カゼノトオリミチ
もくじ|過去|未来

ビルの向こうが オレンジ色に 染まるより前に イチニチ が はじまる ベッドにすわり 頭には 漬物石が
ココロを どこかに 捨ててしまいたい 今日という日を 消してしまいたい
真っ暗な 台所で 炊飯器のスイッチを 入れてそして のろのろ イスにたおれて フセって
私は たまごいろの 刺繍糸を刺している 春のユメ みている
あの角を ランドセル背負った 少女が くるり くるりと たまごいろの スカートで 足取り かるく 曲がって 消える
黄金色に輝いた 帰り道の人たちの より添う影が ながくながく 伸びて
歩くたびに 置いてきたはずの 記憶が 背中で ゆらゆら揺れているのが みえる
そろそろ 出発します ピイイイ それは 列車ではなくて 炊飯器の 炊ける音
朝が来て また 夕が来て 若草色の 糸を刺す時 また 若草色の ユメをみる きっと ひだまりで はこべを摘む ユメ
natu

|