うらめしくながめた
時ばかりがすぎ
なにも残らない はずだったけど
「まちがったらあきらめずに やりなおしなさい」
と 半分おろした メガネのむこうから
母の 声がした
雨の音のする午後 雨の色の 糸をたぐる
キライだった 針と糸
切れそうになりながらも
ほそぼそと
母から 子へと 伝わるもの
お裁縫の ルール とか
暮らしの中から にじみ出るもの
natu

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