こぞのさくら...

 

 

カイスイヨク - 2005年12月10日(土)

「こうやってゆっくり出し入れされるのが好きなんだろ?」

そう言われて首を何度も縦に振る。

私の縁ににゅぷにゅぷと入ってくる。
どんつき。
更にぐっと強く押しつけてひと休み。
ゆっくりみっつ数える。

すうっと引かれる。
波打ち際で足元が波にすくわれるような心許ない気持ちになる。
行かないで、と砂浜から手を差し伸べる。

でも。
抜けるギリギリのところ。
段差がひっかかる感触、嫌いじゃない。

もう一度、もう二度、もう三度。
何度も繰り返す往路復路。

開放的な波打ち際はみるみる濃密で閉鎖的な暗闇になる。

トンネルの中は息苦しいほどに熱気を帯びる。
侵入する物体すべて。
侵入されている物体すべて。
こんこんと滲み出るとろみをもつ水分で溢れかえる。


「いやらしい女だな。」

そう囁かれて今度は首を何度も横に振る。
それは何度も縦に振るより激しい肯定の意味。

言葉で答える代わりに、トンネルの入り口を封鎖する。
奥へ奥へひきずりこむ。
そこに広がる暗く光るなまあたたかい海で心ゆくまで漂って。

溺れてもいいよ。
死体は私が、私がちゃんと。
ソウ、シタイハワタシガ、チャントウケトメテアゲル。







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