カゼノトオリミチ
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2008年08月02日(土) お勝手にて




西日の輝き 見つめている

まるい背中

誰かの重さを ずっと受け止め そこにある

廊下の奥の 古い木の椅子

ぼろぼろの チェックのカバー



お勝手には 底なしの 寂しさがある

話しても 話しても 誰にも 伝わらない

砂のような 寂しさが 

油とともに 染み込んだ 壁 



腰を下ろす 炊事場の主(あるじ)の 

あまりの 軽さに 古い椅子は 小さく きしむ

カップには お茶でなく

いつの間にか ため息で いっぱい



6時の時報が

静かに 今日も 鳴り始めると

冷蔵庫の隅に 隠れていた 夕闇が

部屋に広がる

もう いいのよ 安心して と

優しく背中から 包み込む


natu