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訪問 - 2006年03月02日(木) 無造作に投げられた服と積み上げられた雑誌。 最新式のAV機器に、最低限の家電に、うすいブルーの寝具に、単一色の柄のないシンプルな遮光カーテン。 男の人の部屋。ひとり暮らしの。 こういうの久しぶりかもしれない。ちょっと緊張する。 「汚くてごめんね」と彼は苦笑を浮かべるけれど、少々散らかっているだけで、不潔なわけじゃない。むしろとても清潔だと部屋に入ってすぐお手洗いを借りたときそう思った。 そういうところがきれいなのって、いつも上手に人に気を遣う彼らしいなと好感をもつ。 買ったばかりだというクリーム色の小さなテーブルの前にちんまりと座って、改めて部屋の中を見回す。 私の知らなかった彼の日常生活に鮮やかに色がついていく感じがする。 「あんまり見ないでよー」 そう言いながら、私の顔を両手で挟んで軽くキスをする。 1回、2回、3回。 4回目にはお互いの唇が薄く開き始め、そこから漏れるあたたかい息が絡み合う。 頬を挟んでいた手が、そのまま耳のうしろを通って私の髪の中に潜り込む。朝、出がけに首筋につけたマグノリアがふぅんと香る。 髪がくしゃくしゃになるくらい強く頭皮を掴まれるのは気持ちいい。 もう何回目になるかわからないキスの合間に長い吐息が漏れる。 キスって食事とほんとに似てる。 はむはむ、パクパク、はぐはぐ、ペロペロ、ちゅうちゅう。 舐めて、吸って、かぶりついて、唾液が溢れて。 その間も彼の大きな手のひらは、髪の中を甘く激しく這いずり回り、私の鼓動は次第に速まり、息があがってくる。 一旦くちびるを離して、額と額を重ねる。 ふぅぅぅ、と深い息を吐いて、呼吸を整える。 額をコツンとつけたまま下を見ると、着衣のままの彼の下半身が苦しそうにしている。 深呼吸、させてあげなくちゃ。 手を伸ばし、ベルトに手をかけて、ファスナーをちりちりと下げる。勢い良く飛びだした下着の一部分がまぁるく一段色濃くなっている。 私もきっと同じだよ。 お皿に残った美味しいソースをパンでくまなく絡めとるようなキスをしながら、互いの服を剥いでいくのももどかしく、床の上に座ったまま足を前に投げ出した彼の中心に跨がり、注意深く下を見ながら、軸を手で支えることもなく、花弁を指で開くこともなく、腰の動きだけでその先端を捉え、オスの蜜とメスの蜜を少しずつブレンドしながら、ゆっくりと腰を落としてゆく。 下を向いた自分の頭が、徐々に起き上がり、やがて後ろに大きく倒れる様を、彼の背後のカーテンに映しだされた影でしっかり確認しながら。
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