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風駆ける - 2005年09月11日(日) 今日もひとり残業していると、部屋の直通電話に外線が入る。 ここのところの連日の激務を共にこなしてきた仕事仲間の声。 「おつかれさまです。咲さん、今日は何時くらいまでやるんですか?晩めし食いに行きませんか。」 ちょうどおなかすいたなぁと思っていたし、仕事も持ち帰っても良さそうなものだけだったからふたつ返事でOKする。 「帰りバイクでうちまで送りますよ。」 うは。やった。 少し前にバイク通勤の彼の真っ赤でぴかぴかの愛車(愛バイク?)の話になったとき、2人乗りの話に発展して、「今度乗せてよ」とその場のノリと社交辞令半分、本気半分で盛り上がったの覚えててくれたんだ。 仕事場は赤坂のど真ん中。夜の食事処にはことかかないから、近場ですませようと玄関へ向かうと、駐車場に停めたバイクの横でにこやかに手を振る彼の姿。 「あれ?どこまで行くつもり?」 「四谷の方にうまい中華屋あるんですよ。バイクならすぐだから乗ってください。あ、これもどうぞ」 ヘルメットと一緒にいい感じに着古した皮のジャンバーを渡される。 遠慮なく手を通すと背の高い彼のジャンバーはやっぱりぶかぶかで、でもなんだかそれが妙にわくわくする感じで、あがる口角をおさめられない。 「うわぁ…なんか照れくさいね」 おずおずと彼のうしろにまたがる。 あんまりくっついちゃいけない気がして、手の置き場に困っていると、ぐっと手首をひっぱられて、 「ちゃんと捕まっててくださいね」 とヘルメットごしに言われる。 こういうちょっとした強引な行動に弱いんだよな。 ではではお言葉に甘えて。 低いうなり声をあげてバイクが発進する。 ……!! うっわー。気持ちいいーーーー すっかり秋の空気になった夜風を彼に借りた上着ごしに感じながら、バイクは疾走する。 車線の多い都心の道を、手慣れたハンドルさばきでタクシーの群れをひょいひょいとかわしながら。 車では絶対に体感できない風との一体感。 スピードがあがるほどに密着していく体もなんだか気持ちいい。 彼の腰に手を回し、彼の小さいヒップを太ももでしっかりはさんで、どんどん後ろへ流れる車のヘッドライトや街のネオンを目の端に感じながら、ふと上を見上げると、満月にはあと数日足りないぐらいの8割ぐらいの月がぽっかり。 あっという間にお店について、さぁ、注文!と思ったら職場から帰還要請電話。あー、電話でなきゃ良かった。 仕方ないからビールを一杯(私だけね)と単品をいくつか急いで選んで、えっち系バカ話して、大口開けて笑いながらせわしない晩ごはん。 帰り道、道まちがえたと彼。 いつもどこでもバイクで行動するあなたが道まちがうなんて。 わざとでしょ? ありがと。遠回り。 ゆっくり2人乗りできて良かった。 デート気分2割ぐらい。 残りの8割は月にまかせて、明日もまたがんばろ。
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