雑念だらけ
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私は刃物が怖い。
彼はナイフのコレクターだ。 彼と暮らし始めた頃、コレクションを押入れから出して私に見せ、
「飛行機は感知するけど新幹線ならチェックがない」
とか言い出した。 なんの話かな〜と思って聞いてたら 機内には持ち込んだらダメだから荷物?として預けるけど新幹線などなら手持ちでも構わないから簡単に持ち歩ける、という話だった。
どうしてそんなことを私にわざわざ話すのだろう・・・と、黙って聞いてたら
「お前が俺を裏切って逃げたら陸路で移動してお前の身内を一人ずつ殺していくつもりだから。最後はお前かな。 味わうがいいさ、自分のせいで人が死んでいく恐怖を」
「お前が俺のとこに来なかったらこれを持って(別れた)ダンナを刺しに行こうと思ってた」
そして 俺はやるといったらやる、脅しじゃない、と繰り返す。
冗談、というか本気じゃないとは思う。 が、ギラギラした刃物を手にして 目の前で淡々と話されると怖かった。
気に入らないことがあると、ナイフを眺めていた。 振り回すわけじゃないがケースから取り出して手入れをしていた。
ある時、私が言うことをきかなかったのがよっぽど気に入らなかったのだろう。 (どんな内容だったかは書くと長くなる)
なかなか眠れずに毛布をかぶっていたら 彼が押入れを開けた音がした。 ナイフを出すのだ・・・とすぐわかった。 案の定、ケースからナイフを取り出す音がした。
シュシュシュ・・・シュシュシュシュ・・・
足元を何かがかすめて動いているのが見なくても分かった。 シャ、シャ、シャ・・・トン・・・シャ、シャ・・・ 足元で雑誌か箱が刻まれているらしかった。
次は私が刺されるかもしれない。 私の明日の朝は無いかもしれない。 動けなかった。 毛布をかぶってずっと目を開けていた。 とにかく、覚悟だけはしておこうと自分に言い聞かせた。
しばらくすると気が済んだのか私が反応しないのがつまらないのか、ナイフを仕舞う気配がしたが、その夜は眠れなかった。
携帯の目覚ましが鳴った、 やれやれ無事生きたまま朝が迎えられたようだ、と台所に行くとボロボロの雑誌があった。
彼は不機嫌な顔で私の用意したコーヒーをトーストの上にかけてベチャベチャにした。 そこで私に泣いてもらいたかったのか、黙って片付ける私が気に入らないらしく、私を睨み付けて机を叩いた。 机を叩かれるのは、分かってても怖い。 嫌な顔をした私に、少し気が済んだのか。 私が出勤するまでずっとため息を連発していた。
シャシャ・・・というナイフが何かを切り裂く音が仕事をしていても一日中耳から消えなかった。
メールは受け取っておりません。すみません。
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「モラル・ハラスメント被害者同盟」
モラハラで苦しむ方々へのメッセージや皆さんの体験談があり
私の心の支えとなりました。
ヨウ
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